謎の寄生虫の襲来ー。
特殊部隊の隊員が、その鎮圧に向かう。
しかし、そこで悲劇は起こった…。
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暗闇から、”謎の寄生虫”が姿を現すー。
「--まだいたのか!」
特殊部隊隊員の一人・ロイドが銃を放つー。
「--わたしも援護する!」
ロイドの彼女であり、同じ特殊部隊に所属する、シェリルが銃を
ロイドの援護を行うー。
西側からやってきたパラサイトがあっという間に倒されていきー
殲滅されたー。
「ふぅ…サンキュー、シェリル」
ロイドが言うと、シェリルは嬉しそうに微笑んだー。
「ロイドも、お疲れ様」
シェリルの持っていた銃が、音を立てて自動で変形、折りたたまれていくー。
ロイドとシェリルが所属する特殊部隊は、
この世界を統治する、フローラル王国直属の特殊部隊で、
主に、魔物などの”人外”による事件やトラブル”などに対処する任務を
担っているー。
今日は、
王国外れのエネルギー生産施設に、”謎の虫”が大量発生しているという
知らせを受けて、ロイドとシェリルの二人が、その鎮圧にあたっていたー。
「---この虫ー」
ロイドが倒れているパラサイトの残骸を見つめるー。
「-先月、ガロル村の暴動事件を起こした”パラサイト”ね」
シェリルが呟くー。
”パラサイト”
最近、王国周辺では、”人間に寄生する謎の寄生虫”が
度々目撃されていたー。
大事には今のところ至っていないが、
先月はガロル村の村人が乗っ取られて、騒動が起きているー。
銃と魔法が支配するフローラル王国ー
平和を謳歌していた王国に静かな危機が迫りつつあったー。
寄生虫の目的は現時点では不明ー
誰かが放ったのか、
それとも自然に発生したものなのかも、
現時点では「不明」の状態だ。
そのため、こうしてロイドら特殊部隊が、
寄生虫が目撃されるたびに殲滅していくしか
方法がない、というのが現状だったー。
「---それにしても、この虫たち、いったいどこから?」
シェリルがそう呟きながら倒した寄生虫に近づくー。
「--さぁな…
人為的に作られたものなのか、それともー」
「--うっ」
シェリルが変な声を出したー
背を向けていたロイドが振り返るー。
「---!」
シェリルの耳からーー
寄生虫が、飛び込んでいく様子が、見えたー
倒した寄生虫の中に、”まだ生きている寄生虫”
死んだふりをした寄生虫が混じっていたのだー
「---シェリル!」
ロイドが慌てて叫ぶー。
「ーーー」
ゆらり、と立ち上がったシェリルが振り返るー。
シェリルの顔に、筋のようなものが浮かびー
左目が血走っているー
「あ、、、ぁ、、、ロイド…」
シェリルが苦しそうに呟くー
「--し、、シェリル!しっかりしろ!パラサイトになんか、負けるな!」
ロイドが慌ててそう叫ぶと、
シェリルはすぐに、首を振って、
その場に座り込んだー
「---だ…め……… ごめん…」
シェリルはビクンビクン時々震えながら
悲しそうにそう呟くー。
「ーーこ、、こんな気持ち…なんだね…
わたしが、、わたしでなくなっていく、、感覚…」
シェリルは悲しそうにそう呟くと、
ロイドの方を見つめたー
血走っていた左目の充血は消えているー
ふつうの目ー
ロイドは、一瞬希望を抱いたが、すぐにそうでないことに気づくー
「うへぇ…」
シェリルが変な声を出しながら、口から涎を流すー
”支配”がさらに進みー
身体の拒絶反応が消えていくー
それで、目が普通の見た目に戻ったのだー。
「---あぁぁ……♡ なんか、、しあわせ…♡」
シェリルがうっとりとした表情で呟くー
ロイドは慌ててシェリルの両肩を掴むと
「しっかりするんだ!俺を見ろ!」と叫んだー
シェリルが虚ろな目でロイドを見つめると、
「ロイド……」と呟いたー。
「---シェリル…大丈夫だ。本部に戻れば、パラサイトをー」
「---間に合わないよ」
シェリルは、ロイドの手を掴んで肩から離すと、
寂しそうにそう呟いたー。
「--寄生されてみて、はじめてわかったー」
シェリルが悲しそうな目で呟くー。
「---どんどん、わたしが、わたしでなくなっていくー」
シェリルの言葉に、
ロイドは「ダメだ、あきらめるな!」と必死に言葉をかけるー。
ロイドもシェリルも、パラサイトに寄生された人間も
何人も見て来たー。
だが、どこかでー
”自分自身は大丈夫”と、そういう油断があったのかもしれないー
どんなに百戦錬磨の人間であっても
パラサイトに寄生されてしまえば、そこで、終わりー。
もう、抗うことも出来ないー。
「--ねぇ…ロイド…今、わたしがどう思ってるか…わかる?」
シェリルがビクンビクンと時々震えながら呟くー。
「--…」
ロイドは”どう答えていいか”分からずに困惑してしまうー
シェリルはクスッと笑ったー
「--こわいとか、、悲しいとか、そういう気持ちじゃないの……
どうしてだろう…ワクワクしてるの…
気持ちいいって思っちゃってるの」
目が時々充血したり、元に戻ったりを繰り返すシェリルー
”普通じゃない”ことだけはすぐに分かるー
「---ふふふふっ… ふふふふ♡」
シェリルが嬉しそうに笑うー
「わたし、変でしょ…?
