結婚式当日の、彼女からの衝撃の告白ー
それを聞かされた彼氏の決断と
彼女を”皮”にしていた男の運命は…?
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「---え…?」
果里奈は驚くー
控室に戻って来た尚樹は、
親族全員に土下座をして、帰って貰ったのだというー。
”自分が全部悪い”
そういうことにして、親族に帰って貰ったー、と。
しかも、その顔にはあざのようなものがあるー
激高した親族のひとりに殴られたのだというー。
「--ごめんなさい…本当に、、ごめんなさい」
果里奈の言葉に、
尚樹は「いいさ」と呟くー。
「--親からは”恥さらしめ”って言われたけどー」
と、尚樹は苦笑いするー。
結婚式当日に突然、息子が結婚式の中止を宣言しrたことで、
尚樹の両親は激怒してしまったのだというー。
当然、果里奈側の親族たちもそうだー。
しかし、尚樹は「全て自分のせい」としたうえで、
その場で婚約破棄を宣言ー
”果里奈は何も悪くないんです”と
全ての罪を自分で被ったー。
「どうして、、そこまで…?」
果里奈が涙を浮かべながら言うと、
尚樹は笑ったー
「--だって…
このまま君と結婚するわけにはいかないだろ?
それにーー
果里奈…いいや、その子が正気を取り戻したときー
その子からすれば、俺は他人だからー。
だから、結婚するわけにはいかないし、
婚約破棄しておかないと、その子が困ってしまう…
だろ?」
尚樹が笑うー。
果里奈は「うん…そう…そうだよね」と頷くー。
果里奈は、尚樹と出会った時には既に”茂”という
男に皮にされて乗っ取られていたー
それ故に、本当の果里奈は、そもそも尚樹のことなど知らないー。
茂が果里奈を解放したらー
果里奈と尚樹は全くの”他人”なのだー。
だからこそー
婚約は破棄しておかないといけないー
尚樹はそう考えたー
”数年ぶりに正気を取り戻した果里奈”からしてみれば
”いきなり婚約者がいる”なんて状況は耐えられないかもしれないからー
「--もう一度確認するけど、”その子を元に戻すことはできる”んだな?」
尚樹が言うと、
果里奈は頷くー
そして、ウェディングドレス姿のまま、果里奈は注射器を取り出したー
「これが、元に戻すための注射です」
果里奈が悲しそうに呟くー
皮にした果里奈を脱いだ後に、これを打ち込めば
果里奈は元に戻るのだというー。
「--そっか」
尚樹は、その注射器を受け取って机の上にそれを置くと、
「--じゃあ……俺も一緒に話をしてあげるからー
その子を、脱ぐんだ」
と、尚樹はまっすぐ果里奈を見つめたー
果里奈はーー
果里奈を乗っ取っている茂は震えていたー。
果里奈を脱げばー
自分は、元・果里奈ー
いいや、ただの30代の男に逆戻りだー。
また、暗い未来が待っているー
そう考えただけでー
「---…どんな姿でも、俺は君には感謝してるー。」
尚樹が呟いたー
「--彼女としてはもう、見ることはできないけどー
友達には、なれるー」
尚樹の言葉に、
果里奈は目に涙を浮かべたー
「--どこまでいい人なのよ…あなたは…
婚約破棄の責任も、全部自分で被るし、、
わたしにも…優しいし…」
果里奈の言葉に、
尚樹はほほ笑むー。
”果里奈本人”が傷つかないように
全ての罪を被り、親族に謝罪した尚樹ー
果里奈のせいにすれば、果里奈が正気を取り戻したあとに
困るだろうし、
かと言ってこのまま結婚すれば、果里奈の人生は奪われたままー
”皮”のことを言えば、親族たちから茂は猛攻撃に晒されるし、
果里奈本人も変な目で見られて色々困ることが出て来るだろうー。
だからー
尚樹は全ての罪を自分で被ったのだと説明したー
「----…うん」
果里奈は頷くー
尚樹のそこまで強い思いを見せつけられて
自分が逃げるわけにはいかないー
「---…でも…わたし…なんて言われるかな…?この子にー」
涙ぐむ果里奈を見て、尚樹は真剣な表情で果里奈を見つめたー
「---色々、言われるだろうなー。
でも、君は悪いことをしたんだー。
色々言われる義務が君にはあるー。
償いと報いは、全部受けるんだー。
その子は君に人生を奪われたー
だから、その子に何を言われても
君は受け入れないといけない」
尚樹の言葉に、
果里奈は、泣きながら頷いたー
「-事情は俺も一緒に説明してあげるからー。
さぁ、脱ぐんだ」
尚樹が言うと、
果里奈は、ついに決心したのか、頷いたー
尚樹はあくまでも”当事者間”で解決するつもりだったー
果里奈を傷つけないためにーー
「---」
果里奈の後頭部に手を触れる茂ー。
