人間に”憑依”するサメー
”憑依サメ”
通称・ポゼッションシャークが撃退されてから5年ー。
人類に、更なる恐怖が迫っていたー。
※「ポゼッションシャーク」の続編デス!
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憑依サメ…。
通称”ポゼッションシャーク”と恐れられるサメが
人類を脅かしてから5年ー
2度に渡る戦いを乗り越えた人類は、
サメに打ち勝ったー
…はずだったー。
しかしー。
「-ーーずっと聞きたかったんだけど、
なんか最近さ、楓(かえで)、変じゃない?」
男子高校生が彼女の楓に向かって
疑問を投げかけるー。
最近、楓の様子がおかしい気がするのだー。
「---ふふふふ……”楓”はね…
もう死んだの」
楓が邪悪な笑みを浮かべるー
海辺でデートしていたカップルー
楓の姿が突然、ゆがみー
一瞬にして、2本足で立つ不気味なサメの怪人のような
姿に変わるー
「---え…!」
男子高校生が”楓”だと思って話していた相手は
楓などではなかったー
”変身サメ”…
メタモル・シャークが、半月前に本物の楓を食い殺しー
楓に変身していたのだー
再び楓の姿に戻るメタモルシャーク
「--ふふふ…
我々は1ヵ月前からじわじわと人間社会に溶け込んでいるのだ…!
今や人間社会には、たくさんの”同胞”がいる」
「--ひっ!?」
男子高校生が逃げようとするー
当然、5年前の憑依サメの事件は彼も知っているー
必死に逃げようとする男子高校生ー
しかしー
楓が不気味な笑みを浮かべると、
サメの姿に戻ってー
彼氏である男子高校生を丸呑みしたー。
海から、2本足で立つサメが出現しーー
たった今”食われて死んだ”男子高校生の姿に変身するー
「--ふふふっ」
男子高校生を喰ったサメが楓の姿に戻るー
「---ふふふふふふ」
歩き出す楓ー
人類は
”メタモルシャーク”に少しずつ、
けれども確実に侵食され始めていたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「総理!」
江見留総理大臣が、官房長官の声に振り替えるー。
「やつらが、、また現れましたー!」
あれから5年ー
江見留総理大臣は、一度総理大臣の座を降りていたものの、
昨年、再び政界に復帰、
今では再び総理大臣を務めていたー。
そしてー
そんな彼の元に”最悪の知らせ”が舞い込んできたー
「--なんだと!」
江見留総理大臣が叫ぶー
”憑依サメが、再び姿を現しました!!”
官房長官の言葉に、
総理大臣は、ただちに、サメ対策のために結成していた
特殊部隊を現地に放ったー
砂浜でにぎわっていた観光客たちが、
次々とサメに憑依されていくー
前回、出現した憑依サメとは違い、
今回の憑依サメは、最初に出現した際と同じタイプで、
単純に人間への憑依を繰り返しているー。
現地に到着する特殊部隊ー。
「--ふふふ…
人間の身体を撃てるのか?」
女子高生らしき少女が、特殊部隊を挑発するー
サメに憑依されて、完全に意識を奪われているー
「くそっ…」
特殊部隊隊員たちが戸惑うー。
憑依サメを殺すことはできるー
だが、乗っ取られている被害者たちの身体を
撃ってしまうことは、できなかったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
人類は、再び恐怖に見舞われたー。
”ポゼッションシャーク”
3度目の襲撃ー
しかしー
今回はー
「くそっ!やはり”学習”したのか」
総理大臣が呟くー
1度目の襲撃ー
その際には、人間の免疫力により、人間に憑依したサメたちは
衰弱し、結果、撃退されたー
2度目の襲撃の際には、
冬特有の乾燥した気候に、憑依サメが耐えきれず、これもまた、撃退されたー
人類は2度ー
奇跡的にも勝利を収めていた。
だがー
今回はーー
既にポゼッションシャークが出現してから1週間が経過したー。
人間の免疫にもー
冬の気候にも
苦しむ様子が、乗っ取られた人々から見受けられないー。
2度敗北した憑依サメは、
今度こそ人類を完全に支配しようと、
5年間かけて準備し、
再びやってきたのだったー
「--”アトミックシャーク”の準備は?」
総理大臣が尋ねるー
5年前にも”準備”をしていた、
対サメ用の破壊兵器だー。
5年前は使うことはなかったが、
密かに研究開発・改良は続けられていたー
