<MC>悪魔の腹話術師

糸を使って、人を”人形”のように操るー。

そんな、腹話術師に目をつけられてしまった
悲運のカップルの物語…。

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大学生カップルの
鍵原 平太(かぎはら へいた)と、庄司 真美子(しょうじ まみこ)は、
近所のホールで行われている腹話術のショーを見に来ていたー。

「--わたし、あみちゃん!」
”あみちゃん”と呼ばれる人形を手に、
腹話術を披露していく
腹話術師”パペットマスター”-。

その素性は謎に包まれているものの、
”まるで本物のような人形”と、
”本人が喋っているとは、到底思えないような凄腕の技術”は
圧巻と言えたー

「あれって、人間が人形の声、やってるんだよな?」
平太が小声で隣に座る真美子に言うと
「うん、そうだよ!すごいよね」と、小声で返事をしたー

”元気な高校生”の人形、”あみちゃん”は
とても元気で明るく、可愛らしい声の持ち主ー

しかしーー
驚いたことに、
腹話術師・パペットマスターは男性だー。
黒い覆面のようなもので顔を隠しているため、
その顔までは見えないものの、
挨拶の時の声は、完全に男のものだったしー、
身体つきからも、男性とみて、間違いないー。

「---声色まで変えられるなんて」
平太が言うと、真美子は
「-プロの人ってすごいよね」と答えたー。

今日は、休日を利用して、
ちょうどタイミングが一致したことで、
真美子の提案で腹話術のショーを見に来ているー。

平太は、正直、あまり興味はなかったのだが、
真美子のために、と一緒にやってきていたー

そしてー
圧倒されていたー

”スゲェ”

腹話術師の口元は見えないが、まるで、人形が
本当に喋っているかのような錯覚を覚えるー。

実は録音音声だとか、そういう感じもしないー

この場から、生で発声されている声だー。

そう、感心しているうちに、
パペットマスターによる腹話術ショーは
終わりを迎えるー。

腹話術師が頭を下げると
「最後にー」
と、鋭い目つきで観客席を見回したー。

そしてー呟いたー

「-私は、人形だけではなく、
 人間で腹話術を行うこともできますー。

 それを、特別に皆さんにお見せしましょうー」

どよめく会場ー

「-”私の人形”になるのはーーー」

腹話術師が、会場を見渡すとー、
真美子に指をさしたー

「え!?わたし!?ですか…?」
真美子が言うと、
パペットマスターは頷いたー。

「-大丈夫です。あなたは立っているだけで、
 台詞や仕草は、私がやります。心配はいりませんよ」

パペットマスターの言葉に、
平太は「へぇ、すごいじゃん」と、真美子に対して笑いながら
真美子は「わたしで大丈夫かなぁ」などと苦笑いしたー

舞台の上に上がると、
「-今からあなたは私の”人形”です」と、呟くー

真美子は礼儀正しく「よろしくお願いしますー」と頭を下げたー。

「-ーでは、最後に
 ”人間腹話術”をお見せしましょう」

パペットマスターが、観客に向かって
高らかにそう宣言すると、
平太を含め、観客たちは拍手をしたー。

ニヤッと、パペットマスターが笑うー。
しかし、覆面を被っていて、目元しか見えない
パペットマスターの不気味な笑みに気づいた人間は
いなかったー。

「---」
手袋をはめた手から糸を出すと、それを、
真美子の頭のあたりに、発射するー。

「ーーーあ…」
真美子が、小声でそう呟くとー
次の瞬間、信じられないことが起きたー

パペットマスターの手から飛び出た糸に
”操り人形”にされたかのように、真美子が口を開くー

「-みな、、みな、、さん、今日は、、今日は
 パペットマスターのパペットショーにをご覧いただき、
 本当に、、ありがとう、、ございます」

真美子が、ぎこちない口の動きで、そう呟くー。

どよめく観客ー
観客の一部は”事前に観客の中に関係者を紛れ込ませておいて、
パフォーマンスをしているのだろう”と考えたー

人間で腹話術なんて出来るわけがないー

「--すげぇ」
だが、平太は違ったー
真美子は、パペットショーの関係者などではないー
全く無関係の一般人だー。

「--どうですか?こうして、人間の身体でも、、
 腹話術は、でき、、できるのです」

真美子が、口をパクパク開きながら言うー。

糸を通じて、真美子にしゃべらせているー?
それとも、パペットマスターが真美子の声を真似して喋っているー?

