<憑依>昆虫の逆襲~戦争編~(後編)

昆虫との戦争を終わらせるためー

たとえ、犠牲を払ったとしても…。

”昆虫の逆襲”戦争編、完結!

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「---ふふふふふふ」
怜奈は笑みを浮かべながら立ち上がるー

体中に虫が這っていて、
虫が怜奈の胸やアソコを隠している
イヤらしい状態ー

「---愚かな人間どもよ」
怜奈はそう呟くと、
自分の元へ向かってくる人間たちの様子を、
監視カメラで確認しながら微笑んだー。

虫だらけの空間で、心地よさそうな笑みを浮かべる怜奈ー

ゴキブリを掴み、
うっとりとした表情で、そのボディを撫でるー。

怜奈本人の意識がまだ残っていたのであればー
怜奈は驚き、気絶してしまうだろうー。

「---我らは、人間に虐げられる時代を
 終わらせなければならないー」
怜奈はそう呟くと、
自分のいる部屋の入口を見たー

ドォォォン!

入口が爆破されるー。
”対昆虫”の特殊部隊たちが
なだれ込んでくるー

「---たすけて…!」
怜奈が両手を合わせて弱弱しいポーズを取るー。

「----」
特殊部隊の隊長・忠雄は
そんな怜奈に向けて銃を構えたままー。

「--お願いっ!助けて…!」
怜奈が涙をこぼしながら言うー。

身体に、虫を這わせながらー。

「--隊長」
参謀が呟くー

”惑わされるな”

そう言いたげにー

”分かっている”
隊長の忠雄は小声でそう呟き返すと、
怜奈の方に向かって銃を構えたー

「---クィーン!人類はお前たちになど、屈しない!」
忠雄が叫ぶー

「------」
”命乞い”をする芝居をしていた怜奈が笑みを浮かべるー

「---くっふふふ、やはりこの手は通じないか」

怜奈が腰に手を当てて、一転して
まるで女王のような高飛車な態度を取り始めるー。

「---人間どもを片付けろ!」
怜奈が叫ぶー。

昆虫たちが、隊員たちに襲い掛かるー

「撃て!撃て!」
隊長の忠雄が迫りくるハチやゴキブリの大群に向かって
対昆虫用の銃を放っていくー

次々と吹き飛んでいく昆虫たちー。

「---あははははははっ!我らにひれ伏せ!
 あははははははは!」

悪女のように笑う怜奈ー
胸のあたりにはまだ多数の虫が這っているー

「---篠原怜奈!」

怜奈の背後から声がしたー。

”おとり”

怜奈が差し向けた昆虫たちと隊長らが
”囮”として戦っている間に
参謀の男が、怜奈の背後に回り込んでいたー。

「-!」
怜奈が表情を歪めるー

”--篠原怜奈ー
 元々のきみがどんな人間だったのかは知らないがー
 悪く思うなよー”

参謀は心の中でそう呟くと、
怜奈に向かって銃弾を放ったー。

ぶしゅっ

怜奈の身体に穴が開くー

怜奈が信じられない、という表情で、参謀の方を見るー

「きさっ…」

パァン!
パァン!
パァン!パァン!

参謀がさらに銃弾を放つー

怜奈の声はかき消されて、
そのまま怜奈は床に仰向けに倒れ込んだー。

「---クリア!」
参謀が叫ぶー。

”女王”を失ったからだろうかー。
昆虫たちが、隊長の忠雄らの前から
姿を消していくー。

まるで、逃げるかのようにー

「------」
隊長の忠雄たちが、一安心、と言った様子で
倒れている怜奈の方を見つめるー

「--篠原怜奈…」
副官の男が呟くー。

副官の男は倒れている怜奈に黙とうを捧げたー
元々の怜奈を知らない隊員たちにとっては
彼女は”悪女”のイメージが強いが、
元々の彼女は、ごく普通の人間であり、
彼女も”昆虫の女王”に乗っ取られた被害者なのだー

