見ず知らずの女子大生の姿に変身して
勝手にアイドルデビューした男ー。
彼が最後に行きつく先はー?
そして、本物の彼女の運命は…?
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「----話…とは?」
野乃花に勝手に変身して、野乃花の姿で
勝手にアイドルデビューした男・祥太郎は戸惑うー。
まさか、本物の野乃花がまたやってくるとは
思わなかったからだー。
本物の野乃花を”金”で丸め込もうとして祥太郎は失敗したー。
”自分が野乃花の姿でアイドル活動を続ける代わりに、
稼いだ収入は、自分の必要最低限の生活費を除き、
全て本物の野乃花に渡す”
本物の野乃花はー
働かずして莫大な収入を手にすることが出来る上に、
偽物の野乃花ー、祥太郎が用意する別荘で、
外出以外何不自由のない生活を送ることが出来るー
だがー
その取引を野乃花は拒んだー、
ボイスレコーダーで会話を録画されー
”これ以上、わたしの姿を悪用するなら、これを公表します”と
本物の野乃花に言われてしまった祥太郎は、
驚き、”野乃花の姿でアイドルとして活動すること”を
やめようとしていたー。
”また、別の女に変身すればいい”とー。
「---」
だがー
その”本物の野乃花”が、再び祥太郎の家を訪ねてきたことに
祥太郎は焦っていたー
何故ならー
”まだ、野乃花の姿でアイドル活動”をしているからだー。
”いきなり姿を消せば”
報道や、ファンが騒ぐー。
だから、少しずつ、フェードアウトしているー。
だがー
本物の野乃花と連絡が取れなかったためー
そのことを、本物の野乃花は知らないー
もしかすると
”勘違い”されたのかもしれないー。
ボイスレコーダーの音声を世間に公表されたら
自分は終わるー。
変身の力も、世間の明るみに出てしまうー。
祥太郎は、冷や汗をかきながら
”徐々にフェードアウトしてるから、もう少し待ってください”と、説明するー
「--わかってます」
野乃花はそう答えたー。
”偽”野乃花のアイドルとしての活動は、
この数週間で、急激に減ったー。
いずれ、野乃花は表舞台から姿を消すだろうー。
そうすれば、多少騒ぐ人はいるかもしれないが、
野乃花は元の穏やかな生活を取り戻すことが出来るー。
しかしー
「--この前のお話、まだ”有効”ですか?」
本物の野乃花はほほ笑んだー。
「---え」
祥太郎が唖然とするー。
今後の収入は、生活費と経費を除いて
全てあなたに捧げることを約束しますー
あなたのために家も建てますー
俺はただ、本当にただ、アイドルとして
いきたいだけでー
他には何もいらないー
お金も、家も、あなたの欲しいものも、何でも
俺が手に入れますー
だから、どうかーーー
”あなたの姿”を俺に貸してくださいー
祥太郎が、数週間前、本物の野乃花と親友の魔理沙の前で
説明した言葉ー
野乃花はそれを呟くと、
「--わたし、色々考えたんですけどー…
やっぱり…、そうしようと思ってー」と付け加えたー。
「-え…?じ、、じゃあ、俺が君の姿で
アイドル活動してていいってことですか?」
祥太郎が嬉しそうに叫ぶー。
「はいー。
その代わり、わたしに収入の全てを捧げてくれるんですよね?」
野乃花が笑うー。
「あ、、あぁ、もちろん。もちろんだよ。
すぐに君の家も用意するー
ちょうど、親戚が、箱根の方に物件を持っててさ、
そこを買い上げて…」
祥太郎の言葉に、
野乃花は嬉しそうに微笑んだー。
「--それにしても、急にどうして?」
祥太郎が言うと、
野乃花はほほ笑んだー
「色々考えてみたんですけど…
わたしが断っちゃうと、
アイドルとして活動したいっていうあなたの夢も壊しちゃうしー
偽物とは言え、わたしのことを好きになってくれたファンの人や、
仕事の関係の人ー
色々な人に迷惑かけちゃうなって…
まぁ…勝手にわたしの姿でアイドルデビューされて
一番迷惑なのはわたしなんですけど…
でもまぁ、、、その、収入捧げてくれるならー
…いいかなって」
野乃花の言葉に、
祥太郎は「本当に、ありがとうございます」と頭を下げるー
”なんだかわかんねぇけど…よかった”
祥太郎は心の中で思うー
「それにー」
野乃花が少しだけ、不気味な笑みを浮かべたー
「--わたしが断ればー
