<憑依>姉さんと妹、どっちに憑依しようかな?①~怒り~

姉と妹に蔑まれながら生活している
男子高校生の彼は、ある日、
憑依薬を完成させてしまったー

彼が乗っ取るのは、姉か、それとも妹か。

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里村家の長男・里村 朝芳(さとむら あさよし)-。
彼には、姉と妹がいたー。

しかしー
朝芳は、超がつくほどおとなしい性格でー
いつもブツブツと独り言を言っているような感じだったー

そのためか、姉と妹からは気味悪がられており、
嫌われているー。

姉の静香(しずか)と妹の智里(ちさと)が、何やら
楽しそうに雑談しているー。

だがー
朝芳は孤立状態で、
晩御飯の最中にも静香と智里は
とても仲良さそうに話しているものの、
朝芳には一切話しかけようとしないー。

「---っていうかさ、あいつ、わたしのことじろじろ見てきてきもいんだけど!」
智里が、笑うー。

静香は「聞こえるわよ?やめておきなさい」と、智里をたしなめるー。

静香は、お姉さんタイプの大学生で、
とても真面目な性格の持ち主ー
ただし、”好き・嫌い”が激しく嫌いなものには
”味方”を装いながら、嫌がらせをする陰険なタイプでもあるー。

妹の智里は、可愛らしい女子高生で
ツインテールの元気な少女ー。
兄である朝芳のことを激しく嫌っており、
毎日のように「キモイ!」と罵倒してくるー。

「---だって~~~!わたしのこと絶対エッチな目で見てるよ!
 マジで最悪!」

智里が、わざと聞こえるように言うと、
静香は「しーーー」と、指を唇に当てながら
チラチラと朝芳の方を見たー。

静香は直接的には何も言ってこないが
明らかに静香も、朝芳のことを”キモイ”と
思っている、ということは
朝芳にも伝わってきていたー

明らかに”気持ち悪いもの”を見つめる目で
朝芳を見るのだー。

「----」
部屋に戻る朝芳ー。

朝芳は、姉と妹のことを憎んでいたー
いつかー
お前たちを僕が支配してやるー、
とー

そう、思っていたー

まるでごみのように、自分を見下してくる
姉と妹ー。

「--お前たちを僕は許さないからなー」

静香も智里も、朝芳のことを「エッチな変態」だと
勝手に決めつけているー。

正直、朝芳は、姉の静香のことも、
妹の智里のことも、変な目で見たことはないー。
彼は、女に興味がないー。
だからー
静香を見ても、智里を見ても、エッチな気持ちにはならないし、
ましてや、智里が指摘するように
二人のことをエッチな目で見ていることは
絶対にないー

静香と、智里は、容姿に恵まれているー
だが、朝芳は、小さいころ、いじめを受けていたぐらいにはー
容姿に恵まれていないー

よく「アンデッド野郎」などと呼ばれたものだー。

もしかしたらー
里村家の家系は、男子だと容姿が恵まれないDNAでも
あるのかもしれないー

などと思いながら、朝芳は父の姿を思い出すー

父も確かに、容姿には恵まれているタイプではないー

「----」
朝芳は、そんなことを考えながら
ひたすら、何かの作業に没頭していたー。

”この状況”を終わらせるための作業ー

厚善を見つめながら
うすら笑みを浮かべる姉の静香と妹の智里が、
泣いて僕に詫びるときが楽しみだー、

そう思いながらー
厚善は、何かの作業にひたすら、没頭し続けたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--ねぇねぇ、朝芳ってば、
 昨日、女装してたみたいよ」

部屋の外から姉・静香の声が聞こえてくるー

「え~~~~~~~!?!?!?!?!?!?!?
 マジでぇ~~~~~~?
 まず自分の顔を鏡で見ろよって感じ」

妹の智里の暴言も聞こえてくるー

朝芳の部屋の前で
クスクスと笑うふたりー。

ふたりは”わざと”聞こえるようにやっているのだー

しかもー
朝芳は女装などしていない。
それをするのは自由だが、
朝芳はしたいと思わないから、しないのだー。

なのにー

「--ほら見てこれ~!
 メイド服に、チャイナドレスに、バニーガール…」
姉の静香が笑うー

「きゃははははは!やっば~~~!
 似合わな過ぎでしょ!?

