<憑依>親父姉貴②~目覚め~

”姉さん”の中には”親父”がいるー。

そのことを、息子以外には隠しながら
生活していく父。

しかし…?

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「-な~んか、最近、美咲希って時々おっさんぽくない?」
美咲希の友人の一人・佐由子(さゆこ)が笑いながら呟くー

「そ、そ、そ、そんなことないし!」
美咲希が慌てた様子で言うと
佐由子が「ほんと~に~?」と呟くー。

「最近、スマホで経済ニュースばっか見てない~?」
佐由子の言葉に
「の、、覗かないでよ!」と、美咲希が叫ぶー。

「ふふふ、だって~座席が後ろだから
 昼休みとか、普通に見えちゃうし!」
佐由子が笑うー

「じ、女子高生が経済見てちゃいけないって言うの!?」
美咲希の言葉に、
佐由子は「ほら!その”女子高生が”って言い方もなんだか不自然だよ!」と笑うー

「一緒に事故に遭ったお父さんが、乗り移ってたりして!」
冗談を口にする佐由子ー

ギクゥ!
ー図星ー。

美咲希には、
3か月前に、共にバスの事故に巻き込まれて死亡した
父親・剛志が憑依しているー。

「---美咲希がおっさん臭いのなんて、前からでしょ」
近くにいた親友の瞳(ひとみ)が笑いながら呟くー

「え~?」

「--経済ニュースも前から読んでたよ~!
 美咲希、可愛いのに時々おっさんっぽいのは前から前から~!」
瞳の言葉に、佐由子は「へ~、知らなかった~」と笑うー

美咲希は、そんな佐由子と瞳のやり取りを見ながら
少しだけホッとしたようにため息をついたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ふ~疲れたぁ」
制服姿のまま、ボタンを開けて胸元を晒しながら
胸元を仰ぐ美咲希ー

「--っっ」
弟の和雄が目を逸らすー

「--はははははは、そんなに恥ずかしがるなって」
美咲希が笑いながら、制服から少し下着が見える状態のまま
立ち上がるー。

「---ぜ、絶対、俺の前以外でそんなことするなよ…?」
和雄が顔を赤らめながら言うと
「--分かってるよ」と、美咲希は制服のボタンを
閉めながら呟いたー。

「--でも、和雄のおかげで本当に助かってるよ。
 ありがとな」
美咲希が、そう呟くとー、
「--ま、、まぁ、姉さんと親父のためだし」
と、和雄は照れ臭そうに呟いたー。

美咲希に憑依してしまった状態の剛志は、
美咲希として”自然に”ふるまうために、
目を覚ましたあと、和雄にだけこのことを打ち明けて
以降、”美咲希っぽく自然に振るまうためのアドバイス”を
貰い続けているー。

「--お前がいなかったら、
 今頃どうなってたか」
美咲希の言葉に、和雄は、
「でも…もう3ヵ月だってのに、姉さんの意識は戻らないままだよな…」と
悲しそうに呟くー

「--なんとなく”気配”はするからー
 この身体の中にはいると思うんだが…」
美咲希が難しい表情を浮かべるー

「気配?」
和雄が言うと、
美咲希は

「あぁ、この身体の中に何か”別の意識”がいるような感覚…
 言葉じゃ言い表せないけど、
 こうして、他人の身体に入ってるからこそ感じる感覚があるんだ。

 だからー
 美咲希と俺が入れ替わったとか、そういうのじゃなくて、
 俺の魂が、美咲希に入り込んだ状態ー
 なんだと思う」

と、答えたー。

「ふ~ん…なんだか難しいなぁ…
 でも、とにかく姉さんは、姉さんの身体の中にはいる、と
 そういうことだよな?」
和雄の言葉に、美咲希は「あぁ。美咲希の気配を感じるからな」と答えたー

いつ、どうすれば美咲希が目覚めるのか分からないー

それに、美咲希が目覚めた時、父はー

「--俺は、美咲希が目覚めたら消えるつもりだー。
 美咲希が眠っていた間の記憶を、渡すことができればいいんだが
 そういうことが出来るかは分からないからー
 もしもの時は…和雄、お前に頼むぞー。

