啓太をいじめている陰険な女子たちに
憑依されてしまった、
啓太を守ってくれていた幼馴染の寧音ー。
”味方が敵になってしまった”
そんな状況を前に、啓太は…?
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「----」
1時間目が終わったら空き教室で大事な話があるー。
幼馴染の寧音からそう誘われた啓太は
ドキドキしていたー。
寧音の様子がなんだかいつもと違ったー
いつもと違って甘い声ーというか
そんな感じだったー。
啓太は、”自分なんかが”と常に思っているため、
今までそんなことを意識したことは全くなかったのだが、
寧音から誘われるような声で、空き教室に呼び出されたことで、
必要以上に意識してしまっていたー。
”もしかしたら…”
と、そんな気持ちが浮かび上がって来るー。
1時間目が終わり、啓太は、
寧音に誘われた場所へと向かうー。
寧音の姿は、既にないー。
教室から出ていく啓太の姿を見つめながら
陰険な女子生徒の亜理紗と響子は笑みを浮かべていたー。
そしてー啓太が寧音から呼び出された空き教室に行くとー…
そこには、いじめっ子のひとり・志穂が倒れたままになっていたー。
寧音に憑依した志穂の”抜け殻”-。
志穂の両親は、志穂に全く興味がないためー
志穂が昨日から帰宅していなくても、何の対応もしておらずー
志穂の身体は放置されたままだったー。
「---え…」
倒れている志穂を見て、啓太が唖然とするー
「え、、ちょ、、どうしたの…!?えっ!?」
啓太が慌てて倒れている志穂に駆け寄るー
そういえば、今日はいじめっ子のひとり・志穂は欠席していたー。
啓太からすれば、いじめグループのひとりである志穂に
良い印象なんて全くないー。
けれどー
こうして倒れているとなれば話は別だー。
「ね、、ねぇ、しっかりしてよ!」
啓太はそう叫びながらー
志穂の方を見つめるー。
すぐに分かったー
志穂は息をしていないー
「ひっ!?」
啓太が驚いて尻餅をつくー。
そこにーー
「あんた…何をしてるの?」
いじめっ子のひとり、ショートヘアーの響子が姿を現すー。
「---え…ち、、ちがっ!僕が来た時には…!」
啓太が慌てて叫ぶー。
「きゃああああああああああ!」
響子がわざとらしく悲鳴を上げて走り去っていくー
「--あいつに、、あいつに、志穂が!志穂が~~~~!」
響子の悲鳴に、人が集まって来るー
そんな状況にーー
啓太は「ちがっ!!ぼ、、僕、、僕、何も、、何もしてないよ!」と
叫ぶことしかできなかったー。
先生たちがすぐに集まってきてー
”志穂の死亡”が確認されたー。
志穂の使った憑依薬は”元々の自分の身体”を捨てるタイプー
自分の家庭に嫌気がさしていた志穂は、
亜理紗と共に啓太をいじめる、という目的以外にも
”新しい人生を送りたい”という目的もあったのだー。
「---僕、、何も…何もしてません」
先生から何度も何度も、事情を聞かれる啓太ー
だがー
啓太は”寧音から呼び出された”ことは言わなかったー
”藤井さんが疑われることになっちゃうからー”
とー。
そう考えたからだー。
そして、それは亜理紗たち陰険女子の”狙い通り”だったー。
啓太は一人、疑われて、先生から話を何度も何度も聞かれたー。
警察からも、だー。
しかし、志穂には何の外傷もなかったことー
毒物なども検出されなかったことからー
最終的には、啓太は”怪しいけれど、何もしていない”というような
扱いを受けて、解放されたー。
「---チッ…そのまま掴まればよかったのに」
夕方ー
ようやく、解放された啓太を見て、亜理紗は笑みを浮かべたー。
”話があるんだけど”と
啓太を、人通りの少ない廊下に呼び出したー
「---」
啓太は暗い表情だー。
「--あんたが、志穂を殺したんでしょ?」
亜理紗が、啓太を責めるー。
隣には、ショートヘアーの響子もいるー。
いじめのリーダー格で生徒会副会長の亜理紗は、
当然、志穂が倒れていた理由を知っているー
志穂が憑依薬を使い、寧音に憑依したからだー。
”あえて”、啓太を責めているー
「人殺し!人殺し!人殺し!」
亜理紗が手を叩きながら、啓太の方を見つめる。
「人殺し!人殺し!人殺し!」
ショートヘアーの響子も笑いながら、手を叩くー
”人殺し”コールをする
亜理紗と響子ー
啓太は泣きそうになりながら
「僕は、、僕はやってないよ!」と大声で叫んだー。
そこにーーー
「---あ」
亜理紗が振り返ると、
啓太の幼馴染で、生徒会長の寧音の姿があったー
「--ーーあ…」
啓太は泣きながら寧音の姿を見つめたー
”お決まりの”パターン。
幼馴染の女の子を頼るなんて、情けないけれどー
