いじめられていた男子高校生・啓太ー。
唯一、彼の味方をしてくれた幼馴染の女子生徒・寧音ー。
しかし、寧音がいじめっ子のひとりに憑依されてしまったあの日からー
啓太は”絶望”の日々を送っていたー
※「あんたも今日からいじめっ子」の続編です
☆先に本編(あんたも今日からいじめっ子)をご覧ください!
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陰険な女子生徒3人組からいじめを受けていた
松宮 啓太(まつみや けいた)-
いじめのリーダー格である亜理紗(ありさ)は
生徒会副会長で、”表向き”は真面目に振舞っている
女子生徒であるため、先生たちも積極的に処分しようとせず、
啓太の言い分を疑うものまでいたー。
亜理紗に加えて、
お嬢様育ちの志穂(しほ)、
そしてショートヘアーのサバサバした女子、響子(きょうこ)-
その3人が、啓太を連日、いじめていたのだー。
そんな啓太にとって心の支えになっていたのは、
生徒会長であり、啓太の幼馴染でもあった藤井 寧音(ふじい ねね)だったー
寧音は、毅然とした態度で、亜理紗たちを叱責し、
啓太を助けてくれていたー
けれどーー
「ーーー邪魔」
寧音が、啓太を突き飛ばして教室の座席の方に向かうー。
突き飛ばされた啓太は「ご、、ごめん…」と悲しそうに呟くー。
寧音が、自分の座席で鏡で自分の顔を見つめながら
口紅を塗っているー。
「----」
啓太は泣きそうになりながら自分の座席に座るー。
寧音はーー
いじめっ子のひとり、志穂に”憑依”されてしまったー。
憑依された寧音は、”守ってくれている存在”から
”いじめに加担する存在”に豹変したー。
しかも、啓太はそのことを知らないー
”憑依された”という事実を知らないが故に、
”寧音が本心から自分を裏切った”とー
思ってしまっているー。
寧音が憑依されたと理解していれば、
寧音を助ける、ということを心の支えに出来たかもしれないー。
けれど、寧音は本心から自分を利用していたー、
本心から自分を裏切った、と思ってしまっている啓太は
無気力になってしまっていたー。
寧音に憑依した志穂は、”あえて”そうしているー。
”わたしが寧音を乗っ取ったの”と伝えるよりもー
”寧音が正気で裏切っている”風にした方が
啓太に与える精神的ダメージは、より大きいー
「--あんた、本当に悪魔だよね」
いじめグループのひとり、ショートヘアーの響子が
空き教室で、寧音に向かって言うー。
寧音は、腕を組んだまま
「ふふ、最高でしょ?」と邪悪な笑みを浮かべるー。
お嬢様育ちの志穂は、元々、”怖くなる”ぐらいに
冷たい一面があったー。
寧音に憑依してからの志穂は、それがさらに強くなったように思えるー。
いじめっ子のリーダー格であった生徒会副会長の亜理紗は
一度停学処分になってから、すっかり落ちぶれてしまったー。
ボサボサの髪で、学校に登校し、
完全に放心状態ー。
プライドをずたずたにされた亜理紗ー。
寧音と響子が話し終えると、寧音が空き教室の外に出るー。
偶然、亜理紗とすれ違う寧音ー。
亜理紗が怒りの形相で寧音の方を見つめるー。
「----…あんたのこと、絶対にーーー、絶対に、蹴落としてやるから」
亜理紗が怒りの形相で寧音に言い放つー。
”寧音は憑依されている”と、
停学になる直前に、亜理紗は周囲に言い放ったが
誰にも信じてもらえなかったー。
憑依なんて非現実的すぎるし、
寧音の普段の振る舞いから、信頼度は寧音>亜理紗だったのだー。
逆に、亜理紗は”頭がおかしくなった”とクラスで孤立してしまう有様に
なってしまっているー。
「--ふふふ、”副会長”の癖に”会長”のわたしに逆らうの?」
寧音が悪い笑みを浮かべるー。
元々の寧音は、そんなことを言う子じゃないー
亜理紗は「--悪魔!」と、寧音を睨みつけるー。
寧音は、亜理紗を笑いながら、けれども睨みように見つめるー
「-ーーどう?今まで散々、偉そうにわたしや響子を
従えていたのにー
こんな風に逆転される気持ちは?」
寧音の悪そうな笑みー
悪そうな口調ー。
”同じ身体”
”同じ声”
中身が違うだけで、こんなに悪そうに聞こえるー。
寧音を乗っ取った志穂は、
”寧音の外見”はあまりいじっていないー
急に派手になったりもせずー、
基本的には”似たような”雰囲気だー
それだけにー
”見た目は同じ”感じなのに、
”雰囲気”が全然違う状態の寧音に、亜理紗は恐怖すら感じていたー
”他人に乗っ取られれば、容姿はそのままでも、人間はこんなに変わってしまうー”
「---」
悔しそうに歯ぎしりする亜理紗ー。
「--ふふ ”この身体”のほうが、あんたなんかより何倍も可愛いんだから」
クスクスと笑いながら立ち去っていく寧音ー。
ショートヘアーの響子が寧音のあとをついていくー。
「--響子!」
亜理紗は鬼のような形相で、響子に向かって叫ぶー。
「-あんたも、、あんたもあの女にいつか裏切られるから!」
亜理紗が叫ぶと、
響子は戸惑った様子を見せるー
寧音を乗っ取り、まるで別人にしてしまった冷徹な志穂にー
響子も内心、怯えていたー。
しかしー
亜理紗の言葉よりも、今の寧音に対する恐怖が上回りー
