<MC>君が代わりに犬になれ①~事故~

とある場所で
女子大生が、犬が巻き込まれた事故現場を目撃してしまうー。

そして、発狂したサイコパスな飼い主は、偶然通りがかった女子大生にこう言い放ったー
「君が代わりに犬になれ」

とー。

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女子大生・桐原 沙苗(きりはら さなえ)は、
大学から、帰宅の最中だった。

来週は大学の学園祭、
再来週は彼氏とのデート…
楽しみな予定も色々と入っていて、
沙苗の日常は充実していたー

しかしー

ドン!

「---!?」
沙苗はビクッとして、ものすごい音のした方向を見つめるー

「--え、、なになに?」
沙苗の視線の先には、汚らしい風貌のおじさんー

そしてーー
車に惹かれたと思われる「犬」がいたー。

車は、犬を轢いてしまったことに
気づかなかったのか、そのまま走り去ってしまうー

「---だ、大丈夫ですか?」
心優しい沙苗は、迷わずおじさんに声を掛けたー。

だがー
それが、おじさんの”怒り”に触れてしまったー

「--だいじょうぶ?」
おじさんが怒りの声で沙苗のほうを見るー

確かに、犬は見るからに大丈夫ではないー。
だが、沙苗も、目の前で犬の事故現場を見て
動揺していたし、悪気はなく、咄嗟に
おじさんの力になろうと声をかけただけだー。

おじさんも座り込んでいたし、
おじさんの身も心配する意味で
「大丈夫ですか?」と尋ねたのだー。

しかしー

「--見て分かるだろ!?これが大丈夫と言えるのか!?」
おじさんはそう叫ぶとー

「うぉぉぉぉぉぉおおおおおお!ポチ太郎~~~~!!!!」
と泣きながら、犬の亡骸に縋りついたー。

周囲も騒然となっているー

だが、周囲は、
”犬をこんな場所で放してるほうも悪いよな”と
呟いているー。

おじさんは、この近所で有名な
”迷惑おじさん”でもあったー。

マナーが悪く、
犬の糞をそのままにしていくこともあれば、
犬を車道で走らせていることも何度か目撃されていてー

近所の人間は、起こるべくして起こった事故であると、呆れているー。
犬と、ぶつかった車がかわいそうだ、などと周囲は話していたー

「あ、、あの…救急車呼びますので」
沙苗が言うと、おじさんは「いいよ!」と大声で叫んだー

「そうやって!君は、おじさんのポチ太郎が死んだのを
 笑っているんだ!

 君たち若者はいつもそうだ!
 目的はなんだ!?
 ツイートでもしてバズろうとしてるのか?!」

おじさんが大声で叫ぶー

「い、、いえ、わたし、そんなつもりじゃ…!?
 とにかく助けを呼びますね」
沙苗はそう呟くと、おじさんはさらに感情的に叫んだー

「おじさんのポチ太郎が轢かれたのをネタに
 インスタ映えでも狙ってるのか!?
 この蠅女が!」

「----」
沙苗は、”やばいおじさんに絡んじゃったかも…”と
ちょっと後悔しながらも、
”とにかく、このままにしておくわけにはいかないですから”と
救急車や警察を呼ぼうとするー

しかし、おじさんはなおも叫ぶー

「そうか!分かったぞ!
 お前、迷惑系のなんとかチューバーだな!?

