<MC>相手がいなければ作ればいいじゃない②~実践~

独身に対する税金が掛けられるようになった
未来のディストピアな世界ー。

そんな世の中には”洗脳ビジネス”が
誕生していたー。

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「--洗脳結婚…?」
克太が驚くー

「そう、相手を洗脳することによって、手に入れるんだ。
 男にも、女にも効果があるから、
 男女どちらでも対応できる」

毒本社長が笑うー。

「--この世界の法律では”洗脳”は違法ではないー
 何せ、本人は幸せな気持ちでいっぱいになるのだからね」
毒本社長の言葉に、
克太は表情を歪めるー。

何らかの思想を植え付けるような意味での”洗脳”は
問題になるかもしれないー

だが、株式会社DOKUSINの洗脳は
一瞬で相手を支配し、以降、本人は服従するのだというー。

現在の法律では、株式会社DOKUSINの使っている手法には
何も問題がなくー
洗脳された本人も幸せそうにしている以上、
法が介入することは、不可能であると毒本社長は説明したー

「で、、でも…他人を洗脳するなんてー」
克太がそこまで言うと、
毒本社長が突然目を赤く光らせたー

その瞬間ー
克太は何の不安もなくなり、
嬉しそうに微笑むー。

毒本社長が神様のように見えてきて
毒本社長を見ていられるだけで、
幸せな気持ちでいっぱいになるー

何の不安もないー
ただただ、幸せー

「---」
毒本社長は、そんな克太の様子を確認すると
笑みを浮かべながら、
1分経過するのを待ったー

1分経過すると共に、克太が正気に戻るー

「はっ…!今のは…!?」
克太が言うと、毒本社長はほほ笑んだー

”洗脳される側”を心配したのだろう?、とー。

「--今、どんな気持ちだった?」
毒本社長の言葉に、克太は驚きながら答えるー

「し、、幸せでいっぱいで…
 何も怖いことはありませんでした…」
とー。

「そうだろう?
 洗脳された側は、幸せを感じたまま相手と結婚するのだ。
 何も、問題はあるまい?」

毒本社長の言葉に、克太は「すげぇ…」と思わずつぶやいてしまうー。

”身をもって体験した”克太に対して、
毒本社長は、2本の”目薬”を取り出したー

「それは…?」
克太が尋ねると、
毒本社長は笑みを浮かべるー

「他人を洗脳するための目薬ー
 そうだなー
 名前はつけていないんだが、
 まぁ、単純に”洗脳目薬”とでも言おうか

 これを自分の目に点眼するー

 そしてー
 その目で相手を”支配したい”と強く念じながら
 目と目を遭わせることでー
 相手を洗脳することが出来るー

 我が社の技術の結晶で生み出した製品だ」

赤い液体の入った容器を見つめて
克太は頷くー

「一度、洗脳すればずっと相手は意のままってことですか?」
克太の言葉に、毒本社長は頷いたー。

「そう。我が社には”洗脳を解除するための設備”を用意しているが
 基本的に、急に洗脳が解除されたりすることはないー
 一度洗脳すれば、相手は意のままだー」

毒本社長はそこまで言うと、
克太が感じているであろう疑問を先読みして呟いたー

「--なんで自分はさっき、すぐに洗脳から覚めたのかー?
 そう思っているね?」

とー。

眼鏡をいじりながら毒本社長は、
2本の目薬の容器のうち、もう1本ー
水色の液体が入った方を掴むと、それを見せたー

「--いきなりこんな話をされても、
 みんな信じないだろう?

