<憑依>オンライン憑依ゲーム①~リアリティ~

リアリティを徹底的に追及した
オンラインRPGゲーム

「ラグナロク・ファンタジー」

しかし、そのゲームには恐るべき秘密があった…!

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男子大学生の富谷 志郎(とみや しろう)は、
とあるゲームにはまっていたー。

2年前にリリースされて大ヒットしている
オンラインRPGゲーム「ラグナロク・ファンタジー」。

”究極のファンタジー体験”として
リリースされた作品で、
VRを超えたVRとして話題になった作品だー。

と、いうのも、とてもVRとは思えない現実味があり、
まさに、自分が”その世界”にいるような、
そんな体験ができる。

ラグナロク・ファンタジーは
家庭用ゲーム機のゲームソフトではない。
そして、スマホアプリでもPCゲームでもない。

最新鋭のVRゲームだ。

フルフェイスヘルメットのような本体を購入し、
それをかぶることで、ゲームをプレイすることができる。

通常のVR機器のように、ゴーグルのような形ではなく
フルフェイスヘルメットのような形をしているのは
”よりリアリティを追求するため”なのだと言う。

色々な最新技術がそこには詰まっていて、
それがラグナロクファンタジーの”魅力”を生み出しているのだー。

”妙に安い価格設定”も、
話題を呼び、
ゲーム機向けでもPC向けでも、スマホ向けでもないのに、
ラグナロクファンタジーは大ヒットしたー。

「---今日もやるか」
フルフェイスヘルメットのようなものを装着して、
電源を起動するー。

一瞬、身体の感覚が抜けるような気がしてー

そしてー
プレイヤーキャラクターである、シスターとして
ゲームの世界に飛ばされるー

「--あ」
シスター・・アリサとして、ゲームをプレイしている志郎。

「--やっぱすげぇ…」
自分の胸を触るー

胸の感触にまでリアリティがあるー

まるで
”本物”のようにー

ラグナロクファンタジーの魅力は
”ありえないほど”のリアリティだー。

志郎は試したことがないが、
なんと、ゲームキャラの身体でありながら
「イク」ことも出来るのだー。

このシスターの身体で、エッチなことをしてー
イクことも出来てしまうしー
マニアックなプレイヤーによれば
出産まで出来てしまうらしいー

”どんな技術が使われてるんだろうな”

そんな風に思いながら

「あ、今日もよろしくお願いします」
と、アリサとして、振る舞いを始めるー

いつも一緒にプレイしているー

グラードという男戦士と、
バイオスというバーサーカー、
そして、メリンという魔法使いー

その4人で、RPGの世界を堪能しているー。

ラグナロクファンタジーの舞台となる世界

”ウォード王国”

ウォード王国は、魔王との戦いを続けていて、
この世界で交流したり、
色々なことができるー

驚くべきはー
NPCまで、まるで”本物の人間”のような感じがすることだー。

全て、作り物であるはずなのにー
空気やニオイ、味まで感じるー

すごすぎる”VR”だー。

「--なぁなぁ、聞いたか?」
グラードが酒場で肉を食べながら言うー。

「--え?噂って…?」
志郎が、シスター・アリサとして答えるー

他の3人の本名や姿は知らないー
この世界では完全にみんな”キャラ”になりきっているー

「ラグナロクファンタジーは、
 ”現実世界”って噂」

グラードが言うー。

「--そんなことあるわけないじゃ~ん!」
魔法使い・メリンが言う。

ちょっとギャルっぽい言動が目立つが、
”中の人”が女性かは分からないー。

「--でもさ、俺が今食ってるこの肉ー。
 味も触感もするんだぜ?
 VRでそんなこと、あり得るか?」
グラードの言葉に、
バイオスは「へへっ!それがこのゲームの魅力だろ?」と
笑みを浮かべたー

