とある年の夏ー
夏休みを満喫していた少年は、
突如、女体化してしまったー。
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蝉の声が鳴り響く夏ー。
夏休みを満喫していた少年・幾田 忠雄(いくた ただお)は、
夏休みの宿題を山積みにしたまま、
今日もエアコンの効いた部屋で、かき氷を食べていたー
「忠雄~!そろそろ夏休みの宿題、進めたほうがいいよ」
少し歳の離れている姉・智佐子(ちさこ)が
呆れた様子で呟く。
「へへへ、大丈夫大丈夫!」
忠雄はそう呟くと、かき氷を食べながら
ゲームをし始めた。
「も~!」
呆れた様子で首を振る智佐子ー。
去年、4年生の時もそうだったー。
忠雄は宿題を後回し後回しにして、
8月31日になったタイミングで焦って宿題をはじめ、
結局、姉である智佐子も手伝うことになってしまったのだー
今はまだ、8月に入ったばかりだがー
1ヵ月など、あっという間に過ぎ去る。
この調子だと、忠雄は今年も最終日に
夏休みの宿題に埋もれて悲鳴を上げることになるー。
「--いざとなったら、お姉ちゃんに手伝ってもらうもんねー!」
忠雄が言うと、智佐子は「もう!」と、呆れた様子で
部屋から出て行ったー。
その日の夜ー
父親の慎太郎(しんたろう)、母親の絵里(えり)、姉の智佐子と共に
ご飯を食べるー。
明日は近所で夏のお祭りがあるー。
「楽しみだな~!」と、ニヤニヤしながら忠雄は
両親にお小遣いをおねだりするのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日の夏祭りー
花火の音が鳴り響くー
賑やかな人混みー。
チョコバナナや焼きそばのおいしそうな香りー
お祭りを満喫する忠雄ー。
「--明日からは、宿題ちゃんとやるのよ~?」
姉の智佐子が苦笑いしながら言うー
「まだ夏休み半分以上あるから、大丈夫だもんね!べーっ!だ」
逃げる忠雄。
「あ、こら!待ちなさいー!」
忠雄を追いかける智佐子ー。
祭りの時間が過ぎていくー
幸せな、祭りの時間がー
そしてー
異変は起きたー
翌朝ー
「--えっ!?」
忠雄が唖然とするー
「えっ!?!?えぇぇっ!?!?」
忠雄は、自分の身体の異変に気付いたー
目が覚めて、頭がかゆいと思ってかいたらー
異様に髪の毛が伸びていたのだー。
”え?”と思いながら
洗面所に駆け込んだ忠雄はーー
”自分が女の子になっている”
ことに気づいたのだったー。
いつも自分が着ている青いパジャマ姿の
女の子が、鏡に映っていて、
目をぱちぱちさせているー。
「--え…、、だ、、だれ …?」
鏡に向かって指をさす忠雄ー。
だがー
鏡に映っている少女もまた、
忠雄と同じように指をさすー。
「--え」
忠雄は驚きながら、自分に向かって指をさすー
「もしかして…これ…僕?」
忠雄が戸惑いながら呟くと、
鏡の中の少女も、同じように口をぱくぱくさせたー。
「---!!!!!!!!!!!!!!!」
忠雄は驚きのあまり叫びそうになるー。
そしてー
「お、、お父さん!
お母さん!!!!
