<入れ替わり>早く元に戻らないと!①~発生~

仲良し高校生カップルが入れ替わってしまったー!

前向きな二人は「元に戻れるまではこのままでいいか」などと
軽く考えていたものの、
”入れ替わっている間、身体がどんどん中身の性別に近づいていく”ことに気づき…?

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高校2年生の
片倉 正志(かたくら まさし)は、
前向きな性格の男子高校生。

”その日”もいつものように、
”いつも通り”の学校生活を送っていたー

友達はほどほどに多く、
成績もそこそこー。
クラスの中心的人物、と言うほどではないが、
決して目立たない存在というわけでもなく、
”どこにでもいるような”男子高校生だったー。

「ーーーお待たせ!ちょっと、4時間目が長くなっちゃってさ」
正志が、そう言いながら微笑みかけた先にはー
別のクラスの女子生徒・麻谷 裕香(あさや ゆうか)がいたー。

「---あ~社会の徳川先生、授業時間延びるもんね~」
裕香は笑いながらそう言うと、
「おつかれさま」と、正志に優しく言葉をかけたー。

裕香は、正志の彼女で、
小さいころから一緒の幼馴染だー。

小さいころの裕香は、とてもボーイッシュな感じで
男の子たちと一緒になって、鬼ごっこやかくれんぼを
楽しんでいるような子だったー。
髪も短く、格好も、短パンの虫取り少年みたいな感じだったため、
正志は、裕香を完全に”男友達”扱いしていたー

が、そんな裕香も中学時代になってから、
髪を伸ばし始めて、途端にかわいくなっていき、
高校生になった今は、”美少女”と呼べるような、
そんな子になっていたー

「---それにしても、裕香がこんなになるなんてなぁ~」
正志が笑いながら言う。

「--小さいころ、ホント、裕香のこと、男としてしか見てなかったのに
 まさかこんな風に付き合い始めるなんて」
正志がそう言うと、
裕香は「確かにわたしもびっくりかも~」と笑うー。

小学時代の卒業アルバムー
中学時代の卒業アルバムー
並べてみると、裕香だけまるで別人のように見える。

「---どうしてこんなに変わったんだ?」
正志が真顔で聞くと、
裕香は「う~ん、なんでだろ~?」と、自分でもよくわからない、という
様子で笑みを浮かべたー

「---あ、そうだ、今度、久しぶりに鬼ごっこしてみる?」
裕香の突然の提案に、
正志は「えぇ!?」と顔を赤くするー

あの頃は何も意識しなかったが、
今の裕香と鬼ごっこをするとなると、なんだか変に
ドキドキしてしまって、もう、想像しただけで、ダメだー。

ドキドキしている正志の反応を見ながら
笑う裕香ー。

「か、、からかうなよ!」と顔を赤くしながら声を上げる正志ー

今日も、二人は”いつも通り”の日常を送っていたー。

しかしー
”事件”は起きたー。

昼休みの終わりの時間が近づき、
二人で昼食を食べていた空き教室から
外に出ようとしたその時だったー。

突然ーー
空き教室に、紫色の煙のようなものが、
湧き出てくるー。

「-え?」
「--!?」

正志と裕香は、すぐにそれに気づいたー

だが、その直後ー
何をする間もなく、二人は、あっという間に意識を失ってしまったー

・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・

「----!」
がばっ、と起き上がる正志ー

「--!?」
正志は周囲を見渡すー

時計を見つめるー。

時計は、5分ほどしか経過していないー

まだ、ギリギリ昼休みという時間だー。

”何だったんだ?あの紫色の煙…”
そう思いながら、正志は、座り込んだまま
近くにいるであろう裕香に声をかけるー

「裕香ーー、」

ーー!?!?
正志は表情を歪めたー

そして、振り返った先にはーー
”自分”が倒れていたー

「---あ?」
正志は、意味が分からず、困惑するー

目の前に自分が倒れているー
しかも、さっきから、自分の声が妙に高くて、おかしいー。

「---」
正志は、混乱するー

目の前に自分が倒れているこの状況ー

「え…俺、もしかして…幽霊に…!?」
目の前に、自分が倒れているー

そんな状況を見て、正志はそう思ったー

自分は、さっきの紫色の煙で死んで、
幽霊になってしまって、
倒れている自分の身体を見つめているー

そう思ったのだー

「--えええええええええ!?!?!?
 俺、まだ死ぬわけにはいかないんだけど!」

正志がかわいい声で叫ぶー。

「--さ、、さっきから声が変だと思ったら
 俺、死んだからこんな声に!?!?」

そう叫びながら頭を抱えるとー
正志はさらなる異変に気付くー

”髪が長い”