 さっきの君にしたように、
 ”一時的に洗脳されている状態”を体感してもらうのが
 相手に信じてもらうには一番早いー。

 こっちの水色の目薬は”1分だけ”相手を洗脳するためのー
 そう、言わば”モニター用の洗脳目薬”だー。

 君に会う前に、私はこれを点眼しておいたのでね。
 さっき、君は1分間、洗脳状態を経験できたというわけさ」

毒本社長はそこまで言うと、
克太の方を見つめたー

「どうだい?
 洗脳目薬…使ってみるかい?」

「---」
克太は迷うー。

だがー
答えは決まっていたー。

「使いたいです。
 でも、お値段は?」

克太が尋ねる。
まさか無料で貰えるはずがない。
料金がかかるはずだー。

そして、さらに質問するー

「それとー
 もし俺がここで「いらない」と言ったらどうなるんですか?」
克太の言葉ー。

”いらない”と言えば
秘密保持のために消されかねないー

そんな不安も抱いたのだ。

「-順番に答えよう」
毒本社長は立ち上がるー。

「-料金は、さすがに少し高いー。
 1本で、2万円ほどいただくよ。

 だが、追加料金は掛からないー
 それ以上、我々が君に要求することはない。

 1回点眼すれば、5時間ほど効果は続くから
 その間に誰かを洗脳すれば良いし、
 失敗しても、十分すぎる量の液体が入ってるから
 何本も何本も買う必要はないー」

毒本社長は、淡々と説明したー。
そして、もう一つー

「--我々は悪の組織とかそういうのじゃないー
 ただ単に”ビジネス”だー。

 私も独身税が始まった時は、悔しい思いをしてねー。

 どうにかすることはできないか?という夢を
 かなえるために、こういうビジネスを始めたのさー。

 君がいらないならそれでいいー

 今日、ここで起きた出来事と、
 株式会社DOKUSINの記憶だけ、”洗脳”で消させてもらうが
 それ以上は何もしない。
 安心しなさい」

毒本社長の言葉に、克太は頷いたー

「---買います」
克太は毒本社長は信用に値する人間だと、信じたー

健康への影響もないとのことで、
克太はますます安心したー

「--ありがとう」

電子決済を済ませると、
振込を確認した毒本社長は、
目薬を克太に手渡したー。

克太はお礼を言って外に出ようとするー

「ーーそういえば、この目薬を手にした人が
 あなたを洗脳して、このビジネスを奪おうとしたり、
 しないんですか?」

純粋に気になったー。

毒本社長は”いい着眼点だね”と、笑いながら
自分の目から何かを取り出したー。

「--それは想定済みさ。」
特殊なコンタクトレンズー。
毒本社長は、自分が洗脳されて
ビジネスを全て奪われたりしないよう、注意していたー。

「----なるほど」
克太は笑うと、頭を下げて、そのまま外に出て行くー。

悪用対策もしてあるー。
毒本社長の”備え”は完璧だったー

毒本社長は、克太が外に出て行ったのを確認すると、
受付の女性を読んで、そのままキスをするー

受付の女性はー
毒本社長が、まだ会社を作る前に試作品で洗脳しー
妻にした女性だったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ゴクリー

克太は”誰と”結婚しようか考えるー

隣人の女子大生かー
会社の優しい後輩かー
それとも通勤電車で見かける若い女性かー

幼馴染のあの子でもいいー。

「---う~ん…迷うなぁ…」
克太は呟くー

”あくまでも独身に対する税金対策で
 悪用は絶対にしてはならない”
と、毒本社長は言っていたー

何度も何度も相手を切り替えることも、
してはならないー、
とー。

”たくさんの人を操ることが目的ではないー
 相手がいないなら、作ればいいー
 そういう理念のもとに生み出した目薬だー”

とー。

「----1回きり…ってことだよな」
克太は、誰と結婚しようか
真剣な表情で考えるー。

毒本社長に洗脳された1分間は
本当に自分が幸せでたまらなかったー。
自分の意識は、ちゃんとあったし、
あれなら”洗脳された側”も、幸せでー
Win-Winだと、克太は思うー。

「----」
克太は、4人の候補からー
彼氏がいる人間は除いたー。

全員独身であるのは確かだが、
4人のうち2人には彼氏がいるー。

毒本社長によれば彼氏がいても洗脳できるとのことだったがー
さすがにそれは気が引けたー

そうなると、
隣人の女子大生か、通勤電車の子になるー

だが、通勤電車の子は、彼氏がいるのかどうか、
正直分からないし、調べようがないー。

ここはー

克太は、隣人の女子大生と結婚しようと決意するー

”でも待てよ…?”
克太はここで不安を覚えたー。

”本当に洗脳”できるのだろうかー?