どこかで、啓太は安心してしまうー。
いつも、
亜理紗・志穂・響子の3人にいじめられているときに
寧音がやってきて助けてくれるー。
そのパターンだからだー。
寧音が近づいてくるー
亜理紗と寧音が笑みを浮かべながら頷くー。
そのことに啓太は気づいていないー
亜理紗がわざとらしく「か、、会長…!」と呟くー
響子も「ヤバッ…また見つかった」とわざとらしく呟いているー。
寧音は、啓太の前に近づいてくると、
静かに呟いたー
「--松宮くん、わたし」
にやりと笑みを浮かべる寧音ー。
「---松宮くんが、そんなことするなんて、思わなかったー」
とー。
笑いだすのをこらえながら、寧音を乗っ取った志穂は、続けるー。
「--松宮くんが、志穂ちゃんを殺したの?」
寧音の声は歪んでいるー。
笑いだすのを必死にこらえるためだー。
「---え、、、え…藤井さん…ぼ、、、僕じゃないよ…」
”唯一の信頼できる女子”である寧音の言葉に、
啓太は亜理紗たちからのいじめ以上に
心が抉られるー。
倍以上ー
いや、10倍以上のショックを受けるー。
亜理紗と響子は、その様子を見つめながら笑っているー。
「---わたしに嘘をつくの!?松宮くんって、そんな子だったの!?」
寧音が、泣き出しそうな”演技”をしながら叫ぶー
「ちがう…ちがう…ぼく…」
啓太は泣き出してしまうー。
「--酷い…!人殺し!」
寧音は泣きながらそう叫ぶと、
背を向けて立ち去っていくー
「待って…僕じゃないよ…藤井さん!ねぇ、、ねぇ!」
泣き叫ぶ啓太ー
寧音は足早に啓太のいる廊下から立ち去ると、
一人笑いだしたー
「くくくっ、、、あははははは、あはは、あは、ウケるぅ~~~」
寧音は、その場でしゃがみ込んで笑いだすー。
寧音が憑依されているとも知らずにー
寧音に罵倒されて、啓太は、これまで見せたこともないような
ショックを受けていたー。
亜理紗たちがいじめるよりも、遥かにダメージを受けている様子だったー
「あは、、あはははっ、、ははははははは」
寧音は笑いながら、呟くー
「この身体…ホント最高…!」
啓太をいじめるだけではなくー、
自分の人生に嫌気がさしていた志穂にとって、
まさに、最高の身体ー
「---!」
だが、寧音は表情を歪めたー
「ふ~ん」
自分のある”異変”に気づいて、寧音は、少しだけ笑みを浮かべたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あ~~あ~~~あ~~~~」
寧音が立ち去ったあとー
響子が笑うー。
「--あんたを守ってくれていた女の子を、泣かせちゃったねぇ~
人殺し!」
響子が言うと、
生徒会副会長の亜理紗は笑いながら、啓太の方を見たー。
「--会長を泣かせちゃうなんて、ほんとーに、酷いやつね」
亜理紗の言葉に、
啓太は、座り込んで泣きじゃくっているー。
亜理紗や響子の言葉は、もはや耳に入らないぐらいにー
啓太はショックを受けていたー
”寧音を泣かせてしまった”ことにー。
亜理紗は笑うー
”想像以上の効果ねー
これで、あとは会長の身体で志穂がこいつをいじめればーー”
笑みを浮かべながら立ち去る亜理紗ー。
亜理紗が啓太を執拗にいじめているのには、ある理由があったー。
それはー
”喫煙現場”を見られたことー。
亜理紗の兄は、大の不良で、
その影響で、亜理紗も歪んだ一面を持つー。
表向きは優等生で、基本的には兄とは違い
真面目に生活しているものの、
兄から無理矢理煙草を吸わされた影響で、
亜理紗は、隠れて喫煙を続けているー。
それを啓太に見られてー
啓太が先生に報告したことからー
亜理紗は啓太をイジメ始めたー
「----」
廊下を歩く亜理紗ー。
その背後でーー
ショートヘアーの響子が不気味に微笑んだことに、
亜理紗は気づいていなかったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜ー
寧音は、鏡の前で笑みを浮かべていたー。
ぴくっと震える左手ー
「--ふふふふ…それで抵抗してるつもり?」
寧音は、クスクスと笑ったー
さっきー
啓太に辛辣な言葉を投げかけたころからだろうかー。
寧音本人の意識が、必死に抵抗しようとしているのを感じるー。
本来の寧音がやらないようなことをすると、
寧音の意識が抵抗するのだろうかー
「でもねー」
クスっと笑う寧音ー
「今はわたしが寧音…
あんたは今日からいじめっ子になるの」
寧音は、そう言いながら、自分の頬を人差し指でつついて
ぐりぐりと頬を押し付けたー
「-このからだはわ・た・し・の・も・の!」
寧音が狂気の笑みを浮かべるー。
「--いじめをするのも、何をするのも、わたしの自由!