わたし、、、もうだめ…
わかるでしょ?」
シェリルの言葉に、ロイドは「シェリル…」と
寂しそうに呟いたー。
シェリルが持っていた銃をロイドの方に投げつけるー。
「--それで、わたしを撃って
わたしが、わたしでなくなる前に…」
シェリルの言葉にロイドは「そんな…」と呟くー
「---……あっ♡ あっ♡ あっ♡」
シェリルが突然苦しそうにー
けれども気持ちよさそうに苦しみ始めるー
「---」
ロイドはその姿を見て、
”もうシェリルは助からない”と
過酷な現実を改めて思い知らされるー。
「-----」
ロイドが銃を手にして、シェリルの方に向けるー
シェリルはにこっ、とほほ笑むとー
「--ロイドと…いっしょに……
幸せに暮らしたかったなぁ…」
と、呟くー。
「---シェリル…俺…」
ロイドが悲しそうに銃を握りしめると、
シェリルは涙を流しながら呟いたー。
「--ーー3つーー
お願いしていいかな…?」
シェリルの言葉に、ロイドは無言でうなずくー。
「必ず…世界を守ってねー」
「--あぁ、約束するー」
「--わたしの妹のこと…お願いしてもいい…?」
「--あぁ、約束するー」
2つのお願いを聞き入れるロイド。
そしてーー
「--ーーー」
シェリルがロイドに抱き着くー。
シェリルは「やっぱり、ロイド、、あったかい…」と、
泣きながら呟くー。
「----シェリル」
苦しそうなシェリルをしっかりと抱きしめる。
「---わたしが、、わたしであるうちに…」
シェリルは、ロイドの方を静かに見つめたー
悲しそうな目でー
「---…シェリル」
シェリルはパラサイトにより、乗っ取られかけているー
まもなく、自我を失って身も心も支配されてしまうー
シェリルは、それと懸命に戦っていたー。
「---…ロイドと一緒に…
歩んでいきたかったなぁ…」
シェリルの言葉に、ロイドは悲しそうな目をするー。
シェリルの痙攣は収まりつつあり、
先程のように、ビクンビクンと震えたり、顔に筋のようなものが
浮かび上がったりすることも無くなったー
一見すると、”回復した”ようにも見えてしまうがー
それが”違う”ことはロイドにも分かっていたー
シェリルの身体がパラサイトに負けて、
パラサイトを受け入れ始めてしまっている、証ー。
最初は”外部からの侵入者”として
シェリルの身体が激しい拒否反応を示したー。
けれど、それが無くなっているー
つまり、シェリルは完全に乗っ取られつつあるー
「ーーーロイド…わたし、、ずっと、ロイドのこと、大好きだからね」
「---…あぁ、俺もだ」
シェリルはにっこりとほほ笑むと、
「---お別れのキス」と、悲しそうに呟いたー
それが、最後のお願いー
「--終わったらーー
わたしを、楽にしてー」
シェリルの言葉に、ロイドはシェリルから渡された銃を握りしめるー
「--わたしは、、パラサイトの手先になんて、なりたくないー
人間として、
あなたのことが好きなシェリルとしてー
死にたいの」
シェリルは覚悟を決めた口調だったー。
ロイドは、頷いたー
もうーー
泣き言は言わなかったー。
シェリルの提案を受け入れて、
シェリルを楽にしてあげることー
それこそがー
シェリルに対する”最後にしてあげられること”
そう、思ったからー
「------ロイドと一緒にいれてー
楽しかったー」
「----…俺もだよ」
ロイドとシェリルは抱き合いー
”最後のキス”を交わしたー
「------クスッ」
シェリルが笑ったー
「--」
ロイドは、そのことに気づかなかったー
シェリルが突然、ロイドの身体を乱暴に掴み、
そのままキスをさらに激しく行うー
「--!?」
戸惑うロイドー
シェリルは、--笑った。
「--あっははははははは!ロイどぉぉぉぉぉ~~~
あなたにも、、、この気持ちよさ味合わせてあげるぅぅぅぅう♡」
シェリルの口から、もう一匹のパラサイトが飛び出しー
それがロイドの口から、ロイドの体内に飛び込むー
「ぐぼっ!!がはっ…ぐぁ」
ロイドが慌ててシェリルを突き飛ばすがー
シェリルはニヤニヤしながら、よろよろと立ち上がったー
「さっさと、この女を撃っておけばよかったのにぃ~!
