<憑依>何があってもきみを愛す①~憑依~

仲良しカップルに嫉妬した男は
”憑依薬”を使って、彼女に憑依し、
仲を引き裂こうとするー。

だが、彼の彼女への想いを引き裂くのは、
想像以上に困難だったー。

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「いつもありがとう!」
嬉しそうに微笑む女子大生・永峯 月美(ながみね つきみ)ー。

「--月美のためなら、何だってするさ」
優しそうな男子大学生・堀岡 優吾(ほりおか ゆうご)が、月美に対して笑うー

二人は、大学内でも1、2を争うぐらいに
”仲良し”なカップルだったー。

優吾と月美の二人は、
何があっても別れることはないだろう、
と、そんな風に思われているー

そのぐらいの仲良しだー。

バカップル、と呼ばれてしまうような振る舞いではなく、
あくまでも、”純粋な感じ”のカップルであることから、
優吾と月美の二人を嫌う人間は少ないー

「---ほんと、お前は月美ちゃんとお似合いだよなぁ」
優吾の親友・本山 卓三(もとやま たくぞう)が、笑いながら言うー。

「---はは、月美に嫌われないように頑張るよ」
優吾は、そう返事をすると、卓三は「月美ちゃんがお前のこと
嫌いになるなんてありえないぜ~!」と、笑うー。

「--そうだといいんだけどな」
優吾の言葉に、卓三は
「いやいや、大丈夫大丈夫。月美ちゃんがお前を嫌いになるなんて、
地球がひっくり返ったりでもしない限り、ありえねぇことだからさ」と、
笑みを浮かべたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”光”があれば、”闇”も必ず存在するー。

大学で恐れられている”ワル”
東海林 龍之介(しょうじ りゅうのすけ)は、
二人を見て、激しい怒りを覚えていたー

”月美ちゃんのことは、俺が狙っていたのによ”

ワルである自分が、真面目で明るい月美に
相手にされないことなど分かっているー。

だが、1年前ー
それを承知で、龍之介は月美に告白をしたー。

危険を承知で遺跡に飛び込まねば
お宝は手に入らないー
そう思ったからだー。

だが、結果、彼は
遺跡の罠にはまって串刺しになってしまった
哀れな冒険者になってしまった。

そう、月美に振られたのだ。

そのころには、既に優吾と付き合っていて、
”付き合っている人がいるので、ごめんなさい”と
丁寧に断れて、
玉砕したー。

”あんな優男のどこがいいってんだ?”
龍之介は、それから1年間、優吾のことを憎み続けたー。
自分がライオンなら、優吾は、うさぎだ。
ライオンを愛さず、うさぎを愛するとは、どういう了見だ?

”彼氏がいるのでごめんなさい”

つまりー
彼氏がいなければ断る口実は無くなるのではないか?
龍之介は、そう考えていたー。

とは言え、
優吾を襲撃して、命を奪ったりすれば、
それは犯罪だ。
龍之介はワルだが、そういう分別はついているー

龍之介は”合法”な範囲内で、
悪さをしている”インテリな悪党”なのだー。

「---憑依薬 ついに手に入れたぜ」

龍之介は笑みを浮かべるー

月美に憑依して、
優吾の前で悪態をつき続け、
優吾と月美の関係を”引き裂く”-。

そして、優吾と月美の関係を引き裂いたら、憑依から解放し、
おそらく落ち込むであろう月美の元に姿を現しー
龍之介が慰めるー。

失恋した月美にとって、龍之介は恐らく
白馬の王子様に見えるだろう。

「--ククク 俺は白馬の王子様になるぜ」
龍之介はそう呟くと、憑依薬を飲み干したー

憑依は犯罪ではないー
そんな法律はどこにも存在しない。
月美に憑依したことを”悪”だと言うやつがいたら
言ってやりたいー。
憑依は違法なのか?憲法第何条にそう書いてあるんだ?
とー。

憑依は、犯罪ではない

「この黒と白の隙間にある
グレーゾーンで悪さをする感覚…
たまらねぇな」

そう呟きながら、霊体になった龍之介は、
月美の居場所を目指して浮遊し始めたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

