<女体化>俺は女になりたくない!②~理由~(完)

女嫌いの男子高校生が女体化してしまったー。

彼は”女体化したこと”を隠しながら
生活を続けていたものの…?

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女体化してしまった翔太は、
それからも、”女”になったことを
徹底的に隠していたー

女体化してから既に1週間ー。

翔太の徹底的な”女隠し”は、
なんとかうまく行っていたー。

髪は初日にバッサリと切り、
マスクで女っぽくなった顔は隠しー
声は風邪で枯れている設定にしー
トイレは個室でー
体育も、トイレで着替えることで対応したー。

しかしー

「--はぁっ はぁっ はぁっ」

体育の持久走の授業で、周囲の男子生徒に
追いつくことが出来ずー
翔太はイヤでも”男女差”を感じることになってしまったー

「どうしたんだよ?翔太」
親友の隆夫が笑いながら言うー

「最近、随分遅いじゃないか。やっぱ風邪のせいか?」
隆夫の言葉に、
翔太は「そ、そうだな…風邪がまだ、治ってなくてさ」と、低い声で呟いたー。

タイムはかなり遅くなっているー。
女子の中でも、それなりに早い子はいるし、
男子を上回る子も当然いるー。

だがー”翔太がもしも女だったら”
翔太の”中堅”レベルの体力では、このぐらいのタイムが限界、
ということなのだろうー。

「はぁ…はぁ…はぁ」
荒い息をしていると、隆夫とは別の男子が
「なんか、翔太の息、女子みたいで可愛くね?」と、
冗談を口にしたー

「---!!」
翔太は表情を歪めたー

隆夫も面白そうに笑うと「ははっ!確かに!」と
その男子生徒と一緒に笑ったー

「---…ってかさ、お前、風邪長くね?」
1週間が経過しても、未だに風邪を引いている設定の
翔太に対し、隆夫は首を傾げたー。

風邪が長引くことはあるー
だが、1週間も声が枯れてしまうほどの風邪は、
そこそこ珍しいー

「--ちょ、ちょっと、体力が落ちてるのかもな」
翔太はそれだけ言うと、足早に立ち去っていくー

”くそ!もう限界だ!”
翔太は、これ以上”女体化”を隠すことに限界を感じていたー

家でも、そうだー

だが、両親に相談してどうなるー?

何より、女嫌いであることと、思春期真っ最中であることが、要因となって
翔太は”女体化”を周囲に打ち明けることは
絶対に出来ない、と考えていたー

「--俺は男だ…俺は男だ…俺は男だ…」
トイレでマスクを外した状態で呟く翔太ー

イライラした様子で自分の顔を見つめるー

毎回毎回個室に入らないといけないのも、
翔太にとってはとても不愉快であり、
未だに違和感がぬぐえないー

クラスメイトからは”最近、よく腹を壊してるな!”などと
笑われたー

用を済ませて、鏡を見つめるー。

どんなに見つめてもー
”女子になった版の自分”みたいな顔で、
それを見ているだけで苛立ちが膨らんでいくー。

マスクは、周囲から女体化を悟られないためであると同時にー
自分自身が女体化した自分を見て、腹を立てないためのものでもあったー

帰宅した翔太は”朝起きたら女になっていた”という症状を
徹底的に調べていたー。
女体化してから1週間ー
趣味に費やす時間もなく、翔太は”男に戻る方法”だけを考えていたー

”朝、起きたら突然女になっていたー”

だがー前日はごく普通の生活をしていたし
特別変なものを食べたり、特別”いつもと違うこと”をしたつもりもないー

「--あぁ、もう!」

”朝、起きたら女になっていた”と検索をしても、
出て来るのは、「女になっちゃいました!」的な小説や漫画、
時々AVが出て来るのみー。

翔太の望む”リアル女体化”に対する答えは
ネット上でも、そう簡単に見つけられるものではなかったー

「-はぁ~あ…」
クラスメイトの”女になりてぇなぁ”と下心丸出しでいつも言っている
足利なら、この状況を喜んだかもしれないー

けれどー
翔太は、全くと言っていいほど、女体化した自分に興奮しなかったー。
それどころか、嫌悪感が日に日に膨らんでいくー

胸を見ても興奮しないしー
可愛い声が出ても、苛立ちが膨らむばかりー

「--早く元に戻りてぇ…」
翔太は、そう思いながらー
ベッドの上で目を閉じたー。

・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

男子たちが悪ふざけをしている中、
翔太はいつものように、昼休みを過ごしていたー。

そういえば、女体化してから食欲も少し減った気がするー

それにーー
今まで感じたことのない痛みを、昨日ぐらいから感じるー

「これは、なんなんだー?」
翔太を困惑していたー。

”風邪”
”風邪”
ばかり言っていたからだろうかー。

なんだか少し頭痛もして、気分が優れないー。
本当に風邪になってしまったのかー
それとも、メンタルがやられているのかー
こんな状況が続けば、気分もブルーになってくるー。

