ごく普通の家族・石塚家の1日ー
世の中には、たくさんの”事件”が起きているー
どこにでもいるような、
ごく普通の家族に起きた”事件”になど、
誰も気づかないこともあるー。
これはーそんな、”ごく普通の家族”の物語。
※作品の性質上「ジャンル」(憑依なのか入れ替わりなのかその他なのか)を
事前に明かせないタイプの作品デス
一体何が起きるのかを含め、お楽しみください~!
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17:30-
石塚家では、母親の江美子が、
晩御飯の準備を進めている。
時折、扇風機の風に当たりながら、料理を
続ける江美子ー。
2階ではー
長男の彰浩が、勉強を続けているー。
眼鏡を掛けなおしながら、
熱心に勉強する彰浩ー。
彼は、とても成績が良く、
最近では、苦手な教科も全くなくなり、
カンペキに全教科をこなしているー。
「--」
眼鏡を掛けなおして、時計を確認する彰浩ー
”じきに晩御飯だな”
そんな風に考えながら、彰浩は勉強に区切りをつけて
スマホを手に、何かを見つめ始めたー。
17:40-
石塚家の父親である久雄が、
「お疲れ」と、部下に声をかけて
会社から外に出るー。
部下に”あまり無理に残業しないようにな”と告げてから外に出る久雄ー。
久雄は、”残業を極力しない”ように心がけているー
出世を望まない性格の久雄で、栄転の話も
何度も断っていた久雄だったが、
そこそこの年齢であるがゆえに、当然、部下はいるし、
一つの課を任される立場ではあるー。
そんな自分が残業をしていれば、
部下が帰りにくい環境になってしまうー。
もちろん、本人が自らお金目当てなどで
残業をするのであれば話は別だが
強制する空気を作ってはいけないー。
”残業を強制する空気”
つまり、”圧”-
それを作らないようにするー
ということも、上司の仕事であると、久雄は思っていたー。
だからこそ、今も変わらず、そうしているのだー。
久雄は、家に帰ってからのことを考えるー。
今日も変わらない1日が終わるはずだったー。
何かが起きる日もー
多くの人は、普通に生活をしているー。
”今日”という日が、いつものように終わることを信じてー。
自分の身に、何かが起きるなどとは、夢にも思わずー。
”普通”に生活しているのだー
長女・麻実の部屋に不法侵入した男・次郎は
憑依薬を握りしめたまま、麻実の帰りを待ったー
17:50-
「遅くなっちゃったぁ~!」
麻実が帰宅するー。
見た目はお姉さんっぽいのに、中身がまるで子供な麻実ー。
そんな妹の麻実の帰宅を知り、
ちょうど2階から降りてきていた兄の彰浩は、
「-まったく、本当に麻実は騒がしいな」と、苦笑いするー
「騒がしくないもん!元気なだけだもん!」
高校生なのに”大人の女性”みたいな落ち着いた容姿にー
高校生なのに”まるで子供のまま”みたいな性格ー
麻実のギャップはとても激しいー
麻実が手洗いを済ませて
水を何杯か飲むと、そのまま2階に向かうー
「あ、もうご飯できちゃいそう?あと、15分ぐらい?
うん、わかったー!」
母親と会話をして、麻実が2階に向かうー。
自分の部屋に
”悪魔”が待ち構えているとも知らずにー。
18:00-
”悲劇”は、始まったー。
「---!」
自分の部屋の扉を開けた麻実は、表情を歪めるー。
それもそのはずー
自分の部屋の中に
知らない男がいたからだー。
「-やぁ、はじめまして」
その男、大友 次郎は汚らしい笑みを浮かべたー
「だ、、誰…!?」
麻実が唖然とするー。
知らない男が、いきなり自分の部屋にいたのだから、
当然の反応と言えるー。
「---へへへ…怖がらなくていいよ」
次郎が笑みを浮かべるー。
次郎は、通学中の麻実を見かけているうちに
勝手に麻実のことが好きになってしまった男だー。
当然、麻実からすれば”全く知らない男”だー
「へへへへへ……俺さぁ、麻実ちゃんのことが好きなんだー
そのエッチな身体で、まみまみしたいんだ…!」
次郎がニヤニヤしながら言うー。
「--ひっ!?」
麻実は怯えた表情で次郎の方を見つめるー
汗が麻実の額からぽたぽたと垂れるー。
「---…へへへへへへ…麻実ちゃんー
俺と付き合ってよ」
次郎が言うと、
麻実は即答したー。
「いやです!」
とー。
「---チッ」
次郎は舌打ちしたー
「--くっそぉ…俺はただ、まみまみしたいだけなのに!」
次郎はそう叫ぶと、
「俺の告白を断ったこと、後悔するぜ!」
と、叫んだー。
そして、次郎が取り出したのは”憑依薬”-。
「これを使えば、麻実ちゃんの身体は俺のモノだ!