「---今まで、ありがとう」
果里奈の口でそう呟くと、茂は果里奈の皮を脱ぎ始めたー。
「--もし、果里奈ちゃんが…騒ぎ始めたらどうするんですか…?」
茂は悲しそうに、果里奈の上半身を脱ぎながら呟くー
”果里奈のために大事にしたくない”
尚樹はそう言っていたー。
だが、果里奈本人が、怒り狂って親族から警察から、
あらゆる人に”皮”のことを言う可能性もあるー。
「--その時は、その子の意思を尊重しないとー。
君は…悪いことをしたんだ。
それは、受け入れないといけないー。
その子が望むなら、俺は、止めないー」
尚樹の言葉に、茂は「……」と、戸惑いながらも、
無言でうなずいたー。
果里奈がそれを望むのであればー
騒ぐことにより果里奈自身が傷つくことも
あるだろうけれど、尚樹はそれを止めない、と言ったー。
”奪われた側の果里奈”が、何もかも選択するんだ、と尚樹は続けたー。
「--果里奈と出会ってからのことは、俺がちゃんと説明するから、
安心するんだ」
尚樹の言葉に、果里奈の皮を半分ほど脱いでいた茂は頷きー
そしてー
ついに果里奈の皮を全て脱ぎ終えたー
果里奈の皮が床に横たわるー
茂は寂しそうに果里奈の皮を見つめるー。
果里奈が正気を取り戻したらー
何て言われるだろうかー。
いや、まずは何て声を掛けるべきだろうかー。
果里奈の大学生時代を奪いー
勝手に人生を謳歌してしまったー。
自分は、果里奈に殺されたとしても
文句は言えないだろうー。
いいやー
それではこの子が犯罪者になってしまうー
もしー
この子が”死ね”と望むのであれば、
茂は、果里奈の目の前で自殺する決意をしていたー。
尚樹の言葉で、自分の罪の重さに気づいたからだー。
これからはー
果里奈の望むままに、全ての罰を受け入れるー、
と。
「----え?」
茂がふと、顔を上げると、
尚樹が、果里奈の皮を手に掴んでいたー。
尚樹が、机に置いた注射器を手にするー
”皮にされた人間を元に戻す注射器”だー
「--あ…あぁ、それは首筋のあたりに注射しろって
説明書に書いてありました」
茂が、説明するー。
確か、そう書いてあったはずだー
「--わかった」
尚樹はそう微笑むと、
突然、注射器を床に落としたー
そしてー
それを踏みつぶしたー
「--え?」
茂は唖然とするー
尚樹が、果里奈の皮を着始めるー。
「--え???え???」
茂は、意味が分からず戸惑うー
やがてー
果里奈の皮を全て身に着けてー
ウェディングドレス姿の果里奈になった尚樹は
にっこりとほほ笑んだー。
「--脱いでくれて、ありがとう」
とー。
「---は?」
茂は唖然としているー
尚樹が何を言っているのか、全く理解できなかったー。
「---俺が君の代わりに、果里奈になる」
果里奈になった尚樹は笑みを浮かべたー
「--え、、、え、、??ど、どういう…?」
茂は震えながら呟くと、
果里奈はにっこりと笑ったー
「--まさか…こんなことが…できるなんて…
俺が、本当に、、果里奈に…」
うっとりした様子でウェンディングドレス姿の自分を見つめている果里奈ー
そんな様子を見ても、茂はまだ状況を理解できていなかったー。
尚樹は”果里奈を元に戻して話し合おう”と言っていなかっただろうかー。
「---…君から、果里奈を脱がせるために、適当言って悪かったな」
果里奈が言うと、
茂は「い、、意味がわからない!」と叫んだー。
果里奈は笑うー
茂から話を聞いてー
”自分もそうなりたい”と尚樹は思ってしまったのだとー。
そして、なんとか果里奈の”皮”を横取りしたいと考えた尚樹はー
茂が果里奈を脱ぐように仕向けたのだとー。
「--え…え…?ちょ、、え…う、、嘘…?」
茂は唖然としてしまうー
果里奈はほほ笑んだー。
その表情は、歪んでいたー。
果里奈の皮を着こんだ尚樹は、
自分が愛し続けてきた果里奈の衝撃の事実を知り、
表には出さないようにしていたものの
強いショックを受け、精神が崩壊してしまっていたー。
そして、茂の話を聞いているうちに
果里奈の皮を着れば、自分が果里奈になれるんじゃないか、
と考え始めー、
茂を言葉巧みに誘導し、果里奈の皮を脱がせて
自分が果里奈の皮を着たのだったー
「--だ、、騙したな…!」
茂が叫ぶー。
尚樹が、茂を受け入れて、
元に戻った果里奈に一緒に事情を話してくれると
言っていたからこそ、茂は皮を脱いだのにー
「--だましたのは貴様だ!!!!!!!!!!!!」
果里奈が鬼のような形相で叫んだー
「--俺は、、俺はずっと、果里奈を、、果里奈を、、
それなのに、皮でした???
