とある場所で
女子大生が、犬が巻き込まれた事故現場を目撃してしまうー。
そして、発狂したサイコパスな飼い主は、偶然通りがかった女子大生にこう言い放ったー
「君が代わりに犬になれ」
とー。
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女子大生・桐原 沙苗(きりはら さなえ)は、
大学から、帰宅の最中だった。
来週は大学の学園祭、
再来週は彼氏とのデート…
楽しみな予定も色々と入っていて、
沙苗の日常は充実していたー
しかしー
ドン!
「---!?」
沙苗はビクッとして、ものすごい音のした方向を見つめるー
「--え、、なになに?」
沙苗の視線の先には、汚らしい風貌のおじさんー
そしてーー
車に惹かれたと思われる「犬」がいたー。
車は、犬を轢いてしまったことに
気づかなかったのか、そのまま走り去ってしまうー
「---だ、大丈夫ですか?」
心優しい沙苗は、迷わずおじさんに声を掛けたー。
だがー
それが、おじさんの”怒り”に触れてしまったー
「--だいじょうぶ?」
おじさんが怒りの声で沙苗のほうを見るー
確かに、犬は見るからに大丈夫ではないー。
だが、沙苗も、目の前で犬の事故現場を見て
動揺していたし、悪気はなく、咄嗟に
おじさんの力になろうと声をかけただけだー。
おじさんも座り込んでいたし、
おじさんの身も心配する意味で
「大丈夫ですか?」と尋ねたのだー。
しかしー
「--見て分かるだろ!?これが大丈夫と言えるのか!?」
おじさんはそう叫ぶとー
「うぉぉぉぉぉぉおおおおおお!ポチ太郎~~~~!!!!」
と泣きながら、犬の亡骸に縋りついたー。
周囲も騒然となっているー
だが、周囲は、
”犬をこんな場所で放してるほうも悪いよな”と
呟いているー。
おじさんは、この近所で有名な
”迷惑おじさん”でもあったー。
マナーが悪く、
犬の糞をそのままにしていくこともあれば、
犬を車道で走らせていることも何度か目撃されていてー
近所の人間は、起こるべくして起こった事故であると、呆れているー。
犬と、ぶつかった車がかわいそうだ、などと周囲は話していたー
「あ、、あの…救急車呼びますので」
沙苗が言うと、おじさんは「いいよ!」と大声で叫んだー
「そうやって!君は、おじさんのポチ太郎が死んだのを
笑っているんだ!
君たち若者はいつもそうだ!
目的はなんだ!?
ツイートでもしてバズろうとしてるのか?!」
おじさんが大声で叫ぶー
「い、、いえ、わたし、そんなつもりじゃ…!?
とにかく助けを呼びますね」
沙苗はそう呟くと、おじさんはさらに感情的に叫んだー
「おじさんのポチ太郎が轢かれたのをネタに
インスタ映えでも狙ってるのか!?
この蠅女が!」
「----」
沙苗は、”やばいおじさんに絡んじゃったかも…”と
ちょっと後悔しながらも、
”とにかく、このままにしておくわけにはいかないですから”と
救急車や警察を呼ぼうとするー
しかし、おじさんはなおも叫ぶー
「そうか!分かったぞ!
お前、迷惑系のなんとかチューバーだな!?
あ、いや、それともあれか、
ティックトック女か!?」
おじさんがギーギー騒いでいるー。
沙苗は無視して、スマホを手に、
とりあえず、警察などに連絡して
事故があったことを報告しようとしたー
しかしー
「そうかそうか、つまりきみはそんなやつなんだな」
おじさんは一人そう呟くと、
怒りの形相で沙苗のスマホを取り上げてー
地面に叩きつけたー
「天罰ぅ!」
おじさんはそう叫ぶと、沙苗のスマホを踏みつぶすー
「えっ!?ちょ!?なにするんですか!?!?!」
温厚な沙苗もさすがに声をあげた。
「---ポチ太郎は、君に殺された」
おじさんが呟くー
「え…!?な、なにを言ってるんですか?」
沙苗は困惑するー
”頭のおかしいおじさん”に話しかけてしまったことを後悔しながら、
壊されたスマホを拾おうとするー。
「--人殺し!いいや、犬殺し!
