<女体化>俺の銀髪美少女デビュー②~困惑~

突然の女体化ー

元に戻る方法が見つからないまま、
事態はさらに、混沌へ…!

※果実夢想様(@fruitsfantasia)との
 リレー形式合作デス。
 内容は一切打ち合わせなしで、
 数百文字程度ずつで交代交代で書いた作品になります!
(※誰が書いているか、担当箇所ごとに表記しています (例 ②無名 など)

※本日の通常の小説は、既に更新済みデス
(この1個前にあります)


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⑪【果実】

「ど、どうしてこうなった……」

 俺は浴室に座り、聞かれないような小さい声でそう漏らす。
 背後では、優姫が笑顔で俺の長い髪を洗ってくれている。

 妹の裸なんか全く興味はない……と思っていたが、年頃の女の子と一緒に入浴というのはどうしても少しドキドキはしてしまう。
 それに、何より。
 自分が女の子になっている現状、自分の体を見るのが一番恥ずかしかった。

「今は女の子なんだからね、ちゃんと綺麗にしなきゃだめなんだよ?」

「……う、うん。なあ、優姫……」

「優姫、じゃなくて?」

「し、師匠……やっぱり楽しんでない?」

「えへへー、そんなことないよー。それにしても、こんなに長い髪で、こんなにすべすべで白い肌……羨ましい」

「へっ? ひゃうっ!?」

 ふと、背中に冷たくこそばゆい感触を感じ、思わず変な声が出てしまう。
 後ろを振り向けば、優姫が俺の背中から尻のラインを指でなぞっていた。
 何だその手つき、妙にエロい。

「ちょっ、や、やめっ」

「えー? んふふー、ごめんごめーん」

 くそう。さっきの気を遣ってくれていた素振りが嘘かのように、完全に楽しんでやがる。
 そうして、あまりにも落ち着かない入浴を楽しんだ。
 妹と、二人で。

⑫【無名】

お風呂から上がって、
身体を拭く間も、俺はドキドキだったー

優姫が、時々、わざと胸のあたりに触れてきたりして、
そのたびに変な声が出てしまうー

”くそ…わざとだな…
 元に戻ったらお仕置きしてやる!”

俺は心の中でそんな風に思いながら、
笑う優姫と共に、自分たちの部屋のある2階に
向かっていくー

母と父が、心配する言葉を投げかけてきたが、
「ん…なんとか大丈夫ー」
と、俺は答えて、そのまま2階へと向かうー

両親にはー
優姫が、説明してくれたー。
”先に説明するから、待ってて”と、
今朝、部屋から飛び出していきー、
両親を説得すること20分ー
両親は、俺が女体化したと、信じてくれたのだったー

優姫の説明が
”こんなに可愛くない、お兄ちゃん臭い女の子なんて
 いるわけないでしょ”
という適当な説明だったことにはちょっと腹が立ったもののー
とりあえずは、一安心だー。

部屋に戻る俺と優姫ー

新聞を読むふりをしていた父が、
チラッと俺のほうを見つめたー

この時の俺はまだー
銀髪美少女になった俺を見てー
父が”興奮”しているなんて、夢にも思わなかったー。

⑬【果実】

 ――翌朝。
 俺は重い瞼を頻りに擦りながら上体を起こし、自身の体を見下ろす。

 俺の体は、女の子のまま。
 やっぱり、次の日になれば元に戻れていたとか、全て夢だったとか、そんな都合のいい話はなかったらしい。

 病院もだめだったし、ほんとに俺は元に戻れるときが来るのだろうか。
 そんな不安に苛まれて溜め息を漏らしながら、妹から借りていた服に着替える。
 まだ二日目だからなのか、この女の子らしい服は全然慣れない。