俺が、麻実ちゃんになるんだ!」
次郎の言葉に、
麻実は、恐怖の表情で、額から汗を垂れ流したー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
18:20-
「あれ?麻実のやつ、降りてこないなー」
兄の彰浩が異変に気付くー
いつも、晩御飯の準備が出来ると
麻実は察して自ら降りて来るのに、
今日は降りて来る気配がないー。
「---」
彰浩は、スマホを確認するー
そこには、まるで男のような言葉遣いの同級生・琴子からの
LINEがいくつも届いていたー。
その内容を確認しようとする彰浩ー
だがー
ドン!ドン!
2階から音が聞こえるー。
「--ちょっと、俺、見て来る」
彰浩が心配そうに言って立ち上がるー
不安そうな母親の江美子ー。
”今日”これから起きることを、石塚家の人間たちは知らないー。
”今日”これから起きることをーーー
「---?」
2階の麻実の部屋では
次郎が、表情を歪めていたー
「--なんで…そんな汗をかいている?」
次郎が麻実に言い放つー。
麻実が額から”異常”な量の汗を流しているー
「-----はぁ…はぁ…はぁ…」
”怯え切っている”
次郎はそう思って笑みを浮かべたー
そして、憑依薬の容器を開けようとするー
しかしーーー
「---…地球は暑いんだよ」
麻実が低い声でそう呟いたー
「え?」
次郎が変な声を出すー。
「--人間の”皮”を被ってると、地球は暑いんだよ…!」
ピキッーーー
信じられないことが起きたーーー
今日ーーー
”不審者に襲われる”などと
石塚家の人間は、夢にも思っていなかったー
そしてーー
変質者・次郎は、
今日ーーー
”自分自身が、決して触れてはならないもの”に
触れてしまうなどと、朝の時点では夢にも思っていなかったー
「--ひっ!?!?」
次郎が尻餅をつくーー
麻実の顔がぱっくりと割れてー
中から成人男性のような立派な身体つきの、
いかにも”エイリアン”な感じの怪物が姿を現したー
「ひっ!?」
「---人間の小娘を皮にして、地球に潜伏ー
地球の日常を探っていたのだがーーー」
割れた麻実の身体から、顔を見せたエイリアンが呟くー。
「---とんだ、邪魔が入ったな」
”憑依”などされては困るー
エイリアンはそう言い放つと、麻実の皮を半分身に着けた状態でー
次郎に近づいていき、
次郎の首を掴んだー
「ひっ!?!?ひっ!?!?ひぃぃぃぃぃ」
悲鳴が上がるー
「--麻実!?」
兄の彰浩が部屋に駆け込んでくるー
「---!!!」
彰浩が驚くー
妹の麻実が、”着ぐるみ”のように上半身だけぱっくりと割れているー
そして、中からエイリアンのような男型の怪物が姿を見せているー。
「-----」
麻実から飛び出したエイリアンが、彰浩の方を見るー。
「---ひぃぃぃぃっ!」
次郎が、麻実から飛び出したエイリアンを振り払って
逃亡しようとするー。
だがーー
パキッー
「--!」
次郎が口を開いて、震えるー
兄の彰浩もぱっくりと割れてー
中からエイリアンのようなものが姿を現すー
今度は女なのだろうかー
胸のような膨らみが身体にあるー
「---ひいいいいいいいいいいい!」
次郎が悲鳴をあげながら1階に駆け降りるー
麻実と、彰浩はー
”皮”にされていたー
”誰にも、気づかれないうちにー”
半年ほど前にーー
皮にされて、既に乗っ取られていたー
「---た、、たすけて!」
次郎が1階にいた、石塚家の母親・江美子に助けを求めるー
だがーー
江美子も不気味な笑みを浮かべるとー
ぱっくりとヒビが入ってーー
その中からエイリアンが出現したー。
「--我々は半年前から」
背後から麻実がやって来るー
「-地球人の家族を支配して、地球の動向を探っていた
ブラック星雲からやってきた者だー」
彰浩が、麻実の言葉を続けるー
「普段は乗っ取ったこの人間たちに成り済まして
普通の生活を送りながら
地球の日常生活を探っているの」
母・江美子が微笑むー。
震える次郎ー。
”まさか、こんな、、こんな…”
半年前ー
地球にやってきたエイリアンに
”運悪く”狙われた石塚家は、
その日の夜にー
皮にされてしまったー。
それからは、エイリアンが石塚家の住人の身体を
乗っ取った状態で、地球の調査を行っているー
半年前ー。
液状化して、石塚家に入り込んだエイリアンー。
石塚家が狙われた理由は、特にない。
”ごく普通の家庭”であれば、誰でもよかったー。
たまたま、エイリアンたちがやってきたその先に、石塚家がいただけだー。
