脳移植により入れ替わったふたりー。
身体を取り戻そうとする少女ー
復讐を遂げようとする悪徳企業の社長ー。
ふたりの、運命は…?
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「--ーーー何があった?」
国際犯罪組織・ガルフの幹部、クサナギが、
倒れているアダチを見つめるー。
「--へ…クソ…あのおっさんJK、俺の頭を急に
殴りつけてきやがったんすよ!」
アダチがうつぶせのまま顔を上げて
クサナギを見つめるー
「---テメェ、へましやがったな?」
クサナギの言葉に、アダチは「--あのおっさんが急に!」と叫んだー
だがー
その言葉はすぐに銃声によって打ち消されたー
アダチは、そのまま動かなくなるー。
「--チッ クソが」
へまをしたアダチを容赦なく射殺したクサナギが
険しい表情で歩き出すー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--わたしの身体…返してもらいますから!」
泣きながら叫ぶ典夫(尚美)-。
尚美(典夫)は「落ち着けよ」と、呟くー。
「---……」
典夫(尚美)にナイフを突きつけられたガルフの外科医・モウリが
唾をゴクリと飲み込むー
「--そんなことして何になるー?
ほら、、その医者を離せー
でないと…ほら、、、」
尚美(典夫)が自分の胸に手を触れるー
「--お前の胸…揉みまくってやるぞ…!
ふは、、ふひひひひ」
尚美(典夫)が表情を歪めながら
自分の胸を触り出すー
「--か、、返して…!わたしの身体を!!!」
典夫(尚美)は泣き叫びながらモウリの首に傷をつけていくー
モウリの首筋から少しだけ血が垂れるー。
「---やめろ!!!お前の身体、滅茶苦茶にするぞ!」
尚美(典夫)がそう叫びながら、両胸を乱暴に揉みながら
気持ちよさそうに声を出すー
「-ーーわたしの身体でそんなことしないで!!!!!!!!!!」
典夫(尚美)が泣き叫ぶー
「--お前の親父がわるいんだよ!!!
俺の会社を告発しやがるから…!
お前らが俺に喧嘩を売って来たんだ!!!
だから、この身体で、俺はお前の親父を滅茶苦茶にしてやるんだ!!!」
尚美(典夫)が、
尚美の声でこんな声が出せるんだ、と驚いてしまうぐらいに
狂暴な口調で叫ぶー。
「---そんな………そんなの、、、逆恨みでしょ!
お父さん言ってたーー
”俺の働いている会社は悪いことばっかりしてる”ってー」
典夫(尚美)が泣きながら叫ぶとー
尚美(典夫)が鬼のような形相で、典夫(尚美)を睨んだー
その時だったー
「--やってくれるじゃねぇか」
銃を持ったクサナギがやって来るー
典夫(尚美)が、驚いて、
モウリにナイフを突きつけたまま、クサナギの方を向くー
「動かないで!動いたら、この人をー
パァン!
「--!?」
「--!?!?」
尚美(典夫)も、
モウリにナイフを突きつけていた典夫(尚美)も驚くー。
クサナギが、モウリを撃ったのだー。
悲鳴を上げて床に倒れるモウリー。
「--今までご苦労だったな ヤブ医者」
そう言いながらクサナギは無表情で床に倒れたモウリに
さらに銃撃を加えるー
「そ、、そんな…」
震えている典夫(尚美)-
クサナギは他の部下に指示をすると、典夫(尚美)をそのまま
隔離室へと運ばせたー
「--で?頭痛だったっけ?」
クサナギがうすら笑みを浮かべながら
尚美(典夫)を見つめるー
「あ、、、あ、、、あぁ…」
尚美(典夫)はあまりの恐怖にお漏らしをしてしまっていたー。
ショートパンツが濡れてー
太ももから、尚美の尿が零れ落ちるー。
「--へへへ、びびんじゃねぇよ。
外でお漏らしするJKなんて、絵にならねぇぜ」
クサナギはそれだけ言うと、モウリの机を乱暴にいじりながら
引き出しから、痛み止めと安定剤を手渡したー
「--これさえ飲んどきゃ安心だ」
クサナギがクスリを手渡しながら言うー。
「--あ、、、あぁ」
尚美(典夫)が震えながらそれを受け取るー。
典夫は悪徳企業の社長だがー
殺しはしていないー
クサナギが目の前でモウリを射殺したことで、
尚美(典夫)は恐怖していたー。
「--安心しろ
俺は”本当に必要なもの”は捨てねぇ。
捨てるのは”いらねぇもの”だけだ。
な??
