ごく普通の女子大生・紀香(のりか)-。
彼女は彼氏と幸せな学校生活を送っていたー。
しかし、ある日…
彼女は”彼氏の元カノ”と入れ替わってしまうー
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川本 紀香(かわもと のりか)は、
今日も笑顔で”彼氏”を待っていたー。
半年前から付き合い始めた彼氏・沢井 大介(さわい だいすけ)-。
大介は、とても優しい性格で、
気配りも出来るタイプだー。
「--お待たせ!」
大介がやって来るー。
紀香はとても嬉しそうに大介のほうを見つめるー
”幸せ”を感じながら
紀香はいつものように大介との日々を送るー。
「--あ、そうだ、来月、大介の誕生日だったよね~?」
紀香が笑いながら言うと、大介は「まぁ、来月って言っても26日だからまだ先だけどな~」と
嬉しそうに答えたー
付き合い始めてから初めての誕生日ー
大介に何をプレゼントしようかな~?と悩む紀香ー。
大介から直接”欲しいもの”を聞いても良いのだが、
それだと”サプライズ”がないー。
”何が欲しい?”と聞けば、
大介の欲しいものを聞き出すことは、確かに出来るー。
だが、同時に、
大介からしてみれば”それを貰えるのかな?”と思われてしまうー
だからー
できれば紀香は、
大介に欲しいものを聞かずに、
なおかつ、大介の欲しがっているものを
プレゼントしたいと考えていたー
「あ、プレゼントとか、あんまり気を遣わなくてもいいからな!」
大介が言う。
「--またまた~!せっかく付き合い始めたんだし、
そんなこと言わないで~!」
紀香は、”彼氏にプレゼントする”という初めての経験に
わくわくしていたー
紀香にとっては、大介が”人生初めて”の彼氏ー
そして、今度の大介の誕生日が、
”人生初の、彼氏の誕生日”なのだー
だからこそ紀香は、
まるで子供のように目を輝かせて、
わくわくしていたー
”大介、何が欲しいんだろ~?”
紀香は頭の中で考える。
どうせプレゼントするなら
やっぱり彼氏に喜んでもらいたいしーー
「--そうだ!」
紀香はポンと手を叩くー
「--柚葉(ゆずは)ちゃんに聞いてみよっと!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---それで、わたしに…?」
後輩の黒月 柚葉(くろつき ゆずは)が、穏やかな笑みを浮かべるー。
「---うん!ごめんね!」
大学の昼休みー
紀香は食堂に柚葉を呼び出して相談していたー
「---大介のーー、、いえ、沢井先輩の欲しい物、ですかぁ~」
眼鏡をかけた可愛らしい雰囲気の柚葉が考えるー
柚葉はー
紀香と大介の”後輩”であると同時にー
大介の”元カノ”だー。
元カノと
今カノー
一歩間違えれば嫉妬の炎が燃え上がりそうな関係の二人だがー
二人は、とても仲良しだったー。
今年のはじめに、大介と柚葉は別れー
その数か月後に紀香が大介と付き合い始めたー
”---沢井先輩と、お付き合いしてるんですねーー”
最初、柚葉にそう声を掛けられたときは驚いたー
大介と柚葉は、同じ高校出身で、大学で意気投合、
付き合いを始めた、という関係性だったがー
紀香自身は高校も別だったし、柚葉とはあまり面識がなく、
まともに話すのも、その時が初めてだったー
柚葉が”元カノ”なのは知っていたからだー。
紀香は、思わず身構えてしまったが、
柚葉は穏やかな笑みを浮かべてー
”あ、嫉妬とかそういうのじゃなくて、
沢井先輩のこと、大切にしてあげてくださいねって
だけです”とー
まったく、気にしている様子はなかったー
大介と柚葉は円満に分かれて”いてー
既にお互いに未練はないのだと、
柚葉は説明してくれたー
それ以降ー
柚葉と紀香は親しくなったー
不思議な関係だが
”同じ男子を好きになった”モノ同士ー
”今カノ”の紀香と
”元カノ”の柚葉は仲良しになったのだったー。
それからは
こうして、大介のことで悩むと
後輩である柚葉に色々相談したり、
アドバイスを貰ったりしているー
「---う~ん…沢井先輩なら
何でも喜ぶと思いますけど~
でも、せっかくの誕生日ですしね~」
柚葉が真剣に考えてくれるー
紀香は、柚葉と一緒にスマホを見つめながら
いくつかの誕生日プレゼント候補を考えるー
「本当に、いつもごめんね!」
紀香はそう言いながらも、
お礼の言葉を口にするー
”元彼の、”今の彼女”から
色々相談される”なんて、
嫌な気持ちにならないだろうかー?と
紀香はいつも心配しているー
だが、柚葉は全然気にしている様子もなく
”わたしは、沢井先輩と紀香先輩のこと、応援してますよ”と
いつも、可愛らしく言ってくれるのだったー
