<入れ替わり>裏社会の脳移植③~脳~(完)

脳移植により入れ替わったふたりー。

身体を取り戻そうとする少女ー
復讐を遂げようとする悪徳企業の社長ー。

ふたりの、運命は…?

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「--ーーー何があった?」
国際犯罪組織・ガルフの幹部、クサナギが、
倒れているアダチを見つめるー。

「--へ…クソ…あのおっさんJK、俺の頭を急に
 殴りつけてきやがったんすよ!」

アダチがうつぶせのまま顔を上げて
クサナギを見つめるー

「---テメェ、へましやがったな?」
クサナギの言葉に、アダチは「--あのおっさんが急に!」と叫んだー

だがー
その言葉はすぐに銃声によって打ち消されたー

アダチは、そのまま動かなくなるー。

「--チッ クソが」
へまをしたアダチを容赦なく射殺したクサナギが
険しい表情で歩き出すー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--わたしの身体…返してもらいますから!」
泣きながら叫ぶ典夫(尚美)-。

尚美(典夫)は「落ち着けよ」と、呟くー。

「---……」
典夫(尚美)にナイフを突きつけられたガルフの外科医・モウリが
唾をゴクリと飲み込むー

「--そんなことして何になるー?
 ほら、、その医者を離せー
 
 でないと…ほら、、、」

尚美(典夫)が自分の胸に手を触れるー

「--お前の胸…揉みまくってやるぞ…!
 ふは、、ふひひひひ」

尚美(典夫)が表情を歪めながら
自分の胸を触り出すー

「--か、、返して…!わたしの身体を!!!」
典夫(尚美)は泣き叫びながらモウリの首に傷をつけていくー

モウリの首筋から少しだけ血が垂れるー。

「---やめろ!!!お前の身体、滅茶苦茶にするぞ!」
尚美(典夫)がそう叫びながら、両胸を乱暴に揉みながら
気持ちよさそうに声を出すー

「-ーーわたしの身体でそんなことしないで!!!!!!!!!!」
典夫(尚美)が泣き叫ぶー

「--お前の親父がわるいんだよ!!!
 俺の会社を告発しやがるから…!

 お前らが俺に喧嘩を売って来たんだ!!!
 だから、この身体で、俺はお前の親父を滅茶苦茶にしてやるんだ!!!」

尚美(典夫)が、
尚美の声でこんな声が出せるんだ、と驚いてしまうぐらいに
狂暴な口調で叫ぶー。

「---そんな………そんなの、、、逆恨みでしょ!
 お父さん言ってたーー
 ”俺の働いている会社は悪いことばっかりしてる”ってー」

典夫(尚美)が泣きながら叫ぶとー
尚美(典夫)が鬼のような形相で、典夫(尚美)を睨んだー

その時だったー

「--やってくれるじゃねぇか」
銃を持ったクサナギがやって来るー

典夫(尚美)が、驚いて、
モウリにナイフを突きつけたまま、クサナギの方を向くー

「動かないで!動いたら、この人をー

パァン!

「--!?」

「--!?!?」

尚美(典夫)も、
モウリにナイフを突きつけていた典夫(尚美)も驚くー。

クサナギが、モウリを撃ったのだー。

悲鳴を上げて床に倒れるモウリー。

「--今までご苦労だったな ヤブ医者」
そう言いながらクサナギは無表情で床に倒れたモウリに
さらに銃撃を加えるー

「そ、、そんな…」
震えている典夫(尚美)-

クサナギは他の部下に指示をすると、典夫(尚美)をそのまま
隔離室へと運ばせたー

「--で?頭痛だったっけ?」
クサナギがうすら笑みを浮かべながら
尚美(典夫)を見つめるー

「あ、、、あ、、、あぁ…」
尚美(典夫)はあまりの恐怖にお漏らしをしてしまっていたー。

ショートパンツが濡れてー
太ももから、尚美の尿が零れ落ちるー。

「--へへへ、びびんじゃねぇよ。
 外でお漏らしするJKなんて、絵にならねぇぜ」

クサナギはそれだけ言うと、モウリの机を乱暴にいじりながら
引き出しから、痛み止めと安定剤を手渡したー

「--これさえ飲んどきゃ安心だ」
クサナギがクスリを手渡しながら言うー。

「--あ、、、あぁ」
尚美(典夫)が震えながらそれを受け取るー。

典夫は悪徳企業の社長だがー
殺しはしていないー

クサナギが目の前でモウリを射殺したことで、
尚美(典夫)は恐怖していたー。

「--安心しろ
 
 俺は”本当に必要なもの”は捨てねぇ。
 捨てるのは”いらねぇもの”だけだ。

 な??
 お前は大事なモルモットだ。

 な?????」

クサナギの言葉に、尚美(典夫)は「あ、、、あぁぁ…」と頷くー

「--そいつの父親ー
 今村 真人、、だったっけ?
 