 今日は日曜日だし、妹はまだ眠っているのだろうか。
 部屋から出て、リビングに行く。
 父親はもう仕事に行っているようだ。

「……ん?」

 ふと、視界の端に奇妙なものが映り込む。
 それは何の変哲もない、至って普通のゴミ箱。
 しかし、その中には大量のティッシュが入っていた。

 何だろう。
 風邪でもひいたか、もしくは花粉症にでもなってしまったのか。

 まあ、別にいいや。
 明日は、俺はまた学校に行かないといけない。
 この姿のままだと、色々と困る。

 今日のうちに、どうにかして戻る術を見つけ出さないと、な。

⑭【無名】

元に戻るためにはー?
俺は必死に考えたー。

いや、その前に優姫を起こしに行くかー。
妹には悪いが、優姫にも手伝ってもらわないと、
女の子としての生活には色々と慣れない部分もあるし、
どうにもならない。

「師匠!」
俺はそう叫びながら優姫の部屋に入ったー。

だが、優姫は不在だったー。

「あれ…優姫はいないのかぁ…」
俺は少し残念そうにつぶやきながら、
優姫の机の上を見ると、

”やっほー!お姉ちゃん!
 今日はわたし、友達の詩音ちゃんと遊ぶ約束があるから、
 一人で頑張って”

と、置手紙が残されていたー

「---お姉ちゃんじゃねぇ!」
俺は手紙をぺしっと投げ付けると、
背後から「旭…」と俺の名前を呼ぶ声がしたー

「ふぉおおおおおお!?!?!?」
急に声がしたのでびっくりして髪を振り乱しながら
振り返るとー
そこには、仕事に行っているはずの父親がいたー

「-な、なんでここに!?」
俺は思わず叫んだー。

⑮【果実】

「……旭」

 再度、父親は俺の名を呼ぶ。
 そして、ゆっくりゆっくりとこちらへ歩み寄ってくる。

 今頃仕事中のはずなのに、どうしてこんなところにいるのか。
 頭の中を疑問符が埋め尽くしているが、それを口にすることはできなかった。
 父親の表情が、その一挙手一投足が、今までに見たことないほどに――。

「旭!」

 ドンっと、耳のすぐ近くで鈍い音が鳴った。
 父親が左腕を伸ばし、俺の耳元の壁に手をついたのだ。
 俗に言う、壁ドンというやつだった。

「……あ、あの、父さん……?」

 何か異様なものを感じ、そう漏らした自分の声も震えているのが分かった。
 しばらくその状態のまま口を引き結んでいた父親だったが、やがて意を決したように口を開く。

「大丈夫か? いきなりそんな姿になったんだ、不安も多いだろう。明日からは学校、同じクラスの男子から変な目で見られたりしないか心配でならない」

「えっ? あ、ああ、大丈夫だよ、そんなに心配しなくても」

 なんだ、ただ心配して来てくれただけだったのか。
 そう安堵に胸を撫で下ろした――瞬間。

⑯【無名】

「ーーちょっと、その、ソレ、触らせてくれー」
父が、俺にそう言い放ったー。

沈黙ー
時計の針の音だけがー
部屋の中に音を刻んでいるー。

「----」
「----」

俺と父さんは見つめ合うー。

俺の身体の中に、何か今まで感じたことのないような、
言葉には形容しがたい「何か」が渦巻いてくるー

この感情は何だろうー。
女の子が、男に襲われた時に感じる恐怖ー、
と、いうやつなのだろうか。

「----なんてな」
父さんがニヤリと笑うー

「----今みたいに、男子から変なことを言われることもあるかもしれない
 お前は今までとは違うんだー。
 自分が女の子になった、
 そういう身体になったんだってことを、忘れるなよ」