 あ、いや、それともあれか、
 ティックトック女か!?」

おじさんがギーギー騒いでいるー。

沙苗は無視して、スマホを手に、
とりあえず、警察などに連絡して
事故があったことを報告しようとしたー

しかしー

「そうかそうか、つまりきみはそんなやつなんだな」
おじさんは一人そう呟くと、
怒りの形相で沙苗のスマホを取り上げてー
地面に叩きつけたー

「天罰ぅ!」
おじさんはそう叫ぶと、沙苗のスマホを踏みつぶすー

「えっ!?ちょ!?なにするんですか!?!?!」
温厚な沙苗もさすがに声をあげた。

「---ポチ太郎は、君に殺された」
おじさんが呟くー

「え…!?な、なにを言ってるんですか?」
沙苗は困惑するー

”頭のおかしいおじさん”に話しかけてしまったことを後悔しながら、
壊されたスマホを拾おうとするー。

「--人殺し!いいや、犬殺し!
 この殺人女!」

大声で叫ぶおじさんー

周囲がざわついているー

沙苗は周囲の視線を気にしながら
スマホを手にして涙目になるー

「わたしが、何をしたって言うんですか!」
沙苗が叫ぶー

沙苗は助けに入っただけで、
車の運転手でもないし、
このおじさんのポチ太郎を侮辱するつもりもないー

なのに、なんでこんな目に遭うのか。

「-おじさんは激怒した」
おじさんはふいにそう呟いた。

そしてー
「--君はおじさんから大切な者をうばった。
 どう、責任を取る?」

と、急に冷静になって、問いかけてきた。

沙苗は怒りを隠さずに言う

「--警察にお話させてもらいますので」
とー。

だが、おじさんは
「おじさんからポチ太郎を奪った罪は重いー」
と、呟くと、
突然、目を赤く光らせたー

「--!?」
沙苗が表情を歪めるー

”え…なに?身体が、動かな…”

「--君が、代わりに犬になれー」
おじさんが呟く

”え…な、、なに…を言って…?”
沙苗は声を出すこともできず、困惑するー

「-ー今日から君が、ポチだ」
そう呟くおじさんー。

そしてー

”え、、、わ、、わ、、、わたし…え…わん!”

沙苗の思考が乱れるー

「--さ、おじさんの家に行こうか」
おじさんはそう呟くと、
沙苗は「わん」と答えたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

「--なぁ、沙苗と連絡つかないんだけど」

男子大学生の島川 智也(しまがわ ともや)が、
食堂で昼食を食べていた、女子大生・八枝(やえ)に尋ねるー

ポニーテールの活発そうな八枝は
「あんた、嫌われたんじゃない?」と、呟くと、
スマホを手にして、
沙苗とのLINEの画面を開くー

沙苗からの連絡が、確かに昨日から途切れているー

沙苗の彼氏・智也は、昨日から沙苗と連絡がつかず、
今日、大学にも来ていないことを心配していたー

「---なんかあったのかな?」
智也が心配そうにつぶやくー。

八枝は、沙苗の親友で、智也とは沙苗を通じて知り合った間柄ー
お互いに恋愛感情のようなものは一切なく、
沙苗からも、八枝と智也が話すことに関しては、
特に何のNGも出ていないー。

「--沙苗、ああ見えてドジなところもあるから
 寝坊でもしてるんじゃない?」
いい加減な性格の八枝は、そう呟くと、
大盛りのラーメンをおいしそうに食べ始めるー。

「--お前、それにしてもよく食べるなぁ…
 その割に身体も細いし、ラーメン、どこに入ってるんだよ」
智也が言うと、八枝は
「わたしの胃袋、ブラックホールだから」と笑いながら
自分を指さしたー。

「--はは、ま、とにかくありがとう。
 沙苗ともし連絡がついたら、教えてくれるか?」

智也が言うと、
八枝は「はいは~い」とラーメンを食べながら手を振ったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日になってもー
沙苗との連絡はつかなかったー。

「---」
智也が心配そうにスマホを見つめるー

いい加減な性格の八枝もさすがにやばいと思ったのか
「--沙苗の家に行ってみる?」と呟くー。

「--ん?あぁ…」
智也は、沙苗が急病で倒れたりしているのではないか、と
不安に思うー

あるいは、何か事件に巻き込まれた可能性だって、ある。

「---僕の出番だね」

「--!?!?」
智也と八枝がビクッとして振り返ると、
イケメン風な男子がやってきたー

「--風間(かざま)!」
智也が叫ぶー

智也の友人・風間 龍(かざま りゅう)-。
イケメンでスポーツ万能、それでいて、事件やトラブルに首を突っ込むことが好きな
自称”イケメン探偵”の変わり者だー。

「---沙苗ちゃんの失踪…
 僕の血が騒ぐっ!

