<憑依>何があってもきみを愛す②~愛情~

月美に憑依した男は、
”月美の彼氏から嫌われようと”あえて、月美の身体で
幻滅するような行動を繰り返す。

しかし、月美の彼氏・優吾の反応は…

---------------------

「------」
月美は、彼氏・優吾の様子を伺っていたー

月美に憑依した龍之介は、
月美と優吾の関係を引き裂こうと、
わざと不機嫌な態度を取って見せたり、
わざと下品な食べ方で牛丼を平らげて見せたり、
色々なことをしたー。

しかしー
優吾は、まるで動じる様子はなく、
怒っている様子も、幻滅する様子もないー

”くそっ!意外と寛大な彼氏さまじゃないか”
龍之介はそんな風に思いながら、
”そうだ”と笑みを浮かべるー

優吾と月美は
”穏やかなカップル”という印象だー

身体を求めてやればー

そう、ドン引きするかもしれないー

「ねぇねぇ優吾~♡」
わざと甘い声を出してみる。

「ん?」
優吾が笑顔で振り返る。

「--今日、大学終わったら
 一緒にホテルいこうよ~!

 なんだか優吾とヤりたくなっちゃった!」

歪んだ声が出るー
月美の身体がゾクゾクと興奮しているー

”へへへ…性欲まみれの彼女なんて、
 いやだろぉ~?”

龍之介が、月美の顔を歪ませながら
心の中で笑うー

「え?」
優吾の表情が歪む

”ははは!信じられないって顔だな!
 穏やかなこの女が、そんなこと言うわけないもんな!”

「----ふふふ、とぼけないでよ~!
 だからさ~!セックス!したいの!」

月美は単刀直入に言葉を口にしたー

「----え」
優吾が口をぽかんと開けているー

”ははは、やっぱそういうことやらないんだろうなぁ~この二人は”
龍之介は笑みを浮かべるー

月美の口からそんな言葉が出るなんて
思わなかったのだろうー。

そんな風に思いながら、
月美に憑依している龍之介は、さらにとどめを刺そうとしたー。

「---わたし、フェラしたいの!」
大声で言う月美ー

優吾は、周囲をキョロキョロしながら戸惑っているー

”まさか、月美ちゃんと一度もヤッたことねぇのか?”
龍之介はそんな風に思いながらも、

”まぁ、愛のカタチは人それぞれだからな”と、
内心で思いながら、優吾の反応を待ったー

”さぁ、どうするー
 どう断るー?
 ここから生まれる優吾と月美の亀裂ー。
 たまんねぇぜ”

亀裂とは、最初は小さなものから始まるものだ。
小さな亀裂は、やがて拡散し、広がり、
大きくなっていくー。
その亀裂が、耐えきれなくなったときー
”絆”というものは、粉々に砕け散る。

「-----いいよ」
優吾が笑いながら返事をしたー

「---やった~~~! 
 って……
 ええええええええええええ!?!?!?」
月美は予想外の返事に声を上げてしまうー

”いいよって!?!?!?あ?????”
優吾は絶対にNoだと思っていた
月美に憑依している龍之介は、唖然とするー

”おいおいおいおいおい、俺は男となんて
 ヤリたくねぇぞ”

乗っ取った昨夜、月美の身体で
ひとりエッチはしまくったが、
男とヤルのはさすがに気が引けるー
身体は月美でも、
中身は龍之介だからだー。

「---………まぁ……俺はあんまり乗り気じゃないんだけど、
 月美が望むなら…いいよ」
優吾は、月美のために、と、月美とホテルに行くことを承諾したー

「--え…あ~~~~え…」
月美は一転して挙動不審になりながら、
”そうだ”と笑みを浮かべるー

「--ひどい!」

「---え?」
優吾が唖然とするー

「ひどい!優吾ったら、わたしの身体が目当てだったのね!」
月美が叫ぶー

月美にそう叫ばせている張本人ー
月美に憑依している龍之介は、自分の発言を
”完全にサイコパスじゃねぇか”と苦笑いしながらも続けるー

「--ホテルでわたしとエッチしたいなんて!最低!」
そう言い放って、優吾の前から走り去る月美ー

”自分からホテルに行こうと誘っておいて
 いいよ、って言われたら「身体目的だったのね!」とか
 やばすぎる女だろ”