とても良い子で
とてもかわいい子ー
なのに、なんでこの子と”お別れ”したんだろう…?と
時々不思議に思うものの、
”さすがにそれを聞くのは悪いよね”と
紀香は”ふたりが別れた理由”を必要以上に
根掘り葉掘り聞いたりはしなかったー
「---あ、ごちそうさまでした!」
柚葉が言うー。
”お礼”に、と、紀香が柚葉に
食堂のスイーツを奢ったのだった
「ううん。こちらこそありがとう」
紀香が言うと、柚葉はほほ笑むー
柚葉は、大介とは会おうとしないー。
一度、何でか聞いたことがあるが、
”元カノが、元彼にしつこく会うのって良くないと思うので”という答えだったー
”今カノ”である紀香を、不安にさせないように、という
気持ちもあるのだとかー。
「--じゃあ、わたしはこれで!
頑張ってくださいね!
ふぁいとふぁいと!」
柚葉はそう言うと、可愛らしいしぐさを加えながら、
そのまま立ち去って行ったー
”素直で良い子ー”
時々ー
ちょっと”天然”なあざとさはあるけれどー
それも、柚葉の魅力のひとつだと思うー
紀香は、そんな風に思いながら
彼氏・大介への誕生日プレゼントを考えるのだったー
・・・・・・・・・・・・・・
「-------」
柚葉は帰宅するー
「---」
”今日は本当にありがとう”
紀香からのLINEを見て
”どういたしまして!わたしもお役に立ててうれしいです!
また何かあったらいつでも相談してくださいね!”
と、返事を出したー
「ふ~」
柚葉はスマホを置いて、
穏やかな笑みを浮かべるー。
「---先輩、頑張ってほしいなぁ~」
そう呟くと、柚葉は少しだけ微笑んだー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
今日もいつものような日々ー。
紀香は、穏やかな大学生活を送りながら、
教授にレポートの提出を終えて、
次の講義が行われる部屋に向かうため、
階段を上っていたー
”穏やかな1日”は、今日、終わるー
そのことを、知らずにー
階段の上の方から騒がしい音が聞こえてくるー
「---!」
階段を上っていた紀香が、驚いたときにはーー
既に、”遅かった”
「---わああああああ!?!?!?」
階段を猛ダッシュで降りてきていた元カノ・柚葉が叫ぶー
紀香も柚葉も、お互いを避けようとしていたがー
避けることができず、
そのまま衝突、階段から派手に転がり下りてしまったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「うっ…」
気づくとー
紀香は医務室にいたー。
柚葉と共に、階段から転落してしまってー
運び込まれたのだろうー
「う~ん……」
紀香が、まるで寝起きのように、
寝ぼけた雰囲気でいると、
「あ…先輩」
と、横から声がしたー
「----!」
その声がした方向を見るとー
そこにはー”自分”がいたーーー。
「--ひっ!?!?!?」
”自分”が目の前にいるー
そのことに思わず声を出してしまう紀香ー。
そんな紀香の様子を見て、目の前にいる”もう一人の紀香”は
「あの~~~~」と言いながら、近くにあったスタンド式の鏡を
紀香の方に向けたー
鏡に映ったのはー
”紀香”ではなく、元カノ・”柚葉”だったー
「え……!?!?」
紀香は思わず驚いてしまうー。
目の前にいる”もう一人の紀香”が呟いたー
「あの…わたしたち、階段から落ちた時に
入れ替わっちゃったみたいなんです」
とー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
状況をようやく理解できた紀香ー。
紀香は柚葉にー
柚葉は紀香になってしまったー。
階段から転落した時に
二人の中身が入れ替わってしまったらしいー
「--まさか、、こんなことになるなんて」
柚葉になった紀香は、困り果てた様子で呟くー
「---ごめんなさいー
わたし、教授に呼ばれてて急いでたので…
つい階段を走っちゃって」
紀香になった柚葉が頭を下げるー。
「--わたしこそ、あんまり前を見てなくて、ごめんね」
柚葉になった紀香ー
柚葉(紀香)がそうお詫びをすると、
「いえいえ、わたしが悪いんです」と、
紀香(柚葉)は答えたー。
「--でも、どうしよう…」
と、柚葉(紀香)は困った様子。
紀香(柚葉)も困り果てた様子だー。
「--あ、あの…」
紀香(柚葉)が呟くー。
「--キスとかしたら…元に戻ったりしませんか?」と
顔を真っ赤にしながらーー
「--えっええええええええ!?!?」
柚葉になった紀香が驚き、
彼女も顔を赤くしてしまうー。
(ど、どうしよう、わたし、女の子同士のキスを迫られてる!?)