人間ってやっぱりバカぁ~」
シェリルはー
既に完全に乗っ取られていたー
「--この女は、途中でもう、完全に乗っ取られていたのに」
シェリルが唇をペロリと舐めるー。
「---……あっ♡ あっ♡ あっ♡」
シェリルが突然苦しそうにー
けれども気持ちよさそうに苦しみ始めるー
「---あの時、支配は終わったのー」
シェリルは笑ったー
それからは”シェリルのふり”をして、ロイドにも
パラサイトを潜り込ませるために、
行った”演技”
「そ、、そんな…シェリル…!」
ロイドが苦しそうにしながら、シェリルを見つめるー
その顔には、狂気の笑みが浮かび上がっていたー
「ーーあはははははははは!
人間の身体…気持ちイイ♡♡」
シェリルが、アソコを触って嬉しそうに微笑むー
ニヤニヤしながら、涎を垂らして、
はぁはぁと声を上げるシェリルー
「--ふざ、、けるなぁ!」
まだ自我のあったロイドがシェリルの方に向かうー。
シェリルの胸倉を掴むロイドー
「-シェリルから、シェリルから出ていけ!」
無駄だと分かっていてもー
叫ばずにはいられなかったー。
しかしー
「--いたいよ…ロイド」
胸倉を掴まれたシェリルが目に涙を浮かべながら言うー。
「---!!」
ロイドが手の力を反射的に弱めてしまうー
「ば~~~~~~~~~~か!」
シェリルがロイドのみぞおちを乱暴に蹴りつけると、
倒れたロイドを余所に、嬉しそうに胸を両手で揉んでいるー
「あはっ♡ ひひひっ♡ ああはははっ♡ 人間のメスぅ♡」
シェリルとは思えないような声で、
シェリルは狂ったように笑い続けているー。
思わず目を背けたくなってしまうような、
地獄のような光景にロイドは、それでもシェリルを助けようとしたー
「--シェリルー」
”人間として死にたい”
そんな、シェリルの願いを叶えるために、
落ちていた銃を拾うロイドー。
銃を拾ったロイドはーーー
笑みを浮かべていたー
「--人間のオスの身体、げぇ~っと」
無気味な笑みを浮かべるロイドー
「--さ…本部に戻りましょ?」
シェリルが微笑むと、ロイドは静かに頷いたー
”パラサイトに乗っ取られたふたり”によりー
この後、王国も徐々に乗っ取られていくことになることをー
王国の人間は、まだ、誰も知らなかったー
おわり
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コメント
よくある感じの寄生モノを書いて見たくなったので、
書いてみました~!
定番な感じのお話ですネ~!
序盤の、↓の場面で
「--うっ」
シェリルが変な声を出したー
背を向けていたロイドが振り返るー。
「---!」
シェリルの耳からーー
寄生虫が、飛び込んでいく様子が、見えたー
倒した寄生虫の中に、”まだ生きている寄生虫”
死んだふりをした寄生虫が混じっていたのだー
シェリルは2匹の寄生虫に侵入されていました~!
「うっ」と言った時点で1匹目、
ロイドが振り返った時点で見えたのが、2匹目、ですネ~!
そのため、キスをした際にそのうち1匹がロイドに移りー、
結果的にロイドも乗っ取られてしまいました!!
今日もお読み下さりありがとうございました~!
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