<MC>全ては正義のために①~正義~

ある日、彼は
”人を洗脳する力”を手に入れたー

正義感の強い彼は
”洗脳”で悪党を裁くことを決するー

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男子高校生の、舘谷 正彦(たてや まさひこ)は、
今日も、素行不良の生徒たちに腹を立てていたー

成績優秀の正彦は、
先生たちからも生徒たちからも信頼される
”絵にかいたような優等生”だー。

「--ありがとうございました」
職員室から出る正彦。

そんな正彦を見て、彼女の海老原 美穂(えびはら みほ)が
声を掛けて来るー

「--聞いたよ~!」
美穂は幼馴染で小さいころからの付き合いだー
高校に入学してからは美穂から告白されて
付き合い始めているー

「今度の生徒会会長に立候補したんだってね~!」
美穂が言うと、
正彦は「まぁね」と呟いたー

廊下を歩きながら会話を交わす二人ー。

「--正彦が立候補するなら
 わたしは生徒会副会長に立候補しようかな~!」
美穂が笑うー

1年生の時は同じクラスだったが、
2年生になってからは、別々のクラスだー。

「----はは、やめとけよ」
正彦が笑いながら言うと、
美穂は「なんでよ~!」と頬を膨らませるー

「生徒会って案外大変だしさ、
 美穂に大変な想いさせたくないんだよ」
正彦の言葉に、美穂は「正彦…」と、少しだけ
嬉しそうに呟いたー。

美穂と別れて自分の教室に向かう正彦ー

”世の中は腐っているー”
正義感の強い正彦は、理不尽な世の中に”怒り”を抱いていたー

クラスには、素行不良の生徒が何人かいるー
先生に指導されても、一向に態度を改めることのない
”愚か者”どもだー。
影でいじめを繰り返し、校則にも違反しているー

だが、先生たちも注意をしたり、停学処分にしたりするだけで
それ以上のことは、何もしないー

先生も、そうだ。
先生の中には、生徒に暴力を振るった経歴のある元・体罰教師がいるー。

正彦は思うー
”一度レールから外れた人間は、処分するべきだ”
とー。

体罰教師がのうのうと、教師として働いている点が、
気に入らないー

学校はー
いや、社会は腐っているー

法で裁かれる犯罪者ー
汚職にまみれた偉いやつらー

この世は腐っているー

だが、自分ひとりの力で世の中を変えることはできないー

正彦は、それが悔しかったー
だからせめてー
自分の目の届く範囲だけでも、変えたいー

”生徒会会長に立候補したのは、そのため”だー。

「---あ、舘谷くん」
背後から女の声がして、正彦は
”偽りの笑顔”で振り返ったー

「今度の生徒会選挙、お手柔らかにね」
A組の女子・里田 真々子(さとだ ままこ)-
生徒会会長に立候補した生徒の一人だー。

”ママ”などとあだ名をつけられている女で、
一見すると優等生なのだが、
男に身体を売って金を稼いでいるという噂があるー

いや、噂というより事実だ。
校内でも何度か、ヤッているらしいー

「--俺のほうこそ、お手柔らかに」
正彦は笑顔で答えるー

真々子が少し顔を赤らめるー
正彦はイケメンでもあるからかー
隠れたファンも、女子の中には多いー

”---ビッチ女がー。
 お前なんかが会長になれるわけないだろ?
 お前は男の前でケツでも振ってろ”
正彦は内心でそんな風に思いながら
「お互い、いい勝負にしよう」と、満面の笑みでほほ笑んだー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

