<入れ替わり>わたしが元カノであの子が今カノ?②~不穏~

入れ替わってしまったふたりー

”今カノ”となった”元カノ”

”元カノ”となった”今カノ”

ふたりの運命は…?

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「---うん!うん~!え~?ほんとに~!嬉しい!」
満面の笑みの紀香(柚葉)-

彼氏の大介は、
”今カノ”紀香と
”元カノ”柚葉が入れ替わったことを知らずに、
紀子になった柚葉と接しているー

「ははは、そんなに喜んでもらえてよかったよ」
大介が言うと、
紀香(柚葉)は嬉しそうに手を繋いだー。

「-----」
柚葉(紀香)が大学から出てきて
偶然、その場面に出くわしてしまうー。

「---柚葉…」
大介が表情を曇らせるー。

”元カノ”である柚葉と大介は、
別れてからは、極力接点を持たないようにしていたー。

大介も、
柚葉もー
お互いに会おうとはせず、
以前、紀香が不思議に思って聞いた時には、
”紀香先輩が嫌がるようなことは、わたし、しないんです!”と
柚葉は言っていたー

つまり、”元カノ”が会うことで、
嫌がるかもしれないー
と、そういう配慮からだと、柚葉は説明していたー

「---あ、柚葉ちゃ~ん!」
紀香になった柚葉が言う。

「---」
柚葉になった紀香は、言葉が出ないー

「---元気か?」
大介が微笑むー。

柚葉(紀香)は、思わず身体を震わせたー。

”わたしが、元カノー?”

入れ替わっているからー。
そうだとは分かっていても、
言葉では言い表すことのできない
激しい感情が、心の中に渦巻いてくるー。

「---どうしたの?柚葉ちゃん?」
紀香になった柚葉は勝ち誇った表情を浮かべているー。

「---……」
柚葉(紀香)はそんな紀香(柚葉)のほうを不安そうに見つめるー

「---う、、うん、、元気…だよ」
柚葉(紀香)は震えながらそう答えたー。

手を繋いでいる紀香(柚葉)と大介ー

思わず、この場で叫びそうになるー。

「--じゃ、いこっか」
大介がそう言うと、紀香(柚葉)は「うん!」と嬉しそうに答えてー
そのまま大介に身体を密着させたー。

「-----……」
柚葉(紀香)は、黒い感情があふれ出しそうになるのを抑えて、
その場に立ち尽くしたー

少しすると、柚葉からLINEが届くー。

”---あ、先輩!沢井先輩と別れましたので、
 今からそちらに戻ります”

とー。

少しすると、紀香(柚葉)は戻ってきたー。
柚葉(紀香)が暗い表情で出迎えるー

「--ちょ、ちょっとぉ~!
 そんな、今にもわたしを噛み殺しそうな目で見ないで下さいよぉ~!」
紀香(柚葉)はそう言うと、
近くのベンチに座って、足を組んだー。

「-----…」
違和感を感じながらも、柚葉(紀香)も隣に座るー。

「---…このあと、どうします?」
紀香(柚葉)が聞いてくるー。

二人とも、家は一人暮らしだ。
だから、どっちの家に帰っても大きな問題はないー。

お互いの本来の家に帰るかー
それとも、身体の家の方に帰るかー

「--わたしはどっちでもいいですけど、
 見られたくないものとかも、あるかもですし、
 それなら、身体は違ってもお互い、自分の家に帰るのがいいのかなって」
紀香(柚葉)は言うー。

”身体違い”で家に帰るのはリスクもある。
近所の人に見られたり、
郵便物などの受け取りなどで
トラブルが起きる可能性もあるからだー。

また、お互い、年頃の女子であるゆえに
秘密もあるだろう。

「----」
柚葉(紀香)は暗い表情で黙っているー。

「---あれぇ?もしかして、紀香先輩、
 嫉妬してます?」
紀香(柚葉)が笑みを浮かべながら言うー

「そ、、そんなこと」
柚葉(紀香)は咄嗟に反論したー。
柚葉はあくまでも”紀香のふり”をしてくれているだけー
そうは思っても、
そうは分かっていても、
まるで、”彼女”の立場を奪われてしまったかのような
そんな感覚を覚えてしまう。

「--わかりますわかりますぅ!その気持ち!」
紀香(柚葉)が手を叩きながら言うー。

「---…柚葉ちゃん」
柚葉(紀香)が、紀香(柚葉)のほうを見つめるー。

”わかりますぅ?”
紀香は、その言葉が引っ掛かったー

”柚葉ちゃんは、わたしと大介の関係に嫉妬していたー?”

