<憑依>エイプリル・ポゼッション②~嘘~(完)

エイプリルフールに憑依されてしまった
女子高生ー。

周囲に信じてもらえないまま、乗っ取りは進行していくー。

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「ーーーんっ♡ あっ…藤香……♡」

カラオケボックスー
女子高生の藤香と久恵は、うっとりとした表情で
ディープなキスを繰り返しているー

「ふふふふふ…♡ ふひひひひひひ」
藤香がまるで下心丸出しの男のような
下品な笑みを浮かべているのにもー
うっとりしている久恵は気づかないー

「--久恵ちゃんを、もっともっと、気持ちよくしてあげよっか?」
藤香が普段は絶対に出さないような甘い声で囁くー

カラオケにやってきたのに、
歌うこともせずにエッチなことをしている二人ー

店員が見ていたら、今頃どう感じているのだろうかー。

”やめて!やめてってば!”
藤香の意識が必死に何度も何度も叫んでいるー

しかし、男に乗っ取られてしまっている藤香の身体は
久恵と抱き合い、お互いを舐め合っているー

”久恵もなんで止めてくれないの!?”
藤香はそう呟きながらー
泣きわめくー。

「--はぁ…はぁ…♡ 最高…
 あ、わたし、トイレ」

藤香はそう言うと、
幸せの絶頂のような表情をして
放心状態の久恵を置いて、トイレに向かったー

だが、その最中ー

「くっ…」
頭を押さえる藤香ー

「--この身体は俺のものだ……
 無駄な抵抗はやめろ…!」
藤香が表情を歪めながら呟くー

”--わたしの身体を返して…!!”
藤香の意識が必死に抵抗しているー

そしてー

「--くっ…は、、はぁ…はぁ…」
藤香は、自分の身体の主導権を何とか再び取り戻したー

”チッ…しぶとい小娘だぜ”
再び奥に追いやられた男は舌打ちをするー

「ーーこ、これ以上、久恵を変なことに巻き込まないで!」
藤香はそう呟くと、トイレを済ませて、
久恵の待つ部屋に戻るー

久恵は顔を赤らめながら
「続き…しよ?」と笑みを浮かべているー

「--ひ、、久恵、、あの、、その…
 ほら、え、、エイプリルフール!

 そ、そろそろちゃんと歌お?」

藤香が必死にそう言い放つとー
久恵は不満そうな顔をしてからー
「--…も、、もう」と、恥ずかしそうに
エッチなことを求めるのをやめて、
いつも通り振る舞い始めたー。

”その子は、女の子同士イチャイチャするのが好きみたいだなぁ~”
男の声が脳裏に響くー

藤香は”もう絶対に身体を渡さないから”と、
強く念じると、そのまま久恵とカラオケを楽しんで、
久恵と別れたー。

「---…」
藤香の表情は曇っているー

久恵とあんなことを”させられて”しまったー。
しかも、案外、久恵が乗り気だったのも、怖くなってしまったー。

結果ー
カラオケを手早く切り上げて、そのまま藤香は
逃げるようにして帰ってきてしまったー。

”へへへ…そう暗い顔すんなって”
男の言葉に、藤香は、「するし」と、不貞腐れた表情を浮かべたー。

”俺だってがっかりしてるんだー
 一気に支配できると思ったのに
 こんなことになるなんてさ。

 今頃俺は、お前の身体でイキまくってるはずだったのに”

「ーーひ、、酷い…!わたしに何の恨みがあるの…!?」
藤香が泣きながら言うと、男は笑ったー

”何も恨みはないさ。ただ、お前が可愛かっただけだー
 どうせ、誰かを乗っ取るなら、可愛くてエロイ子がいいだろ?”

男の言葉に、藤香は「絶対にわたしの身体を好きにはさせないから!」と叫んだー

男は笑うー。

”じゃあ…そうだなぁ…
 今日中に”誰かに信じてもらえたら”
 俺はお前を諦めてやるよ へへへ”

その言葉に、藤香は、表情を暗くするー。

”誰にも信じてもらえなかったらー
 その時は、俺はお前の身体を乗っ取るー”

男の言葉に、藤香は”絶対に信じてもらうから”と叫んだー。

藤香は慌てて弟の幾多郎や母親に、助けを求めるー
しかし、やっぱり信じてもらうことが出来ないー

”エイプリルフールネタ”
そう思われてしまっているー。

もちろん”現実味のあること”なら
信じて貰えたかもしれないー。

でもー
”知らない男の人に憑依された”なんて、話を
信じてもらうのは、普段でさえ厳しいー

その上、今日は4月1日ー。

藤香の中にいる男は、笑みを浮かべたー

”一度憑依すれば、永久に相手の身体を自由自在に操ることが出来るー”

