<入れ替わり>バレンタインチェンジ①~突然の出来事~

本命チョコを渡すつもりだった彼女ー。

しかし、バレンタイン当日の朝、
渡すはずの相手と入れ替わってしまう…!?

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バレンタインデー前日ー。

女子高生の水澤 亜梨花(みずさわ ありか)は、
意中の男子の方を見つめていたー

クラスのイケメン男子・黒野 幸矢(くろの ゆきや)-
誰にでも優しく、
成績優秀、スポーツも出来るー
まさに”万能”な男子ー。

亜梨花はそんな幸矢のことが好きだったー。

そしてー
今日はバレンタインデー前日ー
明日は本命チョコレートを手に、
幸矢に告白するつもりだったのだー。

「----黒野くんに告白なんて、緊張するぅ~…」
親友の羽田 啓子(はねだ けいこ)に対して、
苦笑いしながら、緊張していることを伝える亜梨花ー

「大丈夫大丈夫!あたしなんて、50回以上
 振られてるからね!」
啓子が、ドヤ顔で言うー。

「--そんなこと言われると、余計不安になるよぉ~」
亜梨花は恋愛に対しては奥手ー
いや、基本的に色々なことに対して奥手ー。

告白するのも、これが初めてだったー。

「--不安にならなくて大丈夫だよ~!
 確かに最初はショックかもだけど、
 3回目ぐらいになると「あ、これ振られるな!」って
 先に予知能力がつくし、
 10回ぐらい振られた時点で仏様な気持ちになれるし、
 なんかもう、30回ぐらい振られると
 「連敗記録伸ばしてやるぜぇ!」って気持ちになるから!

 今年、あたしは51回目の連敗記録を達成するよ!」

啓子が笑いながら、早口で武勇伝を語り終えたー。

”51回目って…
 啓子ちゃん何回バレンタイン経験してるの…?”と
突っ込みを入れたくなったものの、
それを我慢して亜梨花は
「--と、とにかく頑張るね」
と、微笑んだー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夜ー

亜梨花は、翌日のバレンタインデーのための
本命チョコレートを作り終えると、
意中の幸矢に対する手紙を書き始めたー

「直筆の手紙とか…
 緊張するぅ~」

亜梨花は顔を赤くしながら呟くー。

「----やっぱLINEでいいかな…」
そんな風に呟いて、スマホを手にする亜梨花ー

「いや、だめだめだめだめ」
首をぶんぶん振る亜梨花ー。

やっぱり手書きの手紙を添えて
チョコを渡そうー、
と決意すると、
手紙を再び書き始めるー。

”幸矢くんへ
 好きです”

そこまで書いてー
ペンを持つ手が止まるー

その横には、既に完成した
ハート型のチョコレート

「あぁぁ…これはべたすぎる…
 ってか、文章みじかっ!」

亜梨花が自分で自分に突っ込みを入れると
頭を抱えながら、
”布団にもぐって考えよ”と、
ベッドの中に飛び込んだー

そしてーー
亜梨花は、そのまま眠ってしまったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌朝ー

小鳥のさえずりと共に目を覚ます亜梨花ー

「---ふぁぁ…って…!」

窓の外から光が差し込んでいるのに気づいた亜梨花は
ハッとしたー

「寝ちゃったあああああああああああああああああ!!!!!!!」

ラブレターの内容も考えずに
眠ってしまったー

そして、今日はバレンタインデー当日ー

最悪ー
失敗ー
やらかした…

亜梨花はそんな風に思いながら、
机の上に飛び掛かるようにして向かうー。

早く、早く幸矢への手紙を完成させないとー

そんな風に思いながら、机の上に向かった亜梨花は
あることに気づいたー

「---ってか…」
亜梨花が周囲を見渡すー

「ここ、、どこ…?」
亜梨花は、唖然としたー。

亜梨花が目を覚ました場所は、
亜梨花の部屋ではなかったのだー。

机の上には
”マジキモイ 死ね”と
書かれた紙が置かれているー

「…へ?」
亜梨花が戸惑いながら、部屋にあった鏡の方をふと見るとー
そこには、大好きな幸矢の姿があったー

「--ふぁぁぁぢじdhふあwdfjくぉdw?!」
寝起きに幸矢が目の前にいる!?!?

