<憑依>ホワイトデーの真実①~お返し~

バレンタインデーの日に本命チョコをくれたあの子にお返し…!

しかし、ホワイトデー当日に彼は
思いもよらない”真実”を知ることになってしまう…。

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「な~にニヤニヤしてるんだよ」
友人の安住 倫平(あずみ りんぺい)が、ニヤニヤしながら近づいてくるー

「--安住くんだって、ニヤニヤしてるじゃないか」
男子高校生の滝口 信太(たきぐち しんた)が
そんな倫平に対して、返事をすると、
倫平は「お前がニヤニヤしてるからだよ」と、
いかにも、”ニヤニヤしてるお前をからかいたい”という雰囲気で
近づいてきたー

「実はさー」
信太がニヤニヤしているのには、理由があったー。

今日は3月14日ー
ホワイトデーの当日ー。

そして、信太は
今からちょうど1か月前ー
バレンタインデーの日に貰った”本命チョコレート”に対する
お返しをしようとしていたー

そのため、ニヤニヤしていたのだー

「--えぇっ!?お前が!?マジで!?」
そのことを信太から聞かされた倫平は
とても驚いた様子で呟いたー。

クラスの女子生徒・松原 花菜(まつばら かな)-
図書委員を務めている大人しくて心優しい女子生徒ー。

そんな花菜が、1か月前のバレンタインデー当日に
信太を呼び出し、信太に対して
”本命チョコレート”を渡してきたのだー。

今まで”恋愛”というものに全く無縁の人生を送っていた信太は、
飛び上がるように驚いたと同時に、
飛び上がるように、喜んだー。
まさか、自分が、あの松原さんに告白されるなんてー、と。

そしてー
その時に、花菜は言ったのだー

”1か月後のホワイトデーに返事を聞かせて”
とー。

だからー
ニヤニヤしていたー。

「--えぇぇ~まさかあの松原さんがお前に告白するなんてなぁ~」
倫平は驚きを隠せない様子だー。

信太は「それで、今日の放課後、松原さんにお返しを渡そうと思っててー」と
鞄の中に隠し持っていたクッキーを、倫平にこっそりと見せたー

今朝ー
”放課後に話があるんだ”と、花菜を呼び出しておいたー

今はまだ昼休みだがー
放課後が待ち遠してくてたまらないー。

今日ほど、放課後を楽しみにしていた日はー
今までになかったと思うー。

そんな嬉しそうな様子の信太に対して倫平は
羨ましそうにしながらも
「へぇ~!返事はどうするんだよ?」と、笑いながら信太に対して質問するー。

信太は、とても嬉しそうにしながら、倫平の方を見つめたー

「決まってるだろー
 こうして、お返しも持ってきてるんだから」

信太の返事はー
1ヵ月前からとっくに決まっていたー
バレンタインデー当日に告白されたあの瞬間から、
信太の選択肢はひとつしかなかったのだー

当然ー
”Yes”-

けれど、花菜本人が
”1か月後のホワイトデーに返事を聞かせて?”と
言っていたためー
信太はその場で、OKするのを必死に我慢したー

あまりにもガツガツした様子で、OKをすれば、
逆に大人しい性格の花菜に嫌われてしまうかもしれないー

そんな風にも考えたからだー。

あれから、毎日のように信太は
花菜のことばっかり考えて来たー

3月14日か待ち遠しくて、たまらなかったー。

けれどー
その”待ち焦がれた日”が
今日ー
ようやくやってきたのだー

「ーーーははは、俺はお前を応援するぜ
 松原さんから告白されてるってことはー
 あとはお前が返事をするだけだもんな」

倫平の言葉に、
信太は「うん!ありがとう」と嬉しそうに答えると、
そわそわした様子で、教室の外に向かって歩いて行ったー

倫平は、教室の窓際の方の座席で読書をしている
花菜の方をチラッと見つめるー

「--いやぁ、ホントびっくりだよ…ホント」
倫平は、心底驚いた様子で、そう呟くのだったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ついに待ち焦がれた放課後の時間がやってきたー。