オークションで愛染亮という出品者から購入した
憑依薬に同封されていた説明書には、
そう書かれていたー。

”ったくー、しぶとい女だぜ”
男は笑うー。

だが、感じるー
だんだんと、藤香に対する支配が強まっているー

藤香を完全に支配するのは、時間の問題だー

それにー

男は、邪悪な笑みを浮かべたー

”あること”をすればー
男は、藤香を完全に支配できるー、と、
そう考えていたー。

「--お願い!信じて!」
藤香の叫び声で、
考え事をしていた男は我に返ったー。

先程から、藤香は必死に、
”憑依されてしまった”ことを色々な人に訴えているー

弟の幾多郎、母親、父親にLINEでー、
友達ーーー

しかしー
誰からも信じてもらえなかったー。

”憑依”という現実味のない話題と
エイプリルフール…

藤香にとっては”最悪の組み合わせ”と言えたー。

男は、特別エイプリルフールを意識していたわけではなかったがー
男にとって、エイプリルフールはある意味”武器”に
なったのかもしれないー。

「---ーー信じる」

ーー!?

男は、驚くー。

藤香がたった今、”信じて”と叫んだ相手ー、
藤香の住んでいる家から30分ほどの場所に住んでいる
藤香の祖父がー
彼女の言葉を信じたのだー

「-でもーーそれが本当なら、どうすれば…?」
藤香の祖父が戸惑いの表情を浮かべるー
藤香は安堵の表情でー
「わたしにも分からないけど…でも…!」と、
祖父の方を見つめるー

祖父は神社の主でもあり、
悪霊云々の話にも、若干詳しいー

「---そうじゃな…
 お祓いだけでもしてみるか」

祖父はそう言うと、
藤香の方を見つめたー

”おじいちゃんが…ちゃんと理解してくれてるかは分からないけどー”
と、藤香は思いながらも、ようやく、”憑依された”という
言葉を信じて、真剣に聞いてくれる人間が現れたことに
藤香は安堵していたー

祖父が、「お祓いの準備をするから、ちょっと待っててな」と
笑みを浮かべながら、神社の奥の方に入っていくー

「---ーーさぁ、わたしから出て行って」
藤香はそう呟いたー

”男”に向かってー

男は呟くー

”まさか…………そんなはずは…”
とー。

”お前のおじいちゃん…本当に憑依のことを理解してんのか?”
男が悪あがきをするー

しかし、藤香は、首を振ったー

「--約束は約束ー
 さっき、

 ”じゃあ…そうだなぁ…
 今日中に”誰かに信じてもらえたら”
 俺はお前を諦めてやるよ へへへ”

 ってー言ったでしょ?」

藤香の言葉に、男は”結構気の強い部分もあるんだな”と
思いながらも、悔しそうにー

”わ、、わかった…くそっ”と
呟いたー。

”お前は諦めて、別の身体を乗っ取ることにする…”
男は悔しそうにそれだけ呟くとー

”--じゃあな”
と、藤香の中から抜け出したー

「---ほっ…」
藤香が安堵のため息をつくー

何が起きたのか、自分でもよくわからなかったけれどー
おじいちゃんのおかげでーー

と、安堵の表情を浮かべた藤香ー

しかしーーー

”今だ!”

ー!?

藤香がハッとした直後ーーー

「ひぅっ!?」
藤香がビクンと震えてーーー

藤香は”完全に”乗っ取られてしまったー。

「くく…ふふふふ…ひひひひひひひひひ♡」
邪悪な笑みを浮かべる藤香ー

「あははははははははは~~~っ!
 俺がいなくなったと思って
 ”心に隙”が生まれた瞬間に一気に主導権を
 奪おうとすれば、絶対に完全に乗っ取れると思ったけど、
 案の定だったなぁ!」

藤香が可愛い声で叫ぶー。

「今日はエイプリルフールだぜ~~~?
 ”信じてもらえたら諦める”なんて
 嘘に決まってんだろうがぁ!ひゃははははは♡」

藤香は狂ったように笑うー

もうー
藤香本人の意識を感じないー
声も聞こえてこないー

「ははっ!これで俺は今日から女子高生の藤香ちゃんだ!」
藤香はそう叫ぶとー

”あ、おじいちゃん!エイプリルフールの嘘につきあってくれてありがとう♡”
と、甘い声で囁くと、そのまま意気揚々と神社を後にしたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「-ーーくくくくくくっ」
藤香は邪悪な笑みを浮かべながら帰宅したー