そう思った亜梨花は、その場で
言葉にならない声を発してー
発狂したーーー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「----」
一方ー

”幸矢”も目を覚ましていたー

「え…」
幸矢は鏡を見つめるー。

そこには、亜梨花の姿ー。

当然、幸矢は亜梨花のことも知っているー。
クラスメイトの、女子だー。

その女子の姿に…
自分が、なっているー?

首を傾げながら、
亜梨花になった幸矢が、鏡の方に向かっていくと、
ふと、机の上に置かれている”あるもの”が
目に入ったー。

「---あ、そっか、今日はバレンタインデーか…」
亜梨花(幸矢)が呟いて
チョコを手に取るとー

そこにはーー

”幸矢くんへ
 好きです”

「-----」

亜梨花(幸矢)はしばらく、そのチョコをじっと見つめていたー

「--ふ~ん、水澤さんにも好きな男子がいたんだな…」

亜梨花(幸矢)はそう呟きながら
ハート型のチョコを見つめるー。

「---幸矢ー」
「----ゆきや」

「--ん?」

亜梨花(幸矢)は、何度か手紙に書かれていた名前を
呟いてからー

叫んだー

「--って、俺じゃん!?!?」
亜梨花(幸矢)が途端に顔を真っ赤にするー

「えっ!?俺!?
 水澤さんって俺が好きなの!?

 ってか、え???
 俺、なんで、水澤さんの身体になってんの!?」

亜梨花(幸矢)が叫ぶー。

学校では”クール”なイメージを持たれている幸矢だが
実はクールではないー
”家”と”学校”の態度が全然違うタイプの男子だったー。

「---ちょ!?!?え!?!?ちょ!?!?!?」
今更、自分が亜梨花の身体になっていることに
驚きを感じて叫び出す亜梨花(幸矢)-

「-な、な、な、なにが起きてるんだぁ!?!?」
亜梨花(幸矢)は顔を真っ赤にしながら
頭を抱えて、
一人、どうしよう、どうしよう、と部屋を歩き回るー

やがてーーー

「あ!そうだ!」
と、亜梨花(幸矢)のスマホを手にするー

”俺が水澤さんの身体になっているということは、
 たぶん、水澤さんが俺の身体になってるってことだよな?”

そんな風に思いながらー
スマホを手にした亜梨花(幸矢)-

しかしー

”暗証番号”の入力画面が表示される。

「----」
「----」
亜梨花(幸矢)はしばらくそれを見つめてからー

適当に4928と入力してみるー

だがーー
当然、ハズレだったー

「だああああああーーー!!!わかんねぇ!?

 ってか、学校どうすればいいんだ!?!?
 うおおおおお!!!!」

亜梨花(幸矢)はそう叫ぶと、
バレンタインデーのチョコを見つめて、
半分ヤケクソになって、
そのチョコをなぜか、亜梨花の身体のまま食べ始めたー

「--ぶふっ!まっず!」
料理が下手な亜梨花の作ったチョコを
吹き出すと、亜梨花(幸矢)は「…どうすっかなぁ~」と、
チョコを手に持ちながら呟いたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

幸矢(亜梨花)が唖然としながら

「え、、やばっ…」
と、呟くー

身体が入れ替わってしまったー?

「--…やば…」
幸矢(亜梨花)は、自分が昨日
バレンタインチョコを机の上に置いたまま、
しかも手紙も書きっぱなしで
寝落ちしてしまったことを思い出すー

「も、も、、もしも、幸矢くんがあのチョコを
 見てたら…」

幸矢(亜梨花)が顔を真っ赤にしながら、
”どうしよう どうしよう”と考えるー。

一瞬、自分のスマホに電話をしてみようと思ったが
幸矢のスマホのロックを解除することができないため、
とりあえず幸矢の家の電話から連絡してみようー、と
こっそりと部屋から出るー。

”どうして、わたしが幸矢くんに…?”

