泉に転落してしまった彼女ー。
「あなたが落としたのはどっちの彼女?」と、
泉の女神から聞かれた彼氏は、
”正直”に答えたものの…?
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”条件は、誰にも悟られないようにすること”
それだけだったー。
遥奈に変身している”霊体”は、笑みを浮かべたー。
「---へへへへへ…そんなの余裕だぜ」
自宅で、胸を触りー、
鏡にキスをしてー
エッチ三昧を繰り返す遥奈ー。
彼はー
元々、女遊びを繰り返した挙句、病気になって死んだ男だったー。
気づいたときには、あの泉の中にいて、
女神に、そう言われたのだー
”誰にも悟られないように生活すること”
とー。
それが”復活”の条件ー
「へへへ…」
遥奈の身体を撫でまわすように触る偽遥奈ー。
女神は、未練を残した人間の魂をあの泉に回収しー、
泉の側にやってきたカップルを見つけるたびに、
そのうちの一人を引きずり込み、
”偽物”と入れ替えているー。
泉の女神の目的は、正直分からないー
けれど、泉にいる霊魂たちにとっては、
”現世に戻ることができる”というのは
願ったりだったー
”もしもーー
もしも、バレたときにはーーー”
女神の言葉を思い出すー
”あなたは、この世から、完全に、消えます”
ーー
女神は、そう言っていたー。
偽遥奈は笑みを浮かべるー
「まぁ、ばれるわけないぜ…
だってこの女の記憶も思考も全部、コピーできてるんだからー
この女になりきることなんてー
簡単さ」
あれから2日が既に経過しているー。
だが、彼氏の恭平は全く”一緒に帰った遥奈が偽物”であるなどと
夢にも思っていない様子だったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
「-おはよう!」
恭平が遥奈に声を掛けると、
遥奈も嬉しそうに「おはよう」と答えたー。
その遥奈が偽物であるとは夢にも思っていない恭平は、
今日も偽遥奈と普通に談笑を続けるー。
「-ってかさ、この前の泉、不思議だよなぁ~」
話題は泉の話になったー。
偽遥奈は少しだけ表情を歪めるー
”泉”の話から、”自分が偽物である”ということが
バレる可能性も、無くはない。
できれば、泉の話はしたくなかったし、
しないでほしかったー。
「--そ、その話はやめない?」
偽遥奈が申し訳なさそうに呟くー
「え?」
恭平が不思議そうに首を傾げると、
偽遥奈はにっこり微笑みながら言ったー。
「--ほ、ほら、泉に落ちたなんて恥ずかしいし…
自分のドジな話されるのも、気分良くないし…」
とー。
「---あ、ま、まぁ、確かにそうだな。ごめんごめん」
恭平は、そうお詫びの言葉を口にすると、
泉の話をやめて、別のことを話し始めたー。
そんな恭平を見て笑う偽物の遥奈ー。
”はぁぁぁ…こんなかわいいJKになれて嬉しいよー”
偽物の遥奈は、この場で、エッチなことをしまくりたい
衝動にかられたが、それは我慢したー
自分は”大人しい遥奈”として振舞わないと
いけないのだからー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
残り3日になったー。
恭平は、泉から連れ帰った
”大人しい遥奈”が偽物であると全く気づいていないー
女神も、本物の遥奈も、その様子を、
泉の中の不思議な力で表示されている
二人の様子を見ながら、それを理解していたー。
”あなたが落としたのは、どっちですか?”
その質問に、罠があったー。
人は、2択の中に正解があると、どうしても思い込んでしまうー。
あの時”大人しい方の彼女”を選んだ彼氏の恭平は、
”それが本物=正解”であると思い込んでしまっているー
2択の中に、必ずしも正解があるとは、限らないのだー。
あの時に、”本来の彼女”と違う方を選んだら、
その時点で”アウト”
彼氏は、それまでの人間だったということー。
女神はそんなことを思いながら微笑むー。
「--わ、、わ、、わたしは、、、ど、どうなるんですか…?」
本物の遥奈が不安そうに呟くー。
「---あなたの彼氏が、あと3日以内にここに来ればー
永遠の愛が、あなたがたに訪れるよう、あなたたちを祝福しますー」
三日以内に恭平が、遥奈が偽物であることに気づき、
ここにやってくれば、二人は解放されるのだと言うー。
しかしー…
遥奈が聞きたいことは”ソレ”ではなかったー。
もしー
もしも、恭平が”偽物”に気づかなかったらー?