父さんは俺に向かってそう言い放つと
肩をポンポンと叩いた。

「あ、ありがとうー」

確かにー
今、すごくびっくりしたー。

言葉には言い表し難い、恐怖ー

父さんの警告に感謝しながら、
俺は部屋の方に向かったー

・・・・・

「--…すまん

 --”父”としての道を、俺は踏み外すところだったー」

俺が去ったあと、父さんがそう呟いたことをー
俺が知る由もなかった。

⑰【果実】

 時刻を同じくして、とある新幹線の中。
 とある目的地に向かいながら、スマートフォンの画面を睨むようにして見つめている少女がいた。

「……早く。急がないと」

 そう呟くのと同時に、焦りを表すかのような貧乏揺すり。
 彼女は、どこからどう見ても中学生くらいの少女である。
 そう。見た目は。

「……んく、んく、んく」

 しかし、今やスマートフォンを片手に、ビールを呷っていた。
 そして一気に飲み干し、窓を眺めながら一言。

「早くしなきゃ……。間に合わなくなる前に」

 そう、誰にともなく呟いたのだった。
 そして、スマートフォンの画面には映っていた。

 女の子になった旭のいる場所が、赤く表示された地図が。

⑱【無名】

「--------」
俺は、自分の部屋で、自分の写る写真を見つめていたー

ナルシストではない。

元に戻れるかどうかー
その心配だー。

この身体になってーーー。
女の子の身体になってー
ドキドキすることもあるし、
悪いことばかりではないのかもしれないー

けれどー。

やっぱり俺は、自分の体に戻りたいー。
男として生まれた以上、男として人生を全うしたいー。

それにー
現実は、アニメや映画の世界とは違うー

女体化しちゃった!やっほー!とは、行かない。

学校もそうー
法律上もそうー
友人関係もそうー。

女体化なんて、簡単に信じてもらえるものではないー。

だからーー

「--なんとか、元に戻る方法、見つけなくちゃなー」

俺はそう呟いてー
元に戻るためー
とにかく行動しよう、そう、決意したー。

その時だったー。

「---!?!?」

俺は思わず、胸のあたりを押さえてしゃがみ込んだー

今まで感じたことのない、不気味な痛みー。

「--…今のは…?」

今のは、なんだー?

俺のーー
俺の身体にー

いったい…何が起きているんだ…?

⑲【果実】

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 ようやく痛みが治まり、息を切らしながら壁にもたれかかる。
 持病なんて持っていないはずだが、それにしては今の痛みは変だ。
 俺の思い過ごしとかであればいいけど、どうにもそう楽観的にもなれなかった。

 もしかしたら、俺が女体化したのと何か関係があるのだろうか。
 そうだとすれば、尚更早く元の姿に戻る方法を見つけないといけない。
 根拠はないものの、何だか嫌な予感が拭えないのだった。

 そう思い、立ち上がった瞬間。
 今度は、強い立ちくらみに襲われた。
 目が回り、まともに立っていられなくなる。

「何なんだよ、一体……」

 そう呟くも、答えが返ってくるわけもなく。
 徐々に力を失い、やがて。

 俺は、その場に倒れてしまった――。

⑳【無名】

同時刻・鹿児島ー

ザッー。
黒いシルクハットを被った体格の良い男が、
赤信号の横断歩道を堂々と歩いていたー。

クラクションの音が鳴り響くー
函館でもそうだったように、彼は全くの”無反応”だー。

彼は、公衆電話の前に立つと、
電話をかけ始めるー。

「--女の子になった男の子は、実に美しい」
相手が電話に出るまでの間、彼はそう呟いたー。

そうー
純粋な女とは違う、美しさがそこにはあるー。

「--”次”はあなたのお宅にお伺いしようと思います」
男は、そう呟くと、
公衆電話の上に乗ったホコリを拭き取りながら電話相手と何やら話しているー

そして、彼は笑みを浮かべたー

「--ええ、分りました。では、近日中にー
 夜暮 春陽(やぐれ はるひ)さんー」

シルクハットをかぶった男は、電話相手のー
旭と優姫の母親、春陽に向かって、そう告げたー

③へ続く

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コメント

不穏な雰囲気が…!

何の打ち合わせもせずにお互いに
バトンタッチしながら書いているのに、
意外とうまく進んで行っていて、
書いている最中は不思議な気持ちでした!

今日もありがとうございました~!

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