<憑依>酔X女① ~酔っ払い~

とある地区ー。

そこでは”酔いつぶれた女”が多く目撃されていたー。

人々は、知らないー。
その裏に隠された真実をー。

--------------------—

「うあ~~~えへへへへへ♡」

夜の飲み屋街の近くー。
フェンスの前でだらしなく横たわって笑みを浮かべている女がいるー。

通行人たちが、迷惑そうにその様子を見つめる中ー
ニヤニヤしながらその写真を撮影している若い男ー。

その横を通りかかった若い社会人カップルが、
「酷いな…ありゃあ」と呟くー。

呟いたのは、入社2年目の男性社会人・桐谷 久志(きりたに ひさし)。
その久志と一緒に歩いていたのは、大学時代から、久志と付き合っている
眞上 美希(まがみ みき)-。
二人は、酔いつぶれた女の方を見つめるー。

「---えへへへへ!せっくすさせろぉ♡」
女が嬉しそうに叫ぶー。

街中で卑猥な言葉を平気で連発する女は
完全に酔いつぶれて泥酔していたー。

生足を晒しながら、
だらしなくめくれたスカートからは、下着も少し見えているー。

しかし、完全に理性を失っている女は、
そんなことお構いなしだったー。

「---大学生、かな」
美希がそう呟くと、久志は「そう見えるけどな…」と、呟くー

笑っていた女が、その場で嘔吐するー。
”飲みすぎ”だー。

その様子を笑いながら撮影している野次馬の男ー

久志は、その近くに歩いていくと
「おい、やめとけ」とその男に声を掛けたー

舌打ちして立ち去っていく野次馬の男ー。

久志が「大丈夫ですか?」と、酔いつぶれた女に声を掛けると、
「--だいじょうぶだしぃ~~!」と、呂律の回らない様子で叫んだー

「--どう考えても大丈夫じゃないよね」
久志の彼女・美希の言葉に、久志も「一応、警察を呼んでおいたほうがいいか。
女性が一人で酔いつぶれてると危ないし」と、
すぐ近くに交番があることを思い出して、久志は、美希と共に、
その交番に足を運んだー。

交番の警察官は、すぐに対応してくれたー

「--ご協力、ありがとうございました」
交番の警察官たちが、酔いつぶれた女を保護するー。

久志は「いえいえ、後はよろしくお願いします」と頭を下げると、
そのまま美希と共に歩き始めたー。

「--それにしてもさぁ、最近この辺り、結構ああいう子、いるんだよなぁ」
久志が呟くー。

「え?」
美希が久志の方を見ると、
久志はちょっと呆れた様子で笑いながら、
「先週の仕事帰りにこの辺り通った時にもさ、
 眼鏡をかけたOLの子が、酔いつぶれててさ…
 最近、女の人もあんな風に飲むんだなぁって」
と、呟いたー。

「--ふ~ん…みんなストレスたまってるってことなのかな」
美希は、不思議そうにそう呟くと、
「お酒はほどほどに、だよな」と、久志は笑ったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

仕事を終えた美希は、上司や先輩たちに挨拶をして、
そのまま職場を後にしたー。

OL生活も、2年目ー。
彼氏である久志とは別々の職場だが、
ふたりとも、順調に仕事をこなしているー。

楽しいこともあれば、
イヤなこともあるー。

けれどー
それでも、なんとかうまくやっていたー

しかしーーー

「ひぅっ…」
美希が突然ビクンと震えたー。

「-----」
ふらふらっと、よろめく美希ー

少しすると、美希は笑みを浮かべるー

「--へへへへっ…今日の女は、この女だぜ」
美希が口走った言葉は、
美希とは思えないような言葉だったー

美希は、知らなかったー
昨日見かけた”酔いつぶれていた女子大生”が
自分の意思で酔いつぶれたのではない、ということをー

男に騙されて酔わされたわけでもないー、
ということをー

美希はそのまま居酒屋に向かうと、
笑みを浮かべたまま
「今日もタダでうめぇもんが食える」と美希の声で
静かに呟いたー

美希の財布の中のお金を確認すると、
美希は笑みを浮かべて、色々注文し始めたー

ビールを一気飲みする美希ー

「うへっ…この女、お酒に弱そうだな…へへへ」

そう呟く美希はー
”憑依”されていたー。

この地区では、最近、酔いつぶれた女が度々目撃されているー。
しかし、彼女たちは、自ら飲んでいるわけでもなくー
誰かに盛られたわけでもないー

”自ら飲んでいるが、自らの意思で飲んでいるわけではない”
そんな、状態だー。

次々とアルコール飲料を注文する美希ー。
店主が「お姉ちゃん、よく飲むねぇ」と苦笑いしながら言うと、
美希は「えへへー、最高ですー!」と笑みを浮かべながら答えたー。

