<入れ替わり>未来からやってきた僕は彼女になっていたZERO・前編~はじまり~

「3年後の未来からやってきた”僕”は”彼女”の身体になっていたー」

”3年後の僕”が、未来からやって来るまでを描くー
”ZERO”の物語ー!

※「未来からやってきた僕は彼女になっていた」の重大なネタバレを含みます!
  必ず①、②、③をお読みになってからお楽しみください!


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2045年ー。

25年後の世界ー。

大学生の黒崎 重康(くろさき しげやす)は、
同じ大学に通う女子・勝山 紀香(かつやま のりか)に恋をしたー

”変わり者”
そう呼ばれている重康は、
周囲からも避けられていたー

だが、本人はそんなこともお構いなしにー
紀香に告白したー

しかしー
結果は”ごめんなさい”だったー。
紀香に振られた重康は絶望の日々を送っていたー

「ははは…そう落ち込むなって」
重康の友人・園崎 隆司(そのざき たかし)が笑うー

重康の数少ない友人の一人である隆司も、当然
重康が振られてしまったことを知っているー

「---僕は、諦めないぞ」
重康は呟いたー

重康の父親は、とある研究所で働いているー
この時代の”未来を担うプロジェクト”を色々やっているようだー。

そして、重康は知っていたー
そんな父親の所属する”総合医療連盟”なる組織が
”他人と入れ替わる薬”の研究開発も行っていることもー。

”他人との入れ替わり”これを医療の分野に活用しようと、
総合医療連盟は、あれこれ、研究をしているようだー。

他にも色々とプロジェクトはあるようだが、
重康は、いつしかその入れ替わりに興味を持つようになったー

紀香のことを徹底的に調べまくる重康ー。
紀香は、勝山家の一人娘で、
父・幸雄(ゆきお)と母・晴美(はるみ)と幸せな日々を送っているー

諦めきれない重康は、
紀香のことをさらに調べていくー

そうしているうちに、紀香への愛がさらに強まっていくー

やがて、重康は
”紀香そのものになりたい”という
狂気的な考えを持つようになったー

そんな中、父が勤務している総合医療連盟では
入れ替わりの研究が行われていることを思いだした重康はー

”こっそりと”それを盗んだー

入れ替わり薬をー。

「----勝山さん」
呼び出した紀香を前に、重康はほほ笑むー。

そしてー

「---今だ!」
入れ替わり薬を既に服用していた重康は、紀香にキスをしてーーー^

紀香と、”入れ替わった”のだー。

「--ふふふふ…これで、僕が紀香ちゃんだ…
 ふふふふふふ…あはははははははっ♡」
紀香とは思えないような笑みを浮かべてー
紀香になった重康は、満足そうに
気絶したままの重康(紀香)をその場において、
笑みを浮かべるー。

さらにー

「ふぉおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
紀香になった重康に、ある現象が起きたー

紀香の記憶が、一気に重康に流れ込んできたのだー

わずか数秒のうちに
”他人の人生”を追体験するような
言葉では表現しがたい奇妙な体験をした重康は
興奮のあまり、そのまま紀香の身体で
絶頂を迎えてしまうー。

「---ひ、、、ひひひ、、ひひ、紀香ちゃんの人生が、一瞬で…
 あぁぁ…なんていうか…あぁぁぁっ」

語学力を失った紀香(重康)-

紀香のあらゆる秘密を数秒にして、体験したのだー
この興奮を言葉で言い表すことは、もはやできないー。

好きな子の人生が一瞬にして流れ込んでくるこの感覚はー
実際に体験してみないと、言語化は不可能だろう。

紀香(重康)はようやく興奮から立ち直ると、
そのまま自宅へと向かったー

「ただいま~!」
紀香(重康)が微笑みながら帰宅するー

「はぁ…はぁ…♡」
興奮しながら自分の部屋に向かう紀香(重康)