それともーーー
女体化したのは、何か大きな病気なのかー。

翔太は、そんな風に思いながら、
用事を終えて、教室に戻ってくるとーー

「--翔太~~~!」
という声と共に、ズボンの上から股間のあたりを男子が触って来たー

お調子者の男子の”いつもの”悪ふざけだー

「--え」
その男子が表情を歪めるー
股間を触ったのに”アレ”がないことに気づいたからー

「--バ、、、馬鹿!!!触るんじゃねぇ!!!」
翔太は反射的に大声で叫んだー

その声はーー
どう考えても、女子のような声だったー

「え、、お…え???」
その男子が激しく困惑しているー

「--急に触るんじゃねぇよ びびるだろ」
翔太はそれだけ言うと、自分の座席に座り、
イライラした感覚を押さえられずに、いたー。

体調もすぐれないー。
翔太に襲い掛かっていた翔太からすれば
”よく分からない言葉に言い表せない体調不良”はー
男子が経験することのないものー

だがー
当然、今まで男子として生きて来た翔太が
それを実際に体験したことはなかったー

言葉を聞いたことがあっても、
具体的にそれがどういうものなのか、
そもそも女嫌いの翔太は
理解する気もなかったし、興味もなかったー

だから、分からなかったー

”俺、病気なのかなー”
そんな風に思い、さらに苛立ちを隠せないー

翔太を襲う倦怠感・痛みー
さらには、軽い吐き気まで覚えるようになり、
ついには、翔太からすれば”謎の出血”まで生じたー

「--女になったのは、病気なんだ…」
翔太は、不安でふさぎ込むようになるー。

女体化と、これらの症状は”同じ病気によるもの”
そう思い込んでしまった翔太はー
不安から、パニックを起こしそうになったー。

だがー
ブルーな気分でスマホを見つめているときのことだったー

”女体化エキス”

怪しげな裏サイトで、そんな商品を見つけたのだー

”水に混ぜて、飲むだけで、あなたは女になれる”
そう書かれた商品ー

「----!」
翔太は、食い入るようにして、それを見つめるー。

そしてー
翔太は”ある可能性”にたどり着いたー

いやー
それしかないー!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

放課後に、翔太はある人物を呼び出していたー。

「--よ、どうした?」
その人物が、呼び出した校舎裏にやって来るー。

翔太は、すぐに口を開いたー

「--お前…」
翔太はマスクを外すと、怒りの形相で叫んだー

「お前、俺が女になったこと、知ってるだろー?
 っていうか、お前が仕組んだんだろ!」
とー。

「----」
胸倉を掴まれたその男子ー

親友の隆夫は、フッと笑ったー

「---は?」
とぼけるような雰囲気の隆夫にー

「女体化エキス…!俺の飲み物に混ぜやがったな!?」
と、スマホを見せつけながら翔太は叫んだー。

「-----ははぁ…ご名答だぜ 翔太」
隆夫はそう呟くと、笑みを浮かべたー

女体化する前日ー

「---ははは、まぁ、俺は彼女とかいらないからな」
翔太が、親友の持野 隆夫(もちの たかお)に対して言うと、
隆夫は「ま、お前はそうだったな」と、笑みを浮かべたー。