 お前が美咲希に何があったか、ちゃんと説明してやってくれ」

「--わかった」

和雄は頷くー。

美咲希に憑依してしまった状態であることを
和雄に打ち明けたのには、きっと
”万が一の時のため”でもあるのだろう、と和雄は思ったー

美咲希が意識を取り戻した瞬間に、
もしも、父・剛志が一瞬にして消えたり、
”その間に何が起きたか”話すことができないまま
消えてしまったらー
美咲希は”3カ月以上空白”が出来てしまいー
学校などにも影響が出るだろうー

そうならないようー
事実を知る和雄が、語り部となって、
美咲希に事実を告げるー。

「---…でも、親父がいなくなるのも…
 寂しいよな」

和雄の言葉に、
美咲希は恥ずかしそうに笑うー

「ははっ…
 嬉しいことを…

 でもなー
 この身体は美咲希のものだし、
 俺は、娘に元気でいてくれればそれでいいー
 もちろん、お前にもー。

 だから、いいんだ」

美咲希の言葉に、和雄は複雑そうに頷いたー

ガチャー

!!!

美咲希と和雄が慌てて部屋の入り口を見ると、
そこには母親の功恵がいたー。

「あ、いたいた美咲希~!ちょっと手伝って~!」
功恵の言葉に、美咲希は
「あ、うん~!お母さん!今、行くね!」と
すっかり”女子高生”の振る舞いに戻って、
そのまま和雄の部屋から外に出て行ったー

「--はは、親父も大変だなぁ…
 女子高生の振る舞いすることになるなんて」

和雄はそんな風に呟くと共に
”学校でも絶対、おっさん臭いとか思われてそう”と
苦笑いしたー。

和雄も、高校でどう振舞うべきかのアドバイスは
しているものの、姉・美咲希と通っている高校が
違うために、姉の交友関係や、姉の学校独自の文化やルールに
ついてはアドバイスできないー

あれから3ヵ月ー
なんとかうまくやってはいるようだったけれどー
それでも、”無理”な部分は出ているだろうー。

「---はぁ~あ…
 姉さんと親父、両方助ける方法はないのかなぁ~」

和雄はそんな風に考えたもののー
”父親の身体は既に死んでいる”以上ー
それは難しいと考えて、表情を暗くするのだったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それからもー

美咲希本人の意識が戻ることなくー
時間ばかりが経過していきー
やがて、事故から半年以上が経過したー。

父・剛志はすっかり”ほぼ美咲希”と言えるような
振る舞いを身に着けー
もう、和雄がアドバイスしなくても、何も問題ないー
そんな、状態にまでなっていたー。

学校でも、それは同じー

「--最近、おっさん臭くなくなったよね?」
友人の佐由子が笑いながら近づいてくるー

「え~~?ほんとに?」
笑いながら美咲希が佐由子を見つめると、
佐由子は
「やっぱり事故に遭った直後は、ちょっと変だったよね~」と笑うー。

「--そうかなぁ~?
 でもまぁ、わたしもブルーになってたし、
 そういうこともあったのかも!」
美咲希が言うと、佐由子は「まぁ、どんなでも美咲希は美咲希だからね」と
楽しそうに微笑んだー