 キモさ100%のジュースじゃん!」

妹の智里がゲラゲラと笑うー

「-欲求不満なら、わたしに相談してくれれば
 悩みを聞くのに~」
姉の静香が、部屋の中に聞こえるように
わざとらしく言うー。

「--わ~~!お姉ちゃんってば、やっさしい~!」
妹の智里がゲラゲラと笑うー。

女装衣装はーー
姉の静香が自ら用意したものだー
”弟”である朝芳の”悪口”を言うためにー。

「---きゃははははは!今度、あいつに着せちゃおうよ!お姉ちゃん!
 女装したがってたなら、わたしたちが採点してやらなくちゃ!」

「--ふふ、それも面白いかもね」

静香は笑うー。

二人は部屋の前から立ち去っていくー。

朝芳はーー
拳を握りしめたー

”わかっているー”
なぜ、こうなるのかは、理解しているー

だがー
朝芳は、激しい憎しみを抱き、
あることに没頭していたー

机の上の写真を見つめる朝芳ー。
そこには、朝芳と両親の姿が映っているー

だがーー
朝芳の母親は、”今”の母親ではないー

そうー
静香・智里のふたりと、
朝芳は”親”が違うのだー

長女・静香
長男・朝芳
次女・智里ー。

だが、そのうちの静香と智里は
”今の”母親側の子供ー

そして、長男の朝芳は、
”今の”父親側の子供ー

お互いにバツイチで子持ち同士が
再婚したことによりー
親が違うのだー

静香と智里の母親の夫は、
数年前に事故で死別ー

朝芳の父親の妻は、
浮気をした挙句、突然行方を晦まして
後日離婚届だけが送付されてきて、
別れるに至ったー

そしてー
朝芳の父親が、静香たちの母親の職場に出入りしていたことで
出会い、静香たちの母親が、朝芳の父親にアプローチ、
子持ち同士の結婚に至ったのだー

だがーー
静香と智里はそれを良く思っていなかったー。
”母親が、朝芳の父親に夢中になった”ことを
良く思ってなかったのだー。

再婚にも、猛烈に反対したというー
だが、結局、静香の母親は、朝芳の父親と再婚したー。

その、”不満”を朝芳にぶつけているのだー。

「---許せない…」

”不良品から生まれた子供”
静香と智里は、そんな風に朝芳を蔑んでいるー。
朝芳の本当の母親は、浮気した挙句に離婚した女だー。

それを、静香と智里は蔑み、
罵倒しているー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーできた!」
朝芳が笑みを浮かべるー