「--でも、演技ですので、ご心配なく。
 紀香先輩の身体なのに、彼氏の沢井先輩と距離を取るなんて
 おかしいですからね」

紀香(柚葉)はそう呟くー

”----”
柚葉(紀香)は、そんな紀香(柚葉)の態度を見て
何故だかライバル心がわいてきたー

「--身体の家に、帰ろ」
そう呟く柚葉(紀香)

「え」
紀香(柚葉)の表情から笑みが消えるー。

”この子、本当は、まだ大介のこと好きなんじゃ?”
そんな風に思った
紀香は、”探りを入れる意味”でも
”身体の家に帰ることを提案した”

柚葉になった紀香は”柚葉の家”にー
紀香になった柚葉は”紀香の家”にー、だ。

「--わたしに見せられないものでもあるの?」
柚葉(紀香)がちょっといじわるっぽく言うと、
紀香(柚葉)は少し考えたあとに、にっこり微笑んだー。

「いいえ、ありません。じゃ、そうしましょう」
とー。

にっこりとほほ笑むふたりー。

柚葉(紀香)は、不安を感じながらもー
柚葉の家へと向かったー

・・・・・・・・・・・・・・・

帰宅した柚葉(紀香)は、
部屋を見て戸惑うー

”大学で見ている柚葉”のイメージとは
まるで、違って、派手な印象だったのだー。

ロックバンドのファンなのか、
そういったグッズが並んでいるほか、
ギターのようなものまで部屋に置かれているー。

そしてー

「なにこれ…」
チャイナドレスやらー
SM系の衣装やらー
過激な衣装がいくつか置かれていたー

「---」
机の上には「大介」と「柚葉」がいっしょに写っている写真が置かれているー

「-----…」
柚葉(紀香)は戸惑うー。

”入れ替わり”
そんな風に書かれたメモ帳が
机の上に置かれているのを見て、
さらに不安になるー

二人は”今日”入れ替わったばかりだー。
何故「入れ替わり」なんてメモが机の上に
置かれているのかー。

柚葉(紀香)は、不安をさらに強めたー

”入れ替わってから”
ふたりはまだ一度も帰宅していなかったー

なのに、柚葉の家に”入れ替わり”などという
メモが置かれているのはなぜかー。

”事前”に入れ替わり…
入れ替わることを予期していたー?

柚葉(紀香)は、台所に灰皿とタバコの箱が置かれていることにも気づくー

”先輩”
柚葉の笑顔を思い出すー

イメージと、まるで違うー

柚葉(紀香)は、不安を隠せずに、
震えるのだったー

・・・・・・・・・・・・・・・

「----」
紀香の家に帰宅した
紀香(柚葉)は
「ふふふ」と一人、呟きながら
一人、ガムを噛み始めるー

普段、ガムを噛まない紀香の身体で
ガムを噛み始める柚葉ー。

「---はぁ~~~~~」
鏡を見つめてうっとりした表情を浮かべる紀香(柚葉)-
そのまま紀香の髪を触ったりー
唇を触ったりー
胸に手を触れたりー
足を触ったりするー

「ふふふ…先輩ってば…ゾクゾクしちゃう」
紀香(柚葉)は不気味な笑みを浮かべると、
そのまま、ソファーに座り、足を組んだー

「-------」
紀香(柚葉)は、スマホを手にすると、
何かをいじり始めたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

柚葉(紀香)は、不安な表情で
大学へとやってきたー。

「---!」
紀香(柚葉)と大介が仲良しな様子で
前を歩いていたー

紀香(柚葉)がチラッと振り返ると、
口元を三日月に歪めたー

”笑っているー”

柚葉(紀香)は、それを見て、震えたー

”柚葉ちゃんはーーー
 大介を奪おうとしているー?”