お前は大事なモルモットだ。
な?????」
クサナギの言葉に、尚美(典夫)は「あ、、、あぁぁ…」と頷くー
「--そいつの父親ー
今村 真人、、だったっけ?
復讐するんだろ?
お前はそれをやってればいいー」
クサナギはそこまで言うと、
「漏らしたまま帰るのはきついか」と笑みを浮かべながら
「--おい!タドコロ!」
と、叫びー
部下のタドコロに、着替えを持って来させた-
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
尚美(典夫)は帰宅すると、
クサナギのことを思い出しながら、震えていたー。
だがーー
「---とにかく俺は、俺の会社を告発しやがった、あいつを
破滅させてやるー」
尚美(典夫)はそう呟いたー
その晩からー
尚美(典夫)は父親を誘惑したー
ネットで購入した過激なコスプレ姿で、父親の真人を誘惑するー
何故だかー
”誘惑すると”頭が痛む気がしたがー
痛み止めを飲みながらなんとかそれを乗り越えるー
真人は誘惑には乗らないー
なかなか思い通りにいかないことに怒りを感じた尚美(典夫)は、
強硬手段に出たー
「-ねぇ、、いい加減、わたしをイライラさせんなよ」
尚美として振舞うことも忘れて、尚美(典夫)は、
狂った表情で、父親の真人を押し倒したー
困惑する真人にー
強引に過激な行為を繰り返すとー
尚美(典夫)は滅茶苦茶になった状態で、
”わざと”泣き叫んでー
乱れた格好のまま、母親の部屋に飛び来んだー
「お父さんが、お父さんが、、わたしを、、助けて…!」
とー。
真人は「何を言ってるんだ!?尚美!」
と叫んだー
しかし、母親は、”尚美が自ら父親を誘惑する”なんて
夢にも思わず、夫の真人が、娘の尚美に手を出したー
と、思ってしまいー
真人と妻の間に亀裂が入ったー
「ククク…」
尚美(典夫)が笑みを浮かべるー
「-お前を滅茶苦茶にしたらー
あとは、この身体で好きにー」
ズキー
ズキ…
ズキ…
頭の激痛が強くなり、
尚美(典夫)は頭を抱えたー
「うあっ…あああああ」
尚美(典夫)はしゃがみ込んでー
その場から動けなくなってしまったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「なんだって?」
後日ー
クサナギにそのことを相談した尚美(典夫)-
”父親を追い詰めると、頭痛が酷くなるー”
そう、相談したー
クサナギは考え込むー。
「-----……”拒絶反応”」
クサナギはそう呟いたー
「--なに?」
尚美(典夫)が言うとー
「おい!」と、クサナギは既に用意していた
モウリの後任の外科医・ハマザキを呼ぶー
「---はい。」
ハマザキは頷くと、淡々と説明を始めたー
”脳移植”をして、入れ替わっても
潜在的にその身体には”意思”が残っていてー
”元々の身体の持ち主と真逆の行為”をすると
本能が”脳を敵”とみなしてしまい、
身体の免疫力が脳を攻撃してしまうのだというー。
体内に入り込んだウイルスを駆逐しようとする
動きと同じようなことが起きるのだとー
「つまり?」
クサナギが、ハマザキに先を促すと、
ハマザキは続けたー
「つまりー
現時点では入れ替わってもー
”元の持ち主が絶対にしないようなこと”を
その身体ですれば、拒絶反応が起きることが多い、
そういうことになります」
ハマザキの言葉に、
尚美(典夫)は叫ぶー
「って、、、ってことはーー
俺はこの子らしく生きないとーー
いずれーー」
「--そう。脳に負担がかかりすぎて、死ぬでしょうね」
ハマザキは無表情で答えたー
「そんなーー」
尚美(典夫)が唖然としていると
クサナギが「まぁ、仕方ないわな」と他人事のように呟いたー
「--わ、、分かってる…お、、俺は承知の上で
手術を受けたーーー
でも…」
尚美(典夫)の言葉に、クサナギは呟くー。
「”改善”の見込みはあるのかー?」
クサナギの言葉に、ハマザキは首を振ったー
「やはり”脳を移植する”方法での入れ替わりは
なかなか難しいものがあるかとー
副次的な作用は免れませんし、
何度も入れ替わることも難しいー
元々の身体の問題もありますー
先日の例のように”元の身体の持ち主”の意思に
染まり、自我を失う例も考えられますー
組織として利用するには、かなりハードルが高いかと」
「チッ」
クサナギはハマザキからの報告を受けて舌打ちしたー
”他人の身体を乗っ取る”
それが出来れば、組織としても大きな前進ー
悪事もこなしやすくなるー
そして、クサナギのガルフ内での地位も確実に上がるー
だがー
やはりー
”まるで魔法のように入れ替われる”か
”他人を無理やり乗っ取る憑依”かー。
なるべくリスクの少ない方法を、確立したいー
「---ってことで、失敗だ。残念だったな。社長」
クサナギは、尚美(典夫)の方をポンポンと叩いたー
「--…!!お、、俺は、、死ぬってことか!?」
尚美(典夫)が戸惑いながら呟くー
「--いや?
