告白の瞬間に憑依して
その瞬間を滅茶苦茶にしていく男…。
欲望の日々の末に、彼がたどり着いたのは…!?
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宗徳は、憑依薬により、霊体になってから
好き放題し尽くしたー
既に、何百という告白の瞬間を破滅に追いやり、
それを見て、
楽しみ、あざ笑ってきたー
宗徳自身、何度も何度も告白してきて、
その都度、振られてきたー
なのに、周囲は軽く告白に成功して、
恋人が出来ているという状態に
彼は、激しい怒りすら覚えていた。
”どうして自分は、こういう状態なのか”
という、激しい怒りだー。
だがー
その怒りを晴らすかのように、
あらゆる告白の瞬間を破壊してきた宗徳は、
次第に穏やかな気持ちになっていたー。
そして、彼がたどり着いたのは
”芸術”
だったー。
「----ずっと、好きでしたー」
男子高校生が告白するー。
「--ーーーえっ」
告白された側の女子高生に憑依した宗徳は
真顔で呟いたー
「--あんたに告白されるぐらいなら、死んだ方がまし」
屋上に呼び出されて告白された女子高生は、
そう呟くと、迷うことなく真顔のまま
屋上から飛び降りた-
唖然とする男子高校生ー
宗徳は、飛び降りた女子高生の身体から抜けるー
「へへへへ…」
そうー
普通に告白を滅茶苦茶にするだけではつまらないー
宗徳は、あらゆるシチュエーションを試すようになっていたー
「---わたしと…付き合ってください!」
先輩に告白する女子高生ー。
宗徳は、その女子高生に憑依するー
「え…あ、、、うん…俺なんかで良ければ」
先輩が嬉しそうに返事をするー
だがー
宗徳に憑依された女子高生は、
「ば~~~~~~か!」と、舌を出しながら言うー
「-わたしが先輩に告白なんてすると思いましたかぁ~~~~~~~????」
狂ったように挑発的な笑みを浮かべる少女ー
「-ドッキリに決まってるだろ?ば~~~~~か!ば~~~~~か!」
相手の”先輩”が
顔を真っ赤にして告白してきた少女の方を見つめるー
屈辱ー…
と、いうべきだろうか。
”恥をかかされた”と言わんばかりに
顔を真っ赤にして少女を見つめているー
「--えへへへへへ!
みんな~~聞いて~~~!
ここに馬鹿が一匹~!」
少女の告白は本物だったー
だがー。
宗徳は笑う。
”憑依”すれば、
いとも簡単に、それを滅茶苦茶にしてしまうことが出来る。
真剣な告白をー
”嘘”にしてしまうことが出来るー。
「--あ、…」
その子から抜け出す宗徳ー
「---あ…え?」
女子高生が戸惑っているー
”先輩”との人間関係は、これで壊れただろうー
だがー
宗徳に、この子がどうなろうと、もはや、関係はなかったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「嬉しすぎて…」
唖然とする相手ー。
告白されたOLに憑依した宗徳は、
突然、服を脱いでその場で全裸になったー
相手は口をぽかんと開けたままー
唖然としている。
もはや”何と言っていいか分からないー”
そんな風に言いたげな表情だー。
「嬉しすぎて…わたし、、わたし…」
”嬉しすぎて服を脱いじゃった”と、呟くOL-
街中での告白だったためー
周囲も騒然としているー
告白した同期の男は顔を真っ赤にしながら
周囲をキョロキョロしているー。
確かに、驚かずにはいられないだろうー。
急に、告白した相手が服を脱ぎ捨てたのだからー
「んあぁっ…」
その場で突然放尿を始めるOLー
宗徳は、OLの中で笑みを浮かべるー
”へへへ…
最高の瞬間が、地獄の瞬間に変わるー
最高だぜ…
俺はな、何度も何度も
告白という天国の一歩手前で
地獄に突き落とされてきたんだぜ”
相手は唖然としているー
「あ…♡嬉しすぎて、もれちゃった♡」
放尿を終えたOLが笑うー
周囲は既に、街中で突然全裸になった
彼女のことを通報しているのだろうー
スマホを持っている人間を、何人も確認することが出来るー。
「---え…あ、、、え…?」
相手は戸惑うことしかできない様子だ。
それもまた、当然と言える。
「---えへへへへへぇ…♡」
笑いながら、宗徳はそのOLから抜け出すー
OLの悲鳴が聞こえたがー
そんなことはどうでもいいーー
とにかく、告白の瞬間を打ち壊すのだー。
宗徳はそれからも、