「--ここが…ふひっ紀香ちゃんの部屋だぁぁぁぁ!」
嬉しそうに叫びながら紀香(重康)は、
紀香の部屋の香りや空気感、あらゆるものを堪能するー。

紀香の記憶が流れ込んできている重康にとっては
もはや”知っている光景”ではあったものの、
それでもやはり、興奮を抑えることはできなかったー。

「やった!!これで…僕は今日から…
 いいや、わ・た・し、今日から紀香!うふふふふふっ♡」

紀香(重康)は笑みを浮かべながら
紀香の姿を見つめたー

♪~~~~

家のインターホンが鳴るー。

「----」
紀香(重康)は舌打ちをしたー。

”来たか”
とー。

入れ替わり、ということは当然、
”相手”もいる、ということだー。

重康の身体になった紀香がー。

そうなれば
”わたしの身体を返して”とやってくるのは
当然と言えたー。

「---」
「------!」

1階から、紀香の母親である晴美と、
重康自身の声が聞こえたー

やはり、自分が入れ替えられてしまったことを
伝えに来たのだろうー。

だがー。

紀香(重康)は笑みを浮かべるー。
”僕には、紀香ちゃんの記憶があるからなぁ…”
とー

入れ替わったことを、信じてもらうことは、”困難”だろうー

このために”布石”も準備しておいたー。

「--紀香~!ちょっといい~?」
1階から、母親・晴美の声が聞こえてくるー

おそらく、重康(紀香)が、入れ替えられてしまった!と
泣き叫んでいるのだろうー。

「なぁに~?」
紀香(重康)はわざとらしく1階に降りていくー。

玄関で重康(紀香)と目が合うと、その瞬間に重康(紀香)は
泣きながら叫んだー

「お母さん!あいつ…!あいつ、わたしじゃない!」
とー。

「---え、、、、、な、、なんのこと…?」
紀香(重康)は”演技”を始めたー。

「---この人が…なんかよくわからないことを言ってて…」
母の晴美は戸惑っているー

紀香(重康)は、身体を入れ替えられてしまったこと、
そして、自分が紀香だと信じてもらうために
誕生日や、小さいころの思い出、
”紀香たち”しか知らないであろうことを口にしたー。

重康(紀香)はその上で叫ぶー。

「お母さん!わたしが紀香!信じて!」
とー。

「----」
クスッと、紀香になった重康は内心で笑ったー

そしてー

「---な、、なんで、いつもわたしのこと見てるの…?
 家にまで来て…なんのつもり!?」
紀香(重康)はウソ泣きしながら叫ぶー。

重康(紀香)は「わ、、わたしの真似しないで!」と叫んでいるー。

母親の晴美はひたすらに困惑している様子だー。

重康(紀香)は「わたしが紀香…!信じて!」と
さらに個人情報を口にするー

だがー

紀香(重康)は笑みを浮かべたー

”残念ながら”入れ替えた側”の僕には紀香ちゃんの記憶も全部、
 あるんだよなぁ~”
とー。

そして、紀香(重康)が
”思い出”を口にしていくー
紀香しか知らないであろう個人情報や思い出を
細かく、詳しく、母親の晴美の前で語って見せたー。

重康(紀香)がまだ口にしていない個人情報も含めー
あらゆることを口にする紀香(重康)-

「え…嘘…なんで…」
重康(紀香)は唖然としているー

「なんでって…?わたしが紀香だからに決まってるでしょ!」
紀香(重康)は叫んだー

「ちがっ、、わ、、わたしが…!」
重康(紀香)も必死に反論しようとするー。

当たり前だー。
本当に入れ替えられているのだから、
”はい、そうですか”などと諦めて帰宅するはずがないのだー。

「---お母さん…この人、ずっと大学でもわたしのこと見ていて…」
紀香(重康)がわざとらしく言うと、
母の晴美は口を開いたー

「これ以上…娘に付きまとわないでください!」
とー。

母・晴美は
紀香(重康)を信じたー。

入れ替わりなど、信じられないー
当たり前の反応ー。

ましてや、紀香になった重康が、紀香の記憶をも得て、
紀香しか知らないはずのことを
次々と口にしているから、当然だー。

母・晴美からすれば、
娘のことを色々調べて、さらには”わたしが紀香”と騒いでいる
ヤバい男にしか見えていないー

「お帰り下さい」
晴美が言う。

「---…で、、でも!おかあさん!」
重康(紀香)が叫ぶー

紀香(重康)は勝ち誇った表情だー。

やがてー
重康(紀香)は、泣きながら家の外に出ていくー

母・晴美が”これ以上付きまとうなら警察を呼びますよ”と
口にしたことで、
重康(紀香)は、”ここで通報されたら、わたし、ずっとこのまま…”とー
渋々引き上げた-。