あんたの幼馴染をいじめるのもわたしの自由ー
あんたはいじめっ子になるの!」
指で何度も何度も自分の顔をつつく寧音ー
”やめて!”と言わんばかりに
左腕が何度も震えるー
「--だまりなさい!」
左腕を壁に叩きつける寧音ー
「--そうーふふ、いい子ね」
静かになった左腕を見つめながら寧音はほほ笑むー
”身体”に語り掛ける寧音を支配した志穂ー。
「--わたしが”身体(おまえ)”の新しいご主人様よー
わたしの思うがままに、動きなさいー」
寧音は左手を見つめながら、そう呟くと、
静かに笑みを浮かべたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日の朝ー
空き教室で、いじめのリーダー格であり、生徒会副会長の亜理紗は
笑みを浮かべていたー
その前には、
膝を折って、「女王様…」と呟く寧音の姿ー
「ふふふふ、一度、、一度でいいから、会長をこうして
屈服させてみたかったの!」
亜理紗が嬉しそうに言うー。
生徒会長の寧音に対して劣等感を抱いていた亜理紗は
寧音を乗っ取った志穂に頼み込んで、
”寧音の身体”で、亜理紗に屈服した演技をしてもらって
喜んでいるー
「--わたしは、亜理紗さまのしもべですぅ」
寧音の演技に、
亜理紗は嬉しそうに邪悪な笑みを浮かべるー
「--ふふふふ…いい気味!ほら!土下座!土下座しなさい!」
亜理紗がクスクスと笑うー
寧音を乗っ取った志穂は、亜理紗のために
寧音の身体で土下座をするー
”---亜理紗、今までわたしと仲良くしてくれてありがとうー”
寧音は、土下座しながら笑みを浮かべていたー
”でもねーー?”
寧音は邪悪な笑みを、亜理紗には見えないように浮かべるー
その様子を横で見ているショートヘアーの響子も笑っているー
”--いつまでも、自分が”一番上”だと、勘違いしないことねー”
そんな風に思われているとは夢にも思っていない亜理紗は、
「さぁ、今日もあいつを痛めつけるわよ!」と、笑みを浮かべたー
悪だくみをするたびにー
寧音の身体に拒否反応が駆け巡るー。
「---ーー…ふふ
無駄なあがきーー
最高ー」
女子トイレに入った寧音は静かに微笑むー
「ほらーー
みてごらんーーー
これが、今のあなたの顔ー」
鏡に映った寧音は、悪女の笑みを浮かべているー
同じ顔なのにー
”まるで違う”-
「--これが、今のわたしーーー
わる~~~~~~い、わたしーーー」
手が悲鳴を上げるかのようにビクンビクン震えるー。
「--わ・た・し、わるいこになる♡ ふふ」
寧音はそう呟くと、ビクンビクン震える身体に向かって静かに囁いたー
「--あたらしい主はわたしよー。
従いなさいー」
”身体”に語り掛ける寧音。
身体の震えが止まると、寧音は満足そうに微笑みー
邪悪な笑みを浮かべながら、トイレの外に出て、廊下を歩きだしたー
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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いじめられている啓太の運命は…?
そして、乗っ取られてしまった寧音の運命は…?
明日が最終回デス~!
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