ぼ、、ぼ、、ぼ、、僕…!」
忠雄が慌てて両親のいるリビングへと向かうー。
「ぼ、僕、僕、女の子になっちゃった!」
とー。
「-----------」
「-----------」
父の慎太郎と母の絵里は、”え?誰?”という表情を
浮かべたあとに、母の絵里が呟いたー
「--え、、え~っと、どうやってうちに入ったのかな?」
と困り果てた笑みを浮かべてー
「え…あ、ち、違うんだよ!ぼ、僕だよ!忠雄だよ!」
あたふたしながら、可愛らしい少女が叫ぶー。
「---え…た、、忠雄って…」
絵里が困惑していると、
父の慎太郎が答えたー
「ははは、うちの忠雄は男のコだぞ~」
とー。
「--え…いや、ちがっ!、ぼ、僕、、僕が忠雄で、
今日、目を覚ましたら、僕が、僕が女の子に!」
忠雄が必死に叫ぶとー
慎太郎は「ははは」と笑いながら
2階に向かって「お~い!忠雄~!」と叫ぶー
だが、忠雄は目の前にいる少女だー。
忠雄を呼んでも、忠雄は目の前にいるから、
降りて来ることはないー
「---あれ?本当に忠雄のやつ、いないな」
父の慎太郎が母の絵里に向かってそう言うと、
真剣な表情で家中を探し回ったー
そしてーーー
「--本当に、忠雄なのか?」と
きょとんとした表情で、女体化した忠雄のほうを見つめたー
「う…うん…」
忠雄がうなずくー。
母の絵里も、驚いたような表情をしつつ、
話を聞くうちに、目の前にいる少女が忠雄であると
納得した様子だったー。
「---それにしても、急に女の子になっちゃうなんてなぁ」
慎太郎が困惑しながら言うー。
「--病院、連れて行ったほうがいいかしら?」
母の絵里は、慎太郎のほうを見つめながらそう呟くー。
「そうだなぁ…」
慎太郎は、困り果てているー
「----」
忠雄は、もじもじしながら二人の様子を見ているー
「--でもさ、病院に行って、「息子が朝起きたら女の子になってました」なんて
言って、診察してもらえるか?」
慎太郎の言葉に、絵里は少しだけ考えたあとに「無理ね…」と首を振るー。
「--ーーぼ、、ぼ、、僕、…」
とても不安そうな表情を浮かべている忠雄を見て、
父の慎太郎は「安心しろ」と肩を叩くー
「男の子だろうと、女の子だろうと、忠雄は忠雄だ」
笑う慎太郎ー。
「---でもまぁ…学校どうするかなぁ」
慎太郎は頭を悩ませるー
夏休みの間はいい。
だが、夏休みが明けてしまったらどうするべきか。
学校に”息子が女の子になりました”とでも伝えるかー?
「---…急に女の子になったってことは
急に元に戻る可能性もあるんじゃない?」
母の絵里が、父の慎太郎を見ながら呟く。
慎太郎も頷くー
「確かに、そうだな」
とー。
8月上旬ー
今の時点で動き出すにはまだ早いー。
もう少し様子を見よう、と両親は結論づけたのだった。
「--お、、お父さん、お母さん…ぼ、、僕…」
不安そうにしている忠雄を見て
慎太郎は「大丈夫だぞ~!」と慎太郎を安心させようとして笑うー
だが、忠雄は叫んだー。
「大丈夫じゃないよ!」
慎太郎と絵里が驚いていると、
忠雄はさらに叫んだー
「ぼ、ぼ、僕、、と、、トイレに行きたくて…どうしよう…どうしよう」
とー。
「----」
慎太郎と絵里が顔を見合わせるー
女の子になって初めてのトイレー
忠雄にはどうすればいいのかわからなかったー
「--あ…あぁ…俺は…その、何もできないな」
慎太郎がそう言って、母の絵里のほうを見ると、
絵里はため息をついてから、
「トイレの仕方…教えてあげるからついてきなさい」と
苦笑いしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
なんとかトイレを済ませた忠雄ー。
「--ふぇぇ……なんか…変だよぉ…」
忠雄がズボンの上からアソコを触るー。
しかし、
そこには、何の感触もないー。
「--なんか…なんか…」
語学力を失った忠雄は、可愛らしい声で呟くー
「髪は長いしー
声も変だしー」
うぅぅ~!と言葉を失った奇妙な声を出しながら
忠雄は、
「あっ!!!!!!!!!」と
手を叩いたー。
「--僕の自由研究!決まった!」
とー。
唐突にポジティブ思考になる忠雄。
「--夏休み、女の子になっちゃいました!」
忠雄は嬉しそうに呟くー
そしてー
「お父さん~自由研究決まった~!」と
自分の部屋から飛び出して、嬉しそうに父に報告したー
「--いや、ダメだろ」
父・慎太郎は苦笑いしながら却下したー。
「--夏休み終わるまでに男の子に戻っちゃったらどうするんだ?」
「--う」