月美は、自宅に帰宅していたー。

月美と優吾は、一人暮らしー。
二人とも、大学入学に合わせて、
大学の近辺に引っ越してきていたのだった。

「----…」
月美が、部屋で一人、何かをしているー

どうやら、何か整理整頓をしているようだー。

”くくく…やっぱりかわいいなぁ”
龍之介の霊体は、既に月美の部屋に到着していたー

何も知らない月美は、部屋の掃除をしたり、
時折スマホで、優吾からの連絡を見ているのか、
嬉しそうに返事らしきものを入力しているー。

「-----」
龍之介は不愉快そうに、そんな月美を見つめるー。

”---俺はお前を正しい方向に導く”
龍之介はそう思いながら、
月美に身体を重ねたー

「---ひっ!?!?」
月美が、声を上げて、持っていたスマホを落とすー。

”へへへへ…その身体、しばらく借りるぜ?”
龍之介は、笑みを浮かべながら、
月美を”支配”していくー

乗っ取られている間の記憶がないことー
乗っ取られている間に何かを語り掛けても、そのことも覚えていないことは
既に”確認”済みだ。

憑依薬を手に入れた龍之介は、近所の女子高生で、”実験”した。

突然部屋で暴れまくって、
家族の目の前でエッチをしまくってやったー。

だが、その記憶は無さそうな雰囲気だったー。

だからー。
安心して月美を乗っ取ることもできるー。
乗っ取られている間、月美は何も覚えていないのだからー。

「---くく」
月美が目から涙をこぼしながら笑みを浮かべるー

「お~~お~~~泣いちゃったかぁ」
月美が口元を歪めるー。

涙を流しているのに、月美の表情は
悪魔のように歪んでいるー

「さてさて…まずは」
月美は、両手でガシッと両胸を掴むとほほ笑むー

「--わたしの全て、見せてあ・げ・る♡」
甘い声を出すと、乗っ取られた月美は、さっそく笑みを浮かべて、
服を乱暴に脱ぎ捨て始めるのだったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

優吾は、自宅で、机の上にある写真を見つめていたー

写真に写っているのは、月美ではないー。

学校の制服を着た可愛らしい少女ー
年齢は同じぐらいに見えるー

写真を見つめながら、何かを呟いた優吾は、
スマホを手にするー

「--そういえば」
優吾は、ふと思う。

昨日の夜ぐらいから、月美のLINEの返事が
”適当”になった気がするー

いつもは、結構長文だったり、
しっかり話を聞いてくれている、という感じの内容の
メッセージが帰って来るのだが、
昨日の夜からは

”うん”

”そうだね”

”ふーん”

”別に”

”興味ない”

そんな感じで、
ものすごく単調になったのだー

「もしかして、俺、何か怒らせたとか…?」
優吾はそんな風に思いながら、大学へと向かったー。

・・・・・・・・・・・・・・・

大学に到着すると、
月美が、いつもより派手なメイク、派手な服装で
大学にやってきていたー

爪にもネイルのようなものが見えるー。

「--お?今日はなんだかイメージが違うなぁ」
優吾が言うと、
月美は「そうね」と、だけ呟いたー

愛想が悪いー

優吾は「あ、、あのさ、俺、月美を怒らせたりしてないよな?」
と、苦笑いしながら言うー。

月美は「別に」とだけ答えたー

”くくく…さぁて、どうやって仲を引き裂くかな”

月美に憑依した龍之介はそんな風に思いながら笑みを浮かべるー

月美の身体を乗っ取っている今、
優吾との関係を引き裂くことは簡単だー。

”そうだー”
月美は不気味な笑みを浮かべるー

”この女に対して、徹底的に幻滅させてやるぜ”
そんな風に思いながら、
月美は露骨に不機嫌そうな態度を演出した。

「あ、、あの、何かしちゃったなら、ごめんな」
優吾が言うと、
月美は鼻で優吾を笑ったー

「--え???え???」
戸惑う優吾ー。

月美は、そのまま立ち去っていくー

「--おお???初喧嘩か!?」
背後から声がして、優吾が振り返ると、
そこには親友の卓三がいた。

「え、、あ、、いや、違うよ
たぶんなんか…今日は機嫌が悪いんじゃないかな…?」
優吾はそう呟くと、
卓三は、「へ~~!月美ちゃんにもそんなことあるんだな!」と、月美の
後ろ姿を見ながらつぶやいたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

