運悪く、憑依されてしまった女子高生ー。
完全に乗っ取られてしまう前に…と
周囲に助けを求めたもののー
今日は「4月1日」だったー。
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高校生の清河 藤香(きよかわ ふじか)は、
目覚まし時計の音で目を覚ましたー
4月1日ー。
ちょうど、春休みの最中ー。
今日は友達と遊ぶ約束をしていて、
その待ち合わせに遅れないために、と
目覚まし時計をセットしておいたのだったー。
「--もう朝かぁ~」
可愛らしい雰囲気の女子高生・藤香は、
真面目で、優しいことから、友達からも
頼りにされるタイプだった。
だがー
そんな彼女はーーー
”狙われて”しまっていたー
「クククー」
藤香の部屋を、窓の外から見つめる男ー。
だが、藤香はその存在に気づいていない。
それもそのはずー
その男は”霊体”のような状態で、
普通の人間からは”目視”できない状況に
あったからだー。
彼はー
ネットオークションで、愛染 亮という名前の出品者が
出品していた憑依薬を購入し、それを服用した男ー。
”女の身体を支配して、好き放題したいー”
その男の目的は、単純明快だったー。
過酷な過去があるわけでもー
藤香に恨みがあるわけでもないー
ただただ、己の欲望を満たすために憑依薬を購入し、
そして、憑依薬を飲みー
霊体となった状態で”一番乗っ取りたい女”を探して
回っていたのだー
そしてー彼は藤香に目をつけたー。
「--ククク…すっげぇ可愛いじゃん…JKか?」
男はニヤリと笑みを浮かべるー
さっき、コンビニで見かけた女子大生と、
早朝に歩いていたOLもなかなか良かったがー
その二人に比べて、この藤香には”若さ”もあるー。
「最高にエロいぜ」
男はそう呟くと、迷わず藤香に憑依したー
「ひぅっ!?」
ビクンと、震える藤香ー。
「ククク…クク…」
藤香がその途端に凶悪な笑みを浮かべてー
自分の胸を触り始めるー。
「---ククク…マジで憑依できた…
へへへへ…早速1発、ヤッちま…
「--!!!」
邪悪な笑みを浮かべていた藤香が突然、我に返るー。
「え…!?」
藤香は戸惑った表情を浮かべるー。
”なにっ!?”
男は驚くー。
一瞬にして、藤香を完全に乗っ取ることが出来るー、
そう、思っていたからだー。
だが、藤香の自我は消えずー
身体の主導権も取り戻されてしまったー
”な、、何故だ…!?”
男は戸惑うー。
自分の意思が弱かったのかー?
藤香の意思が強かったのかー?
相性的な問題なのかー?
普通、一瞬にして支配できるはずなのに…?
「だ、、誰…!?」
藤香が戸惑うー
”こいつ、俺の声が聞こえて…?”
藤香の中で呟く男ー
「”俺”…?誰なの!?」
藤香が叫ぶー
”--チッ”
男は、そう呟くと
”必ずこの女を完全に乗っ取ってやるぜー”と、
むしろ、闘争心に火がついた状態で、笑みを浮かべたー
”俺か?俺は、お前の身体を乗っ取るために、
お前に憑依したんだ”
闘争心に火がついた男は、
包み隠さず、自分の目的を藤香に話した。
「--え…!?憑依……乗っ取る…?
ど、どういう…?」
当然、”憑依”のことなど全く知らない藤香は
戸惑ってしまうー。
”憑依”という言葉の意味は理解できても、
藤香に憑依した男が、何を言っているのか、
理解できないのだ。
”憑依薬でお前の身体に憑依したんだよ。
お前の身体は、これから俺のものになる。
俺が女子高生として…ひひひ…
色々なことをシちゃうんだよ。 わかるか?”