「え…」
綺麗な黒髪を、手に少しとってみて、目の前に寄せるー

「---え…」
正志は言葉を失う。

何が起きた?
死んで、白装束のおばけにでもなったというのか?

「ってか、何で俺だけ?」
正志はそう呟く。

空き教室を見渡しても、
裕香の姿が見当たらないー。

教室に倒れているのは、自分の身体だけー

「裕香は無事だったってことか…な?」
そう首をかしげると、
正志にさらなる衝撃が走ったー

「んあっ!?」
自分の下半身の異変に気付くー

自分がスカートを履いていて、
綺麗な足をさらしているー

「--あ???」
正志は、さらに、自分に”胸”があることに気づくー

「え……なに???ん???お?????」
正志は頭がパンクしそうになりながら、
”俺…女の子の幽霊になっちゃった!?!?!?!?”
と、的外れな考えにたどり着いたのだったー

「う…」
倒れていた正志の身体が起き上がるー

「ぎゃああああああああああああああ!!!!」
正志はそれを見て悲鳴を上げるー

「し、、し、、死んだはずの俺が起き上がったぁ!?!?」
正志がかわいい声で叫ぶと、
起き上がった正志が、正志の顔を見るなり、
「きゃあああああああああああああああ!」と悲鳴を上げたー

「ぎゃあああああああああああああ!」
「きゃあああああああああああああああああああああ!!!」

悲鳴を上げる二人ー

何で自分が悲鳴を上げているのか分からなくなってきて
正志は、とりあえずさらに悲鳴を上げたー

・・・・・・・・・・・・・・・・

「----えっと」
正志が呟くー

正志は、ようやく状況を理解したー

自分は死んだのではなく、
裕香の身体になってしまっていたのだ。

幽霊になったから、自分の身体が倒れていたのではなく、
正志は裕香に、裕香は正志になってしまったために、
意識を取り戻した時、正志(中身は裕香)が倒れていたのだ。

「--入れ替わり…ねぇ」
裕香になった正志が呟くー

「---…こういうのって、漫画とかアニメの世界だけじゃなかったの?」
正志になった裕香が苦笑いしながらつぶやくー

「--俺に聞かれてもなぁ」
裕香(正志)が呟くー。

椅子に座って、足を広げた格好で座っている裕香(正志)を見て、
正志(裕香)はつぶやくー

「あ、、あの…その座り方はちょっと」
とー

指摘された裕香(正志)は「あぁ!?ごめん!?」と慌てて足を閉じるー

「--でも、どうしてこんなことに?」
正志(裕香)の言葉に、裕香(正志)は、
二人が気を失う原因になった”紫の煙”のことを口にするー

「---……」
正志(裕香)は、困惑した表情を浮かべるー

「とにかく、元に戻る方法を探さないとな」
裕香(正志)はそう呟くとー…

「ってか…自分の口から裕香の声が出るとか… なんかこう、
 言葉では言い表せないヤバ身を感じる」

と、苦笑いしながら言ったー

「--わたしも、、違和感ありまくりって感じ…」
正志(裕香)は”でも、なんか自分の声じゃない声が自分の口から
出るって、不思議”と、ほほ笑むー。

♪~~~

”階段から転がり落ちてみるか”などと提案しようと思っていた
裕香(正志)だったが、ちょうど昼休みの終わりを告げるチャイムが
耳に入ってきた。

「うぉ!?」
裕香(正志)が叫ぶー

「やばっ!遅刻しちゃうよ!どうしよう!?」
正志(裕香)が叫ぶー。

もう時間がないー
5時間目が始まってしまうー

「と、、とりあえず!」
二人は顔を見合わせたー

”このまま、5時間目と6時間目、受けちゃうしかない!”
とー。

二人は、慌ててそれぞれのクラスの教室に向かうと、
そのまま5時間目の授業を受けることになってしまったー

裕香(正志)は、”やべぇ、スカート落ち着かない”と思いながら
もじもじしながら授業を受けるー。
周囲の生徒が「だいじょうぶ?」と声をかけてきてくれたが、
裕香(正志)は、無理やりほほ笑むことしかできなかったー

