<他者変身>いつの間にかわたしがアイドルに!?③~破滅~(完)

見ず知らずの女子大生の姿に変身して
勝手にアイドルデビューした男ー。

彼が最後に行きつく先はー?

そして、本物の彼女の運命は…?

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「----話…とは?」
野乃花に勝手に変身して、野乃花の姿で
勝手にアイドルデビューした男・祥太郎は戸惑うー。

まさか、本物の野乃花がまたやってくるとは
思わなかったからだー。

本物の野乃花を”金”で丸め込もうとして祥太郎は失敗したー。

”自分が野乃花の姿でアイドル活動を続ける代わりに、
 稼いだ収入は、自分の必要最低限の生活費を除き、
 全て本物の野乃花に渡す”

本物の野乃花はー
働かずして莫大な収入を手にすることが出来る上に、
偽物の野乃花ー、祥太郎が用意する別荘で、
外出以外何不自由のない生活を送ることが出来るー

だがー
その取引を野乃花は拒んだー、

ボイスレコーダーで会話を録画されー
”これ以上、わたしの姿を悪用するなら、これを公表します”と
本物の野乃花に言われてしまった祥太郎は、
驚き、”野乃花の姿でアイドルとして活動すること”を
やめようとしていたー。

”また、別の女に変身すればいい”とー。

「---」
だがー
その”本物の野乃花”が、再び祥太郎の家を訪ねてきたことに
祥太郎は焦っていたー

何故ならー
”まだ、野乃花の姿でアイドル活動”をしているからだー。

”いきなり姿を消せば”
報道や、ファンが騒ぐー。
だから、少しずつ、フェードアウトしているー。

だがー
本物の野乃花と連絡が取れなかったためー
そのことを、本物の野乃花は知らないー

もしかすると
”勘違い”されたのかもしれないー。
ボイスレコーダーの音声を世間に公表されたら
自分は終わるー。
変身の力も、世間の明るみに出てしまうー。

祥太郎は、冷や汗をかきながら
”徐々にフェードアウトしてるから、もう少し待ってください”と、説明するー

「--わかってます」
野乃花はそう答えたー。

”偽”野乃花のアイドルとしての活動は、
この数週間で、急激に減ったー。

いずれ、野乃花は表舞台から姿を消すだろうー。

そうすれば、多少騒ぐ人はいるかもしれないが、
野乃花は元の穏やかな生活を取り戻すことが出来るー。

しかしー

「--この前のお話、まだ”有効”ですか?」
本物の野乃花はほほ笑んだー。

「---え」
祥太郎が唖然とするー。

 今後の収入は、生活費と経費を除いて
 全てあなたに捧げることを約束しますー

 あなたのために家も建てますー
 俺はただ、本当にただ、アイドルとして
 いきたいだけでー

 他には何もいらないー

 お金も、家も、あなたの欲しいものも、何でも
 俺が手に入れますー

 だから、どうかーーー
 ”あなたの姿”を俺に貸してくださいー

祥太郎が、数週間前、本物の野乃花と親友の魔理沙の前で
説明した言葉ー

野乃花はそれを呟くと、
「--わたし、色々考えたんですけどー…
 やっぱり…、そうしようと思ってー」と付け加えたー。

「-え…?じ、、じゃあ、俺が君の姿で
 アイドル活動してていいってことですか?」
祥太郎が嬉しそうに叫ぶー。

「はいー。
 その代わり、わたしに収入の全てを捧げてくれるんですよね?」
野乃花が笑うー。

「あ、、あぁ、もちろん。もちろんだよ。
 すぐに君の家も用意するー
 ちょうど、親戚が、箱根の方に物件を持っててさ、
 そこを買い上げて…」

祥太郎の言葉に、
野乃花は嬉しそうに微笑んだー。

「--それにしても、急にどうして?」
祥太郎が言うと、
野乃花はほほ笑んだー

「色々考えてみたんですけど…
 わたしが断っちゃうと、
 アイドルとして活動したいっていうあなたの夢も壊しちゃうしー
 偽物とは言え、わたしのことを好きになってくれたファンの人や、
 仕事の関係の人ー
 色々な人に迷惑かけちゃうなって…