だがー
月美の態度はおかしいままだったー

食堂で一緒に昼食を食べた際に
その”不安”は爆発したー

「--な、、なぁ月美」
優吾が月美に声をかけるー

月美が、大盛りの牛丼を食べながら、
優吾の方を見るー

「--ん?なぁに?」
口に食べ物をぎっしり詰め込んだまま
月美が優吾の方を見るー

肘を机に乗せて、
くちゃくちゃしながら牛丼を食べる月美ー

月美が牛丼を食べるのを初めて見たー…
のは、別に良いのだが、
食べ方もおかしいー

口から溢れそうなほどに牛丼を口へ放り込み、
口に食べ物を入れたまま、平気で口を開くー

「---あ、七味くださ~い!」
月美が、食堂のカウンターの方に向かっていき、
七味をもらうと、
七味を牛丼の上に、かけ始めるー

「---お、、おい?そんなにかけて大丈夫か…?」
優吾が不安そうにつぶやくー

月美は、七味唐辛子を大量に牛丼にかけ続けてー
既に牛丼は真っ赤に染まっていたー。

「--なによ?文句あんの?」

月美はそう言いながら、
内心で笑うー

”くくく…下品な食べ方をする彼女に、幻滅しろ”

月美に憑依している龍之介は笑うー。

月美に幻滅して、優吾が月美を振ったらー
月美の身体から抜け出して、
優吾に振られて落ち込む月美を励ますー。

そう、俺が白馬の王子様になるのだ。

そんな風に思いながら、真っ赤になった牛丼を食べて、
ゲホゲホと咽る月美ー。

「--お、、おい…そんなにかけるから」
優吾が呆れたような笑みを浮かべているー。

「----げほっげほっ!」
月美はあまりの辛さに額から汗を流しながら、
ガツガツと牛丼を食べては咽ているー。

そして、ついには
「あ~もう無理!食えない!」
と、口にして、牛丼を残したー

”どうだ?最悪な食事マナーの彼女を見て、
幻滅しただろ?”

月美に憑依している龍之介は勝ち誇っていたー。

優吾が、月美のことを嫌いになればー、
優吾と月美に対する復讐にもなるし、
優吾がいなくなれば、
”付き合っている人がいるので、ごめんなさい”とは
もう言えなくなるー

復讐と欲望ー
そのふたつを、一気に満たすことができるのだ。

普段月美が食べないような牛丼をガツガツと食べてー
くちゃくちゃ音を立ててー
食べ物を口に入れたまま口を開きー
唐辛子をかけまくって、しかもそれを残すー

最低の食事マナーの月美を見てー
優吾は幻滅ーーー

「---!」
月美が表情を歪めた。

「--はは、なんか今日の月美はかわいいな」
笑う優吾ー。

「-----しょうがないな、俺が食べてやるよ」
優吾はそう言うと、月美が残した唐辛子だらけの
牛丼を食べ始めたー

「えっ…えっ」
月美が戸惑っているうちに、優吾は牛丼を食べ終えると、
「これでよし」と、
月美に対して微笑みかけたー

「---え……あ、、あの、他に何か言うことは?」
月美は、唖然としながら言うー

彼女の下品な食事を見ても、
何も言わないどころか、
優吾は”かわいい”と言い放ったー

「---他に言うこと???
ん???

ん???
あ~~~」

優吾は”よくわからない”という様子で、
少し考えてから呟くー

「あ~~~、唐辛子のことかな?
いつも完璧すぎるぐらいな月美だし、
たまにはそういう失敗も、可愛いと思うよ」

優吾はそれだけ言うと、
嫌な顔ひとつせずに立ち去って行ったー

一人残された月美はしばらく唖然としていたが
やがて笑みを浮かべたー

「---そう簡単には彼女のこと 嫌いにならないってか?
面白れぇじゃねぇか」

完全に乗っ取られている月美は、低い声でそう呟くと、
”なら、俺にも考えがあるぜ”と、心の中でほくそ笑んだー

②へ続く

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そう簡単には彼女のことを嫌いにならない彼氏…!
その運命は…?

続きはまた明日デス!

憑依<何があってもきみを愛す>
憑依空間NEO

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