全ては念じるだけでー。
相手の姿を思い浮かべて念じるだけで、
簡単に洗脳することができるー。
彼は、まるで自分が神になったようなー
そんな気分になり始めていたー
--------------------–
”死ねー”
正彦は念じるー
”死ねー”
正彦はひたすら念じるー
この世の汚物がどんどん消えていくー
この力があればー
世界を正しい方向に導いていくことができるー
もはや、正彦の対象は、
学校だけにはとどまらないー
プライベートをも飛び出し、
正彦は、”悪”を徹底的に捌き始めていたー
「死ね!死ね!死ね!悪党はみんな消えてなくなれぇぇぇぇ!」
正彦は部屋の中で叫ぶー
悪党など、必要ないー
次から、次へと、悪党の姿を思い浮かべて”洗脳”し、
抹殺していくー
ニュースに出て来る犯罪者は
無差別に、次々と洗脳したー
国内・国外問わずだー。
”消えろ”
”消えろ”
”消えろ”
正彦は、狂気的な笑みを浮かべるー
まるで、音楽を聴きながら
リズムを刻むかのようにー
”悪党”を抹殺していくー
「-----はぁ…はぁ…はぁ」
正彦は、自分の部屋で時計を見たー
深夜2時ー
今日も、ずいぶん殺したー
もうすぐ、世界は平和になるー
正彦は、寝ることもせずに、さらに笑みを浮かべるー
悪党を始末し始めて1か月ー
やがて、正彦の行為はさらにエスカレートしたー
”炎上”発言をした有名人を、”洗脳”して始末したー
「--わたしは、悪党でぇ~~~~す!」
テレビに出演していたその女は、生放送中に洗脳されてー
生放送中に自分の首を刺してー
死んだー。
「悪党にふさわしい最後だ」
正彦はほほ笑むー
「--犯罪者かどうかは、俺が決める」
そうー
この世の基準は”生ぬるい”
少しでも悪いことをすればー
”犯罪者”だー。
不倫報道を見つめる正彦ー
不倫相手と不倫をしていた男を
洗脳して、抹殺するー
「不倫するやつなど、この世に必要ない」
正彦は呟くー
問題発言をした政治家を見つめる正彦ー
当然、洗脳して抹殺するー
「-責任ある発言ができないやつなど、この世に必要ないー」
ゴミはー
徹底的に捨てなければならないー
正彦はー
学校に登校すると、いつものような穏やかな優等生を演じるー
35人いたクラスは、
今や21人しかいないー
14人は”消した”
不良生徒の次郎、
その友人の樺山と足利。
サボり癖のある片岡。
浮気女の美濃部ーー
”少しでも”
黒い部分のある生徒には、全員死んでもらったー
「--平和を実現するために、お前たちは必要ないー」
”主”のいなくなった座席を見つめながら、正彦はほほ笑むー
そしてーーー
正彦は、”洗脳”を悪用もし始めていたー
「--んっ…正彦ぉ…♡」
幼馴染の美穂は、昼休みになると
空き教室で正彦に”ご奉仕”していたー
正彦は、美穂の頭を撫でるー
「--世界平和のために戦う俺のためにー
尽くせるなんて、美穂は幸せだなぁ」
”力”を手に入れた正彦は、狂い始めていたー
幼馴染で彼女の美穂をも洗脳してー
こうして、エッチなことをさせていたー
美穂が、正彦のアレを咥えて、
正彦にとにかく気持ちよくなってもらおうと、
必死に口を動かすー
「--毎日毎日、俺も平和のために戦ってるとさ、
疲れるんだよー」
正彦は笑いながら、美穂の口の中に白い液体をぶち込むー
世界平和のために戦っている自分が、
こういうことをしてもらう権利は、当然ある。
今の正彦は、神だー。
神にお仕えできて、美穂も幸せだろう。
「よし。美穂。汚れた部分は、舐めてちゃんと掃除するんだぞ」
正彦は、美穂の頭をポンポンと叩くと、
そのまま空き教室を出たー
美穂は、床に落ちた正彦の体液を
美味しそうに舐めているー
「--ご主人様!」