 まぁ…勝手にわたしの姿でアイドルデビューされて
 一番迷惑なのはわたしなんですけど…

 でもまぁ、、、その、収入捧げてくれるならー
 …いいかなって」

野乃花の言葉に、
祥太郎は「本当に、ありがとうございます」と頭を下げるー

”なんだかわかんねぇけど…よかった”
祥太郎は心の中で思うー

「それにー」
野乃花が少しだけ、不気味な笑みを浮かべたー

「--わたしが断ればー
 あなたはきっと”別の子”の姿に勝手に変身して
 別の犠牲者が出るー…

 そうでしょう?」

野乃花の言葉に、
祥太郎はギクッとするー。

”野乃花に断られたらー
 別のかわいい子を見つけて、今度はその子の姿でアイドルデビューしよう”

そう思っていたのは事実だー

「--だから、それを阻止する意味もあるんです」
とー。

野乃花の言葉に、祥太郎は「とにかく、ありがとう」と頷くとー
早速”これまでのアイドル活動”で稼いだお金を全て、
本物の野乃花に支払うことを約束したー

”フェードアウトしようとしていた”
祥太郎は、本人から許可を貰えたことでー
その日から、再び、野乃花の姿でー
”ののちゃん”としての活動を本格化させたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--みんな、ありがと~~♡」
偽の野乃花ー
野乃花の姿をした祥太郎が、ファンたちの前で歌い終えて、
可愛さを振りまくように手を振るー

”はぁ~~最高だぜ”
アイドルになりたかったー。
それを、他人の姿でかなえたー

ファンやスタッフにも礼儀正しく振る舞いー
”理想像のようなアイドル”に自分がなっているー

それだけで、激しく、興奮するー

あれから三カ月ー
”ののちゃん”の人気はさらに上がりー
”浅霧 野乃花”は国民的アイドルとしての
階段を駆け上がろうとしていたー。

「---今月の収入も自由に使ってください」
野乃花の姿をした祥太郎が、電話で、本物の野乃花と話すー。

本物の野乃花は、祥太郎が用意した、豪華な一軒家で
生活を続けているー。

家の外に出ると、”アイドル扱い”されてしまうため
あまり外には出れないが
祥太郎は約束通り、野乃花の姿で稼いだ収入を全て、
本物の野乃花に好きなように使わせていて、
本物の野乃花は、悠々自適な生活を送っていたー

「--ふふふ、ありがと!」
野乃花は、高級なアクセサリーを身に着けて、
ご機嫌そうに、綺麗な家の中で高級な食材を並べてご飯を食べるー。

「ふ~~贅沢三昧の生活!
 しかも働かなくてヨシ!最高!」

野乃花はそう呟きながらー
大学の写真を見つめたー

野乃花と魔理沙が写真に写っているー。
大学も、やめたー。
アイドル、アイドルうるさいし、
まともに学業に専念できないからだー。

今は、通信教育を受けつつ、
日々、趣味に打ち込んでいるー。

「--オフの時間帯は、お出かけも出来るしね♪」

”偽の野乃花”がオフの時間帯を聞いてー
外出することも出来るし、
”働かずに将来安泰”の最高の人生を手にした野乃花は、
嬉しそうに微笑んだー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

しかしー

”今朝ー
 浅霧 野乃花さんの遺体が発見されましたー”

”人気アイドル”ののちゃん”山中で遺体”