聞いてただろ?今の話。
その子が本来”絶対しそうな行動”をすると身体に残っている
潜在意識的なもので拒絶反応を起こすーって。
身体が”脳”を外敵とみなして、
そうだな…風邪のウイルスを攻撃するときみたいに、
攻撃しちまうんだ
だから、その娘の父親への復讐は諦めろ」
クサナギはそれだけ言うと、
尚美(典夫)の前から立ち去ろうとしたー。
「---ーま、待ってくれ!俺はどうしてもこの女の父親にー」
尚美(典夫)が叫ぶと
クサナギは振り返ったー。
「--!」
パァン!
「--がっ…」
尚美(典夫)は、驚いたように目を見開いて、
そのまま震えながら、倒れるー。
「 俺は”本当に必要なもの”は捨てねぇ。
捨てるのは”いらねぇもの”だけだ。」
前に言っていた台詞をクサナギが繰り返すー
「-”入れ替わり脳移植”に見込みはねぇ。
お前はザンネンながらー
もう必要のないモルモットになっちまったー」
クサナギはそれだけ言うと、
両手を合わせて、「-安らかに眠りな」と笑みを浮かべたー
「--あ…あ…」
尚美(典夫)が血を流しながら横たわっているー
「--ハマザキ、適当にバラしとけ」
クサナギはそれだけ言うと、尚美(典夫)のいる部屋から
立ち去っていくー
尚美(典夫)は悲鳴に似た叫び声をあげながらー
そのまま、ハマザキに”処理”されたー。
「-------”脳移植”での入れ替わりは
副次的作用が強すぎて、難しい…か」
これまでの何件もの例から、クサナギは、
入れ替わり脳移植は”断念”せざるを得ないと考えていたー。
術後が不安定すぎるー
「--俺は社長だぞ!ここからだせ!」
典夫(尚美)が叫ぶー
典夫になった尚美の方はー
尚美の脳が、自分を典夫だと誤認するようになりー
今では完全に典夫そのものになってしまったー。
実用化するにあたり、これでは困るー
例えば、クサナギ自身が悪事を働くため
女子高生と脳移植で入れ替わったらー
クサナギが女子高生そのものになってしまう
可能性もあるのだー
これでは、自分たちに使うことはできないー
「おい!俺をここから出せ!」
叫ぶ典夫(尚美)-
「---わかった。出してやるよ」
クサナギは笑みを浮かべると、典夫(尚美)も”処分”したー
「-天国か、地獄ー。好きな方に逝けやー」
クサナギはそれだけ言うと、典夫(尚美)の処分を部下に
命じて、そのまま姿を消したー
”脳移植”による入れ替わりは失敗したー
国際犯罪組織ガルフは、”別の手法”による憑依・入れ替わりの手法確立を
模索し始めるー。
典夫の会社は、数々の不正が明るみに出て倒産ー、
尚美の父親、正人は、娘の謎の死に、ただただ涙をこぼすことしかできなかったー。
おわり
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コメント
脳移植 X 入れ替わりでした~!
脳移植による入れ替わりは
色々リスクが高そうですネ~!
お読み下さりありがとうございました!
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