 復讐するんだろ?
 お前はそれをやってればいいー」

クサナギはそこまで言うと、
「漏らしたまま帰るのはきついか」と笑みを浮かべながら
「--おい!タドコロ!」
と、叫びー

部下のタドコロに、着替えを持って来させた-

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

尚美(典夫)は帰宅すると、
クサナギのことを思い出しながら、震えていたー。

だがーー

「---とにかく俺は、俺の会社を告発しやがった、あいつを
 破滅させてやるー」

尚美(典夫)はそう呟いたー

その晩からー
尚美(典夫)は父親を誘惑したー

ネットで購入した過激なコスプレ姿で、父親の真人を誘惑するー

何故だかー
”誘惑すると”頭が痛む気がしたがー
痛み止めを飲みながらなんとかそれを乗り越えるー

真人は誘惑には乗らないー

なかなか思い通りにいかないことに怒りを感じた尚美(典夫)は、
強硬手段に出たー

「-ねぇ、、いい加減、わたしをイライラさせんなよ」
尚美として振舞うことも忘れて、尚美(典夫)は、
狂った表情で、父親の真人を押し倒したー

困惑する真人にー
強引に過激な行為を繰り返すとー
尚美(典夫)は滅茶苦茶になった状態で、
”わざと”泣き叫んでー
乱れた格好のまま、母親の部屋に飛び来んだー

「お父さんが、お父さんが、、わたしを、、助けて…!」
とー。

真人は「何を言ってるんだ!?尚美!」
と叫んだー

しかし、母親は、”尚美が自ら父親を誘惑する”なんて
夢にも思わず、夫の真人が、娘の尚美に手を出したー
と、思ってしまいー

真人と妻の間に亀裂が入ったー

「ククク…」
尚美(典夫)が笑みを浮かべるー

「-お前を滅茶苦茶にしたらー
 あとは、この身体で好きにー」

ズキー

ズキ…

ズキ…

頭の激痛が強くなり、
尚美(典夫)は頭を抱えたー

「うあっ…あああああ」
尚美(典夫)はしゃがみ込んでー
その場から動けなくなってしまったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「なんだって?」

後日ー
クサナギにそのことを相談した尚美(典夫)-

”父親を追い詰めると、頭痛が酷くなるー”

そう、相談したー

クサナギは考え込むー。

「-----……”拒絶反応”」
クサナギはそう呟いたー

「--なに?」
尚美(典夫)が言うとー

「おい!」と、クサナギは既に用意していた
モウリの後任の外科医・ハマザキを呼ぶー

「---はい。」
ハマザキは頷くと、淡々と説明を始めたー

”脳移植”をして、入れ替わっても
潜在的にその身体には”意思”が残っていてー
”元々の身体の持ち主と真逆の行為”をすると
本能が”脳を敵”とみなしてしまい、
身体の免疫力が脳を攻撃してしまうのだというー。

体内に入り込んだウイルスを駆逐しようとする
動きと同じようなことが起きるのだとー

「つまり?」
クサナギが、ハマザキに先を促すと、
ハマザキは続けたー

「つまりー
 現時点では入れ替わってもー
 ”元の持ち主が絶対にしないようなこと”を
 その身体ですれば、拒絶反応が起きることが多い、
 そういうことになります」