「---隊長ー
 これでーーー」

怜奈の側にいた参謀が、隊長の忠雄の方を見つめるー

だがーー
その直後、参謀の身体から、突起物のようなものが
突き出たー。

「---?」
隊長の忠雄が表情を歪めるー

「---あ、なんか、痛みが?」
参謀が、状況を理解できないままー
自分の身体を確認しようとーーー

することもできないまま、身体が宙に浮かぶーーー

「--ほほほほほほほほほ!愚かな人間どもよー!」

隊長の忠雄が唖然とするー
参謀を、巨大な針のようなもので突き刺しー
そのまま羽を広げて宙に舞ったのはーー

篠原怜奈だったー。

怜奈の身体から羽が生えてー
目が赤く光っているー

「--ば、、化け物…!」
副官が叫ぶー

参謀の身体が宙から放り投げられて、
無残に横たわるー。

「--はははははははははははは!わたしは女王!」
怜奈が叫ぶー

羽と触角のようなものを生やしー
目が赤く光っているー

身体に不気味な模様が浮かび上がりー
もはや、怜奈が人間であったことも分からなくなるようなー
醜悪な外見ー

「--ーーー人間どもよー
 わたしをそう簡単に排除できると思うな」
怜奈が笑うー。

確かに、身体は怜奈のものー
でも、もうあれは、篠原怜奈などではないー

「---この身体は、わたしと完全に同化した!
 これが、本当の姿だ!!!」

胸も何もかも晒しながら、羽で宙に舞う怜奈ー

まるで、昆虫人間のような状態の怜奈が、
笑いながら忠雄たちに向かってくるー

「撃て!撃て!」
忠雄が叫ぶー

銃は激しく音を鳴らすー

「-ふふふふふふふ 愚民どもが!」
怜奈が叫ぶー。

副官の男が、怜奈のお尻のあたりから
飛び出している巨大な毒針に刺されて、
あっけなく絶命するー

一人ー
また一人と
特殊部隊の隊員たちが蹴散らされていくー

「---これが、、これが、、、!篠原怜奈の本当の姿です!」
特殊部隊の隊員の一人が、カメラを手に叫ぶー

”篠原怜奈を殺すべきではない”
と主張する人々に目を覚ましてもらうためー

「---ふふふふふふふ…あはははははははははっ!」
怜奈が笑いながら、人間では絶対にありえないスピードで
空中を舞うー。

「--ひひひっはははははっ!」
アソコから、謎の液体を放出する怜奈ー

粘液のような、液体ー

「---あっ!」
カメラで怪物化した怜奈の映像を録画した隊員が
粘液に囚われるー

地上に降りて来た怜奈が笑うー。

「---我は人間を支配する女王だー
 お前たち人間は、我ら昆虫に屈するのだ」

怜奈の低い声ー

「やめろ!!来るな化け物!」
粘液に囚われた隊員が叫ぶー

「--やめろぉぉぉぉ!」
隊長の忠雄が銃を乱射するー

怜奈の身体に穴が開き、
緑色の血のようなものが吹き出すー

「--!!」
隊長の忠雄は改めて確信するー

”既に、篠原怜奈は死んでいる”
ーと。

今までは人間の形を装っていたが、
既に篠原怜奈の身体はー
内面からあらゆる部分が変わってしまっているのだとー。

「ーーー無駄」
怜奈が笑うー

身体がすぐに修復していきー
怜奈は信じられないことに、動けない隊員にー
”キス”をしたー

「--わたしの卵、あ・げ・る」
怜奈が微笑むー

隊員が激しく苦しみ出して
身体が、袋のように膨らんでいくー

「おい!!!しっかりしろ!」
忠雄が叫ぶー

しかしー
隊員の身体が次の瞬間に、破裂して、
中から、大きなサイズの蠅のようなものが出現するー

「くそっ!怪物め」
忠雄が叫ぶー

怜奈は再び羽で空を飛ぶと、
壁に張り付いて、虫のように這い始めたー

「ふふふふ…お前もすぐに楽にしてあげる」
怜奈が壁を歩きながら笑うー

もはや、人間としての尊厳もー
女性としての尊厳もー
そこには何もなかったー

お尻から卵のようなものを生み出している
怜奈の姿を見て、
隊長の忠雄も改めて思うー

”こいつはもう、完全に人間ではないー”

とー。

”乗っ取られているだけの子を殺すのか”