信太は、帰りの学活の間も、
ずっとソワソワしていたー

今日ー
信太には”人生初の彼女”が出来るー。

「---」
学活の時間が終わり、生徒たちが下校していくー。

教室から出て、
花菜を呼び出している空き教室に向かおうとする信太ー

そんな信太に対して、親友の倫平が
背後から肩を叩くと
「健闘を祈るぜ」と笑みを浮かべながら呟き、
そのまま廊下を走り去って行ったー。

信太は、そんな倫平の後ろ姿を見ながら微笑むと、
深呼吸をしてから、花菜が待っているはずの
空き教室へと向かったー。

ゴクリー。
花菜はもう、先に到着しているだろうかー。
それとも、まだだろうか。

そんなことを考えながらー
”お返しに”と、用意したクッキーを手に、
信太は、空き教室の扉に手を掛けたー。

扉を開けるとー
そこには既に、花菜が待ち構えていたー

「あ、、、滝口くん…」
待ち合わせ場所である空き教室に
信太が入って来たことに気が付くと、
花菜は少しだけ微笑んだー。

「---ゴクリ」
信太は緊張の面持ちで花菜を見つめるー。

バレンタインデーに花菜の方から告白されている以上ー
あとは、お返しをして返事をするだけー。
既に”答え”は出ていてー
あとは信太が”Yes”と返事をするか”No”と返事をするかー

そこだけなのだー
緊張する必要は、ないはずー。

信太は、鞄を空き教室の端の積み込まれた机の上に置くと、
鞄からクッキーを取り出したー

正直、お菓子なんて作ったことはなかったけれどー
”手作り”のチョコを貰った以上ー
やはり”手作り”でお返しをしたいー

と、いうことでー
母や姉に教わりながら、この1か月間、
お菓子作りを勉強してきたー

美味しいー、と言ってもらえるかまでは
分からないけれどー
”不味い”と言われてしまうほどひどいものでは
ないー…

はずだー。

信太が「バレンタインデーの返事だけどー」と、
笑みを浮かべながら
クッキーを手に、それを花菜の方に差し出したー。

「松原さんから告白されるなんて、僕、本当にびっくりしたけどー…
 僕の答えは、
 もう、出ているからー」

信太が微笑むー

「--僕の方こそ、よろしくお願いしますー」
とー。

しかしー
信太は、まだこの瞬間には、知らなかったー

”ホワイトデーの無情な真実”を知ることに
なってしまうとはー。

このーー
”バレンタインデーの返事をしたその瞬間”が、
一番の幸せ…だったかもしれないー。

「---え?」
花菜がきょとんとした表情を浮かべながら信太の方を見ているー

信太は、花菜の反応が予想と少し違ったことに違和感を抱きながらも
「え…?」と、首を傾げたー。

「---どういうこと…?」
花菜が”まるで意味が分からない”という様子で、
信太が差し出したクッキーの方を見つめているー。

花菜は、そのクッキーを受け取るような素振りは見せず、
ただただ、信太の方を見つめてー
不思議そうな表情をしているだけだー。

「---え…あ、、、あの…
 え…?ほ、ほら、
 バレンタインデーの日のお返しだよ…
 
 1か月後に返事を聞かせて、って、言ってたよね…?」

信太が困惑しながら答えるー

信太も困惑しているがー
花菜もまた、困惑しているー

「-------え」
花菜は戸惑いながら
「……バレンタインデー…」と呟いたー

信太は
”揶揄われているのかな”などと
不安になりながら、花菜の言葉の
続きを待ったー。

そして、花菜の口から飛び出した”続き”は
信太が予想もしないものだったー。

「----わたしが、バレンタインデーの日に、滝口くんに告白したってこと?」
花菜の言葉にー
信太は戸惑いながら、頷いたー

嘘ではないー
妄想でもないー

自分の頭がおかしくなったのでもない限り、
確かに1ヵ月前の2月14日に
花菜は、本命に呼び出されて、
放課後の空き教室で、告白されてー
そして、恥ずかしそうにしている花菜から、
本命チョコレートを受け取ったー