・・・・・・・・・

昼休みー
空き教室に向かうー

そこにはーー
親友の瞳が待ち構えていたー

「さ、約束」
瞳が言うー

美咲希はゴクリと唾を飲み込んでから、
瞳と抱き合うー。

瞳が美咲希にキスをして
舌を絡めるー

美咲希の身体を触って
瞳が嬉しそうに声を出すー。

やがて、女子同士の甘い時間が繰り広げられるとー
落ち着いてから、瞳が呟いたー

「--もう、、でも、、完璧ですよ」
とー。

「--そ、、そっか、ありがとうー」
美咲希が言うー

美咲希の父・剛志の”協力者”は
息子の和雄だけではなかったー。

家での振る舞いは、和雄のアドバイスを受ければ十分なのだが
学校での振る舞いは、和雄にはどうすることも出来ないー

だからー
美咲希に憑依してしまった父・剛志は
学校でも”和雄と同じように”、自分が美咲希に憑依してしまった、
ということを誰かに打ち明けることにしたー

その子から”美咲希は学校でどう振舞っていたか”
”交友関係はどんな感じか”ということを
毎日のように聞いて、参考にしていたのだったー

その協力者が、親友の瞳ー。

「---でも、凄いですね。
 半年で、もう、わたしが何も言わなくても
 すっかり美咲希ちゃんで」

瞳が制服を整えながら呟くと
美咲希は「君のおかげだよ」と笑ったー。

親友の瞳は、美咲希が好きだったー
しかし、瞳は、同性であることからその感情を封印していたー

だがー
それに気づいた剛志が”エッチなこと”をすることを
条件に、”取引”をし、瞳がそれを承諾ー

以降、瞳は、剛志が美咲希として振舞えるようなアドバイスや
情報提供をしながら、
その見返りとして美咲希に憑依している剛志は
瞳にこうして時折、自由にさせているのだったー。

”美咲希が目を覚ますまで”
という条件でー。

それ故にー
美咲希になった剛志は
学校でも、プライベートでも、
今ではすっかり”美咲希”として振舞えるようになっていたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それからしばらくした土曜日のある日ー。

「----」
美咲希が、顔色悪く、頭を抱えているのを見て
和雄が心配そうに声を掛けたー

「--なんだか、今日は頭痛が酷くてさ」
美咲希が苦笑いするー

「--大丈夫?」
和雄が心配そうに美咲希を覗き込むと、
美咲希は笑みを浮かべながらー

「はは、それは俺を心配しているのか?
 それとも美咲希を?」
と、意地悪っぽく呟いたー。

「--両方に決まってるじゃないか」
和雄が笑いながら言うと、美咲希は「ありがとな」と呟いて、
そのまま自分の部屋に戻っていったー。

そして、夜ー

美咲希が突然和雄の部屋にやって来るー。

「---ん?なに?」
和雄が言うと、
美咲希は笑ったー

「------なんかさー」
美咲希はそう言うと、和雄に近づきながら呟いたー

「色々、ありがとう」

「--え?なんだよ急に」
和雄が言うと、美咲希は有無を言わさず、和雄にキスをしたー

「むぐっ!?!?!?!?!?」
真っ赤になる和雄ー

「はは、お姉ちゃんにキスされて赤くなるなよ~」
美咲希が揶揄うようにして笑うー

和雄は赤くなりながら
「姉さんの身体で弟にキスするなよ!」
と、反論したー

「--本当に、ありがとなー。
 佐由子を、頼むぞ」

美咲希はそれだけ言うと、
そのまま部屋から立ち去って行ったー

「えっ!?ちょ!?どういう!?」
和雄が唖然としながら美咲希を呼び止めるが、
美咲希は「--まだ頭痛がするから、もう寝ることにするよ」と、
そのまま自分の部屋に戻って行ってしまったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

「----ーー親父ー」

”父”は、消えていたー。

美咲希が目を覚ましたー

美咲希は、全てを理解していたー。
きっと、父が消える前に、今までのことを
伝えることができたのだろうー。

「---和雄」

”久しぶりに”本当の意味で再会した
姉に「おかえり」と和雄は優しく呟くと、
窓の外を見つめながら呟いたー

「--親父…」

きっとー
昨日の頭痛は、美咲希本人の意識が目覚めようとしていたことに
よるものだったのだろうー

そしてー
昨晩のキスはー
”自分が消えることを悟った父”のお礼とー
遺言だったのだろうー

「-俺…姉さんと母さんを支えるよー
 親父の分も」

和雄はそう呟くと、
少しだけ寂しそうに微笑みながら、
自分の部屋の外に向かって
歩き出すのだったー

③へ続く

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「おわり」みたいな展開ですが、
全3話デス~!

続きはまた明日~!

憑依<親父姉貴>
憑依空間NEO

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