龍之介は、自分でそうさせておきながら、
心の中で笑みを浮かべたー

「まさか、エッチしよ!でyesとは思わなかったけどー
 ま、これであいつも月美のこと、嫌いになるだろ」
月美はそう呟きながら、
”さ~て、俺が月美ちゃんをゲットするんだ”と、笑みを浮かべたー

・・・・・・・・・・・・・・・・

夜ー

”さっきは、ごめん”

優吾からLINEが届いたー

”月美から、ホテルに誘われたから、つい、
行かなくちゃいけないのかな?って思ってー。
本当にごめん”

という、内容だった。

「-----はぁ」
月美はスマホを放り投げるー

部屋の中でー裸の月美がイライラした様子で歩き回るー

月美は普段、裸族などではないが、
今の月美は龍之介の思うがままだー。

「はぁ~~~~くそっ!」
綺麗な身体をさらしたまま、あぐらをかく月美ー。

「---何がごめん!だ」
月美が毒づくー

優吾と月美の関係を引き裂くために
月美に憑依したのだが、
思った以上に優吾は手ごわいー

「---このぐらいじゃ、嫌いにならないってか」
月美は、帰りにコンビニ買った缶ビールを部屋で飲みながら、
ひとり笑みを浮かべたー

「だったらもっと、わたしを嫌いになってもらおうじゃねぇか」
あえて”わたし”と言いながらゾクゾクすると、
月美は、スマホを手に、あることをし始めたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「---今日の月美、何か変だったな…」
優吾は、そう思いながら、
机の上に飾ってある写真を見つめるー

写真には、月美ではない少女の写真ー
学校の制服を着ているー。
その写真には、優吾も写っていて、優吾も制服姿ー。

「------」

”人が変わるときはー
 助けてのサイン、かー”

優吾は、そんな風に呟きながら
悲しそうに、その写真を見つめたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

「--おはよう、昨日はごめん」
優吾は、待ち合わせをした場所で月美と合流すると、
まず、昨日のことを詫びたー

「--別に」
月美は、そう呟くと、カバンからたばこを取り出したー

「-!」
優吾が少しだけ表情を曇らせるー

月美は喫煙者じゃない。
その月美が、当たり前のようにたばこを取り出して
ライターで火をつけて、それを吸い出すー。

しかも、歩きタバコだー。

「-----」
優吾は、戸惑った様子を浮かべているー

”へへ…たばこ吸う女はどうだぁ~?”
龍之介が笑みを浮かべるー

「-ーーーぷは~~~!」
優吾が反応しないので、月美はわざとらしく煙を
鼻から出して、おいしそうにたばこを吸うー。

「---……」
優吾は何も言わない。

「----」
だんだんイライラしてくる月美ー

”おい!大好きな彼女が突然喫煙し始めて
 しかも歩きたばこだぞ!?コメントはねーのかよ!”
と、龍之介モードで叫びそうになったが
月美はそれをこらえるー。

「---ねぇ」
だが、ついにしびれを切らした月美は、
「たばこ吸う女ってどう思う?」と笑みを浮かべながらつぶやくー

たばこの吸い殻をその場に捨てて、
靴で踏みにじる月美ー

普段たばこを吸わない人が喫煙ー
歩きたばこー
吸い殻のポイ捨てー

”朝のトリプルパンチだぜ”
龍之介はどや顔でそう叫ぶー。

「---」
月美として、その言葉を口にするわけにはいかないから、
内心で叫んだだけだがー
月美の表情は勝ち誇った表情に無意識のうちになっていたー

「-----…まぁ、もう20歳超えてるんだし、
 別にルール違反じゃないから…いいんじゃないかな」
優吾は、苦笑いしながら、
「でも、歩きたばことポイ捨てはやめた方がいいな」と、
今、月美が踏みにじった吸い殻を、いやな顔ひとつせずに
拾って、自分のカバンの中に、ティッシュに包み込んでから放り込んだー。

「-----それだけ?」
月美が不快そうに言うー。

「--…え?」
優吾が首をかしげるー

「もういい!」
月美は、ムカッとして、そのまま立ち去っていくー

優吾は「月美…」と
戸惑うことしかできなかったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「---くそっ!なんだあいつは!」
月美は女子トイレの中で壁に拳を叩きつけたー。