この殺人女!」
大声で叫ぶおじさんー
周囲がざわついているー
沙苗は周囲の視線を気にしながら
スマホを手にして涙目になるー
「わたしが、何をしたって言うんですか!」
沙苗が叫ぶー
沙苗は助けに入っただけで、
車の運転手でもないし、
このおじさんのポチ太郎を侮辱するつもりもないー
なのに、なんでこんな目に遭うのか。
「-おじさんは激怒した」
おじさんはふいにそう呟いた。
そしてー
「--君はおじさんから大切な者をうばった。
どう、責任を取る?」
と、急に冷静になって、問いかけてきた。
沙苗は怒りを隠さずに言う
「--警察にお話させてもらいますので」
とー。
だが、おじさんは
「おじさんからポチ太郎を奪った罪は重いー」
と、呟くと、
突然、目を赤く光らせたー
「--!?」
沙苗が表情を歪めるー
”え…なに?身体が、動かな…”
「--君が、代わりに犬になれー」
おじさんが呟く
”え…な、、なに…を言って…?”
沙苗は声を出すこともできず、困惑するー
「-ー今日から君が、ポチだ」
そう呟くおじさんー。
そしてー
”え、、、わ、、わ、、、わたし…え…わん!”
沙苗の思考が乱れるー
「--さ、おじさんの家に行こうか」
おじさんはそう呟くと、
沙苗は「わん」と答えたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
「--なぁ、沙苗と連絡つかないんだけど」
男子大学生の島川 智也(しまがわ ともや)が、
食堂で昼食を食べていた、女子大生・八枝(やえ)に尋ねるー
ポニーテールの活発そうな八枝は
「あんた、嫌われたんじゃない?」と、呟くと、
スマホを手にして、
沙苗とのLINEの画面を開くー
沙苗からの連絡が、確かに昨日から途切れているー
沙苗の彼氏・智也は、昨日から沙苗と連絡がつかず、
今日、大学にも来ていないことを心配していたー
「---なんかあったのかな?」
智也が心配そうにつぶやくー。
八枝は、沙苗の親友で、智也とは沙苗を通じて知り合った間柄ー
お互いに恋愛感情のようなものは一切なく、
沙苗からも、八枝と智也が話すことに関しては、
特に何のNGも出ていないー。
「--沙苗、ああ見えてドジなところもあるから
寝坊でもしてるんじゃない?」
いい加減な性格の八枝は、そう呟くと、
大盛りのラーメンをおいしそうに食べ始めるー。
「--お前、それにしてもよく食べるなぁ…
その割に身体も細いし、ラーメン、どこに入ってるんだよ」
智也が言うと、八枝は
「わたしの胃袋、ブラックホールだから」と笑いながら
自分を指さしたー。
「--はは、ま、とにかくありがとう。
沙苗ともし連絡がついたら、教えてくれるか?」
智也が言うと、
八枝は「はいは~い」とラーメンを食べながら手を振ったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日になってもー
沙苗との連絡はつかなかったー。
「---」
智也が心配そうにスマホを見つめるー
いい加減な性格の八枝もさすがにやばいと思ったのか
「--沙苗の家に行ってみる?」と呟くー。
「--ん?あぁ…」
智也は、沙苗が急病で倒れたりしているのではないか、と
不安に思うー
あるいは、何か事件に巻き込まれた可能性だって、ある。
「---僕の出番だね」
「--!?!?」
智也と八枝がビクッとして振り返ると、
イケメン風な男子がやってきたー
「--風間(かざま)!」
智也が叫ぶー
智也の友人・風間 龍(かざま りゅう)-。
イケメンでスポーツ万能、それでいて、事件やトラブルに首を突っ込むことが好きな
自称”イケメン探偵”の変わり者だー。
「---沙苗ちゃんの失踪…
僕の血が騒ぐっ!