忠雄が苦笑いを浮かべながら、ギクッ、と言いたげな表情を浮かべるー
「--も、、元に戻んないかもしれないじゃん!」
忠雄が叫ぶー
声と容姿から、とても可愛らしい空気が
周囲に振りまかれる。
父の慎太郎と母の絵里が苦笑いすると、
「なんか、戸惑うな」と、慎太郎が呟いたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ひとまず部屋に戻る忠雄。
「急に女の子になっちゃうなんて…」
そう呟きながら忠雄は、
自分の姿を鏡で見つめるー。
髪が長くなってー
顔立ちが変わってー
手がすべすべな感じになってー
何よりー
ズボンの上からアソコのあたりを触っても、
アレがないー
それが、忠雄にとって一番の衝撃だったー。
まだ忠雄の年齢では胸のあたりには
それほど変化はないため、
そのあたりの驚きは忠雄にはなかったが、
とにかく、アレがない、というのが
忠雄にとっては違和感や、色々な感情が
巻き起こるほどの衝撃だったー
「---声も…なんか…違うし」
忠雄はまだ声変わりする前の年齢なため、
大人が女体化するのとはまた訳が違ったが
それでも”自分の声”ではない声が
自分の口から出る、というこの状況は、
やはり驚きだったー。
そんな風に自分の身体や変化を
観察していると、
身体がどきどきしてきたー。
「ん…なんか、、僕…変だ」
忠雄が呟くー
まだ、エッチなことだとか
そういうことに対しての知識や耐性はほとんどない忠雄。
そして、学校でも女子だからどう、だとか
そういう感情はまだなくて、
普通に男女問わずに、騒いでいるような年頃の
忠雄は、自分が女体化して興奮している…という
今の状況を、まだよく理解できていなかった。
なんか、変な感じー。
ゾクゾクドキドキしている自分の身体が
どういう状況なのかも理解できず、
忠雄はひたすら戸惑ったー。
「--お母さん~、トイレ~!」
忠雄は、トイレに行くたびに母の絵里を呼びながら
苦笑いされるー。
そして、女体化1日目の生活が終わったー。
”寝れば治るかもしれない”
そんな風に忠雄本人も
父の慎太郎も母の絵里も、少し期待をしていたが
寝ても男の子に戻るはずもなくー、
そのまま女の子の日々が続いたー
両親も、”子供の性別が変わってしまう”などという
現象を前に、どうしていいかわからないまま、
時間が過ぎていくー。
そして、夏休みが残りあとわずかに
なったタイミングで、両親は真剣に
”病院”に連れて行くべきかどうか、
そして9月から始まる学校をどうするべきかどうか、
考え始めたー
「---う~ん」
父・慎之介が忠雄の顔を見つめるー。
「--顔自体は、忠雄って言えば忠雄だよなぁ」
慎之介はそう呟くと
髪を見つめてー、忠雄のほうを見たー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜ー
両親が何やら話し合っている。
「最悪、まだ、、ほら、胸も成長する前だし、
髪を切って男の子として学校にそのまま
行かせれば…とりあえずは大丈夫じゃないか?」
慎太郎の言葉に、
絵里も頷く。
「そうね。顔自体は、そこまで変わってないからね」
とはいえ、忠雄の顔そのままというわけではなく
忠雄のお姉ちゃんや妹、そんな感じの
”似ている感じの顔立ち”だから、
人によっては”顔が変わったね”と気づく可能性もあるー
「学校に打ち明けて、女子として学校に通わせるかー。」
慎太郎は呟くー
「---学校が信じてくれれば、忠雄は転校したことにしてもらって
新しく女の子が転入してきた風にも出来るかもしれない」
慎太郎の言葉に、
絵里は戸惑いながらも頷くー
両親にとっても”子が女体化した”という事実には
困惑することしかできなかったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--僕…どうなっちゃうんだろう…?」
忠雄は自分の顔を触りながら、
夏休み終盤になって追い込まれた残りの宿題を
始めるのだったー
②へ続く
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コメント
少年が女体化してしまったお話デス!
まだ、そういう知識がない年頃なので、
反応も健全な感じかな~…?ということで、
こんな感じの内容になりました!
真相が明かされる②は、また明日デス~!
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