大人しい女子生徒が寄ってくるー
正彦が洗脳して”秘書”にした女だー。
「---また犯罪が起きました」
秘書にした女子が、犯罪のニュースをスマホで見せて来るー
「--わかった」
正彦はそう言うと、その写真の男を浮かべてー
念じるー
”死ね”
とー。
距離が離れていても、姿を思い浮かべて、
念じるだけで、洗脳することができるー
「--ご苦労様」
正彦はそう言うと、秘書にした女子生徒の頭を撫でたー
「----もうすぐ…もうすぐ、世界は平和になるー」
この世界は薄汚れているー
理不尽なことが多すぎるー
人間は、醜すぎるー
小さいころから、ずっとずっと、そう思ってきたー
でも、今は違うー
それを”正す”力を手に入れたんだー
だからー
だからー
もうじき、世界は平和になるーーーー
正彦は、そう信じて、疑わなかったー
だがー
「----」
正彦は、ニュースを見ていて思うー。
大量の死者が出てー
世間は大混乱に陥っていたー
街中にも”恐怖”が広がっているー
人々が、笑顔になるどころかー
人々が暗くなっているー
死んでいるのは”悪党”だけなのにー
「---いったい、何が起きてるんだろうな」
父親がテレビのニュースを見ながら呟くー
”相次ぐ異常行動
突然の自死行為”
ニュースでは、連日犯罪者を中心に
突然おかしな行動をとり始めて、
自殺…という現象を繰り返し報じているー
専門家がテレビに出演しているー
”これまで奇行に走って自殺している人の共通点を見るとー
必ず、何らかの”スキャンダル”あるいは”犯罪”を犯している人間”という
点が共通していますー
専門家が語っているのをテレビで見ながら
正彦は「その通り」と、呟くー
”ですが、もしも、これが誰かの仕業であるのであれば
これは、犯罪です。”
専門家が言うー
”犯罪ー?”
正彦は表情を歪めたー
「バカいうな。これは正義だー」
拳を握りしめる正彦ー
犯罪者を裁く行為が、犯罪だと?????????
「----これは正義だ!」
正彦が大声で叫ぶー
母と父が、驚くー
妹の恭子は”洗脳”により、部屋で勉強を続けているー
正彦は、とっさに、テレビに出演している専門家を洗脳したー
そして
”謝罪しろ””謝罪してから死ね”と命じたー
専門家が突然、テレビの前で
「犯罪者を裁くことは当然でございました 申し訳ありません」と
叫び始めるー
スタジオが騒然とする中、その専門家は自ら命を絶つー。
「---」
正彦は笑みを浮かべるー
”世界平和”の邪魔をする人間は、不要だー。
正彦の行動は、さらにエスカレートを見せていきー
膨大な量の人間が死んでいくー
洗脳ー
洗脳ー
洗脳ー
「ひゃははははははははは!」
笑う正彦ー
もはや、彼を止めることは、誰にでもできないのかもしれないー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
ある日ー
「---な」
正彦が唖然とするー
学校にいた正彦は、
母親からのLINEを見て、唖然としていたー
そこにはー
”恭子が万引きでつかまったの…
これから警察に行ってくるから、
自分で鍵開けて、家に入っててね”と
書かれていたー
「万引き?」
正彦は表情を歪めるー
妹もーー”犯罪者”
この世の、ゴミー
「どけ!」
正彦は”ご奉仕”中だった幼馴染の美穂を蹴り飛ばすー
蹴り飛ばされた美穂は、
それでもニコニコしているー
警察に走る正彦ー
妹の恭子は、泣いていたー
「だって…勉強ばっかりで…つまんないんだもん!」
とー。
ストレスが爆発した恭子はーー
道を踏み外してしまったー
”俺のせいなのか?”
正彦は思うー
自分が洗脳して、恭子に勉強ばかりさせていたからー
それでー?