と、いう不安だー。

確かに、自分は身をもって、毒本社長に洗脳されたし、
毒本社長が嘘をついているとは思えないー

けれどー
もし、この目薬に効果がなかった場合ー

「---まぁ、念じるだけで支配できるらしいし、
 理由は何とでもなるか」

克太はその日の夜ー
隣人の女子大生・高沢 望結(たかざわ みゆ)が
帰宅したのを確認すると、
少し時間を置いてから、望結の家のインターホンを鳴らしたー

”帰ってきてすぐ”だと、まるで監視していたかのような
イメージを与えてしまうためだ。

「--はい?」
望結が出て来るー。

今日もとても可愛らしい雰囲気の望結ー

”こんな人が本当に、結婚してくれるのか‥・?”

前に望結は
”結婚とか絶対する気もないですし、彼氏もいないので”と、
別件で雑談した時に言っていたー

そんな人がー。

既に洗脳目薬は点眼したー。
あとはーー

”俺と結婚してくれー”

望結の目を見つめながら、
強くそう願う克太ー

するとーーー
望結の目が一瞬、とろんとした気がしたー

”--いや、むしろ、そっちから来てくれ!”
克太は、自分からプロポーズするのではなく、
望結を洗脳して、望結からプロポーズさせようとしていたー

「----」
望結が克太の方を見つめているー

しばらくの沈黙ー

「---あの…」
望結が緊張した様子で口を開くー

ゴクリ、と唾を飲み込む克太ー

やがてー
望結は、言葉を口にしたー

「あの……野山さん…
 よければ…なんですけど、、
 よければ…わたしと、、、結婚してもらえませんか?」

望結の言葉に、
克太は驚いたふりをしながら言うー

「えぇっ!?いきなり!?特に親しくもないのに!?」

”洗脳が本当に効いているのか”
確認する意味もあったー

「---は、、はい…わたし……野山さんのことが……好きです」
望結は、顔を赤らめながら恥ずかしそうにそう呟いたー

内心でガッツポーズをする克太ー

そしてー
克太と望結は、半月後にはスピード結婚したー。

両親の同意も得て、相手の両親も喜んでいる様子だったー。

克太は、望結と同居生活をはじめーー
望結を”とにかく克太が好きでたまらない”と洗脳しー
快感の日々を送るー

「---えへへへへへへ」
克太が笑みを浮かべるー

克太は、姉の沙希菜と結婚した祐太郎とは違い、
アニメには興味はなかったが、
彼女が出来たらいずれコスプレをしてほしいなどと
考えていた。

その夢がかなった克太ー

望結は、メイド服姿で克太にエッチなことをしているー

”すげぇ…毒本社長…すげぇ”
克太は笑みを浮かべながら、気持ちよくなりー
そのまま望結と熱い時間を過ごすー。

望結は毎日のように、色々なコスプレで克太を楽しませてくれたー。

望結は大学にー
克太は会社にー

独身に掛けられた税金も払う必要が無くなり、
克太はご満悦だったー

「----いやぁ…ホントすげぇよな」
洗脳目薬の容器を見つめる克太ー。

「これさえあれば、確かに偽装結婚なんていらないし…」

”自分”が短時間洗脳されたからこそわかるー。
望結は今、とても幸せなはずだー。

無理矢理感じさせている幸せーとは言え、
本人が不幸に感じないのだから、
人を傷つけているーー
とも、言えないー

克太はそんな風に思いながら、
洗脳目薬の容器を机の中にしまって、
”明日は望結にどんな格好してもらおうかなぁ~”と
笑みを浮かべたー

③へ続く

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コメント

洗脳目薬の力で結婚してしまった彼…!

果たしてこのまま順調に生活は続くのでしょうか~?

続きはまた明日デス!

MC<相手がいなければ作ればいいじゃない>
憑依空間NEO

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