 これはきっと闇の魔王の仕業だ!」

”面倒臭いやつに絡まれた”
智也はそう思いながらも、”まぁ、一人で見に行くよりいいか”と、
八枝には”結果を知らせる”と伝えて、龍と共に
沙苗の家を見に行くことにしたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

沙苗の住むアパートに到着した二人ー

龍は突然、特殊部隊の隊員かのように、
キョロキョロしながらアパートの2階に駆け上がっていくと、
銃を持っていないのに、銃を構えるようなポーズをして
「クリア!」と叫んだー

「---」
智也は、”こういう変なやつじゃなきゃ、イケメンでモテそうなのにな”と
苦笑いしながら、龍のあとについていくー。

龍が沙苗の部屋のインターホンを鳴らすー。

「----」
返事がない。

智也と龍が顔を見合わせると、
智也が扉をノックしたー。

「沙苗!俺だ!大丈夫か?」

だがー
返事はないー

「---」
龍が”僕に任せて”
と、呟くと

部屋の扉をノックしたー。

「--沙苗さーん!THKの集金でーす!」
龍の言葉に、智也は思わず龍の頭をぺしっと叩いたー

「-あほか!」
智也はそう呟くと、鞄から、沙苗の合意のもと、作っていた
合鍵を取り出したー

そして、扉を開いたー。

「---沙苗!」
智也が部屋の中を見渡すー。

だが、沙苗の姿がない。

「お邪魔しま~す…」
龍は後から申し訳なさそうに入って来るー。
緊急事態とは言え、女子の部屋に本人の許可なく入ることに
少し気が引けていたためだ。

「----」
智也が不安そうに周囲を見つめるー

部屋の中に沙苗が倒れている…
そんな最悪の事態も想定しながら、
部屋を見渡したー

だが、沙苗の姿はないー

「------」
浴室のほうに目をやるー。

ドラマとかで見たことがある。
こういう、部屋に入ってきて
浴室で血まみれで部屋の主が倒れているシーンを…

「---ゴクリ」
大好きな沙苗が死んでいたらー

智也はきっと、声をあげてしまうだろう。

最悪の事態を想定しながらー
智也は、浴室の扉を開けたー。

しかしー
そこにも沙苗はいなかったー。

「--どこにもいない…!」
智也が叫ぶと、
部屋を見回していた龍も「沙苗ちゃん、いないな」と呟くー。

「---」
智也が不安そうな表情を浮かべるのを見て、
龍は呟いたー

「--やっぱり、これは闇の魔王の仕業だー。
 闇の魔王ネフィリムが、沙苗ちゃんの美しさに惹かれて、
 異世界に連れ去ったに違いないー

 今頃、闇の魔王ネフィリムは沙苗ちゃんを洗脳して、
 結婚式を魔王の城で挙げようとしているにちがいなーー」

龍が目を開くと、
智也の姿が既に部屋になかったー。

「っておい!僕を置いてくな!」
龍はそう叫ぶと、智也を追って部屋から飛び出したー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「わん!わん!わん!わん!」

おじさんの家ー
全裸の状態で四つん這いになり、
首輪を繋がれた状態の沙苗の姿がそこにはあったー

そんな沙苗の頭を撫でると、
おじさんは、髪がぐしゃぐしゃになった沙苗を見てほほ笑むー。

「さぁ、ポチ、餌だよ」
おじさんがドッグフードの入った皿を置くと、
沙苗は嬉しそうに「わん!」と叫ぶと、
躊躇なく四つん這いのまま、直接口で
ドッグフードを食べ始めた。

裸体をおじさんの前で晒しても
まるで気にする様子のない沙苗はー
完全におじさんに洗脳されていたー。

「---ふふふ、やっぱり、おじさんのポチは可愛いなぁ」

沙苗はその言葉に嬉しそうに「わん!」と叫ぶー。

おじさんが用意した犬用のトイレで、
沙苗は平然とトイレを済ませるー

おじさんがニヤニヤしながらそれを片付けるー

「---君はこれから、おじさんの犬として
 ずっと生きていくんだよー?

 嬉しいだろう?ポチ」

おじさんが優しく囁くと、
沙苗は、おじさんに甘えるようにして、身体を密着させたー。

「ははは、もう離さないよ、ポチ」
おじさんは狂気的な笑みを浮かべながら、
静かに微笑んだー。

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・

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おじさんに洗脳されてしまった彼女の運命は…?
続きはまた明日デス~!

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