あの日、キッチンにいた母親の江美子が最初に”皮”にされたー。
後頭部からペリッとめくられた江美子を”着る”男性型エイリアンを
目撃してしまった長女の麻実は悲鳴をあげたー。
帰宅していた兄である彰浩がすぐに駆け付けー
母親を乗っ取った江美子に向かって叫ぶー
そして、彰浩と母・江美子は格闘を繰り広げたー。
しかしー彰浩も、続いて現れたエイリアンに皮にされてー
麻実は、座り込んで、あまりの恐怖から失禁してしまいー
そのまま皮にされたー。
そしてーーー
・・・・・・・・・・・・・・・・
19:00-
悲鳴をあげながら、
石塚家から飛び出そうとする次郎ー。
麻実を襲って、あわよくば憑依しようと考えていた次郎は、
もはやそれどころではなかったー。
「--!」
玄関の扉を開けた次郎は、表情を曇らせたー。
ちょうど帰宅した、石塚家の父親・久雄が立っていたからだー。
「--ひっ…」
次郎がそう声を出すと、
久雄は、ニヤァ…と笑みを浮かべたー。
化け物のように大口を開く久雄ー。
久雄が人外のような大口を開けるとー、
次郎を”丸呑み”したーー
久雄も半年前ー
皮にされて、エイリアンに乗っ取られているー。
あの日ー、
何も知らずに帰宅した久雄は、何も分からないまま、
背後からあっけなく皮にされて、エイリアンに乗っ取られたー
次郎を丸呑みした久雄は、
ぶくぶくに腹部を膨らませながら
「久々の”ごちそう”だな」と、微笑んだー
「父さん。太るぞ?」
彰浩が笑うー。
「--あはは!お父さんおかえり~!」
麻実が笑いながら、ごはんごはん~!と、キッチンの方に向かうー。
母親の江美子が「おかえりなさい」と笑っているー
”石塚家”は何事もなかったかのように
”石塚家”として、普段通りの生活を始めるのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
世の中には、たくさんの”事件”が起きているー
どこにでもいるような、
ごく普通の家族に起きた”事件”になど、
誰も気づかないこともあるー。
あなたの周りにもー
”事件”に巻き込まれた”家族”がいるかもしれないー。
この石塚家も、そうー。
半年前、エイリアンに乗っ取られてしまったことを
近所の住民も”誰も”知らないのだー
人はー
”その日起きること”を事前に知ることは出来ないー
普通に始まった1日が、
普通におわる保証なんて、どこにもないー
”人は、これから起きる出来事を知ることはできないー”
まさかー
自分が狙った女子高生と、その家族がエイリアンに皮にされて
乗っ取られているなど、夢にも思わなかった次郎ー。
朝の時点では、自分がその日の夜”食い殺される”なんて
夢にも思わなかったはずー。
これはー
これから起きる出来事を、全く夢にも思っていなかった”家族”に
起きる出来事の、物語ー。
不審者に侵入されてー
それを丸呑みすることになるとは、朝の時点では夢にも思っていなかった
石塚家の1日の物語ー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
答えは「皮」モノでした~!
①の冒頭で「4月14日」と書かれているのに、
石塚家の面々は、やたらと暑がっている描写がありましたネ~
それがヒントでした~!
(エイリアンが上から皮を着ているので、暑がっている感じデス~)
急に栄転を受け入れる方向に迷い始めた父親も
ヒント(何かに乗っ取られて考えが変わっている)でした~!
今日もお読み下さり、ありがとうございました!
コメント
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うーん残念な話です。読んでいてせっかく興奮する内容だったのにエイリアンとか萎えてしまいました。例えるならレストランで上等な美味しいメインディッシュを食べ盛り上がってたのに最後のスイーツで駄菓子を出され全てが台無しになったような気持ちです。エイリアンは蛇足です。グロいだけで少しも面白くありませんし興奮しません。
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コメントありがとうございます~!
確かに好みが分かれそうな真相でしたネ…!
またいつか、秘密系のジャンルを書く機会があれば
頑張ります~!
大!どん!でん!返!し!
その一言ですねぇ
意外性のある小説は面白いですねぇ
コメントありがとうございます~!☆
このお話は特に後半が急展開でしたネ~★!
楽しんでいただけて何よりデス~!