響子はそのまま立ち去っていくー
舌打ちする亜理紗ー。
「---このままじゃ終わらせないー」
亜理紗は、そう呟いたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--松宮くん!」
寧音が笑いながら啓太に話しかけるー
下校しようとしていた啓太が立ち止まって寧音の方を見るー。
少し前まではー
寧音から声をかけられると良い意味でドキッとしたし、
とても嬉しかったー
でも、今はー
”悪い意味で”ドキッとするー
「--早く死んで♡」
寧音は笑いながらそう言うと、啓太にさらに顔を近づけたー
「-ー早く松宮くんが屋上から飛び降りるところ、みたいなぁ~♡」
寧音は”わざと”、憑依される前の寧音のような穏やかな口調で
啓太にそう言い放つー
啓太が泣きそうになっているのが分かるー
「--わたしね、松宮くんが死んだら、
ケーキ食べようと思ってるの♡
ふふふ」
寧音はそれだけ言うと、啓太の前から立ち去っていくー
「---」
啓太はその場で震えながら涙をこぼしてしまうー
もう、精神的に限界だったー。
寧音は、どうしてあんな風にー?
どうしてーー。
「------」
生徒会副会長の亜理紗は、その様子を物影から見つめていたー。
啓太のことは、気に入らないー。
元々、亜理紗が啓太をイジメ始めたのは、
亜理紗が隠れて喫煙していたところを、啓太が先生に報告したからだー。
だがーー
今は、それ以上にー
亜理紗は、物影から立ち去っていく寧音の方を見て舌打ちしたー。
気に入らないーー
でも、それ以上にーーー
「----ねぇ」
亜理紗が背後から啓太に声を掛けるー
寧音に辛辣な言葉を掛けられて泣いていた啓太が、
振り返り、ビクッとするー。
最近でこそ、亜理紗のいじめは止まっていたがー
”元”いじめのリーダー格である亜理紗のことは
苦手だー。
「--あんたの大事な幼馴染に何が起きてるか、教えてあげようか?」
亜理紗が、そう呟くー。
”憑依”のことは、生徒指導の先生や、一部クラスメイトには
伝えたがー
啓太にはまだ伝えていないー。
とにかく、寧音に憑依した志穂が気に入らなかったー。
「-ーーーえ」
啓太が泣きながら亜理紗の方を見るー
亜理紗は舌打ちしながら
「--あんたの大事な幼馴染は、志穂に憑依されてるのー」
と、啓太に対して”事実”を告げたー
亜理紗は語るー。
寧音に憑依して、啓太を守る立場から、イジメる立場に変えてやろうと、
志穂が寧音に憑依したのだとー。
最初は亜理紗と響子も、それに賛同したー、と。
しかしー
亜理紗は、寧音になった志穂に陥れられてこのザマー
響子も、寧音にビクビクしているー。
「---じ、、じゃあ…藤井さんは、、僕のこと、嫌いになったわけじゃ…」
啓太が言うと、亜理紗は「そうよ。会長は今、完全に志穂に乗っ取られてる」と、
淡々と告げたー。
「--…そんな…僕、どうしたら…?」
泣きじゃくる啓太に、亜理紗はイライラしながら
「そんなこと、わたしに聞かないでよ」と、突き放して
そのまま立ち去ろうとするー
「--ありがとう」
啓太が亜理紗に向かってそう呟いたー
背を向けたまま立ち止まる亜理紗ー
「教えてくれて…本当に、ありがとう」
啓太がそこまで言うと、
亜理紗は「あんたのそういうところが、うざいのよ」と、だけ
言い残して、そのまま立ち去って行ったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
「--藤井さんー」
啓太の目は、輝きを取り戻していたー。
寧音の座席に向かい、寧音をまっすぐ見つめるー。
「--なに?気安く話しかけないで」
寧音はそれだけ言うと、
啓太は、小声で寧音に向かって言い放ったー。
「--山崎さんー」
とー。
寧音に憑依している志穂の名前を呼んだー
寧音の表情から、笑みが一瞬にして消えるー。
「--昼休み、話があるんだ」
啓太はもう一度、強い口調でそう言い放ったー
「----」
寧音は、しばらく考えたあとに「わかった」とだけ答えたー。
亜理紗と響子が、その様子を自分の座席から見つめているー。
寧音がすぐに”亜理紗か響子がチクった”と判断してー
二人を順番に睨んだー。
亜理紗は寧音を睨み返すー
響子は、ビクビクしながら寧音から目を逸らすー。
「--チッ!」
足を一度だけ、バン!と床に叩きつけると
寧音はイライラした様子で、啓太の方を見つめたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
昼休みー
啓太は意を決して、寧音を呼び出した空き教室へとやってきたー。
寧音は腕を組みながら、面倒臭そうに啓太を待っていたー
「--話って?」
寧音が微笑むー。
啓太は喉がカラカラに乾くのを感じながら
緊張した様子で呟いたー。
「----……藤井さんの身体を、返して」
啓太は言うー。
亜理紗の話は、本当だと、啓太は信じていたー
寧音の豹変は、おかしいー
いじめっ子のひとりだった志穂が、寧音に憑依して
乗っ取っているとなればー
全てにつじつまが合うー。
「---ーーー」
寧音は啓太の方をじっと見つめているー
「--ねぇ!山崎さんなんだよね?