隆夫が、翔太に自販機で買ってきたペットボトルのお茶を差し出すと、
自分はカルピスを飲み始めながら、「しかし、お前は本当に女子が嫌いだよな」と笑うー。

あの時、渡されたペットボトルのお茶に、隆夫は”女体化エキス”を
混ぜていたのだー
それで、翌日に翔太は女体化したー

「なんで…なんでだよ!」
翔太が叫ぶと、隆夫は笑ったー

「--お前はもう、元には戻れないぜ」
とー。

「--ふ、ふざけ…」
翔太がそう言いかけると、隆夫は、ポン、と肩を叩いたー

「俺、ずっとお前にむかついてたー」

隆夫は言うー。

翔太は、親友の隆夫に対して
”女嫌い”を全開にしていたー

彼女がいる隆夫に対しても、-だ

「--彼女とかさ、時間の無駄にしか思えないんだよなぁ、俺には」

そういう発言は、もちろんー
隆夫の彼女を否定する言葉も、何度も何度も口にしていたー

翔太が女嫌いの事情を知る隆夫は、最初は我慢していたー

けれどー
隆夫に対して、隆夫の彼女のことを”クソ”と翔太が言い放ったとき、
隆夫は我慢の限界を迎えたー。

その復讐として、ネットで偶然見かけた女体化エキスを
翔太の飲み物に混ぜたのだー

「--そ、、そんな…俺は…俺は!」
翔太の言葉に、隆夫は翔太の方を見たー

「--まさか本当に女になるとはおもわなかったー…
 でも、最近の様子がおかしいお前を見て
 確信したぜ。

 お前は本当に女になったんだってな」

隆夫が言うと、
翔太は「俺を元に戻せ!」と叫ぶー

隆夫は「言っただろ?もう元には戻れないってー。
戻る方法は、俺にも分からないんだ」と首を振ったー

翔太は「テメェ!」と隆夫の胸倉を掴むー。

だが、隆夫は翔太をすぐに振り払ったー

「---!!」
翔太は”女の身体”になったことで、隆夫と”力の差”が
出てしまったことをイヤでも痛感したー。

「--俺は…俺は、、お前のこと、親友だと思ってたのに!」
可愛い声で叫ぶ翔太ー。

「-----」
隆夫が悲しそうな表情で翔太を見つめると、口を開いたー

「ーーー俺もだよ」
隆夫はそう言うと、悲しそうに続けたー

「でもよー…
 その親友に”彼女なんてクソ”って言われるのはーー

 死ぬほどつれぇんだよ…」

隆夫の言葉に、翔太は表情を歪めるー。

隆夫は、翔太の肩を叩いたー

「親友相手なら、何を言ってもいいってわけじゃ、ないんだぜ」
とー。

立ち去っていく隆夫ー。

「おい!待て!!隆夫!」
翔太が今一度叫ぶと、隆夫は振り返らずに立ち止まったー。

「--お前が女になったことはー
 俺は、誰にも言わないー

 あとは、お前次第だー」

それだけ言うと、隆夫はそのまま立ち去って行ったー。

「--く、、くそおおおおおおおおおおおお!!!」
翔太は大声で叫んだー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「------------」

翌日ー
翔太は自主的に退学したー。

隆夫が、翔太と話したのは、昨日の会話が最後だったー。

翔太が、その後どうしているのかは分からないー。

本当に女体化してしまうー、とは
隆夫も思っていなかったー

けれどー
”やりすぎたかな”と、隆夫は、罪悪感に襲われながらー
高校生活を送ることになったー

それからーー

長い年月が過ぎたー

高校を卒業しー
大学を卒業しー、
隆夫は社会人になったー。

一人暮らしのアパートでー
隆夫は、彼女とも順調な関係を続けながらー
社会人2年目を迎えていたー。

そんな、ある日ー。

引っ越した隣人に代わり、新しい入居者がやってきたー

♪~~

隆夫が出るとー、
そこには、隣の部屋に新しく引っ越してきた、綺麗な女性がいたー。

「--あ、今日から隣の部屋の引っ越してきた
 雪森 翔子(ゆきもり しょうこ)ですー
 よろしくお願いしますー」

その女性は、そう名乗ると、礼儀正しく頭を下げたー

とても、綺麗な女性だったー
年齢は同じぐらいだろうかー。

「--あ、どうも」
社交辞令的な会話を交わすー。

それだけのやり取りだったー。

だがー
去り際に、その女性は、意味深な笑みを浮かべたー

気がしたー

「---雪森 翔子ー」
部屋に戻った隆夫は呟くー

「--翔太…
 --翔子ーー

 いや、、まさかなー」

隆夫は、そう呟くと、高校時代の写真を見つめて、
少しだけ寂しそうに微笑んだー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

女体化したくない男子が女体化してしまったら…!?の、お話でした~!☆

お読み下さりありがとうございました~~!

コメント

  1. 匿名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    親友相手だからって何を言ってもいいわけじゃないというのは確かにその通りですが、だからといって、その報復に人生を狂わせるようなことをしてもいいわけじゃ無いでしょうに。やりすぎです。

    ところで最後に隆夫の隣に引っ越してきた美人はまず間違いなく翔太だと思うのですが、どういうつもりで隆夫の隣に引っ越してきたんですかね?

    もし翔太が前向きに女として新しい人生を歩んでるとしたら、たまたま?
    それとも自分を女にした隆夫になんらかの復讐をしようとしてるんですかね?

    去り際の意味深な笑みがとても気になります。

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    コメントありがとうございます~!

    やりすぎな点は、その通りですネ!!

    最後のシーンの意味と今後の展開も
    私の頭の中には存在するので、
    いつかお披露目できるかもしれません~!
    (1本のお話に出来るぐらいまで膨らんだら書こうと思います~!)