と、世間の一部は言うー。

でも、忠雄は思うー。
この子を止めてあげることこそがー
この子に出来る唯一のことであるー、と。

銃を乱射する忠雄ー。

生き残っている隊員たちに指示を出しながら、
周囲の虫たちを蹴散らしていくー

「----調子に乗るな!人間!!!!!!」
怜奈が羽音を立てながら、忠雄の方に飛び掛かって来るー

獰猛な爪を立てて、忠雄を掴むと、
そのまま空中に忠雄を浮き上がらせて、
壁に叩きつけるー

怜奈の綺麗な顔が、
歪むー

既に触覚や、模様が浮き出ていて
人間のそれではないー

忠雄は「醜悪な怪物めー…」と
壁に叩きつけられた状態で、笑みを浮かべるー

「隊長!」
部下たちが、空中で壁に叩きつけられた忠雄を見て叫ぶー

忠雄は叫ぶー

「俺にかまうな!退避!」
とー。

「--隊長!?」
”退避?”
信じられない命令に、部下は戸惑うー

「いいから行け!これは命令だ!」
大声を上げる忠雄ー。

部下たちが、戸惑いながらも、
隊長に敬礼してそのまま命令に従うー

「--退避…?何を?」
怜奈が羽音を立てながら困惑した様子を見せるー

「---こうするためさ」
忠雄が、手に何かを持っているー

「---!!」
怜奈が、”それが何か”に気づいた直後ー
忠雄は怜奈もろとも大爆発を起こしたー

・・・・・・・・・・・・・・・・

ビルから退避した隊員たちが振り返るー。

忠雄と怜奈が戦っていた場所から
轟音が轟くー

「隊長…」
涙する生き残りの隊員たちー。

生き残りの隊員たちは、
爆破されたビルの方を見つめながら、
隊長に向かって敬礼をするのだったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

女王・篠原怜奈は死んだー。

”クィーン”を失い、
クィーンによって操られ、統率されていた昆虫たちはー
”元”に戻ったー

人間を意図的に襲うようなことはなくなり、
異常な大群で行動したり、
そういうこともなくなったー。

人類と昆虫の戦争が始まる前の状況に
再び戻ったー…

そう、言ってもいい。

「---どのような処分でも、お受けします」
特殊部隊の隊員たちは、”命令違反”による処分を覚悟したー

”篠原怜奈”の命を奪ったとの批判も
一部から高まっているー

”救うことはできなかったのか”
とー。

だがーーー
特殊部隊を管轄する大臣の男は、
笑みを浮かべると、生き残りの隊員たちに
労いの言葉をかけたー。

「---世間で大々的に言うことはできないがー
 君たちは、英雄だー。
 処分など、するものか。

 この世界を救ってくれてー
 ありがとう」

とー。

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数週間後ー。

ピシっーー

ピシっーーーー

廃墟となったビルー。

女子高生たちが”肝試し”を楽しんでいるー。

「ねぇねぇ~!みんな~!」
そのうちの一人が、廃墟ビルの奥の方にまで来てしまったことで、
他の子たちとはぐれてしまっていたー

「-----ーー」
廃墟の中を歩く少女ー

その時ー

「ひっ!?!?!?!?」

既に見る影もなくなった、”篠原怜奈”の、
身体の一部がそこには転がっていたー

「ーーーひ、、、ひぇ…!?」
少女は驚いてその場から離れようとするー。

無残な遺体が転がっていたのだー
驚くのも、無理はないー

しかしーーー

”み~つけた”

「--!?」
驚く少女ー

そこには、不気味な色に輝く、見たこともない小さな昆虫ー

”新しい、身体”

「---ひぅっ!?」

謎の虫が、少女の口に飛び込むー

「あ、、、、あ、、、、あ…」

しばらくしてーー
少女と一緒に肝試しを楽しんでいた友達たちが
やってくるー

「--あ、いたいた!も~!どこ行ってたの~?だいじょうぶ?」
そんな友達の言葉にーー

”クィーン”に乗っ取られてしまった少女は
振り返ると、静かに微笑んだー

「-----うん。大丈夫だよー」

とー。

”今度は同じ失敗はしないー”

”今度はー”

”人間を、”内側”から破滅させてやるー

おわり

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コメント

初期作品”昆虫の逆襲”の後日談でした~!

ほとんど覚えている人はいないと思いますが
たまにはこういうのも…!

お読み下さりありがとうございました~!

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憑依<昆虫の逆襲>

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