「--は、準備は出来ております。
アトミックシャーク・Ⅳ、いつでも起動できます」
だがー、と総理大臣は首を振るー
アトミックシャークは、その圧倒的火力故に
使えば、人的被害も間違いなく出るー。
だから、できれば使いたくはないー
迷った末に、総理大臣は
サメ対峙の”エキスパート”に依頼することにしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---俺が、鮫を?」
スーパーの正社員として働いていた達夫(たつお)が
首を傾げる。
「ええ。緊急事態なのです。今すぐ支度をしていただけませんか?」
黒服の男が言う。
達夫は、戸惑うー
”サメの退治に力を貸してほしい”
と、内密での、政府からの要請ー
5年前、当時、大学生だった達夫は
彼女を救うため、友人の洋平と共に、
サメと激闘を繰り広げたー。
その場面を偶然、政府の人間も目撃しており、
こうしてスカウトに来ているのだったー
「----…」
達夫は迷った挙句、頷いたー
再び、憑依サメが来たなら、
戦わなくてはならないー。
・・・・・・・・・・・・・
「--スーパーの店員が、世界を救う…
ははっ、笑えるな」
友人の洋平が笑うー。
達夫も苦笑いしながらー
「本当は、あまり危険なことはしたくないんだけどな」
と、呟きながら政府から支給された
ケースのようなものを開くー
洋平は「それは…!」と、ケースの中身を見て驚くー
「はははっ!鮫と戦うには、これがなくっちゃな」
チェーンソーを手に、達夫は戦う準備を整えたー。
「---俺さ…
結婚するんだ」
達夫が、微笑むー
「え?マジ!?」
洋平が言うと、
達夫は頷くー。
「--元々プロポーズしようと思っててさ…
でも、こんなことになっちゃったから…
この戦いが終わったら、プロポーズしようと思ってー」
達夫の言葉に、洋平は、
「それ、映画とかだと、これから死ぬやつが言うセリフだぜ!」
と冗談を口にする。
達夫は少し顔を赤らめながら
「演技悪いこと言うなって!」と、笑みを浮かべたー。
「--必ず生きて帰って来いよ」
「--当たり前だろ!」
二人は、固い握手を交わしたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--人類の皆さんー
サメに、身をゆだねるのです」
ツインテールのアイドルが、テレビで微笑むー。
彼女は既に、ポゼッションシャークに”憑依”されて乗っ取られているー
人気アイドルに憑依したサメはー
その身体を使って、人間に降伏を促したー
厄介なことに、彼女には熱狂的なファンが多くー
彼女を乗っ取ったサメは、彼女の身体で
ファンたちに対して”サメを受け入れなさい”と、言い放ちー
ファンたちは次々とサメに自ら憑依されに行ってしまっているー。
サメの憑依が拡大していくー
かつてほどない速さでー。
”このまま、我らはー”
危機感を抱く総理大臣ー
しかし、そんな中ー
IT企業”メタルハート”の女社長が、
総理大臣の元を訪れたー
美人女社長の言葉に、
総理大臣は驚くー。
「なんだって?憑依サメの憑依に対する”抵抗”を
作るための薬が完成した?」
「--ええ」
女社長は足を組みながら微笑んだー。
「--わたくしどもが開発した
この薬ー
”シャーク・ブロック”を使えばー
憑依サメに狙われたとしても
身体を乗っ取られることは、無くなりますー」
「--なんと…」
驚く総理大臣ー
メタルハートの女社長によれば、
メタルハートの研究施設で極秘に開発した薬
”シャーク・ブロック”を投与すれば、
憑依サメに憑依される可能性を0にすることが
出来るのだと言うー。
特殊な設備が必要なため、
シャーク・ブロックの投与は、自社研究所でしか
行うことができないが、
今は緊急事態ー。
どうか、前向きに検討してほしい、と
女社長は総理に伝えたー。
江見留総理大臣は難しい表情を浮かべるー。
だがー
総理は知らないー
立ち去りながら、女社長は笑みを浮かべていたー
本当の彼女は、既に死んでいるー。
IT企業メタル・ハートは、2週間ほど前に、
”メタモルシャーク”に襲撃されて、
全員が食い殺されたー。
そして、メタモルシャークたちが、メタルハートの社員・社長に
変身して、会社をあっという間に乗っ取ったのだー。
”シャーク・ブロック”なる薬は存在しないー。
本当の、目的はーー
「見てください!本当に憑依されません!」