どっちなのか、平太には分からなかったが
とにかくすごい、の一言だったー

真美子が、糸に操られるかのようにして、
手を動かすー

やがてー

「-それでは」
と、パペットマスターが呟くと、真美子から糸が外れてー
真美子が「あっ…」と声を出してから、
パペットマスターの方を振り返ったー

「-ご協力、ありがとうございました。
 これにて、本日のパペットショーを終了いたしますー」

パペットマスターが、真美子に向かって頭を下げると
真美子も「ありがとうございました」と、少しだけ戸惑った様子で
頭を下げると、そのまま壇上から降りて、平太の待つ場所へと戻ったー

「--今の、どうなってたんだ?」
平太が言うと、真美子は
「なんか、勝手に口が開いて、勝手に動いた感じ…!すごかった」
と、答えたー。

ショーが終わるー。

観客たちが続々と部屋から出ていく中ー
平太も立ち上がって、真美子と一緒に外に出て行こうとしたー

しかしー

真美子は、席に座ったままー

「真美子?」
やがて、ホールにはパペットマスターと平太、真美子しか
いなくなってしまうー

「---さぁ、こっちに来るんだー」
パペットマスターが、そう呟いたー

「--はい…ごしゅじんさま…」
真美子が虚ろな目で、呟きながら立ち上がるー。

「---!?!?!?」
平太が驚いていると、真美子はふらふらとパペットマスターのいる
壇上の方に上がっていくー

パペットマスターは笑うー

”洗脳糸”-
先程、真美子の”接続”した糸を通じて、真美子を忠実な人形にしたー

パペットマスターはショーの都度、
”気に入った身体”を見つけると、それを人形にするー。

自分の、忠実な操り人形にー

「ど、どういうことだー?」
平太が戸惑っていると、
パペットマスターが、真美子に糸を飛ばしたー

真美子が虚ろな目のまま、不気味な笑みを浮かべるー

「この女は、私がもらったー」
真美子とパペットマスターが同時に同じ言葉を口にするー

「な、なんだって!?」
平太は思わず叫んでしまうー

「--この女は気に入ったー
 これからは私の人形のひとつにしてやろう」
真美子とパペットマスターが同じ言葉をしゃべるー

真美子は時々ピクピクと震えているー

平太は混乱しながら、
パペットマスターの方を見つめると
「え…こ、これ、どういうことですか?」と、
パペットマスターに向かって尋ねたー

パペットマスターは笑うー。

「--君の彼女は、私の人形になったんだー
 腹話術をするためのね」

その言葉に、平太は青ざめたー

「--な、な、、え…??え?」
ドッキリか何かだと思ってしまう平太ー

しかし、すぐに、そうではないと気づくー

「--この、糸でー」
パペットマスターは、糸を巧みに動かしー
真美子にクネクネとした変なダンスを躍らせたー

「君の彼女は、私の思いのままだー」

「---えへへへへ えへへへへへへ」
真美子が笑いながら奇妙なダンスを踊っているー

「そしてーーー!」
パペットマスターが糸を真美子から外すがー
真美子は正気を取り戻す様子なく、
パペットマスターの前に跪づいたー。

「--わたしは、ご主人様の、お人形ですー」

そう呟くと、パペットマスターが片足を上げて
「--お前の忠誠心を見せてみろ」と呟いたー

「はいー」
真美子はそう言うと、躊躇なく、パペットマスターの靴の裏を
その舌で舐め始めるー

「---え…?ちょ!?」

「--洗脳完了ー」
パペットマスターが満足げに微笑みー
笑みを浮かべるー。

「--は??お、、おい!ふざけんな!真美子に何をした!?」
平太が叫ぶー。

「--私は”怨念の宿る人形”から、
 この力を手に入れたんだー

 人を人形のように、操る力を、ね」