月美の綺麗な手がじんじんと痛みを発しているー。

「--くそっ!くそっ!くそっ!」
イライラして月美は、髪をボサボサになるまで
掻きむしると、はぁはぁ言いながら鏡の方を見つめたー

鬼のような形相の月美がそこに写っているー。

月美本人は何も怒っていないはずなのにー
むしろ、身体をこうして乗っ取られて好き放題されていて、
助けを求めているはずなのに、
怒りの形相を浮かべているー。

身体中に怒りが満ちているのを感じるー

「くくく…憑依ってやっぱすげぇな」
月美の意思まで簡単に乗っ取り、意のままにしてしまうー
月美に憑依している龍之介は、改めてそのすごさを感じながら
笑みを浮かべたー。

”そうだー。俺にも”覚悟”が足りなかったな”

月美は邪悪な笑みを浮かべるー。

そうだー
あの程度では、そう簡単に大好きな人を嫌いになるはずがない。

「もっと、もっとだー」
月美が表情を歪めるー

もっともっと、苛烈にー
本気でー。

不機嫌なふりをしたり、
下品に昼食を食べてみたり、
ホテルに誘ったり、
たばこを目の前で吸ってやったりー

そんなんじゃ足りねぇ…

もっと、もっと、幻滅させてやるぜー

「くくくくくく…
 絶対にわたしを嫌いにさせてやるもん!」
頬を膨らませてみる月美。

少しして、ぷっと笑うー。

「ふふふふふ、はははははは!な~んてな!
 ひゃはははははは♡」

月美はとても愉快そうに、女子トイレから飛び出すと、
不気味な笑みを浮かべながら、歩き始めたー。

そして、素行不良の学生たちが自販機前で集まっているのを
見つけると、月美は笑みを浮かべたー

「ねぇねぇ」
月美が不敵な笑みを浮かべながら声を掛ける。

「あん?」
この学年の素行不良の学生たち4人ー。

素行不良、と言っても、停学になってしまうようなレベルではなく、
日々の授業態度が悪かったり、ちょっと髪型などで学則を違反して
指導を受けたり、そのぐらいのレベルで、
中途半端な悪…ぐらいの学生たちだ。

「--今日、わたしとヤラない?」
月美が甘い声を出しながら言う。

「は???」
4人組の一人が、表情を歪める。

同じ学年だから、当然月美のことは知っている。

とてもまじめで優しい女子大生だし、
自分のようなやつらに絡むタイプではない。

それに「ヤル」とはなんだ?
エッチなことを積極的にやるような女にはーーー

「---わたしの彼氏、ぜ~んぜんわたしを満足させてくれないのよね~
 だからわたし、欲求不満になっちゃった♡」

甘い声で笑う月美ー

「---くくっ」
4人組の一人が笑うー。

「--へ~~~!長峰さんでもそういうことあるんだなぁ?いいぜ!
 ヤリまくろうぜ」

「--ふふ、4人でわたしをたっぷり満足させてね♡」
月美は、悪女の笑みを浮かべたー

・・・・・・・・・・・・・・・・

今日も大学での1日がおわるー

月美の態度はやはりおかしいー。
優吾はそんな違和感を感じながらー

”彼女”のことを思い出すー

突然おかしくなった”彼女”

優吾は、その”シグナル”に気付くことができなかったー
最後までー。

優吾が、そんな”彼女”のことを思い出していると、
月美からLINEが届いた。

”見せたいものがあるの”
月美から場所を指定されるー。

優吾は、戸惑いながらも、
月美から指定された場所へと向かったー

③へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

何があっても彼女を嫌いにならない一途な彼氏…

二人の関係はどうなってしまうのでしょうか~?

最終回は明日デス!

コメント

  1. 匿名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    嫌いにさせるために自分の好きな人を落とすというのは、手に入らないなら壊しちゃえみたいな感じですかね?

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    手に入らないなら壊しちゃえ!という気持ちと、
    彼女の評判をとことん落として、彼氏に振られた状態を作って
    そのあとに、彼女の身体から抜け出して、告白して横取りできないか?という
    思惑が、憑依している彼にはあります~!