あなたはきっと”別の子”の姿に勝手に変身して
別の犠牲者が出るー…
そうでしょう?」
野乃花の言葉に、
祥太郎はギクッとするー。
”野乃花に断られたらー
別のかわいい子を見つけて、今度はその子の姿でアイドルデビューしよう”
そう思っていたのは事実だー
「--だから、それを阻止する意味もあるんです」
とー。
野乃花の言葉に、祥太郎は「とにかく、ありがとう」と頷くとー
早速”これまでのアイドル活動”で稼いだお金を全て、
本物の野乃花に支払うことを約束したー
”フェードアウトしようとしていた”
祥太郎は、本人から許可を貰えたことでー
その日から、再び、野乃花の姿でー
”ののちゃん”としての活動を本格化させたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--みんな、ありがと~~♡」
偽の野乃花ー
野乃花の姿をした祥太郎が、ファンたちの前で歌い終えて、
可愛さを振りまくように手を振るー
”はぁ~~最高だぜ”
アイドルになりたかったー。
それを、他人の姿でかなえたー
ファンやスタッフにも礼儀正しく振る舞いー
”理想像のようなアイドル”に自分がなっているー
それだけで、激しく、興奮するー
あれから三カ月ー
”ののちゃん”の人気はさらに上がりー
”浅霧 野乃花”は国民的アイドルとしての
階段を駆け上がろうとしていたー。
「---今月の収入も自由に使ってください」
野乃花の姿をした祥太郎が、電話で、本物の野乃花と話すー。
本物の野乃花は、祥太郎が用意した、豪華な一軒家で
生活を続けているー。
家の外に出ると、”アイドル扱い”されてしまうため
あまり外には出れないが
祥太郎は約束通り、野乃花の姿で稼いだ収入を全て、
本物の野乃花に好きなように使わせていて、
本物の野乃花は、悠々自適な生活を送っていたー
「--ふふふ、ありがと!」
野乃花は、高級なアクセサリーを身に着けて、
ご機嫌そうに、綺麗な家の中で高級な食材を並べてご飯を食べるー。
「ふ~~贅沢三昧の生活!
しかも働かなくてヨシ!最高!」
野乃花はそう呟きながらー
大学の写真を見つめたー
野乃花と魔理沙が写真に写っているー。
大学も、やめたー。
アイドル、アイドルうるさいし、
まともに学業に専念できないからだー。
今は、通信教育を受けつつ、
日々、趣味に打ち込んでいるー。
「--オフの時間帯は、お出かけも出来るしね♪」
”偽の野乃花”がオフの時間帯を聞いてー
外出することも出来るし、
”働かずに将来安泰”の最高の人生を手にした野乃花は、
嬉しそうに微笑んだー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
しかしー
”今朝ー
浅霧 野乃花さんの遺体が発見されましたー”
”人気アイドル”ののちゃん”山中で遺体”
「--なんだこれは!?」
偽の野乃花ー、祥太郎は驚くー。
電話が鳴りやまないー
祥太郎は野乃花の姿のまま
”わたし、生きてます!”と
必死に説明するー。
だがー
世間は混乱していくー
遺体で発見された”浅霧 野乃花”は
確実に本人だと、DNA鑑定の結果が出たー
(まずい…)
偽の野乃花は爪をかじるー。
”DNAレベル”まで、変身できているのだろうかー。
もしー
自分が”偽物”だとばれたらー
「--くそっ!何で急に!」
本物の野乃花が突然、死んだことに唖然とする祥太郎ー
このままでは、アイドルとして振舞うのが難しくなるー
”野乃花が死んだのに、もう一人野乃花がいる”
世間ではそんな扱いになってしまっているー
その時だったー
♪~~
「--!?」
”本物の野乃花”がやってきたー。
「--!?!?!?!?」
祥太郎は困惑するー
テレビでは”野乃花の死”を伝えているー
玄関の前では”本物の野乃花”が、祥太郎が玄関を開けるのを待っているー
そして、自分も”野乃花”の姿をしているー
「--どういうことなんだ!?」
野乃花の姿をした祥太郎が叫ぶと、
やってきた野乃花は、呟いたー
「---まさか、見つかるとは思わなかったー」
野乃花がそう呟くとー
「--!!!」
祥太郎の家にやってきた野乃花はーー
”変身”を解いたー。
その姿はー
野乃花と一緒に行動していた、親友の魔理沙だったー
「---!?!?