逮捕されてしまったら、身体を取り戻す方法が無くなってしまうかもしれないー

そんな、恐怖ー

重康になってしまった紀香は、
大学の友達に助けを求めようとしたー

だがー

重康は”策士”だったー
勢いで入れ替わりしたわけではなく、用意周到だったー。

「---なんで、、なんでわたしを付け回すの!」
紀香(重康)が泣きながら言うー。

周囲は
完全に紀香(重康)の味方だったー。

重康(紀香)の味方はいないー。

紀香(重康)は、変態男子にストーカーされている
可愛そうな女子大生ー

重康(紀香)は、自分は紀香だ!と言い張った挙句に
紀香を付け回しているヤバい男子大学生ー

そういうー
”かたち”が既に出来上がってしまっていて、
重康(紀香)にはどうすることもできなかったー

「--ふふふふ…僕が…僕が紀香ちゃんだ!」
紀香(重康)は女子トイレで笑うー

「僕が、、わたしが紀香……わたしが紀香よ!
 あはははははははははっ!」

紀香(重康)が狂ったように笑うー

そうー
”負け”はないー

重康は小さいころから
”策士”だったー。
何かを仕掛けるときには、入念に準備をするー

今回も、そうー

紀香と入れ替わろうと決意した時から、
入念に準備を行ってきたー

ひとつがー
”紀香をあえて付け回した”ことー

これにより
”前から重康は紀香を付け回していた”という
既成事実を作り出したー

ふたつめがー
”友人たちに対する言動”
重康は入れ替わる前から、周囲の友人に”わざと”
紀香が好きで好きでたまらない、と言いふらしたり、
「最近、自分が紀香ちゃんのような気がしてくるんだ」と
頭のおかしな発言をしたりしていたー。

それにより”狂っている”イメージを周囲に与えることができたー。

結果ー
今、重康になった紀香が、
「わたしが紀香なの!」と叫んでも、
”以前から紀香を付け回していたストーカー男子が
 ついに狂ってしまったのか”という状況を
作り出すことが、できたのだー。

さらにー
それだけではないー

重康は、入れ替わる前から、紀香の写真でツイッターのアカウントを作り
”わざと”紀香になりきりアカウントを作っていたのだー

そして、”わざと”入れ替わる直前に、紀香の友人たちをフォローし、
紀香の友人たちに、”重康が紀香になりきっているアカウントを作っている”と
気づかせてやったのだー

入れ替わり前に用意していた、”完璧な”布石ー。

「---違う…わたしは…わたしは…紀香なのに…」
重康(紀香)は大学で頭を抱えたー。

誰にもー
誰にも、助けてもらえないー

周囲から、白い目で見られてー

家族にもー
友達にもー
誰にもー
信じてもらえないー

重康(紀香)は、放心状態で、公園のベンチに座っていたー

”変態”のレッテルを貼られてー
誰かも救いの手を差し伸べてもらうことができないー

そんな”絶望”の二文字がよぎるような、状態ー。

「-……きみ」
その時だったー。

絶望している重康(紀香)に一人の男が声をかけてきたー

男子大学生が夜の公園のベンチで一人泣いているー
そんな状況に、声をかけてきたのはー

警察官の片倉 義和(かたくら よしかず)だったー。

「---何かあったのか?」
年配の刑事の心配そうな顔にー
重康(紀香)は、泣きつくようにして、
身体を入れ替えられてしまったことを、話したー

笑われると思ったー

だがー
片倉刑事は、笑わなかったー

「-----………」
じっと、重康(紀香)のほうを見つめるとー
片倉刑事は、静かに頷いたのだったー。

<後編>に続く

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コメント

「未来からやってきた僕は彼女になっていた」の、
”僕”が未来からやってくることになるまでのお話(前日談)デス~!

続きはスケジュールの都合上、来週火曜日になってしまいますが
ぜひ、本編までつながるお話をお楽しみくださいネ~!

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