これはきっと闇の魔王の仕業だ!」
”面倒臭いやつに絡まれた”
智也はそう思いながらも、”まぁ、一人で見に行くよりいいか”と、
八枝には”結果を知らせる”と伝えて、龍と共に
沙苗の家を見に行くことにしたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
沙苗の住むアパートに到着した二人ー
龍は突然、特殊部隊の隊員かのように、
キョロキョロしながらアパートの2階に駆け上がっていくと、
銃を持っていないのに、銃を構えるようなポーズをして
「クリア!」と叫んだー
「---」
智也は、”こういう変なやつじゃなきゃ、イケメンでモテそうなのにな”と
苦笑いしながら、龍のあとについていくー。
龍が沙苗の部屋のインターホンを鳴らすー。
「----」
返事がない。
智也と龍が顔を見合わせると、
智也が扉をノックしたー。
「沙苗!俺だ!大丈夫か?」
だがー
返事はないー
「---」
龍が”僕に任せて”
と、呟くと
部屋の扉をノックしたー。
「--沙苗さーん!THKの集金でーす!」
龍の言葉に、智也は思わず龍の頭をぺしっと叩いたー
「-あほか!」
智也はそう呟くと、鞄から、沙苗の合意のもと、作っていた
合鍵を取り出したー
そして、扉を開いたー。
「---沙苗!」
智也が部屋の中を見渡すー。
だが、沙苗の姿がない。
「お邪魔しま~す…」
龍は後から申し訳なさそうに入って来るー。
緊急事態とは言え、女子の部屋に本人の許可なく入ることに
少し気が引けていたためだ。
「----」
智也が不安そうに周囲を見つめるー
部屋の中に沙苗が倒れている…
そんな最悪の事態も想定しながら、
部屋を見渡したー
だが、沙苗の姿はないー
「------」
浴室のほうに目をやるー。
ドラマとかで見たことがある。
こういう、部屋に入ってきて
浴室で血まみれで部屋の主が倒れているシーンを…
「---ゴクリ」
大好きな沙苗が死んでいたらー
智也はきっと、声をあげてしまうだろう。
最悪の事態を想定しながらー
智也は、浴室の扉を開けたー。
しかしー
そこにも沙苗はいなかったー。
「--どこにもいない…!」
智也が叫ぶと、
部屋を見回していた龍も「沙苗ちゃん、いないな」と呟くー。
「---」
智也が不安そうな表情を浮かべるのを見て、
龍は呟いたー
「--やっぱり、これは闇の魔王の仕業だー。
闇の魔王ネフィリムが、沙苗ちゃんの美しさに惹かれて、
異世界に連れ去ったに違いないー
今頃、闇の魔王ネフィリムは沙苗ちゃんを洗脳して、
結婚式を魔王の城で挙げようとしているにちがいなーー」
龍が目を開くと、
智也の姿が既に部屋になかったー。
「っておい!僕を置いてくな!」
龍はそう叫ぶと、智也を追って部屋から飛び出したー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「わん!わん!わん!わん!」
おじさんの家ー
全裸の状態で四つん這いになり、
首輪を繋がれた状態の沙苗の姿がそこにはあったー
そんな沙苗の頭を撫でると、
おじさんは、髪がぐしゃぐしゃになった沙苗を見てほほ笑むー。
「さぁ、ポチ、餌だよ」
おじさんがドッグフードの入った皿を置くと、
沙苗は嬉しそうに「わん!」と叫ぶと、
躊躇なく四つん這いのまま、直接口で
ドッグフードを食べ始めた。
裸体をおじさんの前で晒しても
まるで気にする様子のない沙苗はー
完全におじさんに洗脳されていたー。
「---ふふふ、やっぱり、おじさんのポチは可愛いなぁ」
沙苗はその言葉に嬉しそうに「わん!」と叫ぶー。
おじさんが用意した犬用のトイレで、
沙苗は平然とトイレを済ませるー
おじさんがニヤニヤしながらそれを片付けるー
「---君はこれから、おじさんの犬として
ずっと生きていくんだよー?
嬉しいだろう?ポチ」
おじさんが優しく囁くと、
沙苗は、おじさんに甘えるようにして、身体を密着させたー。
「ははは、もう離さないよ、ポチ」
おじさんは狂気的な笑みを浮かべながら、
静かに微笑んだー。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・
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おじさんに洗脳されてしまった彼女の運命は…?
続きはまた明日デス~!
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