そう、感じたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「---先輩の家ってすっごく落ち着いた感じで
 いい感じでしたよ~~!」

昼休みー
食堂で、紀香(柚葉)と合流し、
会話を交わすー

”元に戻る方法”について
”お互いの家”についてー

紀香(柚葉)は、ごく普通の会話をしているー
態度もいつも通りだー。

だがー
どうしてもー

”柚葉ちゃんは、大介を奪おうとしているのではないか”と
考えてしまうー。

柚葉(紀香)は
柚葉の家にあった「入れ替わり」と書かれたメモや
チャイナドレスや、派手なモノが置かれていたことを
聞こうとするー

だがーー

「あ、、、あの、、ゆ、、柚葉ちゃんの
 部屋のイメージって…思ったより、違ったなぁ…って」

と、口にするのがやっとだったー

「え~~~~!?やっぱりそう思われちゃいましたぁ~?」
紀香(柚葉)が微笑むー。

「--あれが、わたしの本当の姿です」
紀香(柚葉)が不気味な笑みを浮かべるー

柚葉(紀香)はびくっとして、紀香(柚葉)のほうを見つめるー。

”怖いー”
なんだか、そんな風にすら思えてきたー

この子ー
わたしの身体を奪って、大介を奪うのが目的なんじゃー…と
思ってしまうー。

「---ふふふ…冗談ですよ~!
 そんな、間抜けな顔しないでください」
柚葉(紀香)はそう言うと、笑みを浮かべながら
「あ、週末、大、、あ、沢井先輩とデートすることになったんで、
 ご報告しておきますね」
と言ったー。

「デ、、、デート!?!?」
柚葉(紀香)が思わず立ち上がって叫ぶー

周囲の学生が何人か、紀香たちのほうを見るー。

「--何驚いてるんですかぁ?」
紀香(柚葉)が笑いながら言うー。

「---だ、、だ、、だって……」
柚葉(紀香)の言葉に、
「先輩、落ち着いてください」と、笑みを浮かべながら紀香(柚葉)は言ったー。

「元に戻るまで、先輩のふりをしないといけないんです。
 だから、わたしに任せてください!
 ちゃんと、沢井先輩の彼女として”ふさわしい”振る舞いをしますから」

嫌味な口調で言うー。

「---…それって、わたしが大介にふさわしくないってこと?」
柚葉(紀香)は、思わず紀香(柚葉)を睨みつけてしまうー。

「----違いますよぉ 元に戻るまでの演技ですってば!
 先輩のためです」
紀香(柚葉)が笑うー

「---元に戻る気、あるの?」
柚葉(紀香)が低い声で言うー。

「-----ーーそれはーー」

”あ、紀香~~~”
という声が背後から聞こえてくるー。

紀香の友人の一人が
ちょうどタイミング悪くやってきたー。

「---あ、幸恵~!」
紀香(柚葉)は完ぺきに”紀香”のふりをしているー

「---あれ?えっと…」
紀香の友人・幸恵は、柚葉になった紀香のほうを見るー。

この幸恵は、柚葉とはほとんど面識がないー。

「---あ、わたしの”後輩”の柚葉ちゃんー」
紀香(柚葉)が微笑むー。

”わたしの後輩ー”
勝ち誇った表情で、そう言い放ったー

「-----」
柚葉(紀香)は悔しそうに唇を噛みしめるー。

幸恵が「あ~!柚葉ちゃん!紀香がたまに話してる子ね~!
こんにちは!」とあいさつしてくる。

屈辱にまみれながらー
柚葉(紀香)は、「こんにちはー」
と答えたー。

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「---元に戻る方法…見つけないと…」

数日が経過したー

紀香(柚葉)はだんだんと
柚葉(紀香)に話しかけてこなくなったー

大介と妙にべたべたして、
”紀香”として楽しんでいるー

「このままじゃ…わたし…
 本当に”元カノ”にされちゃう…」
柚葉(紀香)は、大学の構内で、
紀香(柚葉)とすれ違うー

紀香(柚葉)はクスリと笑いながらー
「明日はデートなんで、精一杯大介と楽しんできますね♡」
紀香の身体で甘い声を出すと、そのままウインクして
立ち去っていく紀香(柚葉)-

”待ちなさい”
そう叫びたくなったー

けれどもー
できなかったー

あの子ーーーー

かわいい後輩は、
純粋な子などではなくー
悪魔ーーー

柚葉(紀香)は、ついに”沢井先輩”ではなく
躊躇なく”大介”と呼んだ
紀香(柚葉)を見てー
”わたしの身体を最初から奪う気だったんだー”と
確信し、震えることしかできなかったー

③へ続く

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このまま”元カノ”に身体も
”彼女”の立場も奪われてしまうのでしょうか~?

明日が最終回デス!
(明日は、私の仕事の都合等で、更新の時間が若干遅れる(お昼前後)かもしれません…★)

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