藤井さんの身体を返してよ!」
志穂の名前を呼び、寧音の身体を返すように叫ぶ啓太ー
「---ひどい…」
寧音が目から涙をこぼし始めたー
「---え」
”予想外”の反応に、啓太は戸惑うー。
「---ひどい……乗っ取られてるとか……
何言ってるの…?
そんなこと、あるわけないじゃん…」
寧音が目からボタボタと涙をこぼすー
「え??え???」
啓太は混乱してしまうー
女の子が目の前で泣き始めてしまったー。
自分が、泣かせてしまったー
啓太はそんな状況に激しく動揺したー
「--自分に都合の悪い振る舞いをされると
松宮くん、、、
人のこと、”他人に乗っ取られてる”扱いするんだー
ひどいーー
わたしはわたしなのに…」
寧音は泣きながらそう呟くー
「え、、あ、、いや、、ち、、ちがっ…ご、、」
啓太はパニックになってしまったー
寧音は子供のように座り込んで、
声をあげて泣き始めてしまうー
「--え…ちょ!ごめん、ごめんってば!
藤井さんごめん!ぼくが、、僕が悪かったよ」
啓太は泣き出してしまった寧音にそう言い放つとー
「-ひ、、憑依なんてあるわけないよね
ご、ごめん!
本当にごめん」
と、続けて謝罪の言葉を口にしたー
”ば~~~~~か”
内心で笑いながら寧音は涙を拭くと、
啓太の方を見て、呟いたー
「-クラスメイトが急に死んで、わたしも疲れてるのー
松宮くんにいっぱい酷いこと言って、ごめんねー。」
寧音の言葉に、
寧音が最近変だったのは”いじめっ子の志穂が死んだから”
だと、啓太は勝手に納得してしまうー
「--……ごめんね。松宮くんー」
寧音は啓太をぎゅっと抱きしめて、いきなりキスをしたー
そして、立ち去っていく寧音ー
寧音にキスされたことで、啓太は顔を真っ赤にして
ニヤニヤしながら座り込んだー
寧音が立ち去ったあとー
その様子を見ていた生徒会副会長の亜理紗は舌打ちしたー
「--使えないやつ!」
あっという間に、志穂に憑依されている寧音に”女”を武器に
されて丸め込まれてしまった啓太を見て怒りの形相で、
その場から離れたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜ー
「ほんと、馬鹿なやつ!マジで笑えるー!」
自宅の部屋で寧音は、
悪い笑みを浮かべていたー
寧音に簡単に”誘惑”されてしまった啓太の姿を
思い出しながら、大笑いする寧音ー
「あ~~~~、あいつ、ほんとキモイー」
寧音はそう呟くと、
自分の心臓のあたりをつんつんつつきながら微笑んだー
寧音本来の意識はもう、消えてしまっただろうかー?
そんな風に思いながら寧音を乗っ取っている志穂は
寧音に語り掛けるようにして囁いたー。
「いじめって、楽しいね…♡」
とー
その言葉を自分で囁いた寧音は、
ゾクゾクっと、激しく身体が興奮するのを感じたー
<後編>へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
今週まで、私の仕事のスケジュールの都合上、
毎週火曜日のみ「予約投稿」の作品でしたが、
来週から仕事のスケジュールが少し変わるので、
予約投稿の日が「毎週火曜日」⇒「土曜日」になります~☆!
その切り替えのタイミングと被るため、
続きは「来週土曜日」になってしまい、少しお待たせしてしまいますが、
楽しみにしていてください!
今日もありがとうございました~!
※毎日更新は変わりありません!
来週以降、火曜日は、他の曜日と同じようにその日に執筆、
土曜日があらかじめ書いて予約投稿(12:00)による投稿になります
コメント
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個人的にもう一度身体を取り返してまた乗っ取られるとこを見たい。後、さらにダークでドロォドロォに
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コメントありがとうございます~!!
それは、ものすごくドロドロですネ~笑