あらゆる告白の瞬間を”破壊”したー。
30代の男女の告白の瞬間ー
男側に憑依して、相手が告白を受け入れた瞬間に
突然、顔面を思いっきり殴りつけて
そのままボコボコにしてやったー
告白を受け入れたのに、突然男にボコボコにされた女側は
いったいどう思っただろうかー
女子大生が、幼馴染に告白した瞬間ー
彼は女子大生のほうに憑依して
突然「あなたはだれ…?わたしはだれ…?ここはどこ…?」と
呟きながら、記憶喪失として振舞ってやったー。
相手は冗談としてしか考えていなかったが、
宗徳は、乗っ取った女子大生の身体で涎を垂れ流しにしながら
うつろな目でよろよろとわざと歩いたことでー
告白された男の方は唖然としていたー。
最後には、赤信号を無視して交差点に突入してやったー
美男美女の告白の瞬間にも憑依して
暴れてやったー
だが、これはドラマの撮影だったようで
宗徳は勘違いしてしまっただけだったー。
よく見たら周囲にカメラもたくさんあったー。
だがついでなので、女優の身体でその場で公開エッチをして
そいつの人生を滅茶苦茶にしてやったー
宗徳は、あらゆる告白の瞬間を
破滅に追いやりながらーー
笑みを浮かべていたー
だが、ある日ー
「---ーーーわたし…ずっと後悔してたんです」
レストランで、穏やかな雰囲気の女性が言うー。
「---!!!」
霊体の宗徳は、いつも通り
告白の瞬間を見つけるために、
レストランを漂って、ターゲットを”物色”していたのだが、
そこに現れたのは、意外な人物だったー
「---あ、あの…エイプリルフールは
3月じゃなくて4月だよ?」
宗徳がー
高校1年生の時ー
人生で初めて告白した相手ー
図書委員の先輩だった女子生徒ー
彼女が、レストランで、そう口にしたのだー
「--わたし、本気でエイプリルフールネタだと
思ってて…
あの、、あの時まで、、
恋愛とか、本当に縁がなかったので…」
ーー!!
宗徳は表情を歪めたー
あの時ー
宗徳の全ての始まりだった告白ー
ってきり
”今日はエイプリルフールじゃないですよぉ~”と
馬鹿にされて告白を断られたのかと思っていたがー
実際には、この子はー
”本気でエイプリルフールネタで告白されたと思っていた
自分に自信がなくて、天然な子”
だったのだー。
「---そんな…」
宗徳は少しだけ後悔したー。
もっとー
この先輩に、あの時、真剣に告白していればー
もしかしたら、結果は違ったのかもしれないー
とー。
だがーー
「--っと、いけねぇ」
宗徳は呟くー
”精神的ショックを受けると成仏してしまう可能性がある”
そう、説明書きに書かれていたことを思い出したのだ。
さすがに、成仏してしまうわけにはいかないー。
「---……そっか」
相手の男が呟いたー
相手の男は、帽子を深くかぶっていて、
誰だか分らなかったー
だが、男は帽子を取り外したー
「--でも、こうして再会できたんだー
これも、運命かな?」
「----!!!」
男の姿を見て、宗徳は驚きに目を見開いたー
「はいー、菅山さんにこうして偶然、再会できるなんて」
”菅山”とは、
宗徳の苗字だー
「--え、、、俺…!?」
宗徳の霊体は驚くー。
レストランで、かつて、宗徳が告白した相手の先輩・皐月(さつき)と、
会っていたのはー
なんと、宗徳自身だったのだー。
「--俺も、びっくり」
宗徳の身体は笑ったー
「え…ちょ、ちょっと待てよ、どういうことだ!?」
宗徳の霊体は戸惑うー
憑依薬を飲んで、幽体離脱したあと、
宗徳は、自分の身体の様子を確認したー。
確かに呼吸が止まっていて、
顔は青ざめていたー
それ以降は、自分の身体のことなんて、と
まるで興味を持っていなかったが、
何故だー?
何故、今、自分の身体がこんな風に動いているー?
「--人生、初めての彼女だよ」
宗徳の身体が笑うー
「わたしもです あ、わたしは初めての彼氏、ですけど」
皐月が嬉しそうに笑うー
幸せそうなふたりー
「--な、、な、、、お、、おい!なんだよこれ!
っつか、お前誰だよ!」
霊体の宗徳が叫ぶー
”それは俺の身体だぞ!”
とー。
だがー
霊体である宗徳の言葉は
誰にも聞こえないー
「おい!俺の身体を返せ!」
叫ぶ宗徳ー
しかしー
その言葉は届かずー
宗徳の身体は、
嬉しそうに、皐月と話しているー
「--おい!!!ふ、、ふざけるな!
それは俺の身体だぞ!
おい!その人は俺が好きだった人だぞ!!!!