柚葉(紀香)が戸惑いながら
心の中であたふたするー
「-あ、、あの!へ、、変な意味じゃなくて、、
その、何か、入れ替わるアニメか何かで見たことあるんですっ!」
紀香(柚葉)が、柚葉(紀香)の反応が、あまりにも慌てた様子だったので
自分にまで慌てた雰囲気が感染してしまうー
「--そ、そ、そうよねっ…じゃあ!」
柚葉(紀香)はそう言いながらも、
目の前に迫る自分の顔に戸惑うー。
後輩の柚葉ちゃんと、柚葉ちゃんの身体で
キスをするー?
どういう状況~?
と、思いながらもキスをするー。
紀香になった柚葉が思ったよりも
積極的ー
と、いうか激しいキスをしてきて、
柚葉(紀香)はドキッとしてしまうー
「んっ…♡」
紀香(柚葉)が甘い声を出すー
自分の甘い声を他人として聞くー。
かなり不思議な感覚を覚えながらー
「ちょ!?長くない!?」
と、柚葉(紀香)が、紀香(柚葉)から離れたー
「ふふ、つい… ごめんなさい」
紀香(柚葉)は照れ臭そうに言うと、
「でも、戻ってないですねぇ」と、
自分の身体を見つめながら言った。
色々試してみる二人ー
でも、やはり、元に戻る様子はなかったー。
「---…仕方ないですね」
柚葉(紀香)が言うー。
「--”入れ替わっちゃったの”なんて言っても、
たぶんみんな信じないと思いますし、
大介…じゃない、沢井先輩にも、
心配かけちゃうと思うんです。
--元に戻れるまで、
お互いのふりをする…ってことで、どうですか?」
紀香になった柚葉が提案するー
「----」
柚葉(紀香)は不安そうな表情を浮かべたー。
”お互いのふりをする”
つまり、それはー
紀香になった柚葉ー
大介の元カノである柚葉が、
”今カノ”として振舞うことを意味するー。
「---あ!大丈夫ですよぉ!
わたしは大、、、えと、沢井先輩とはもう完全に
終わってるんですからぁ!
わたしは、紀香先輩と沢井先輩のこと、応援してますっ!」
可愛らしいしぐさを交えながら
微笑む紀香(柚葉)
「--あ、う、、うん」
柚葉(紀香)は
”こんないい子を疑っちゃだめ”と
自分の心の中に言い聞かせて、
「それじゃ…そうするしかないね」と、呟いたー
こうして、二人は”お互いのふり”をして
しばらく生活することにー。
”今カノ”である
紀香は”元カノ”柚葉の身体でー。
”元カノ”である
柚葉は”今カノ”紀香の身体でー。
紀香になった柚葉は、
廊下を歩きながらー
クスッ、と静かに微笑んだー
②へ続く
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コメント
以前、「元カノの報復」という
元カノが今の彼女に憑依して、彼氏を奪おうとするお話がありましたが、
今回は”元カノ”と”今カノ”の「入れ替わり」ですネ~!
「元カノの報復」とは違って、
今のところ、”元カノ”はいい子に見えますネ!笑
今日もお読み下さりありがとうございました~!

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