<憑依>あんたも今日からいじめっ子~絶望編~(後編)

自分を守ってくれていた幼馴染が、
いじめっ子に憑依されてしまったあの日から始まった、”絶望の日々”-

その果てに、待っている運命は…?

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生徒会の話し合いが行われているー

元々、評判の良かった寧音は、
今や全ての生徒会メンバーを仲間に着けているー。

「----」
歯ぎしりをする亜理紗ー。

いじめっ子たちのリーダー格であった亜理紗も、
”表向きは真面目”で人望があり、元々は
生徒会副会長として、ある程度頼りにされていたー

けれど、それは、会長である寧音が心優しく、
亜理紗と衝突しないように、うまく配慮・コントロールしていたからー。

だが、今は違うー
志穂に乗っ取られた寧音は、豹変したー。
露骨に亜理紗を見下し、孤立させようとしているー。

しかも、亜理紗は”啓太いじめ”の件で停学になったこともあり、
周囲からの信頼をすっかり失っていたー。

生徒会の話し合いが終わるー。
生徒会のメンバーたちが生徒会室から出ていくー

「--あんたは副会長ー」
寧音がクスッと笑うー

「--わたしは会長ー」
寧音の見下すような発言に、亜理紗は怒りの形相で寧音を見つめるー

「--会長の身体を乗っ取って、いい気になってるんじゃないわよ…!」
亜理紗の怒りの形相ー

それでも、寧音は不敵な笑みを浮かべたままだったー

「--ふふふ どう?
 今まで散々、手下のようにこきつかってきたわたしに
 こうして見下される気分は?」

寧音のいじわるそうな笑みに、亜理紗は、言い返せずに
怒りの形相で、寧音を睨むー

寧音は鼻で笑うと、そのまま立ち去って行ったー

「--許さないー」
いじめっ子のリーダー格・亜理紗は激しい怒りを燃やしたー

確かに、志穂と響子に威張り散らしていたのは事実ー。
けれど、プライドの高い亜理紗には、今の状況は許せなかったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「---ーーーねぇ、松宮くん」