生徒会選挙を目前に控えたある日ー

正彦は、ニュースを見て
怒りをあらわにしていたー。

殺人事件を起こした容疑者が、開き直っているー。
しかも、精神鑑定だのなんだの言いだしていて、
罪に問われない可能性も出てきたー

「--ふざけるな」
正彦は、怒りの形相でそう呟くー

人の命を奪っておきながら
自分はのうのうと生きながらえるー
そんなこと、許されるはずがない。
いや、許してはいけないー

他人の命を奪ったのであれば
自分も、死をもって償うべきだー

正彦は、そう思いながら
拳を強く握りしめるー

「-お兄ちゃん!」
妹で、中3の恭子(きょうこ)が、声を掛けて来るー

「-怖い顔しちゃってどうしたの~?」
恭子の言葉に、正彦は、いつものような
”作り笑い”を浮かべると答えたー

「え!?俺、そんな怖い顔してたかな!?」
とー。

恭子は「してたしてた~!」と
笑いながら答えたー

「--いやぁ~、恭子に彼氏とかできちゃったら
 どうなるのかな~って考えててさ~!」

「え~?やだ~!?お兄ちゃん嫉妬~!?」

下らない会話だー
正彦はそう思ったー

妹は、馬鹿だー。
バカだからこそ、俺が守ってやらなくてはいけないー

父は、ブラック企業勤務ー。
父は、よく頑張っている。
だが、会社がそれに報いようとしないー
この世の腐った部分の一つだ。

母は、パートをしながら、家族のこともよく考えてくれているー
理想の人間と言えるー。

”悪いことは、絶対しちゃダメ”
母は、小さいころから正彦にそう教えてきたー。

正彦も、その教えをちゃんと理解し、
悪いことは絶対にしないようにしてきたー

成績も優秀ー
素行も優秀ー
スポーツも、日常生活の家事も、なんでもすることができるー

だがー

「----」
正彦は拳を握りしめる。

世の中には、理不尽が多すぎるー

それは、正さなくては、ならないー

・・・・・・・・・・・・

ある日ー

不良生徒の戸田 次郎(とだ じろう)が、
校舎裏で1年生をいじめているのを見かけて
正彦が止めに入ったー

「その辺にしておけ」
とー。

「---あ?」
次郎が不満そうに正彦の方を見つめるー

不良生徒たちにとって、正彦は厄介な存在でしかないー。

だがー

「--悪かったよ」
舌打ちした次郎は、それだけ言うと立ち去っていくー

正彦は、立ち去っていく次郎の後ろ姿を見ながら
”クズが”と、静かに呟いたー

1年生のいじめられていた眼鏡女子・莉々(りり)から
お礼を言われた正彦は「どういたしまして」と、笑みを浮かべたー。

・・・・・・・・・・・・・・

生徒会選挙が目前に迫るー

”ママ”のあだ名を持つ真々子と、
もう一人、1年生の馬場 罰葉(ばば ばっは)という、
音楽家のような髪型をした生徒が立候補していてー
3人が、簡単な自己紹介を行うー

生徒会会長の投票は明日ー

正彦は
「僕は、この学校をより良い学校にしたいと考えていますー」と、
演説を締めくくると、
余裕の笑みで、壇上の椅子に戻ったー

真々子が「やっぱ舘谷くんは、すごいなぁ」と、顔を赤らめながら笑っているー

”余裕だな”
正彦はそう思ったー

身体を売るような女に負けるわけがないし、
バッハに負けるわけがないー

「---時代は、バロック時代の再来であります」
罰葉が、演説を続けているが、聞く価値もない。
お前に会長は無理だー

正彦はそう思いながら、
余裕の笑みを浮かべたー

だがー
”それ”は起きたー

「生徒会会長は、2-Aの里田 真々子さんに決定しましたー」
先生が言うー

投票の結果ー
里田 真々子が勝ったのだー

「--な、、なんで?」
真彦は首を傾げるー

「---良い勝負だったよ!ありがと!」
真々子が握手を求めて来るー

そんな真々子に対して、笑みを浮かべて握手をしながら

「応援してるよ 里田さん」
と、正彦はほほ笑んだー

だがー
”このクソビッチ女…!?どうして・・・?”と
内心は穏やかではなかったー。

そしてー
”理解した”

真々子は、不良生徒の次郎と組み、
男子を中心に、色仕掛けも使いながらー”票”を稼いでいたのだー

自分に票を入れればスカートの中を触らせてあげるだの、
そういう手段も使ったらしいー

「--この世は腐っている!」
正彦は怒りの形相で校舎裏の壁を叩いたー

その時だったー

「---素晴らしい」

ー!?