男が笑うー。
「そ、、そんな…」
驚く藤香ー
そんなことが実際に出来るのだろうかー。
いやー
今、自分の頭の中に声が響き渡っている
この状況ー。
藤香はイヤでも男の言葉を信じるしかなかったー
「ほらっ…ふひっ」
スカートの中に手を突っ込む藤香ー
手と口が勝手に動くー。
「--ひっ!?!?や、、やめて!」
藤香がすぐにスカートから手を出すと、
怯えた表情でそう叫んだー。
”へへへ…憑依に抵抗できるなんて
すげぇじゃねぇか…”
男は、藤香の身体の主導権をなかなか
全て奪うことが出来ない状況に、
少し、驚きを隠せなかったがー、
それでも余裕の笑みを
藤香の中で浮かべていたー
何故ならー
”だんだんと藤香の身体が馴染んできている”
のを、感覚的にしっかりと感じるからだー。
「--お前の身体は、俺のものになるんだー
お前の胸も、揉みまくってやるから、安心しろ」
藤香の口から、絶対に自分が言わないような言葉が
吐き出されて、藤香は困惑しながら
自分の口を押えるー。
「ふふふふっ、無駄だぜーー
や、、やめて!」
藤香はたまらず、部屋を飛び出したー
すぐに、藤香は隣の部屋に駆け込んだー。
「--あっ!姉さん」
弟の幾多郎(きたろう)が、
姉の藤香に気づいて、笑みを浮かべるー
「き、、幾多郎…!助けて!」
藤香が泣きそうになりながら言うー。
「--え!?!?」
驚く幾多郎ー
藤香の手が勝手に動きー
藤香は自分の左胸を揉み始めるー
「あ…??ちょ、、姉さん、何してるんだよ?」
幾多郎は思わず失笑しながら
突然胸を揉み始めた藤香の方を見つめるー。
「-ち、、違うの…!わ、、わたしの中に…
知らない男の人が入ってきてー…!
わたし、憑依されちゃったの!」
藤香は必死に叫んだー。
「---ひ、、憑依…?」
唖然とする幾多郎ー。
藤香が自分のスカートの中に手を突っ込んで
歪んだ笑みを浮かべ始めるー。
「--く、、、くくくく」
目に涙を浮かべていた藤香が笑いだすー。
「--お前のお姉ちゃんは、もうすぐ俺のものになるんだ」
藤香の身体の主導権を握った男が、
危険な笑みを浮かべながら、
弟の幾多郎を見つめたー。
知らない男に乗っ取られてしまった姉・藤香を見つめながら
唖然として言葉を失ってしまう幾多郎ー。
しかしー
幾多郎は、ふと、カレンダーを見つめると
笑みを浮かべたー
「---ははっ、エイプリルフール!」
とー。
「---え?」
藤香を乗っ取っていた男が、きょとんとした表情を浮かべるー
直後、藤香の顔つきが変わって「ち、、ちがう!違うの!」と、
主導権を取り戻した藤香が叫ぶー。
「はははははっ!姉さんがそんな大胆なこと
するとは思わなかったよ」
弟の幾多郎は、そう言いながら笑うと、
自分の部屋の壁に貼り付けてあるカレンダーの
”4月1日”の部分を指さしながら笑みを浮かべたー
「エイプリルフールネタだろ?姉さん。
危うく引っかかるところだったよ、ははは!」
笑う幾多郎ー
「ち、、ちがっ…!きた…
あっ…
ふふふ…
そう、エイプリルフール♡」
途中で、再び乗っ取られてしまった藤香が
笑みを浮かべると、
幾多郎と一緒に、藤香は笑いながら、
そのまま部屋の外に出たー。
藤香は、再び身体の主導権を取り戻すと、
階段を下りて、1階の母親に助けを求めたー
「--お母さん!助けて…!
わたし、、わたし、憑依されちゃった…!」
藤香はそう叫ぶと、
慌てて自分の現状を説明したー
弟の幾多郎の”失敗”を生かして
「エイプリルフールネタじゃなくて本当なの!」と
必死で叫ぶ藤香ー
唖然としている母親ー。
直後、藤香は再び乗っ取られて、
母親の前でスカートをめくり始めるー。
「じゃーん!わたし、痴女デビューしちゃうの!」
藤香の奇行ー
唖然としたままの母親が、言葉を失っていると、
藤香は「エイプリルフールだからね!てへっ♡」と笑みを浮かべて
そのまま立ち去ってしまったー
”違う!違う!わたしの身体を返して!”
藤香本人の意識が必死に叫ぶー。
身体の主導権の奪い合いー。
藤香はなんとか、身体の主導権を取り戻すと、
”早く…早く…誰か、、助けて!”と、悲鳴を上げながら、
家の外に飛び出したー。
今度は、”一緒に遊ぶ約束”をしている友達に
助けを求めようとしたのだー。
「----」
友達との待ち合わせ場所に向かう藤香ー
「--?」
藤香は歩きながら、”ある異変”も感じていたー
さっきまで脳内に響いていた男の声が聞こえなくなっているー
身体の主導権を奪われることもー。
「--(いなくなったのかな?)」
一瞬そう思いながらも、藤香はとにかく、友達との待ち合わせ場所に向かいー、
親友の山野 久恵(やまの ひさえ)と合流したー。
「顔色悪いけど、大丈夫?」
心配そうにしている久恵ー。
「---だ、、大丈夫…」
藤香の顔色は優れないー。
さっきのはいったいー?