後日ー
再び寧音に呼び出されていた啓太は、
”金銭”を要求されていたー

「--それは…ちょっと…」
啓太が、困った表情で断るー

しかし、寧音は冷たい口調で言ったー。

「-この前”憑依されてる扱い”されて
 わたし、悲しかったな~」

「--そ、、それは…」
啓太は震えながら、寧音の方を見るー

寧音が目から涙をこぼしているー

「--わ、、わ、、わかった!ごめんってば…
 本当にごめん…」
啓太の言葉に、寧音はクスッと笑うー。

「--ちゃんと謝ってくれる松宮君、すき♡」
甘い声を出しながら啓太にキスをする寧音ー

啓太は、顔を真っ赤にしながら
ニヤニヤとしてしまうー。

「ーーーじゃあ、明日までに、よろしくね!」
微笑む寧音ー

立ち去りながら寧音は笑うー。

「--馬鹿なやつ!マジでうける」
寧音の身体は、もう拒絶反応も起こさなくなったー

「--ふふふ そうよ。お前のご主人様は、わ・た・し」

”寧音の身体”に対してそう言い放つ寧音に憑依している志穂ー。

身体の主導権は、完全に志穂に移ったー
”寧音の身体”が、”寧音の意思”ではなく”志穂の意思”に屈したのだー。

「---ふふふ あんたの身体であいつをいじめるの、
 本当にゾクゾクしちゃう…
 ふふふふっ♡」

寧音の行動はエスカレートしていきー
啓太に金銭を何度も何度も要求したー

啓太はおかしいと思いながらもー
寧音の涙や、寧音にキスされたり、胸を触らされたりしてー
もはや”下僕”のようになってしまっていたー。

「--わたし~松宮くんのこと大好き♡ だからお願い♡」
寧音が甘えた声を出すー。

啓太は「うん…!藤井さんのためなら!」と嬉しそうに返事をするー。

そしてー
啓太は、寧音と組んで、亜理紗を陥れたー。

寧音が、亜理紗の鞄に煙草を入れてー
啓太が”吸ってるところを見ました!”と叫ぶー。

亜理紗は「ふざけんな!」と大声で喚くー。

しかし、
”寧音の学校内での評判”と
”啓太の証言”が決めてになり、亜理紗は再び停学となったー

「--チッ」
寧音は舌打ちするー。

亜理紗は過去にも喫煙が見つかって処分されているー
今度こそ、退学になると思ったのにー

「ねぇ…」
背後から声を掛けられて振り返る寧音ー。
そこには不安そうな顔をした、ショートヘアーの響子ー、
いじめ仲間の響子がいた。

「--もう、、、やめようよ やりすぎだよ」
響子が言うー。

寧音が響子の方を見ながら「やりすぎって?」とクスッと笑うー

今や、啓太は寧音の下僕のようになってしまっているー
元々、恋愛系やエッチな話題に全く耐性のなかった啓太は
寧音の誘惑に、耐えられなかったー。

しかも、寧音は、その啓太を
”天国から地獄”に突き落とそうと画策しているー

まずは、啓太を利用して、亜理紗を退学に追い込みー
それが済んだら啓太を地獄に落とすー。

「--会長の身体も乗っ取ったままだし!
 マジでやばいって!」
響子が叫ぶと、寧音は笑ったー

「--乗っ取ったままー?
 この身体は、もうわたしのものなのよ?

 今はわたしが藤井 寧音ー

 ちゃんと理解してる?」

寧音が脅すような口調で響子に迫るー。

「---ち、、違うでしょ…あんたは志穂でsy

パチン!

寧音が響子をビンタしたー

「わたしは寧音になったのー
 この身体だって、わたしに屈服して、今や完全にわたしのもの」
寧音が自分の手を撫でまわしながら笑うー。

「--、、、さ、、さすがに、、会長が、、かわいそうだよ…!
 か、、身体を返してあげようよ」
響子が言うー。

響子はあくまでも”一時的な憑依”と認識していたー

だが、志穂は”永遠に寧音を乗っ取るつもり”だー。

「--かわいそう??返す???
 馬鹿じゃないの

 わたしが藤井 寧音になったの。
 これからはわたしが会長なの。」

響子の頬をぺしぺしと叩く寧音ー

優しい寧音の表情は、もうそこにはないー

「--そ、、そ、、それってさ」
響子が震えながら言うー

「-ずっと、乗っ取ってるならさーーー
 ひ、、ひ、、人殺しと同じだよねーー

 か、、身体は生きてても、会長はもうーー」

ガッ!

寧音が響子の胸倉を掴んだー

「--わたしを人殺し呼ばわりするの?」
寧音が響子を睨むー

寧音に胸倉を掴まれるなんてー、と
響子はさらに震えてしまうー

寧音は、人に暴力を振るうことは、絶対になかったー

「----この身体があれば、あんたを破滅させることなんて簡単なのよ」
寧音は、最大限の脅し口調でそう呟くと、
響子を突き飛ばして、そのまま立ち去って行ったー

響子は放心状態で、その場にへなへなと座り込んだー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

やがてーーー
亜理紗は再び啓太と寧音に陥れられてー
退学に追い込まれたー。

「----」
歯ぎしりをしながら、亜理紗は学校から立ち去っていくー

悔しいー
でも、どうすることも出来ないー

寧音が正門前で、亜理紗を待ち構えていたー。

「---無様ね」
寧音が笑うー

寧音の身体がゾクゾクするー
まだ、抵抗しているのだろうかー
それとも、寧音を汚すことに、快感を感じているのだろうかー

「----」
亜理紗は歯ぎしりをしながら寧音を見つめると、
言葉を絞り出した

「無様なのは、あんた」
とー。

「--は?」
寧音が表情を歪めるー

「--会長はうざいやつだったけどー
 あんたが中身になってからは、
 ”うざい”というより”無様”-。

 会長の身体を利用していい気になってるみたいだけどー
 あんた、いつか自分の身を滅ぼすからー。

 絶対にー」

亜理紗はそれだけ言うと、立ち去って行ったー

一人残された寧音は、怒りの形相で、
拳を正門に叩きつけたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--松宮くん、ほんとうに、ありがと♡」
寧音が甘えた声を出すー。