すっかり酔ってしまった美希は、
ふらふらしながら、路上で、演歌を大声で歌っていたー。

「--えへへへへ~~~ ♪~~~~!」
女とは思えないような、みっともない姿をさらす美希ー

路上でふらふらして、倒れ込むと、
そのまま「さいこー!」と叫んだー。

美希が「うっ…」と声をあげるー
そこから出て来たのは”人間には視認できない霊体”

美希に憑依していた人物だー。

”はぁぁ~~この瞬間もたまらん”
男は呟くー。

”憑依している間”は
酔っぱらってしまっているのだが、
酔っぱらっているのはあくまでも美希の身体ー

憑依から抜け出した瞬間に、
酔いつぶれる直前状態の酔っ払いから、
一気に正気の状態に戻るこの無気味な、
何とも言えない感触ー

これも、男にとっての楽しみの一つだったー。

酔いつぶれ状態からの、いきなり正気ー
こんなこと、憑依でもなければ絶対に
経験することはできないー。

「----さて」
憑依していた男は、自分の身体に戻るため、そのまま酔いつぶれた美希の前から
飛び去って行ったー

「----あ…ぅ」
正気を取り戻した美希ー。
しかし、既に美希の限界を超える量のアルコールによって
美希は完全に正気を失っていたー

「どいつもこいつも、、、ばーーーか!」
美希が大声で叫ぶー

そんな声に気づいた近くにいた男が
面白そうに美希のことを撮影し始めるー。

撮影されていることを気にもせずに、
「--きゃははははは!きゃはははははは!」
と、
路上に座り込んだまま笑いだす美希ー。

やがて、美希はふらふらと立ち上がると、
千鳥足で街中を歩き始めるー。

「---お、お姉ちゃん、大丈夫?へへへ」
チャラい男が美希に声を掛けるー

「--えっへ~わたしは無敵だもんぅ~」
美希がヘラヘラ笑いながらそう答えるー。

「--へへへ、そっか~」
チャラい男は笑いながらそう呟く。

そして、男は続けたー
「いっしょにさ~ホテルでもいかない?
 ねえちゃん、可愛いしさ」
とー。

正常な判断能力を完全に失ってる美希は
「えいえい、おー!」と叫んで、そのまま見ず知らずの男と
ホテルに向かってしまったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌朝ー

「---」
久志がスマホを見つめるー。

”そういえば、昨日は美希から連絡なかったな”と
思いながらも、まぁ、そういう日もあるか、
と仕事に向かう準備をするー。

美希の身に起こったことを全く知らない久志はー
今、美希がどんな状況にいるかもわからないまま、
そのままいつものように、職場へと向かったー

「--ひっ…!?!?!?」
ホテルで目を覚ました美希は震えていたー。

知らない男が横に寝ているー
しかも、自分は、裸ー。

「--え…え…え!?!?」
美希は混乱からパニックに陥ったー
昨日、自分は仕事を終えて帰宅中にー

「え…??え???」
美希が戸惑っていると、男が目を覚ましたー

「昨日は、最高だったな、美希ちゃん」
男の言葉に、
美希は「あ、、あ、、あなた、誰ですか!」と、
身体を隠しながら叫ぶー

「はっははは、やっぱ覚えてねぇのか
 だいぶ酔ってたからなぁ」
男はそう呟くと、”昨日は喜んでたじゃねぇか”とつけ加えたー

「よ、、酔ってた?わたしが?」
美希が言うと、
男は少し不思議そうに、
「おいおい、あんなに酔うまで飲んでたんだ。
 酔ってる間の記憶はないにしても、酔う前までの記憶はあんだろ?」
と、言葉を口にしたー