「--なんだこれは!?」
偽の野乃花ー、祥太郎は驚くー。

電話が鳴りやまないー

祥太郎は野乃花の姿のまま
”わたし、生きてます!”と
必死に説明するー。

だがー
世間は混乱していくー

遺体で発見された”浅霧 野乃花”は
確実に本人だと、DNA鑑定の結果が出たー

(まずい…)
偽の野乃花は爪をかじるー。

”DNAレベル”まで、変身できているのだろうかー。
もしー
自分が”偽物”だとばれたらー

「--くそっ!何で急に!」
本物の野乃花が突然、死んだことに唖然とする祥太郎ー

このままでは、アイドルとして振舞うのが難しくなるー

”野乃花が死んだのに、もう一人野乃花がいる”
世間ではそんな扱いになってしまっているー

その時だったー

♪~~

「--!?」

”本物の野乃花”がやってきたー。
「--!?!?!?!?」
祥太郎は困惑するー

テレビでは”野乃花の死”を伝えているー

玄関の前では”本物の野乃花”が、祥太郎が玄関を開けるのを待っているー

そして、自分も”野乃花”の姿をしているー

「--どういうことなんだ!?」
野乃花の姿をした祥太郎が叫ぶと、
やってきた野乃花は、呟いたー

「---まさか、見つかるとは思わなかったー」
野乃花がそう呟くとー

「--!!!」

祥太郎の家にやってきた野乃花はーー
”変身”を解いたー。

その姿はー
野乃花と一緒に行動していた、親友の魔理沙だったー

「---!?!?
 君は確か、野乃花ちゃんと一緒にいたー…?」

戸惑う祥太郎ー。

野乃花の親友・魔理沙は呟いたー

「--”本物”は、わたしが殺したの」
とー。

「--!?!?」
祥太郎は表情を歪めたー

「--あなたの話を聞いてー
 わたし、すごく魅力的だと思ったー」
野乃花の姿に再び変身した魔理沙は笑うー。

「---だってそうでしょ?
 野乃花は、あなたの提案を受け入れれば、
 一生遊んで暮らすことができる…

 それはもちろん、アイドルとして有名人になってるから
 外出は不便だろうけど、
 でも、収入には困らず、一生自分の姿を貸すだけで
 自由気ままな生活を送ることが出来るー

 でも、野乃花はそれを拒んだー」

野乃花の姿をした魔理沙が言うー

「--わたし、羨ましいと思ったー。
 同時にー
 ”なんでこんないい話があるのに、断るの?”って
 嫉妬したー」

野乃花の姿をした魔理沙の言葉に、
野乃花の姿をした祥太郎は困惑するー。

「--だから、決めたのー
 ”あなたと同じようになるー”って」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

野乃花と一緒に、祥太郎の話を聞いた魔理沙は、
”人に変身できる義眼”の情報を徹底的に探したー

そして、見つけたー
裏社会の病院で、”義眼”を手に入れる手術を
全財産をはたいて行った魔理沙はーー

「--あ、おかえり~!」
アイドルとして顔が売れてしまい、行き場を失った本物の野乃花をーー

「--ふふふ ただいま」

魔理沙はーー

「--えっ!!?」
野乃花が驚くー
魔理沙が背後から、野乃花の首にロープを巻いてー
首を絞めたーー

「--あっ…え…!?!?まり、、、さ???」
もがく野乃花ー。

「--わたしが今日病院に行ってた理由、知ってる?」
魔理沙が微笑むー

微笑みながら、魔理沙は野乃花の姿に目の前で変身してみせたー

「---ひ、、、ど、、どうし…」
もがきながら涙をこぼす本物の野乃花ー

「--わたしが野乃花になって、野乃花に偽物から
 お金を貰って生活するの!

 あんないい話断るなんてもったいなすぎ…!

 だから、野乃花…!
 死んで!」

野乃花の姿をした魔理沙が邪悪な笑みを浮かべるー

野乃花は”信じられない”と、いう様子で
泣きながらもがくー

しかしー
やがて、野乃花は動かなくなったー。

すぐに魔理沙は、車で野乃花の遺体を山中に運びー
そして、”遺棄”したー。

絶対に見つからないーー
魔理沙がそう判断した場所にー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--な、、なんてことを!」
野乃花の姿をした祥太郎が叫ぶー

「--だって!お金が欲しかったんだもん!
 あんないい話断るなんて、野乃花、どうかしてる!
 だからわたしが野乃花になったの!」
野乃花の姿をした魔理沙が叫ぶー

「-どうかしてるのはお前だ!
 彼女、お前の親友だったんだろ!?
 それを殺すなんて!」

野乃花の姿をした祥太郎とー

「--どうかしてるのはあんたよ!
 他人の姿でアイドルデビューとか、きもすぎ!」

野乃花の姿をした魔理沙が罵り合うー。

しかしー
その時ー

開けっ放しにしていた玄関の扉を開けて、
警察官が入り込んできたー。

”二人の野乃花”を見つめて驚く警察官たちー。

「---…!」
野乃花の姿をした魔理沙が驚くー

「---もう、、だめだ…おわった…お前のせいだ…クソ女」
野乃花の姿をした祥太郎が
魔理沙の方を睨みながら、へなへなと座り込んだー

この日ー
2人の”偽・野乃花”は、警察に連行されたー

見ず知らずの男に勝手にアイドルデビューされ、
挙句の果てに親友にまで裏切られて、勝手に姿を使われた
本物の野乃花は、
この日、
ようやく、安らかに眠ることができたーー

の、かもしれないー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

本物の野乃花がひたすら災難なお話でした~!

急に見ず知らずの人に自分の姿を使われていたら…
怖いですネ~…!

お読み下さりありがとうございました!

コメント

  1. 葉月/リーフ より:

    恐ろしい結末……!

    それにしてもずっと思ってたが、魔理沙って某作品の魔法使いから名前を取ったのかな?

    • 無名 より:

      リーフ様~!
      ありがとうございます~~!★

      名前は偶然ですネ~!
      (某作品が何なのか分からないデス~笑)