啓太は顔を真っ赤にして、すっかり寧音の虜ー。
亜理紗を退学に追い込むことにまで、協力してしまったー。

「--ふふっ♡ かわいい」
寧音が啓太のズボンの上からあそこを触るー。

啓太のアレはとても大きくなっていたー

「--あっ…ぅ」
啓太はー
寧音の様子がやっぱりおかしいことには薄々感づいていたー

でもー
泣かれたりー
エッチなことをされると、抵抗できなくなってしまうー。

寧音は、すっかり虜になった啓太を見て
クスクスと笑うー

”あぁ、あんた最高ー。
 ホント、うざくてきもすぎー。”

寧音に憑依している志穂は、心の中でそう思いながら、
静かに笑みを浮かべたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”威張り散らしていた亜理紗を始末したー。
次は、アンタの番よー”

寧音に憑依している志穂は
啓太に告白して、彼女になったー。

初めて告白されてー
有頂天になってしまった啓太は、もはや
寧音のことに何の疑問も抱かなくなってしまっていたー。

初デートの日ー。
おしゃれな格好の寧音と共に、啓太はドキドキしながら、
断崖絶壁から見渡すことのできる綺麗な海が見える
スポットに向かっていたー。

寧音が”一緒に見に行こ!”と言いだした場所だー。

「---」
啓太は、前を歩く寧音を見てドキドキしてしまうー

生足を大胆に晒して、胸元を強調するかのような
おしゃれな寧音ー。

元々お嬢様である、志穂の”好み”に
カスタマイズされた寧音の格好ー

思わずニヤついてしまう啓太ー。

そしてー
目的地にたどり着いた二人ー

寧音は、断崖絶壁から見える海を見つめながらー、
笑みを浮かべるー。

「---すごい…」
啓太も、普段の日常では見れない景色に
驚きの声を出すー

崖の下では、波が岩場にぶつかって音を立てているー

そして、寧音は静かに微笑んだー

「--ねぇ、松宮くん
 ここから、飛び降りてみて」

とー。

寧音の言葉に、啓太は顔色を変えるー。

「え…???ふ、、藤井…さん?」
啓太の言葉に、寧音はクスッと笑ったー

「-わたし、啓太くんがここから落っこちて波にのまれるの、見たいな♡」
甘い声で呟く寧音ー

啓太はさらに戸惑うー。

「----そ、、、それは、、、ちょっと…」
啓太の表情から一気に笑顔が消えるー

「--落ちて♡」
寧音がにっこりとほほ笑むー。

「----こ、、ここから落ちたらー」
啓太が言うと、寧音は満面の笑みで続けたー

「--死ねよ」
とー。

「---!!」
啓太は表情を歪めるー

「-ー今まで”付き合ってやってた”わたしへの感謝の気持ち、忘れた?」
寧音が微笑みながら言うー

「--え、、う、、、ふ、、、藤井さんには、、
 そ、、その、、感謝してるってば」

啓太が震えながら言うと、
寧音は微笑みながら呟いたー

「だったら、ほら、飛び降りなよ」
とー。

笑っているのにー
穏やかな口調なのにー
言葉の内容は、恐ろしいー

「--な、、何がしたいの…?」
啓太は震えながらそう口にしたー

小さいころから幼馴染として、ずっと一緒にいてー、
それなのに、少し前から急に、意地悪なことを言いだしたりするようになったと思ったら
今度は急に優しくなって彼女になってくれてー
そしたら今度は飛び降りろー