だがーー
美希には”酔う前の記憶”もないー

何故ならー
美希は、”憑依されて酔わされた”のだからー。

「--わ、、わたし、、お酒なんて…!」
美希が混乱しながら、部屋の外に飛び出そうとするー

「おっと!」
男が美希の服を投げ付けたー

「その格好で外に行くのはやべぇだろ?」
男は幸い、しつこく絡んでくるようなタイプでは
なかったようだー。

美希は投げ渡された服をパニックになりながら着ると、
そのままホテルの部屋の外に飛び出したー

「--楽しかったぜ!」
男が、部屋から飛び出した美希に向かって叫ぶー。

「----!」
美希は、ホテルの廊下に飛び出して、すぐに自分の身体の”異変”に
気が付いたー

”二日酔い”-

美希は、お酒を飲むこと自体は出来るが、
それほどお酒に強くはなく、毎日のように飲んだりするわけではないー

こんな風にー
”二日酔い”と呼ばれる状態になるまで、
お酒を飲んだりー、
いいや、”飲まされてしまった”のは、美希にとっても
初めての経験だったー。

経験したことのないような感覚が、美希を襲うー

「--うっ…」
気分が悪くなって、ホテルのロビーに座り込んでしまう美希ー。

「--どうなってるの…?わたし、、お酒なんて・・・」
そう思いながらスマホを手にすると、
彼氏である久志から”連絡がない”ことを心配する
メッセージが何通も届いていたー。

「---…あ……」
美希が慌てて返信を送るー

”こ、、こんなこと・・・絶対に久志には言えない”

いつの間にか記憶が飛ぶぐらいにお酒を飲んでいて、
記憶がないまま、ラブホで知らない男と寝ていた、なんて
絶対に言えないー。

「----ーーー…」
美希は、”記憶にないのに、酔いつぶれるほどお酒を飲んでいた”
という事実を、久志に相談しようか、一瞬迷ったー。

”お酒を飲み始めて、いつの間にか記憶が飛んでいた”
なら、まだ分かるー。
それなら、飲み過ぎてしまって記憶が飛んだのだろうー。

しかしー
美希には”お酒を飲み始めた”記憶がそもそも、ないー。

仮に記憶が飛ぶぐらいにお酒を飲んだとしても、
お酒を飲み始めた記憶まで飛んでしまうことは、ありえないー。

「--わたし…どうなってるの…?」
美希は、すぐに時計を見つめるー

仕事…!
仕事に行かなくちゃー!

でも、こんな格好じゃー。

美希は自分が”お酒臭い”ことに気づくー。
相当な量のお酒を、昨日の夜に飲んでいるー。

「--こんなんじゃ…仕事にもいけないよ…」
美希は困惑しながら、慌てて会社に”体調不良”を理由に
休むと連絡を入れて、
そのまま家へと帰宅したー

帰宅した美希は、頭痛と吐き気ー
色々なモノに襲われて、そのままベッドに寝転んだー

「--はぁ…はぁ…」
美希は、そのまま眠りについてしまったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「---------!」
美希が次に目を覚ましたのは、夕方だったー

そしてーー

「---あ、おはよ」

「--!」

彼氏の久志が、美希の家に来ていたー。
二人はお互いの家に自由に行き来できるようになっているー。

普段、久志が急に美希の家に来ることはないのだが、
昨夜から連絡がほとんど取れずー
しかも、今日も朝に一度連絡がついてから、まったく連絡が取れない状況で
あったことに心配した久志が、仕事帰りに美希の家に
立ち寄ったのだったー

「---二日酔い?」
お酒の臭いに気づいていた久志は、美希の方を見て苦笑いしたー

「--あ、、え、、、え、、、……う、、うん」
美希は、”ラブホの件”など言えない、と
「--昨日、ちょっと飲みすぎちゃって」と、不安な表情のまま呟いたー

”お酒はほどほどに”という考えを持っている久志は
美希を責めることはなかったが、
少しだけ、イヤそうな顔をしていたー。

「----…」

”どうして、わたしー…?”

お酒を飲み始めた記憶すらない美希は、
自分の中での不安を、さらに膨れ上がらせるのだったー。

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

5月最初のお話でした!!

憑依した身体で酔いつぶれるまで飲む憑依人の目的は…?
続きはまた明日デス~!

憑依<酔X女>
憑依空間NEO

コメント

タイトルとURLをコピーしました