パペットマスターが笑うー
真美子はまだ、パペットマスターの靴を舐めているー

「おい!真美子!やめろ!やめろって!」
平太が真美子を止めようとするー

しかし、真美子は平太を突き飛ばすと、
そのままパペットマスターの靴を舐め続けたー

「--ふ、、ふざけんなって!やめろって!」
パペットマスターに向かって叫ぶ平太ー

パペットマスターは真美子の頭を乱暴に掴むと、
「--こうやって、人形になってる彼女を見るのも、
 興奮するだろう?」と
真美子に喋らせたー

「-真美子!おい!しっかりしろって!真美子!」

平太の必死の呼びかけにも、真美子が
正気を取り戻す様子は全くないー

パペットマスターと真美子が全く同じようにして、笑うー。

「--私はね、ショーをやるたびに、”お気に入り”を見つけては
 こうして”人形”にしているんだー」

真美子にそう喋らせると、
真美子の頭からパペットマスターは手を離したー

「-ほら、こっちに来なさい」
パペットマスターが言うと、「はい…」と真美子が
パペットマスターの方に歩いていくー。

「--これを、着るんだ」
バニーガールのような衣装を放り投げて、
パペットマスターは笑うー。

「はいー」
真美子がその場で服を脱ぎ捨て初めて、
バニーガールの衣装を着始めるー

「おい!!おい!!!!」
平太はパペットマスターを鬼のような形相で睨んだー

「彼女は、今日から私のアシスタントとして
 働いてもらう。
 光栄に思いなさいー」

パペットマスターの言葉に、平太は怒り狂ったー

「--そうだ。君にはもう彼氏なんていらないはずだ。
 別れを告げなさい」

パペットマスターが言うと、真美子は「はい…」と呟いてから
平太の方を見たー

「--平太…今までありがとう。さよなら」
淡々とそれだけ言うと、真美子は平太に背を向けたー。

「--…ま、、真美子…嘘だ…真美子!」
平太は戸惑いながら、叫ぶー

そうだー、
嘘だー
あいつにあやつられてるだけだー

「うああああああああああ!」
平太がパペットマスターに飛び掛かったー

しかしー
次の瞬間ーーーー

「--私がさっきのショーで使ってた”あみちゃん”-
 まるで本物の人間みたいなオーラが出ていただろう?」

パペットマスターが囁くー

そして、平太は自分の身体に異変を感じると共にー
身体が動かなくなり、
急速に自分の身体が縮んでいくのを感じたー

「---!!!!!!!」
平太は、気づけばパペットマスターを見上げていたー

「--私はね…
 人間を人形のように操る力とーー
 人間を人形にする力を持ってるんだー」

パペットマスターはそう言うと、
人形になってしまった平太を持ちあげたー

「--君は、今日から私の人形ー
 ”へいたくん”として働くんだー」

”あ…あ…”
平太は、必死に抵抗しようとしたー

でもーー
できなかったーー

「はい!」
パペットマスターに操られて意のままの言葉を
喋らされる平太ー

「--ふふふ 今日もいい収穫だったー
 人形1体に、アシスタントひとりー」

そう呟くとパペットマスターは真美子の方をみて
静かに微笑んだー

完全に洗脳されてしまっている真美子は
パペットマスターに頭を下げて、
嬉しそうに「ご主人様のアシスタントとして、この身を一生捧げます」と、
ほほ笑んだー。

おわり

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コメント

1話完結のお話でした~!
お読み下さりありがとうございました~!!

小説
憑依空間NEO

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