啓太には、まるで意味が分からなかったー

「--や、、やっぱり、憑依されてるの!?」
啓太は寧音に向かって叫ぶー

「--だったら…どうするの?」
寧音がクスッと笑ったー

「-わたしがもし、志穂で、
 この身体を乗っ取ってるのだとしたら
 どうするの?」

寧音の余裕の表情に、啓太は言葉を失ってしまうー

憑依なんて現実ではありえないー

という気持ちとー

誰かに憑依でもされてなきゃ、最近の寧音の行動は説明できないー

という気持ちが
ぶつかり合うー。

「--わたし、あんたを”おもちゃ”にして遊んでたのー
 あんたみたいなうじうじしたやつってさ、
 わたしがすこーし、優しくしてあげるだけで
 かんた~んに、ころっと騙されちゃうー

 わたしにとって、あんたはさいこーのおもちゃ♡」

寧音が、馬鹿にするような口調で言ったー

「--う、、、うぅぅぅ…
 ふ、、藤井さん…の、、乗っ取られてるなら、目を覚ましてー!」

啓太が叫ぶと、
寧音は、突然岸壁の方に向かって行くー

「え」
啓太が涙を流しながら唖然としているとー

「--松宮くんが飛び降りないなら、わたしが飛び降りよーっと!」と笑うー。

寧音の言葉に啓太は
「ま、、待って!お願いだからやめて!」と叫ぶー。

寧音はクスッと笑いながら振り返ったー

「だったらあんたが飛び降りろってんのよ!
 幼馴染を守りたいなら、飛び降りろよ!ほらっ!」

寧音が口調を豹変させたー。

啓太は、「そんなこと」と、叫ぶー。

しかしー
寧音が、靴を脱ぎ捨てて、そのまま両手を広げてー
笑いながら飛び降りようとするのを見てー

啓太の理性がはじけたー

「やめて!藤井さん!やめて!」
啓太は、寧音が乗っ取られてるのか、そうじゃないのか、
分からないまま、崖の方に向かって走り出しー
パニックになったまま、崖からジャンプしたーー

「--」
寧音が、悪魔のような笑みを浮かべるー

足場から離れてー
はるか下の波打つ岩場に落ちていく啓太を見ながらーー
寧音は呟いたー

「ばーか♡」
とー。

啓太はー
その言葉と、波の音を聞きながら、
岩場に身体を打ち付けて、そのまま海の中へと消えていったー

「--あはっ♡ あははっ♡ あはははははははっ♡」
寧音が笑うー

「--あはははははあはっ♡
 たまんない…♡
 あはははっ♡ あはっ♡ うふふふふふふ♡」

”うざいやつ”を徹底的に追い込んでー
そしてー

寧音は狂ったように笑い始めたー

しかしーーー
同時に、寧音の目からは涙も零れ落ちていたー

「---あれぇ?」
寧音がそれに気づいて笑うー。

「--まだ”意識”あったのかなぁ~~~~?」
寧音を乗っ取った志穂はそう呟くと、
涙を指につけて、それをペロリと舐めたー

「でもざんねーーん!
 今はもう、わたしが藤井寧音… ふふふっ」
寧音は靴を履くと、そのまま、絶壁を背に、
来た道を戻り始めるー

ペロッー

身体を乗っ取ってー
大事な幼馴染の啓太を自らの手で自殺させー
そして、寧音本人の意識が流した涙を、おいしく美酒の代わりにいただいたー

来た道を引き返しながら
寧音は、たまらなくゾクゾクして、
満面の笑みで笑い始めたー

これからもーー

よろしくねーーーー

”わたしの”か・ら・だ♡

クスッと笑うと、啓太を自殺に追い込んだ寧音は、
笑みを浮かべながら、そのままその場所から姿を消したー

おわり

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コメント

ダークのまま突っ切った後日談でした~!
逆転のハッピーエンドを望む方もいれば、
そのままダークに突き抜けて!な方もいるので、
いつも迷いますが、
今回はダーク路線のまま! の完結でした!

お読み下さりありがとうございました~~!

※ちなみに、今週から私の仕事のスケジュールが変更になったため
 予約投稿の曜日が「土曜日」に変更になっています!
 (他の曜日は、毎日その日に書いて投稿している出来立てホヤホヤデス)

もちろん、毎日更新はそのままですし、
読んでいる皆様にはほとんど影響はありませんが
一応、お知らせでした~!

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