けれど、男の声はしなくなったしー…
そんな風に考えているとー
再び、男の声が聞こえて来たー
”へ~可愛い子だなぁ~”
男の声が再び脳裏に響いたー。
「--!!ま、、まだいたの!?」
藤香が叫ぶー。
突然、独り言のように藤香が叫んだことに
久恵は驚き、藤香の方を
不気味そうに見つめるー。
「ふ…藤香?ど、どしたの?」
久恵の言葉に、藤香はギクッとした様子で
「え…あ、、、わ、、わたしの中に、知らない男の人が!」と
叫んだー。
”へへへ…俺の声がしなくなったから、俺が出てったと思ったのかぁ?
甘いなぁ
お前の友達がどんな子か見たいから、大人しくしてただけだぜ?”
男の言葉に、
藤香は「ひ、、久恵に手を出さないで!」と叫んだー。
久恵はきょとんとした様子で
「あ、、あの…大丈夫?」と首を傾げているー。
藤香は咄嗟に「だ、大丈夫じゃない!助けて!」と叫ぶー。
「--…え…」
久恵は何が起きたのか全く理解できていない様子ー。
「--わ、わたし、、憑依、、憑依されて…身体を勝手に!」
藤香が泣きそうになりながら叫んでいるー。
けれどー
久恵は、信じてくれなかったー
「ーーあはっ!エイプリルフールネタ?」
笑う久恵ー
”タイミングが悪すぎる”
藤香はそう思ったー
”知らない男の人に憑依されました”
なんて言っても、
なかなか信じてもらえないであろうことは、藤香にも分かるー。
藤香と久恵の立場が逆だったらー。
久恵から「わたし、知らない男に憑依されたの!助けて!」なんて言われたらー。
やっぱり、藤香はすぐには信じないだろうし、
ネタだと思うかもしれないー
しかもーー
運が悪い、というべきだろうかー。
今日は”エイプリルフール”-
母も、弟も、久恵も、
みんな”エイプリルフールネタ”だと思ってしまって、
まともに相手をしてもらえないー。
”へへへ…女の子同士なら、何しても許されそうだなぁ…”
男の声が響き渡るー
藤香はハッとするー
この男は、自分の身体を乗っ取って、久恵に何かするつもりなのだとー。
「に、、逃げて!」
藤香は咄嗟に叫んだー。
「---え…」
久恵は既に”ドン引き”とも言えるような表情をしているー。
「-ー逃げてーーーーーーーーーー!!!」
藤香が、大声で叫ぶー。
「-----…さすがにエイプリルフールって言ってもー
やりすぎは良くないよ?」
久恵が呆れ顔で言うー。
藤香がビクンと震えたー
「--ごっめ~~~~ん」
藤香が突然笑みを浮かべて近づいてくるー
そしてー
「ーーーごめんなさいのぎゅー♡」
と、藤香は突然久恵に抱き着いて、いきなり久恵にキスをしたー。
路上でいきなり女子高生二人がキスをしているのを見て
通行人たちがぎょっとするー
久恵も、唖然とした様子で藤香を見つめるー
「--ふふふ…女の子同士なんだから、いいでしょぉ?」
藤香の言葉にーーー
”-ーー逃げて!”
藤香は心の中で叫ぶー
けれども、その言葉は届かないー
それどころかーー
藤香の言葉にー
久恵は少しだけ顔を赤らめて、
「う、、うん…」
と、恥ずかしそうに答えたー。
”う、、うん、、じゃない~~~~!!!!!!!!!!”
心の中で藤香は大声で叫ぶー。
しかしー
そんな藤香の叫びもむなしく
男に乗っ取られた藤香は、久恵と共に
カラオケボックスに向かってしまったー
②へ続く
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コメント
今日から4月ですネ!
エイプリルフールということで、
今年は「エイプリルポゼッション」を書いてみました~!
明日も続きます!
ぜひお楽しみくださいネ~!
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