ハマザキの言葉に、
尚美(典夫)は叫ぶー

「って、、、ってことはーー
 俺はこの子らしく生きないとーー
 いずれーー」

「--そう。脳に負担がかかりすぎて、死ぬでしょうね」
ハマザキは無表情で答えたー

「そんなーー」
尚美(典夫)が唖然としていると
クサナギが「まぁ、仕方ないわな」と他人事のように呟いたー

「--わ、、分かってる…お、、俺は承知の上で
 手術を受けたーーー
 でも…」

尚美(典夫)の言葉に、クサナギは呟くー。

「”改善”の見込みはあるのかー?」
クサナギの言葉に、ハマザキは首を振ったー

「やはり”脳を移植する”方法での入れ替わりは
 なかなか難しいものがあるかとー

 副次的な作用は免れませんし、
 何度も入れ替わることも難しいー
 元々の身体の問題もありますー

 先日の例のように”元の身体の持ち主”の意思に
 染まり、自我を失う例も考えられますー

 組織として利用するには、かなりハードルが高いかと」

「チッ」
クサナギはハマザキからの報告を受けて舌打ちしたー

”他人の身体を乗っ取る”
それが出来れば、組織としても大きな前進ー
悪事もこなしやすくなるー

そして、クサナギのガルフ内での地位も確実に上がるー

だがー
やはりー
”まるで魔法のように入れ替われる”か
”他人を無理やり乗っ取る憑依”かー。

なるべくリスクの少ない方法を、確立したいー

「---ってことで、失敗だ。残念だったな。社長」
クサナギは、尚美(典夫)の方をポンポンと叩いたー

「--…!!お、、俺は、、死ぬってことか!?」
尚美(典夫)が戸惑いながら呟くー

「--いや?
 聞いてただろ?今の話。
 
 その子が本来”絶対しそうな行動”をすると身体に残っている
 潜在意識的なもので拒絶反応を起こすーって。

 身体が”脳”を外敵とみなして、
 そうだな…風邪のウイルスを攻撃するときみたいに、
 攻撃しちまうんだ

 だから、その娘の父親への復讐は諦めろ」

クサナギはそれだけ言うと、
尚美(典夫)の前から立ち去ろうとしたー。

「---ーま、待ってくれ!俺はどうしてもこの女の父親にー」
尚美(典夫)が叫ぶと
クサナギは振り返ったー。

「--!」

パァン!

「--がっ…」
尚美(典夫)は、驚いたように目を見開いて、
そのまま震えながら、倒れるー。

「 俺は”本当に必要なもの”は捨てねぇ。
 捨てるのは”いらねぇもの”だけだ。」

前に言っていた台詞をクサナギが繰り返すー

「-”入れ替わり脳移植”に見込みはねぇ。
 お前はザンネンながらー
 もう必要のないモルモットになっちまったー」

クサナギはそれだけ言うと、
両手を合わせて、「-安らかに眠りな」と笑みを浮かべたー

「--あ…あ…」
尚美(典夫)が血を流しながら横たわっているー

「--ハマザキ、適当にバラしとけ」
クサナギはそれだけ言うと、尚美(典夫)のいる部屋から
立ち去っていくー

尚美(典夫)は悲鳴に似た叫び声をあげながらー
そのまま、ハマザキに”処理”されたー。

「-------”脳移植”での入れ替わりは
 副次的作用が強すぎて、難しい…か」

これまでの何件もの例から、クサナギは、
入れ替わり脳移植は”断念”せざるを得ないと考えていたー。

術後が不安定すぎるー

「--俺は社長だぞ!ここからだせ!」
典夫(尚美)が叫ぶー

典夫になった尚美の方はー
尚美の脳が、自分を典夫だと誤認するようになりー
今では完全に典夫そのものになってしまったー。

実用化するにあたり、これでは困るー

例えば、クサナギ自身が悪事を働くため
女子高生と脳移植で入れ替わったらー
クサナギが女子高生そのものになってしまう
可能性もあるのだー

これでは、自分たちに使うことはできないー

「おい!俺をここから出せ!」
叫ぶ典夫(尚美)-

「---わかった。出してやるよ」
クサナギは笑みを浮かべると、典夫(尚美)も”処分”したー

「-天国か、地獄ー。好きな方に逝けやー」
クサナギはそれだけ言うと、典夫(尚美)の処分を部下に
命じて、そのまま姿を消したー

”脳移植”による入れ替わりは失敗したー
国際犯罪組織ガルフは、”別の手法”による憑依・入れ替わりの手法確立を
模索し始めるー。

典夫の会社は、数々の不正が明るみに出て倒産ー、

尚美の父親、正人は、娘の謎の死に、ただただ涙をこぼすことしかできなかったー。

おわり

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コメント

脳移植 X 入れ替わりでした~!

脳移植による入れ替わりは
色々リスクが高そうですネ~!

お読み下さりありがとうございました!
 

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