ある日ー
朝芳は、ついに完成させてしまったー

難しい本が散らばる部屋ー
朝芳の満面の、笑みー。

朝芳はー
作っていたー

”憑依薬”をー

自分を弾圧する姉と妹に復讐するためのー
最強の”アイテム”を作り上げたのだー

それが、憑依薬ー。

他人を、乗っ取る薬ー。

朝芳は迷わず部屋の扉を開けるー。
姉の静香の部屋で、静香と智里は、何やら雑談をして
笑っているー。

その部屋の扉をー
朝芳は勢いよく開いたー。

「--!?」
「--は?なに?ノックもなし?」
姉の静香と妹の智里が、表情を歪めるー。

「------」
朝芳は、冷たい目で二人の女を見つめたー
義理の姉であり、義理の妹である二人ー

だが、こんなやつらを姉とも、妹とも
思ったことはないー。

「---僕、決めたよ」
朝芳が、ニタリと笑うー。

二人は”気味の悪いもの”を見つめる目で
朝芳を見つめたー

「--姉さんかー
 お前の身体、どっちか一つを貰う」

「----は…???」
妹・智里が表情を歪めるー

「--な、、何を、、何を言ってるの?」
姉・静香が、”気持ち悪い”と言いたげな表情で
朝芳を見つめるー

朝芳は、憑依薬を手にしてー
そして、飲み干したー

憑依薬の入っていたグラスを放り投げて笑う朝芳ー

「今、僕が飲んだのは憑依薬ー
 これで僕は、他の人に憑依して
 乗っ取ることが出来るようになったー」

朝芳のその言葉に、
思わず静香も、智里も顔を見合わせてー
そして、馬鹿にしたように笑ったー

「あの…大丈夫?
 頭?」
静香が、頭を指さしながら言うー

「きゃははははははは!
 マジでやばすぎ!あんたみたいなやつが
 お兄ちゃんとか、マジ勘弁なんですけどぉ~!」

智里がゲラゲラと笑うー

「--まぁ、
 男に身体をフリフリして、
 アンアン言ってるような母親の息子じゃ、
 しょうがないかぁ~」
智里はなおも笑い続けるー。

クスクスと笑うふたりー。

だがーーー

次の瞬間、朝芳が突然倒れ込んだー

「---え」
姉の静香が表情を歪めるー

「は~?そんなでびびらせようとしてるとか
 マジであり得ないんだけど~!」
智里が笑いながら倒れた朝芳を足で転がして
仰向けの状態にするー。

「---マジでさ~!きもいんだけど!」
智里が、朝芳の頬をビンタするー。

だが、倒れたままの朝芳は反応しないー。

「----は~~!?
 死んだふり?
 ばっかじゃないの!」

智里がなおも、意識を失っている朝芳を
ビンタしようとするとー

「--!?」
背後から肩を掴まれたー

智里が「え!?」と思う間もなくー
振り返った智里を猛烈な勢いで、
姉の静香がビンタしたー

「--きゃっ!?」
ビンタされた智里が驚いて静香の方を見るー

「よくも僕を殴ってくれたな」
静香が言うー。

「--は???え???お姉ちゃん!?
 何言ってるの?」
智里が頬を抑えながら戸惑うー。

「だからさぁ~~!憑依だよ!」
静香は狂ったような笑みを浮かべると、
両手で両胸を揉み始めたー

胸を激しく揉む静香ー

「ちょ……お、、、お姉ちゃん…!?」
智里の表情から笑みが消えるー
一気に青ざめて、怯えたような表情になる。

「--ははははは!僕の手にかかれば
 誰の身体だって、僕の思いのままだ!

 ほら、見ろよ!
 姉さんがこんなことするか?」

胸を揉みながら静香は顔を赤らめて
嬉しそうに笑っているー

「う、、、うそ…?」
智里が震えるー
姉の静香が憑依されたという事実に、震えるー。

「--は、、はははははは…
 そ、、、そっかそっか!」
智里が笑いだすー。

静香は胸を揉みながら智里を見つめるー

「-お姉ちゃん、優しいから、こいつのために
 こいつと組んで、ドッキリをわたしに仕掛けてるんだね!」

智里が笑うー。

智里は、朝芳と姉の静香がグルで、
自分にドッキリを仕掛けているのだとーー

そう、思ったーーー

しかしーーー

「----そう見えるのかよ?」
静香はそう言うと、笑みを浮かべながらー
突然、足元から液体を垂らし始めたー

「え…」
智里が唖然とするー

「--えへへへへへ…
 こいつをお漏らしさせるのも、自由自在なんだよ!」

静香が笑いながらー
服を着たまま、放尿してーー
それが足元に零れ落ちているー

「--え…ちょ!?うそ…えっ!?」
完全にパニックを起こしかけている智里ー

「--わたし、部屋でお漏らししちゃうような女だったっけぇ~~?」
静香が笑うー。

「--ひっ…ほ、、、…ほんとに…憑依…」
智里がガクガクと震えるー。

次の瞬間ー

静香が「うっ…」と苦しそうにうめいて倒れ込むー

それと同時に倒れていた朝芳が起き上がったー

「--”憑依の実演”は終了だー。
 30分、乗っ取り続ければ、僕の魂はその身体に完全に定着されてー
 それ以降、永遠に僕のものになるー。

 さ~~、
 姉さんと、お前、どっちの身体を貰おうかなぁ~」

笑う朝芳ー

智里は震えているー
意識を取り戻した静香が悲鳴を上げるー。

「---ふふふ…
 僕にどっちが身体くれるのか、話し合って決めてよ」

朝芳は、不気味な笑みを浮かべながら
静香と智里に向かって、そう言い放ったー。

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

身体を奪われてしまうのは、どっち…!?
それとも…?

今日もありがとうございました~!

※朝芳くんから見ると、
静香は義理のお姉さんなので
「義姉さん」と表記するか迷いましたが
色々考えた結果「姉さん」にしました!
…深くは気にしないでください~!

憑依<姉さんと妹、どっちに憑依しようかな?>
憑依空間NEO

コメント

  1. 匿名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    最後の義姉さん」と憑依するか迷いましたが
    色々考えた結果「姉さん」にしました!
    は、もしかして憑依てはなく表記では?

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    コメントありがとうございます~!

    間違えて憑依してしまいました笑
    正しくは表記ですネ~!

    修正しておきました!
    ありがとうございます!!

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