これはー
間違いのない事実。

「---そっか」
花菜が戸惑った様子で頷くー

信太も当然戸惑っているー

「--も、、もしかして…罰ゲームとか…
 だったのかな…?
 だとしたらごめん…
 ぼ、僕、本気にしちゃって…」
信太が急に恥ずかしさを覚えてそう呟くー

思えば、花菜のようなかわいい子が
自分に本命チョコレートを渡してくるなんて
おかしな話だったし、
返事が1か月後、なんてのもおかしな話だったー

ドッキリに嵌められてしまったー。
そういうことなのかもしれない。

「---あ、、ううん、そうじゃなくて……
 えっと…
 その…」

花菜が戸惑った様子で口を開いたー

「---わたし…バレンタインデーの記憶が…ないの…」

「---え?」
信太は、驚くー

”実は罰ゲームでの告白でした”と
言われるよりも驚いてしまうー

花菜は、信太を見つめながら続けるー

「--……だから……その……
 当日、滝口くんに告白したっていうのも……
 わからなくて…」

花菜の言葉に、
信太は「え…え…?」と、戸惑うことしかできないー。

「---………」
花菜は窓の外を見つめるー。

スカートを整えながら
落ち着かない様子で髪をいじるー。

「--”憑依”って知ってるー?」
花菜の言葉に信太は「え!?」と声を上げる。

「--こ、言葉は聞いたことあるけど…
 え?どういうこと?」
信太が言うとー
花菜は続けるー。

「--わたし、その日…
 ”憑依”されてたみたいなの」

花菜が困惑した様子で言うー。

「--2月14日にわたしの弟が……
 その……部屋で…」

花菜は顔を真っ赤にしているー

信太は、そんな赤面した花菜を見て
ドキドキしながら言葉の続きを見るー

「--”この女の身体は最高だ”って言いながら
 胸を揉んでたんだって…」

花菜が目をそらしながらそう呟いたー

花菜が言うにはー
2月14日の意識が飛んでいて、
当日、部屋で花菜がまるで自分のことを別人のように言ったり、
”俺”と言いながら
胸を揉んでいるのを、弟が見ていたのだというー。

「---これ、弟のツイッター」
花菜がスマホの画面を見せて来るー

確かに2月14日に
”姉さんがやばい”
”誰かに憑依されてる”
”俺って言ってた!”
”やばいばやばいやばい”

などと、ツイートされているー。

「夜にわたしが”次の身体で遊ぶか”って言ってー
 それで、わたしに憑依してた人は出て行ったみたいだけど…」

花菜の言葉に、
信太は”そんなことが本当にあるのか…?”と思いつつも、
花菜の弟も、2月14日にそうツイートしている以上、
事実なのだろうと思ったー

さすがに、弟とグルになってまで
信太を騙すメリットは花菜には絶対にないー。

「---そ、、そうなんだ…」
暗い表情の信太ー。

「--そ、、そういうわけだから…その、ごめんね…」
花菜が申し訳なさそうに謝るー

「--あ、ううん…いや、大丈夫…
 僕のほうこそ、ごめん…」
信太は、それ以上無理に告白したりすることはなかったー。

当日、誰かに憑依されていたのであれば
告白してきたのは花菜であって、花菜ではないー。

「---………」
花菜が信太の方を見つめるー。

「---」
信太は迷った末に、あることを提案したー

「--あ、そうだーー
 僕に何か力になれることはないかな?」

とー。

「え?」
花菜がきょとんとした表情で、信太を見る

「---ほら、例えば松原さんに憑依した犯人を
 探したりとか!」

純粋な親切心での提案ー。

だが、信太は知らないー
ホワイトデーに隠された本当の真実をー。

②へ続く

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コメント

今日はホワイトデーですネ!
ということで、ホワイトデーの憑依モノを用意しました~!

明日に続いちゃうので
現実ではホワイトデーは終わってしまいますが
憑依空間では明日もホワイトデーが続きます(笑)

お読み下さりありがとうございました~!

憑依<ホワイトデーの真実>
憑依空間NEO

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