正彦が振り返ると、
そこには全身ローブ姿の怪しい人物がいたー

夕暮れ時の校舎裏ー
そこに現れた怪しげなローブの人物ー

「--…どちら様ですか?」
正彦はいつものように
”穏やかな優等生”として、その人物に問いかけたー

「ーーーあなたのような、正義感に溢れる人間ばかりならー
 この世界が汚れることもなかったでしょうな」
ローブの人物が訳の分からないことを呟くー

「--ーーーそれができていれば苦労はしない」
正彦はそう呟いたー。

この世は腐っているー
”バカばかり”
正彦は、常々そう思っているー

「---”できる”と言ったら?」
ローブの人物が呟くー
顔も隠しているが、どことなく笑みを浮かべているように感じたー

「--なに?」
正彦が表情を歪めるー

「あなたが、間違った人間、間違った世の中を
 導けるとしたら?」
ローブの人物の言葉に
正彦はため息をついたー

「---怪しい団体への勧誘とかなら、お断りですよ」
とー、
心底失望した雰囲気で言う。

「---いえ」
ローブの人物は、水晶玉のようなものを取り出したー

「----それは?」
正彦が不思議そうにローブの人物を見ると、
ローブの人物は笑みを浮かべたー

「--他人を、正しい方向に導くための”力”

 そうですなー…
 ”洗脳”とでも、言えば、分かりやすいかな?」

ローブの人物の言葉に、正彦は思わず笑いだしてしまうー

「洗脳?ははっ!バカにしないでくれ。
 そんなことできるわけがないー
 俺を揶揄っているのか?」

正彦の言葉に、
ローブの人物は、動じることなく正彦を見つめているー

「---この力があればー
 あなたは、悪い奴らを洗脳して、罰を与えることもできるー
 更生させることもできるー

 ”腐った世界”を救済することもできるー

 あなたのような、”正しい正義感”を持つ人間にこそー
 この力を、使ってほしい」

ローブの人物は、真剣そのものだったー

「-------…」
正彦は鋭い目つきでローブの人物を見つめるー

”こいつー?
 本気か?”

あり得ない話だー
だが、同時にー
”もしも本当ならば?”
とも、思う。

「-----見返りはなんだ?」
正彦が尋ねるー

”この力”がもしも本物だとしてー
タダでそれを貰えるはずがないー
何か、見返りを求めて来るはずだー
それを先に確認しておきたいー

「見返り?」
ローブの人物が笑うー

「--見返りはー
 あなたがこの世を正しい方向に導くことー
 それ以外には、何も望まないー」

ローブの人物の言葉に、正彦は笑みを浮かべるー

「つまり、俺が、悪い奴らや腐ったやつらを
 正しい方向に導くだけでいい、ってことだな?」
正彦が言うと、
ローブの人物は頷いたー

「その通りー。
 その力を、どのように使うかは、あなた次第ー。」

正彦は、少し考えたあとに、頷いたー

「その力ー、俺にこそふさわしいー」

正彦の返答に、ローブの人物は頷きー
水晶玉のような物体に手をかざすように言ったー、

手をかざす正彦ー
光に包まれる正彦ー。

「--最後にひとつー
 その力をどのように使うのかは、あなたの自由ー
 ただしー
 ”その結末”について、我々は一切関知しないー。
 身を滅ぼすも、世界を正しい方向に導くもー
 全ては、あなた次第ー」

ローブの人物の言葉に
正彦は笑みを浮かべたー

「--俺が使い方を間違えるとでも?

 見ていろー
 俺が、悪い奴らや腐ったやつらを洗脳してー
 この世を”正しい方向”に導いてやるー」

正彦の決意を聞き届けると、
ローブの人物は、少しだけ頷いてー
そのまま姿を消したー

「---はっ…」
正彦は”何だったんだ…?”と思いながらもー
手がまだ少し光っていることに気付いたー

”夢じゃないー”

「---ふふふ…俺にふさわしい力だー」
正彦は思う。

まずは、この学校を”正しい方向”に導くー
この、俺にふさわしい洗脳の力でー。

正彦の”世直し”は、
今、始まったばかりだったー

②へ続く

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コメント

①は洗脳の力を手に入れるところまでに
なってしまいました~!
続きはまた明日~!
(明日からが本番(?)ですネ)

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