そんな風に思いながら、
まるでスパイ映画のように、こっそりと
家の電話を見つけるとーー

背後から声がしたー

「邪魔」
とー。

ビクッと振り返ると、そこには
ボサボサ頭の、小汚い感じな少女がいたー。

「--え、、あ、、ひっ!?」
幸矢(亜梨花)が、どう返事をしていいか分からず
戸惑っているとー

「---え??ひ??? マジきもい!どけ!」
小汚い少女が頭をボリボリかきむしりながら
幸矢(亜梨花)の方を見つめているー。

「----あ、、え…妹…さん?」
幸矢(亜梨花)は、そう呟いて、
自分の口から幸矢の声が出ていることを思い出し、

「あ、、、う、なんでもない!」
と、叫んだー

仮にこのボサボサ頭の少女が幸矢の妹なのであれば
”妹…さん?”という反応はおかしすぎるし、
怪しまれてしまう可能性が高いー。

「---------」
じーっと、幸矢(亜梨花)のことを見つめるボサボサ頭の少女。

「--しね!」
それだけ叫ぶと、少女はそのまま立ち去ってしまったー

幸矢(亜梨花)はドキドキが止まらず、
そのまましばらく立ち尽くしたがー
すぐに家の電話を手にして、
自分のスマホに電話をかけたー

”お願い…出て…”

幸矢(亜梨花)は、そう呟きながら相手が電話に出るのを待つー。

相手は、”自分自身ー”

他人の身体で自分に電話を掛けるー
などという、おそらくほとんどの人間が経験したことのないであろう
ことを、亜梨花は今、経験しているー

”もしもし…”

「--出た!」
幸矢(亜梨花)は思わず叫んでしまうー

「--あ、、あの…!」
幸矢(亜梨花)は、亜梨花(幸矢)に向かって、
どう説明していいのか分からず、それだけ言って
相手の反応を待ったー

”わたしが幸矢くんになった…とは言え、
 わたしの身体に幸矢くんがいるとは限らない”

そんな風に考えてしまったのだー

そしてー
相手の返事を待っているうちに
亜梨花(幸矢)が口を開いたー

”あ、、あの…水澤…ですけど…”

亜梨花(幸矢)の言葉ー

「--え…??え???」

水澤、とは亜梨花の苗字だー。

「--え…?あ、、あ、、あの、、本当に水澤 亜梨花さんですか?」
幸矢(亜梨花)は、思わず変な聞き方をしてしまうー

”え、、え、、、えぇ、、あ、はぃ、、、そうですぅ…”

ぎこちない返事ー。

「--え???え???あ、、あの、、幸矢くん…じゃ…・?」
幸矢(亜梨花)はついに、回りくどい言い方をやめて
そう相手に伝えたー。

しかしー

”え、、あ、、、あの、、わたしはわたしです…!”

亜梨花(幸矢)の返事ーーー

「--え…嘘…?」

幸矢(亜梨花)は戸惑うー
てっきり、自分が幸矢になったということは
自分の身体に幸矢がいるのだと思っていたー

しかしー
電話の向こうの亜梨花は、
”わたしはわたし”だと言っているー

「--え…??」
幸矢(亜梨花)が、さらに話を聞こうと、
言葉を必死に考えていると

「邪魔!」
という声と共に妹らしき人物に突き飛ばされたー。

電話を妹らしき少女に奪われる幸矢(亜梨花)-

妹らしき少女は、突き飛ばされて戸惑う幸矢(亜梨花)に対してー

「この変態!!!!クソ野郎!」
と、怒鳴り声を上げたー

”変態ー?”

まさかー。
亜梨花は戸惑う。

”幸矢くんは、家庭では妹に乱暴してるのかな…?”
と、そんな考えを抱きながらー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

電話が切れたー

亜梨花(幸矢)はスマホを部屋に置くとため息をついたー

「--はぁ…何してんだ、、俺…」
亜梨花(幸矢)は
自分が亜梨花になっている恥ずかしさー、
そして事故とは言え、チョコを見てしまったー
しかも食べて、まっず!と思って捨ててしまったー

そんなうしろめたさからー

”わたしは亜梨花です”と
咄嗟に答えてしまったー

「---はぁ~~~
 どうしよ」

亜梨花(幸矢)はそう呟きながら、
綺麗な黒髪をいじいじして、
窓の外を見つめたー

②へ続く

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明日はバレンタインデーということで、
今日からはバレンタインデー入れ替わりモノを書いていきます~!

続きはまた明日デス!

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