おい!!!!!!!!!!!!」
宗徳が大声で叫ぶー。
それでも、宗徳の身体と皐月は、宗徳の霊体の言葉に
全く反応を示さないー
やがて、宗徳の身体と皐月は
レストランの外に出て、
嬉しそうに分かれていくー。
宗徳はーー
高校時代の初恋の相手と偶然再会しー
こうして、結ばれたのだー。
「--おい!!!!!!!!」
宗徳の霊体は必死に叫んだー
”俺の身体を返せ”
とー。
するとー
宗徳の身体が振り返ったー
「--!!!」
「--うるさいなぁ」
宗徳の身体が呟くー
「なっ!お前…聞こえていたのか!?」
宗徳の霊体が叫ぶと、
宗徳の身体は頷いたー
「お…お前は誰だ!俺の身体を勝手にー!」
宗徳の霊体が叫ぶと、
宗徳の身体は静かに笑みを浮かべるー。
「--きみが、自分で身体を捨てたんじゃないか?」
とー。
宗徳の霊体は唖然とするー。
「ーー捨てられていた”ごみ”を、僕が拾ったー
それだけのことさー」
宗徳の身体が呟くー
「き、、貴様は…誰なんだ!?」
宗徳の霊体が叫ぶー
こいつは俺じゃないー
俺の身体を盗んだ泥棒野郎だ…!
そう、思いながらー
宗徳の身体は、勝ち誇った表情で笑みを浮かべたー
「僕はさー…
病気で余命宣告されていたんだー。
でも、まだ生きたかったー。
そんな僕に”エンジェル”と名乗る人がチャンスをくれたんだー」
「--エンジェル?」
宗徳の霊体が言うと、
宗徳の身体が笑みを浮かべたー
「--”憑依仲介人ー”」
”エンジェル”-
憑依薬を、人生に絶望した人間に売りつけ、霊体に変え
”抜け殻”になった身体を確保、
”何らかの事情で、健康体で生きられなくなってしまった人”に
憑依薬を提供し、
多額の利益と”これ以上生きられないはずだった人間を助ける”
自称・慈善事業を行っている闇の仲介人ー
宗徳の身体が呼吸していなかったのは
憑依薬の作用で、一時的な仮死状態になっていただけー。
「--な…ふざけんな!それは…俺の…」
宗徳の霊体は、怒りの形相で叫んだー
だがーー
「一度抜けた身体には、もう憑依しなおすことはできないー
それともー
誰かの身体に憑依して、僕を殺すかい?」
宗徳の身体に入っている男は笑ったー
宗徳の霊体が、彼には見えるのは、同じく憑依に関係した
人間だからだろうー。
「---ふざ、、、俺の身体を返せ!!!!!!
皐月さんは、、、俺が好きだった人だ!!!
俺の、、俺の!!!」
宗徳の霊体がそこまで叫ぶと
宗徳の身体はほほ笑んだー
「きみは、自分で、幸せを捨てたんだー
”幽霊さん”
そんなんだからー
告白を何度しても、成功しないのさー」
その言葉にーーー
「--うああああああああああああああああ!!!!!」
激しいショックを受けた宗徳の霊体はーー
そのままーー
”成仏”してしまったー
「ふっ」
宗徳の身体を乗っ取っている何者かが、笑みを浮かべるー
「これからは、僕が君の代わりに
有意義に、この身体を使ってあげるからー
安心しなよー」
ふふ、とほほ笑むと、宗徳の身体は
そのまま笑みを浮かべたまま、夜の街へと消えたー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
告白の瞬間を壊そうとする男の人のお話でした~!
高校時代の誤解がなければ
彼の人生も違うものになっていたのかもしれません…!
コメント
SECRET: 0
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なんとも皮肉なオチですね。
それにしても憑依された被害者達が壊されたのは告白の瞬間だけじゃなさそうです。
告白した方もされた方もその後の人生滅茶苦茶になりそう。
告白した相手に死んだ方がマシと自殺された男子高校生とか、告白を受け入れたとたんボコボコにされた30代の女のその後がとても気になります。
SECRET: 0
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コメントありがとうございます~!
憑依された人々のその後…!
確かに私も気になります!
機会があれば、書いてみようと思います~!
宗徳にとっては非常に悔しい結末でしたが、大勢の人間の幸せをぶち壊してきた宗徳が普通に幸せになるのは許されないと思うのでこの結末は因果応報な感じで良かったです。
ところでこの話を少しアレンジして、結婚式をぶち壊すような憑依人の話でも面白そうだと思いませんか?
憑依人はあまりの性格の悪さのせいか、結婚できない行き遅れの女とかで、幸せそうに結婚する男女が許せないとかで、幸せの絶頂の二人をめちゃくちゃにするみたいな感じとか。
結婚式を壊すのは告白の瞬間をぶち壊すよりもエグそうですよね。
コメントありがとうございます~!☆
何かのお話で結婚式も壊したことがあったような
気がします~笑
でも、告白の瞬間のような形式で、書くのも面白そうですネ!