いやーー
万引きは、犯罪だー
許されることではないー
正彦は、妹の恭子の顔を見たー
”ゴミ”にしか見えなかったー
”お前みたいなゴミが妹なんて、恥ずかしいよ”
正彦は、そう内心で呟くとー
妹を”洗脳”したー
そして、呟いたー
「--死ね」
とー。
妹の恭子が、死んだー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
とあるビルの屋上ー
正彦は”世界”を見つめていたー
世界はー
より良い世界になるはずだった。
犯罪者を葬りー
秩序を乱すものを葬りー
法律で裁かれない”グレーゾーン”のやつらを葬るー
欲にまみれた権力者を葬りー
このやり方に異を唱えるものを葬りー
世界は、平和になるはずだったー
だがー
「--くそっ!」
正彦は、怒りの形相で壁を殴りつけたー
世界は今ー
”混乱”しているー
恐怖が世界を支配し、
秩序は乱れ、各地で争いが始まっているー
「くそっ!くそっ!くそっ!」
”追いつかない”
争いを起こすバカ共を
全員始末してやろうと思っても、
処理が追い付かないー
”死ね!死ね!死ね!”
次々と念じていく正彦ー
「くそっ!バカばっかりだ!
どうして俺みたいに、頭を使わない!?
クズばっかりだ!」
正彦は、洗脳した幼馴染の美穂に肩を揉ませながら
怒りの形相で叫ぶー
「バカどもが!!バカどもが!!!!
頭を使えよ!!どうしてこんなことになる!?
俺は世界を良くしようと洗脳してやってるのに!」
メイド服姿の美穂が「ご主人様はご立派です」と、呟くー
美穂は完全に洗脳されていて、もはや
幼馴染などではなくなっているー
「--うるさい!役立たずが!」
美穂を蹴り飛ばす正彦ー
「----くそっ!こんな風になったのも、
全て、全てあいつのせいだ!」
”ローブの人物”を思い出すー
そうだー
あいつがこんな力を俺に渡してこなければ、
俺はーーー
「---ご主人様は素晴らしいです」
蹴られた美穂が気にせず正彦を拍手する。
「ええい!うるさい!死ね!」
正彦がそう叫ぶと、美穂は「かしこまりました」と
呟いて、そのまま屋上から飛び降りたー
「--はぁ…はぁ…はぁ…」
”暴君”と化した正彦ー
そこにー
ローブの人物がやってきたー
「-------この力を渡せば
何かが変わると思ったのだがー」
「--!」
正彦がローブの人物を睨むー
「----……どうしようもない結末だな」
ローブの人物が呟く。
正彦は「お前が俺にこんな力を渡すから!!!!」
と、叫ぶー
「そうー
なんでもかんでも、人のせいにして
自分は優秀だと、驕り高ぶっているー。」
ローブの人物は、正彦を指さしながら呟くー
「---俺もな、かつて、”正義”に燃えていたことがあったー
正義のために人を殺したー
だが、世間は理解しなかったー
俺を犯罪者として叩き、裁きー
俺の人生は死んだー
永遠に”元犯罪者”として定職につくこともできず
地獄のような人生を味わったー」
ローブの男はそう呟くとー
正彦の方を見たー
「---だから俺は”運命”を変えようと、
30年かけて、お前に渡したその力を生み出したー」
そして、続けるー
「その結果が、これだー
お前は、救いようのない、”勘違い野郎”だー。
--正義なんかじゃない。
ただの、正義に溺れたサイコパスだ」
ローブの男の言葉に正彦は叫ぶ。
「うるせぇぇ!!!!!
俺は、、俺は正義を実行してるんだよ!
なのに、世界が間違ってる!
どうして怖がってる???
正しく生きればいいだけだろうが!!
俺が洗脳して殺してるのは
悪党だけだ!!
なのに、なんで、こんな世界になってる!?
みんなが笑って暮らせる悪のいない世界に
俺はしたいだけなのに!
なんでだ??
救いようがないのは俺じゃない!!世界だ!」
正彦が泣き笑いながら叫ぶー
「--いや、お前だー
人間はーー愚かだ。
”悪”は無くならないー
どんなに願ったところでー。
お前が死ねば、世界は今より少しだけ良くなるだろうー」
ローブの男の言葉に、
正彦はうるせぇ!と叫びながら、ローブの男に突進したー
ローブを無理やり剥がしー
顔を確認するー
白髪の中年男だー
正彦は「お前も消してやるよ!俺の世界に、お前はいらない!」と叫ぶー
正彦が白髪男を思い浮かべながらー
”死ね”と叫んだーーー
「-----…」
白髪男が、ほほ笑むー
「---!?」
正彦は、表情を歪めたー
「---お、、、お、、、俺の身体が…???」
正彦の身体の自由が利かないー
正彦が、屋上の端に歩いていくー
「---」
ローブの男が笑みを浮かべながら屋上の端に歩いていくー
「ま、、まさかお前!?」
正彦が叫ぶー
この男が、洗脳の力をくれたー
だったら当然、この男もその力を使えるのかもしれないー
正彦は「お前!俺を洗脳したのか!?」と叫ぶー。
だが、ローブの男…白髪まじりのその男は首を横に振ったー
「----洗脳したのは…お前自身さ」
とー
「--は!?!?何言ってるんだ!?!??!?