そっちが、知りたいのだー。
「---あなたは、消えるー」
女神は呟くー。
「あなたの彼氏が、あと3日以内にここにやってこなければ、
あなたは、消えるー」
女神の言葉に、本物の遥奈は思わず叫んだー
「あなたは何者なんですか!?
あなたは、なんでこんなことするんですか!?」
とー。
女神は少しだけ笑ったー
「なぜー?
なぜー。
なぜ。
そうですねー。
ここは、大昔、山の中に存在する、普通の泉でしたー」
女神が言うー。
「---わたしは、大切な彼と共に、この場所まで、逃げてきました。
彼は、武家の人間で、平凡な民であったわたしとは
決して結ばれないはずの間柄でしたー
ですが、彼は、わたしを愛してくれたー
彼は、わたしと一緒に歩みたいと言ってくれたー
わたしは彼を永遠に愛そうと決めましたー
でもー」
女神はそこまで言うと、
少しだけ間を置いてから続けたー。
「ですがーー
それは、”嘘”だったー。
駆け落ちしようと、彼に言われてこの山で彼と合流したわたしはー
言われたんです。
”お前のことは、遊びだったー
お前のような、身分の低い小汚い娘を、誰が愛するものか”
とー。
そして、わたしは、山に置き去りにされー
失意のうちに、この泉に身投げをして、命を落としたー」
女神は語り終えると、”気づいたわたしは、いつの間にかこの泉で
女神になっていました”、と、付け加えたー。
「--------」
本物の遥奈は戸惑うー
今の話は本当なのだろうかー?
そんな風に思いながらー。
女神はほほ笑むー
「だから、わたしは試すのですー。
人々の、愛をー」
「----」
遥奈は、恐怖しながら、恭平が気づいてくれることを祈りながら、
恭平と偽物の遥奈の様子を見つめたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
イライラした様子の偽遥奈ー
”欲求不満”
そんな状態になっていたー
夜、家でエッチをしているもののー
大学にいる最中は、エッチをすることが出来ないー
「くそっ!なかなかきついぜ」
女子トイレの中で胸を触りながら呟く偽遥奈ー
”1週間”
ばれないようにすれば、遥奈として
生きることを女神に許してもらうことが出来るー。
少なくとも、1週間は
完璧な遥奈として振舞わないといけないー
幸い、今は女子トイレに誰もいないー
偽遥奈は”少しだけ”と、喘ぎ声を上げようとするがー
ちょうど、そのタイミングで他の女子がトイレに
入ってきてしまうー
「チッ!」
舌打ちする偽遥奈ー
怒り狂いそうになるのを我慢しながら”偽物”は
そのままトイレの外へと歩き出したー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
恭平は、何も気づかないまま、
偽遥奈との日々を過ごしていたー
「----」
だがーー
”ひとつ”
恭平の中で、”わずかな疑問”が生まれていたー
それはー
”怖がりの遥奈が、泉の出来事を気にしていない”ことだったー。
不自然すぎるほどにー。
遥奈は泉に落ちて、
”女神”を名乗る謎の存在に引き上げられたー
しかも、その際に”明るい遥奈”などという
訳の分からない遥奈まで、女神は引き上げていたー
いつもの遥奈なら、”明るい遥奈ってなんだろう…?”だとか
不安に感じるはずなのだー。
「---………」
恭平は戸惑いの表情を浮かべるー
そしてー
”明日、一応確認してみるか”と、思いながら
恭平は寝る準備を始めるのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
泉の中では、女神が微笑みながら
遥奈に対して言葉を投げかけていたー
「--やはり、あなたと大切な人の愛は、
”偽物”のようですね」
そう呟く女神ー
「--偽物のあなたと一緒にいても、
それが偽物だと、気づくこともないー