「---いや」
グラードは、表情を険しくすると続けたー

”このゲームで、知り合いを見かけたーってやつが何人もいるんだ”
とー。

ネットの一部で、このゲームの世界で
生き別れの妹をみかけた、など、
そういう情報が飛び交っているのだー

「そりゃあれだろ?こんだけ大量のキャラを作ってりゃ
 現実と似てる容姿が出て来たっておかしくねぇ」
バイオスは、そう呟くー

このゲームを開始すると
最初に”キャラクターメイク”が行われるー

ただ、目や口元などを自由に調整する感じではなくー
大量に用意されたモデルからひとつ選び、
あとは職業などを決めていく感じだー

パーツごとのエディットはできないー

「--俺たちのこのキャラー」
グラードは自分の身体を触りながら言うー

「これは、ゲームのキャラなどではなく、
 生身の身体だってー…

 そういう、噂だー」

グラードの言葉に、
バイオス、メリン、そして志郎は戸惑ったー。

ラグナロクファンタジーは
”現実世界”

そんなこと、あるはずがないー
志郎はそう思いながらもプレイを終えたあとに
気になって調べてみるー

確かにー
女性の身体でイケたり、出産まで出来たりするのは
ゲームとして妙にリアリティがありすぎる。

しかもー
敵に攻撃されてゲームオーバーになると
”そのキャラでは再開できない”ルールもあるー

運営はこれを
”リアリティシステム”呼んでいるー

仲間の生と死まで、リアルに体験できるのだと。

だがー

”同じキャラで再開できないのは、実際にその身体が死んでるから”

そう、書かれていたー。

「--ははは…」
志郎は思わず笑ってしまったー

最近のネットはどうにもダメだー
陰謀論とか、誇大妄想とか、そういうのが多すぎるー

人気漫画の中に出て来る
激レアゲームじゃあるまいし、
現実世界のどこかで、行われている、なんてこと、ありえないー。

そう思いつつ、今日も志郎は、ゲームを終えて、
眠りにつくのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

大学である噂を聞いたー

最近、ミスコンで準グランプリに輝いた、
篠塚 保美(しのづか ほみ)という女子が
大学に来なくなったのだー

それは、志郎も知っている。
志郎は、インドア系で、友達がそれほど
多い方ではなかったし、
保美と特別親しいようなこともなかったが、
同じ大学に通う女子が行方不明になった、というのは
気になっていた。

だが、今日聞いた噂は、それでもはないー

「いたんだよ」
友人の一人が言う。

「え?」
志郎が首を傾げるー。

「---ラグナロクファンタジーに」
とー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

帰宅後、志郎は、ラグナロクファンタジーを遊ぼうとヘルメットを見つめるー

大学に来なくなった保美が、
ラグナロクファンタジーの世界にいたのだと言うー。

しかもー
ゲーム内のメイドカフェのようなお店にー。

「---……」

たまたま他人の空似なのではないか?
と、そうも思ったー

ラグナロクファンタジーは、あまりにリアリティがありすぎるために
”黒い噂”もたくさん存在しているー

だがー
運営会社のエンドオブゲームズは、
それらを全て否定ー

まるで、背後に”強い権力”があるかのように
そういう噂はすぐに消えていったー。

「---ふぅ」
ゲームの世界に飛び込んだ、志郎ー

シスター・アリサとして、既に3か月以上プレイを続けているー

前は、巫女のナナとして、ゲームをプレイしていたのだが
森林の魔物討伐クエストの際に、
油断して魔物に食い殺されてしまいー、
今は、シスターのアリサだー。

「----」
今日は、グラードらとは合流せずに、
一人で行動する。

夜に輝く繁華街ー
ナイトシティ にやってきた志郎。

志郎はそこのメイド喫茶風のお店
”メイド・パラダイス”に入っていくー

「ーーー」
店内を見渡す志郎ー

いたーーー!!

同級生の保美がーー

保美がメイド姿で「にゃんにゃん!」とお客さんを接客しているー

「---あ、、あの…篠塚さん…だよね?」
志郎が恐る恐る聞くと、
メイドは振り返ったー

どう見ても、保美だー

保美の特徴の泣きホクロが、同じ場所にあるー

「--しのづか???
 わたしは、、ララですよぉ~!」
笑う保美ー。

「--え…あ、、、え、、」
志郎は戸惑ってしまうー。

”あっ、そっか”
ゲームキャラになりきっているのかな…?