「あ、姉さん」
弟の幾多郎が、そんな藤香を見つけて声をかけるー

「--どうしたんだよ?そんなニヤニヤして」
不思議そうな幾多郎ー。

藤香は笑みを浮かべたー

「-ふふふふ♡ わたし、今、と~~~っても機嫌がいいの♡」
藤香の言葉に、幾多郎は
「へ~、なんかいいことでも?」と、笑うー。

「--うん。ふふふ♡」

”今夜はこの身体でお楽しみ三昧だ”

藤香を乗っ取った男は、
そう考えただけで、ゾクゾクしながら、
自分の部屋へと入るー。

もう、藤香の声は聞こえないー

男の”エイプリルフールの嘘”に騙されて、
完全に心に隙が生まれたタイミングで
強い意志を持って支配したー。

身も心も、完全に支配してやったー

「ふふふふ…ふはははははははっ♡」
悪い声で笑いながら、
胸を揉みまくる藤香ー

「--っと、いけないいけない…」

”お愉しみ”は夜だー。
晩御飯の前に乱れ切ってしまえば、
家族が色々不審に思うだろうー。

藤香の身体を存分に堪能はさせてもらうがー
家族におかしいと思われると色々面倒臭いし、
人前では、それなりに藤香として振舞うつもりだー。

もちろん、”多少おかしい”と感じる人もいるだろうがー
それぐらい止まりであれば、十分だー。

「---くくくくくく…俺が藤香…
 いいや、今日からわたしが藤香よ…!
 
 あは、、あははははははっ♡」

顔を歪めて、何度も何度も笑う藤香ー

♪~~

「--ん?電話」
藤香のスマホを見つめるー

「--もしもし~???」
藤香が普段、どんな風に電話に出ているかは知らないが
とりあえず電話に出るー。

”出品者の愛染です”

「--あ、、え??あぁ、どうも」
オークションに憑依薬を出品していた愛染 亮からの電話ー。

どうして、藤香を乗っ取ったことを知っているのだろうー?

そんな風に思いながら、藤香は続けるー。

「--あ、、おかげで、女子高生の身体をゲットできましたー
 へへ、ありがとうございますぅ~」
藤香に憑依した男が藤香の身体でお礼を言うと、
愛染は軽く笑って”どういたしまして”と呟いたー

”でもー”
愛染の声が低くなるー

”そろそろなので”
とー。

「--え?」
藤香が首を傾げた直後ー
急激に身体から力が抜けていくのを感じたー

”そろそろー
 あなたは消えるので”
愛染の冷たい言葉ー

「--は!?え!?
 憑依すれば、ずっとその身体を乗っ取れるってー」

藤香が慌てた様子で叫ぶー

”--今日は、何の日かな?
 何故、僕が、4月1日に憑依薬が届くように指定したか、
 分からないのかな?”

愛染が馬鹿にするようにして呟いたー

”僕はねー
 憑依が憎いんだー
 それを買うようなやつらもー

 だから、それを売り、撲滅するための資金を稼ぎー
 そして、私利私欲のために憑依する人間をー破滅に追いやっている”

愛染の言葉の意味が分からないー
だが、憑依に対する強い憎しみを、藤香は感じたー

「--ま、、まさか…エイプリルフール…」
藤香に憑依した男は震えるー

”そ、今日はエイプリルフールだ。
 ずっと憑依できるっていうのはー嘘だ。
 その憑依薬は、半日ちょっと限定ー

 終われば君は消えるー”

愛染の言葉に、藤香に憑依した男は泣き叫びそうになったー

藤香をエイプリルフールで陥れた自分がー
憑依薬の出品者にエイプリルフールで陥れられたー

「--ま、、待ってくれーーたすけ

”さよなら”
愛染の冷たい言葉と共に、電話が切れたー

「--あ、、、あ…うあああああああああああ!」
藤香に憑依した男は、自分が消えていくのを感じながらー
最後の叫び声をあげたー

・・・・・・・・・・・・・

「----う…」
数十分後、藤香は無事に意識を取り戻したー

「--あ、、あれ…わたし…?」

理由もわからないまま、自分に憑依していた男は消えたー

藤香は戸惑いながらも、
安堵のため息をつくのだったー

おわり

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コメント

エイプリルフールは昨日で終わっちゃってますが、
エイプリルフールネタの憑依モノでした~!

今日もお読み下さりありがとうございました!!

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