あなたは”いても、いなくても同じ存在”ということです」
女神の言葉に、遥奈は震えながら呟くー。
「---わ、わたしは…わたしは…」
遥奈の目から涙が溢れるー
「--あなたがいなくなってもー
彼氏も、友達も、周囲の人間は誰も気づかないー
誰も、不幸になんてならないー」
女神が呟くー。
「どうして…どうしてこんなことするの!」
泣きながら叫ぶ遥奈ー
「--不幸になるのは、あなただけー。
あなたの代わりに遥奈になる男が、
あなたの代わりに幸せになるだけー。
ひとり幸せになってー
ひとり不幸になるー。
1幸せが増えて、
1不幸になるー。
それは、0-
何も変わらないのと、同じー」
女神を名乗る泉の支配者の目に、
狂気を感じた遥奈は黙り込んでしまうー。
「---まぁ」
女神は呟くー
「今日の終わりまでに、彼氏がここに来ればー、
それで、あなたたちの愛は証明されますー」
「---」
遥奈は、泉の中の不思議な光に表示されている
恭平と偽遥奈の様子を見つめながら
祈るようにして呟いたー
”お願い恭平…気づいて…”
とー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーー(へへへへへへ)」
女子トイレから外に出た遥奈ー
大学の中を堂々と歩くー
「--明日から俺は正真正銘の女子大生だぜ」
偽遥奈は笑うー。
遥奈という女子大生の人生を完全に奪うことが出来るー
しかも、それだけじゃないー。
”自分の記憶”
男としての自分の記憶を持ったまま、
女子大生になることが出来るー
遥奈に変身している男の霊は笑みを浮かべたー
ただ単に自分が女子大生になるだけでは、
普通に女として生きるだけだろうー。
痴女もいるにはいるが、自分がそうなるかは分からないー。
そうー
”男としての自我を持ったまま女子大生になる”
ことに、意味があるのだー。
偽遥奈がニヤリと笑みを浮かべながら
廊下を歩いていると、
背後から「遥奈!」と呼ぶ声が聞こえたー
「---あ…? いや、え?」
偽遥奈が振り返ると、そこには恭平がいたー。
恭平が「ちょっと話があるんだー」と、
偽遥奈を呼ぶー。
偽遥奈と共に、恭平は、
大学の一室に入ると、
ため息をついたー。
「--あのさ、変なこと聞くけどさ」
恭平の言葉に、偽遥奈が少しだけ表情を暗くするー。
恭平は、意を決して、口を開いたー
「--本当に、遥奈だよな?」
とー。
「--え?」
偽遥奈は一瞬表情をひきつらせたー。
「--あ、いや、あのさ…ほら、あの時、泉から
2人、遥奈が出て来ただろ?
普通じゃありえないけどさ…
でも、2人いたってことは…
あの、、その、、今、目の前にいる遥奈もー
本物とは限らないかなって…急におもっちゃって…
あ、いや、一応、一応の確認なんだけど」
恭平が言うと、
偽遥奈はにっこりと笑いながら、恭平との思い出を口にしたー
「--わたしは、遥奈だよ」
微笑む偽遥奈ー。
「----」
「--信じて、恭平」
優しい微笑みー
それを見た、恭平はーーー
「目の前の遥奈を追求する」
⇒③追及ルート へ
「遥奈を信じる」
⇒③信じるルート へ
★次回は2ルート構成!
好きなほうを選んで読んでみてください★
(もちろん、後から別ルートを読んでもいいですよ~☆笑)
③へ続く
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コメント
この作品は実験的な形式を取り入れてみました~!
明日書く③は、「追及ルート」「信じるルート」の2種類を
掲載します~!
「目の前の遥奈を追求する」
⇒③追及ルート へ
「遥奈を信じる」
⇒③信じるルート へ
どっちか選んで、読んでみてくださいネ~!
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