本物の果里奈は、俺のことなんて知らない???
そんなこと、、
そんなこと、ふざけるなあああああああああああ!」
果里奈を着た尚樹が、ずっと我慢していた感情を
爆発させたー
「--っ!」
茂は何も言い返せなくなってしまうー。
自分が、果里奈を何年も乗っ取っていたのは、
事実なのだからー。
「--俺、考えたんだー
俺も、果里奈も、お前も!幸せになるためにはー!」
果里奈になった尚樹が茂の手を掴むー。
「俺はー
果里奈と一緒にいたいー
でも、果里奈が正気を取り戻せば
果里奈は俺のことを知らないー
だから、俺が果里奈そのものになるー
果里奈はー
今更数年間乗っ取られていた状態で正気を
取り戻したらひどく悲しみ、錯乱するだろうー
だったら、俺がずっと乗っ取って、
眠ったままにしてあげたほうがいいー
果里奈の親族もそうだー。
娘が乗っ取られていた、なんて知りたくないだろうー
俺が、いい娘を演じてやるー
そして、お前はー」
ーー!
茂は唖然としたー
果里奈がわざとウェディングドレスを乱して
「助けてください!知らない人が!」と控室の外に
泣きながら飛び出していくー。
すぐに係員や呼ばれた警察が駆けつけて
唖然としている茂はそのまま連行されたー
「--あいつは皮にされて!」
そんな茂の叫びは”頭のおかしなやつ”と
判断されて、誰にも聞き入れてもらえなかったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
後日ー
果里奈と尚樹が笑いながら写っている
写真を見つめながら、
果里奈になった尚樹は、涙をこぼしていたー
泣きながら、笑っていたー
そしてー
鏡に映る自分自身にキスをするー
「--果里奈…愛してるよ」
果里奈になった尚樹はそう呟くー
そして、果里奈になった尚樹は、果里奈のフリをしながら
一人二役で答えたー
「うん…尚樹…わたしもよ…」
そう呟き終えると、
果里奈は泣きながら、狂ったように笑い始めたー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
結婚式当日の衝撃の告白に
彼は耐えられませんでした‥・!
お読み下さりありがとうございました~!
コメント
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衝撃的すぎる告白を聞かされた割に落ち着いてて妙など思ってら、やっぱり耐えられずぶっ壊れちゃってたんですね。
まあ、無理ないですよね。今まで自分が愛していた相手が架空の人物だったみたいなものですから。
「憑依ディストピア」みたいに皮ではなく、憑依だったなら、まだ受け入れられる可能性もあったかもですが、皮ではねぇ。皮モノって、憑依に比べると偽物感が強すぎますからね。憑依なら視覚的には全く分からないですが、皮だと脱いでる状態で視覚的に偽物だと分かっちゃいますし。
この話を見てると、「わたしは、わたしじゃなかった」の主人公の判断、選択は正しかったと思えますね。
罪を告白するのは、告白する方はスッキリしますが、される方は大抵、辛く、苦しい思いするだけで聞き損みたいなものですからね。相手の気持ちを考えたら無責任です。
例え罪悪感があろうとも、茂は真実を打ち明けるべきじゃなかったですね。黙ってれば皮にされた果里奈はともかくとして、みんな幸せだったのに。
騙し続けるのが辛いというなら、そもそも結婚まで話を進めずに、別れるべきだったのでは?
茂は想像力とか思慮が足りなすぎましたね。打ち明けるにしてもタイミングが最悪最低すぎですし。
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コメントありがとうございます~!
一番傷つく人が少ないパターンは、そのまま結婚してしまうことでしたネ~
本編のエンドだと、結局果里奈は着られたままですし…汗
ちなみに、茂はプロポーズの時に、マリッジブルーのような感じで、
急に罪悪感に襲われたので、結婚の話が出る前に離れる…
もう手遅れな感じでした~!