政府の幹部が嬉しそうに笑みを浮かべるー。
「おぉぉぉぉ!」
視察に来ていた総理大臣らが希望に満ちた表情を浮かべるー。
「--さ、別室へどうぞ」
”次”の幹部が、シャークブロックを投与するために
別室に向かうー。
そこでー
メタモルシャークに食い殺されて、
彼に変身したメタモルシャークが、別室から出て来るー。
「--ご覧ください」
女社長が笑みを浮かべるー。
捕えた憑依サメー、ポゼッションシャークを、
目の前で憑依させようとするー。
だがー
それがはじかれるー。
「おぉぉぉぉぉ!」
政府の要人たちが湧きたつー。
全員、”シャーク・ブロック”の効果だと思っているからだー。
女社長は笑みを浮かべたー。
”馬鹿な人間たち…
これで、わたしたちが全ての人間になり替わるは、近いわ…”
サメは、サメには憑依できないー。
メタモルシャークが変身している人間は、
人間の姿をしているだけで、”サメ”だー。
故に、ポゼッションシャークが、憑依することはできないのだー。
憑依サメ対策と偽り、
この施設に人間を次々と呼び寄せて、
一人一人殺して、なり替わるー
そうすれば、あっという間に、
人類は、メタモルシャークになり替わられていくー。
「--さぁ、江見留さん、こちらへ」
女社長は笑みを浮かべるー
”別室”には、
メタモルシャークが待ち構えているー。
江見留総理も、その部屋に入った時点で、
その人生を終えるのだー。
”トップを乗っ取れば、
さらに支配が進むわ”
女社長が笑みを浮かべているとー
「--大変です!」
と、側近が駆け込んできたー。
「---」
何やらごにょごにょ話し合いをしているー。
話を終えると、総理は叫んだー
「すまない!緊急事態だ。
私へのシャークブロックの投与は、また後日にしてくれ」
そう言うと、総理は慌てた様子で外へと出ていくー
「---チッ」
女社長は思わず舌打ちしたー。
あと少しだったのにー…
とー。
「まぁいいわ。既に、この国の人間の5パーセントは
わたしたちメタモルシャークがなり替わってるー。
それが、50パーセントになる日も、そう遠くない…ふふふ」
女社長は笑みを浮かべると、
サメの姿に戻って、歩き出したー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---そんな…」
総理は唖然としていたー
対憑依サメのために結成された特殊部隊は壊滅ー
前回のサメとの功績から呼び寄せた
民間人も、一人を残して死亡ー
「--くそっ」
このままでは、人類は憑依サメに乗っ取られてしまうー
そうなってしまわないためにはー
「--シャークブロックの投与を急いで進めよう」
”メタモルシャーク”の存在を知らない政府は、
それが破滅の道とは知らず、
”シャークブロック”の投与を大々的に初めてしまうー。
市民はー
一人、また一人と、
女社長の施設で、順番に殺されー
メタモルシャークが、殺した人間に変身ー
サメになり替わられていたー
「くくく…」
女社長が表情を歪めながら笑うー。
ひとりー
また、ひとりと、
人間がサメになっていくー
オリジナルは死にー
サメが、死んだオリジナルの姿に変身して、なり替わるー。
「-ふふふ…
憑依サメたちのおかげね」
異次元から出現した
”メタモルシャーク”の侵略は、進んでいたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
過去の戦いでもサメと戦った達夫は、
今でも、憑依サメと戦い続けていたー
「俺は戦いが終わったら結婚するんだ!」
そんなことを口走りながら、
サメをチェーンソーで切断する達夫ー。
だが、達夫はまだ知らないー。
いやー
全人類、誰もがー
宇宙から更なる脅威ー
”チェンジシャーク”が、迫っていることをー
誰も、知らなかったー
②へ続く
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コメント
憑依サメの続編デス!
随分前から内容は頭の中にあったのですが、
イマイチ混沌と(?)しているので、実際に
書くには至らない状態が続いていた作品ですネ~(笑)
今回、ようやく実際に書いてみましたが
やっぱり混沌としているような気も…!
お読み下さりありがとうございました~!
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