そんな風に思いながら志郎は
「--あ、あとでお話できますか?」と声を掛けるー

自分は今、シスター・アリサの姿だし、
知らない人として、他人行儀にされるのも無理はないー

「え?あー、はい、お店が終わったらでいいですかぁ~?」
保美がメイド服姿のまま言う。

「あ、はい」
志郎はそう答えると、
一度店の外に出たー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

店の営業時間が終わるまで待機する志郎。

プレイヤーキャラクターをシスターにしたのは、
なんとなく、女の子になってみたかったからだ。

男女問わず、自分の性別とは異なる性別の
キャラクターでゲームをプレイする
プレイヤーも多い。

志郎もその一人だ。

胸をちょっと触ってみたりー
髪を触ってみたりー

フルフェイスヘルメットのようなものをかぶっているだけなのにー
まるで”本物”のようなVR体験をすることができるー

時間の経過も
空気もー
”仮想現実”とは思えないー

「お待たせいたしました」
保美が出て来るー

「----あ、、篠塚さん、だよね?」
志郎がそう言う。

「…え~っと、さっきもそう言ってましたけど、どういうことですか~?」
ララを名乗る保美がそう呟くー。

二人きりなのに、まだそんなことを…
と、思いながら、
志郎は”俺はシスターの姿だから分からなくて当然か…”と思う。

保美からすれば、”知らない女”に声を掛けられているのと同じだー。

”待てよ…?”
志郎は考えるー。

自分がシスター・アリサとしてプレイしているのを
保美に知られるのはーー

「わたし、生まれた時からメイドとしてお仕えしているので」
保美はそう答えたー

「え…でも…」
志郎が戸惑う。

保美は「お話はそれだけですか?」と、笑うー

志郎はたまらず「急に大学にも来なくなっちゃって
みんな心配してるよ!」と叫ぶー。

しかしー
保美は「大学…?わたしはメイドですぅ」と、笑うと、
そのまま立ち去ってしまったー

”他人の空似?”
志郎はそう思いながらも、
それからも、ラグナロクファンタジーにアクセスしては、
保美のことを調べたー。

ホクロの位置まで同じー
他人の空似とは思えないー

そしてある日ー
”ラグナロクファンタジー”のプレイヤーや
NPCとは似つかない人間がやってきてー
保美をメイドカフェから連れ出したー。

「-----」
後をつけていく志郎ー。

ラグナロクファンタジーの舞台のひとつ・
ミスト高原に男と保美がやってくるとー
虚ろな目をした保美は
一言も発することなく、男についていくー

”まるで、催眠にでもかけられているみたいだ…”
志郎がそんな風に思っているとー

ミスト平原の何もない空間にーーー
”見えない扉”が存在していたー。

「---」
男がキョロキョロしながら、
何もない空間に隠された扉を開くと、
そのまま保美を連れて中に入っていくー

「---!!!」
一見、ミスト平原の、ただの”空間”であるその場所に
透明な扉ー。

志郎は恐る恐るシスターの姿のまま、それを開くー

そしてー

その奥には
ラグナロクファンタジーとは似つかない空間ー
機械的な空間が広がっていたー

「プロデューサー、NPCのララちゃん、
 連れてきました」

保美を連れていた男が言うー。

「---ご苦労」
プロデューサーと呼ばれた男が笑みを浮かべるー。

そして、男が衝撃的な言葉をつぶやいたー

「まさか、”ラグナロクファンタジー”が
 現実世界で行われていてー
 ”NPC”も”プレイヤーキャラの身体”も
 生身の人間だとは、誰も思うまいー」

「--!?」
隠れて男たちの会話を聞いていた志郎が震えるー

”中身の身体ー?”

「じゃあ俺が使ってるこのシスターの身体も、誰かの…?」

「--俺たちのこのキャラー」

「これは、ゲームのキャラなどではなく、
 生身の身体だってー…
 そういう、噂だー」

一緒にゲームをプレイしているグラードの言葉を思い出す。

「---…」
志郎は震えるー

「--このゲームはVRを超えた
 V-TSF-R
 バーチャルリアリティとTSFの融合だー」

プロデューサーの男は、邪悪な笑みを浮かべながら、
そう囁いたー

②へ続く

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ラグナロクファンタジーに隠された秘密とは…?

続きは明日デス~!

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