君は確か、野乃花ちゃんと一緒にいたー…?」
戸惑う祥太郎ー。
野乃花の親友・魔理沙は呟いたー
「--”本物”は、わたしが殺したの」
とー。
「--!?!?」
祥太郎は表情を歪めたー
「--あなたの話を聞いてー
わたし、すごく魅力的だと思ったー」
野乃花の姿に再び変身した魔理沙は笑うー。
「---だってそうでしょ?
野乃花は、あなたの提案を受け入れれば、
一生遊んで暮らすことができる…
それはもちろん、アイドルとして有名人になってるから
外出は不便だろうけど、
でも、収入には困らず、一生自分の姿を貸すだけで
自由気ままな生活を送ることが出来るー
でも、野乃花はそれを拒んだー」
野乃花の姿をした魔理沙が言うー
「--わたし、羨ましいと思ったー。
同時にー
”なんでこんないい話があるのに、断るの?”って
嫉妬したー」
野乃花の姿をした魔理沙の言葉に、
野乃花の姿をした祥太郎は困惑するー。
「--だから、決めたのー
”あなたと同じようになるー”って」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
野乃花と一緒に、祥太郎の話を聞いた魔理沙は、
”人に変身できる義眼”の情報を徹底的に探したー
そして、見つけたー
裏社会の病院で、”義眼”を手に入れる手術を
全財産をはたいて行った魔理沙はーー
「--あ、おかえり~!」
アイドルとして顔が売れてしまい、行き場を失った本物の野乃花をーー
「--ふふふ ただいま」
魔理沙はーー
「--えっ!!?」
野乃花が驚くー
魔理沙が背後から、野乃花の首にロープを巻いてー
首を絞めたーー
「--あっ…え…!?!?まり、、、さ???」
もがく野乃花ー。
「--わたしが今日病院に行ってた理由、知ってる?」
魔理沙が微笑むー
微笑みながら、魔理沙は野乃花の姿に目の前で変身してみせたー
「---ひ、、、ど、、どうし…」
もがきながら涙をこぼす本物の野乃花ー
「--わたしが野乃花になって、野乃花に偽物から
お金を貰って生活するの!
あんないい話断るなんてもったいなすぎ…!
だから、野乃花…!
死んで!」
野乃花の姿をした魔理沙が邪悪な笑みを浮かべるー
野乃花は”信じられない”と、いう様子で
泣きながらもがくー
しかしー
やがて、野乃花は動かなくなったー。
すぐに魔理沙は、車で野乃花の遺体を山中に運びー
そして、”遺棄”したー。
絶対に見つからないーー
魔理沙がそう判断した場所にー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--な、、なんてことを!」
野乃花の姿をした祥太郎が叫ぶー
「--だって!お金が欲しかったんだもん!
あんないい話断るなんて、野乃花、どうかしてる!
だからわたしが野乃花になったの!」
野乃花の姿をした魔理沙が叫ぶー
「-どうかしてるのはお前だ!
彼女、お前の親友だったんだろ!?
それを殺すなんて!」
野乃花の姿をした祥太郎とー
「--どうかしてるのはあんたよ!
他人の姿でアイドルデビューとか、きもすぎ!」
野乃花の姿をした魔理沙が罵り合うー。
しかしー
その時ー
開けっ放しにしていた玄関の扉を開けて、
警察官が入り込んできたー。
”二人の野乃花”を見つめて驚く警察官たちー。
「---…!」
野乃花の姿をした魔理沙が驚くー
「---もう、、だめだ…おわった…お前のせいだ…クソ女」
野乃花の姿をした祥太郎が
魔理沙の方を睨みながら、へなへなと座り込んだー
この日ー
2人の”偽・野乃花”は、警察に連行されたー
見ず知らずの男に勝手にアイドルデビューされ、
挙句の果てに親友にまで裏切られて、勝手に姿を使われた
本物の野乃花は、
この日、
ようやく、安らかに眠ることができたーー
の、かもしれないー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
本物の野乃花がひたすら災難なお話でした~!
急に見ず知らずの人に自分の姿を使われていたら…
怖いですネ~…!
お読み下さりありがとうございました!
コメント
恐ろしい結末……!
それにしてもずっと思ってたが、魔理沙って某作品の魔法使いから名前を取ったのかな?
リーフ様~!
ありがとうございます~~!★
名前は偶然ですネ~!
(某作品が何なのか分からないデス~笑)