お、、おい!?俺はまだ死ぬわけにはいかないんだ!
世界を、、世界を俺は平和にしたいんだよ!」
正彦が叫ぶとー
白髪の男が悲しそうにほほ笑んだー
「俺も昔は、そう思ってたー
だから”妹”に暴力を振るってたDV彼氏を
俺は殺したんだー
正義のためにー
でも、さっき言った通り、世間は俺を犯罪者として叩き、
正義を実行した俺は、犯罪者として
定職にもつけず、弾圧され続けたー
クソみたいな未来さ」
屋上の端にふたりが立つー
「おい!やめろ!元に戻せ!やめろって!」
正彦が叫ぶー
「--だから俺は”過去”を変えようと思ったー
たとえ相手が悪党でも、殺せばこの世界は犯罪者だ
だからー
洗脳して、バレずに始末することができればー
世界を、俺の人生を変えられると思ったー
お前はさー
俺が洗脳の力を渡さなければ-
俺と出会わなければー
あの日の半年後に妹に彼氏ができてー
その1年後に、妹は彼氏からのDVを打ち明けて来るー
そしてその2か月後に、お前は”正義のために”
妹の彼氏を殺すー
…だから、そうならないようにー
”過去の俺”が、”ちゃんとした正義”を実行できるようにー
俺は30年かけて洗脳の力を生み出して、
過去に遡ってー
”過去の自分”に、力を渡した
その結果が、これだー」
白髪の男の言葉に
正彦は瞳を震わせたー
「まさか、、、、お前……未来の…俺?」
正彦の言葉に、
未来の正彦は頷いたー
彼はー
”直接的に殺せば、人生が終わる”
例えそれが正義であってもー、と悟り、
”罪にならず、正義を実行する方法”
「洗脳」を30年かけて、過去の自分にそれを渡したー
自分のクソみたいな人生を変えるためにー
そして、世の中を正義で満たすためにー
だが、結果はー
世界を恐怖と混沌に陥れてー
挙句の果てに、私利私欲のために洗脳の力を使うだけだったー。
「---失望したよ。洗脳の力を正しく使えば
世界をよりよくできたはずなのに」
未来の正彦が言うー
「はぁ!?!?お前が、、お前が、こんな力を俺に渡すから!」
正彦が叫ぶー
正彦と、未来の正彦は、お互いに相手を睨んで叫んだー
「--お前のせいだ!」
とー。
”何でも人のせいにして”
自分は正義だと思い込んで、
自分が全て正しく、一番優秀だと思っているー
正彦は、今も昔も変わらないー
「---俺が死ぬこと」
未来の正彦は呟いたー
「それが一番、世界のために平和なのかもなー」
未来の正彦は笑うー
「--や、、やめろぉぉぉ!洗脳を解除しろぉぉぉぉぉ!」
正彦が叫ぶー
「洗脳したのは、お前自身」
未来の正彦が言うー
正彦は、未来の正彦を浮かべながら”死ね”と洗脳したー
相手が”未来の自分”だと知らずにー
結果ー
正彦は、自分を洗脳してしまったー
「---……俺は、、俺は、、俺は!!!
助けてくれえええええええええええええ!!!」
正彦は、そう叫びながらー
未来の自分と共にー
屋上から飛び降りたー
「----俺は…ただ…悪党が…許せなくてー」
落下しながらー
正彦は、それだけ呟いて、
目から涙をこぼしたー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
皆様がもし、この力を手に入れたら…
私利私欲に溺れたり、力に溺れたりすることができずに
過ごせるでしょうか~?
私は……最初は我慢しても
だんだん私利私欲に使っちゃいそうデス笑
お読み下さりありがとうございました~!
コメント