一方、正志(裕香)のクラスは5時間目が体育ー
「---男子の身体で着替えるなんて…」
そう思いながらも、
”逆じゃなくてよかったかな…正志、鼻血吹き出しそうだし”と
苦笑いしながら、男子としての初めての着替えを経験するー。

”こっちのほうが、楽かも???”
変に気を使わなくて良かったり、男子の方が体育の着替えは
楽そうだなぁ~なんて思いながらー
周囲で着替える男子を見て、正志(裕香)は少しだけ顔を赤らめたー

”なんか…やばい…”
と、思いながらー

男子の着替えを見て顔を赤らめる男子状態になってしまった
正志(裕香)-

そんな正志(裕香)に気づいて、正志の友人の一人は
「お、、、お前…なんで俺を見て赤くなってるんだ?
 …まさか、俺に惚れたのか!?」などと、冗談を口にしたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

なんとか5時間目と6時間目を終えた二人ー
正志(裕香)と裕香(正志)は、空き教室で再び合流したー

「--さて、元に戻る方法を考えないとな」
裕香(正志)は、「緊張したら、暑くて暑くて」と、制服で、自分の身体を仰いでいる。

「…ひ、人前でそれやらないでよね?」
正志(裕香)の言葉に「や、やらないよ!」と裕香(正志)は顔を赤らめながら反論したー。

放課後だから時間はたっぷりあるー。

元に戻るために思いつく方法を次々とやってみるー。

「--正面衝突!」
「--キス!」
「---目を瞑って抱き合う!」
「ーー祈る!」
裕香になった正志が色々提案してみるー。
ひとつひとつ二人で試していくものの、
どれをやっても元には戻らなかったー

空き教室で男女二人が、
正面衝突したり、キスをしたり、抱き合ったり、
二人で祈り始めたりー
事情を知らない人間が見たら、
”この二人、きっと疲れておかしくなっちゃったんだろうなぁ”と
思うに違いないー。

「--はぁ…はぁ…」
裕香(正志)が、疲れ果てた様子で足を広げて
イスでぐったりしているー。

正志(裕香)も、顔に疲れの色が見えるー

「も、、元に戻れない…」
裕香(正志)はそう呟くと、
「裕香にも、何かアイデアないかな?」と、
正志(裕香)の方を見て呟いたー

さっきから自分ばかり”元に戻る方法”を提案しているー

その言葉に正志(裕香)は、
”一度寝れば明日の朝には元に戻ってたりして”と
提案したー

「---う~ん…でも、それだと1回家に帰らないと…」
裕香(正志)が言うと、
正志(裕香)が、「でも、入れ替わるお話って、大抵、
元に戻れるまで、相手として行動しよ~!って話になるよね??」と、
口にしたー

「確かになぁ…」
裕香(正志)は乗り気ではなかったー。

女子として一晩を過ごすのは、さすがに色々きつそうだー。
トイレも、いろいろときつそうだしー。

「--わたしたち、小さいころからの付き合いだし、
 お互いの親のことも知ってるから、きっと大丈夫だよ!」
正志(裕香)の言葉に、
裕香(正志)は、いやいやながらも「まぁ、それしかないか」とため息をついたー

こうして二人は入れ替わったまま
お互いの家へと帰宅するー。

戸惑いはあるものの、これはこれで貴重な経験ー
この時の二人は、まだそのぐらいにしか考えていなかったー

しかしー
二人はまだ知らない。

”ある異変”が起きることにー

②へ続く

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コメント

入れ替わっている状態が続くと、
中身の性別に身体がどんどん変異してしまう…!?
という、メインのテーマは次回から登場デス~!

正志の身体が女性に、
裕香の身体が男性にー
と、いうことですネ!

明日をお楽しみに~!

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