<入れ替わり>10年後の再会②~過去~

不良生徒と入れ替えられてしまった優等生ー。

彼女の、地獄のような10年間ー
そして、”10年後の再会の日”までの苦悩の日々とは…?

---------------—

「----くくくくっ…」
帰宅した香奈美は、笑みを浮かべていたー

「--ははははっ!あははははははははっ♡」
香奈美とは思えないような、凶悪な笑みを浮かべるー

「あははははははははっ!はははははははははっ!」
今まで出したことのないような、悪い声で笑う香奈美ー

”入れ替わり薬”
ネットで手に入れたその薬を使い、
不良生徒の亮吾は、香奈美と入れ替わったー

「---今日から、俺が香奈美だー」
胸を触りながら、香奈美になった亮吾は笑みを浮かべるー

自分を退学に追いやったやつらへの復讐ー。
香奈美に対する、究極の、仕返しー。

香奈美(亮吾)は、「--つまんねー部屋だぜ!」と、
香奈美の部屋を見回すー。

いかにも真面目そうな感じの
綺麗に整頓された部屋ー

「--今日からは、何もかも、俺のものだぜ!ひははははは!」
脚を広げた状態で、椅子に座ると、香奈美(亮吾)は
悪魔のような笑みを浮かべたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--うそっ!!!そんな… そんな…」
亮吾になってしまった香奈美は、
慌てて街を走っていたー

自分が、亮吾になってしまったー
と、いうことはー…

香奈美は”最悪の事態”を考えるー。
自分が目を覚ましたとき、
”亮吾”はいなかったー。

自分が亮吾になっているのにー
そこに、香奈美の身体は倒れていなかった。

♪~~~

香奈美の家にやってくると、
香奈美は慌ててインターホンを鳴らした。

「--はい」
母親が出るー。

”なんて伝えればー”
亮吾(香奈美)は、戸惑いながら叫ぶー

「--お、、お、、お母さん、落ち着いて聞いて」
とー。

母親が不思議そうな声を出す。

母親の立場になって、頭をフル回転させる亮吾(香奈美)-
”不審者”と断定されて、インターホンを切られる前に、
自分が香奈美であると信じてもらう必要があるー。

亮吾(香奈美)は慌てて
”わたしは香奈美なの”と、伝えー
誕生日や血液型、そして、母と自分しか知らないようなことを
早口で伝えるー。

”--あの”
母親が口を開いた。

”香奈美なら、もう帰宅してますので”
とー。

「---!!」
亮吾(香奈美)は目を見開くー。

”香奈美が帰宅しているー”

でも、自分は、こうして亮吾の身体になっているー
それはー”亮吾が香奈美になって帰宅した”ことを意味しているー

「--お母さん!そのわたしは、わたしじゃないの!」
必死に叫ぶ亮吾(香奈美)

しかしー
母にその言葉は届かなかったー

やがてーー

”-どいて”
インターホン越しに声が聞こえたー

”香奈美”の声ー
香奈美になった亮吾の声ー

”--お母さんを、困らせないで”
香奈美のフリをして、香奈美(亮吾)はインターホン越しにそう答えたー

そしてー
インターホンは切られたー

「そ、、そんな…」
亮吾(香奈美)は戸惑うー。

信じてもらえないー?
わたしはいったいどうすればー?

亮吾の身体になってしまった香奈美は、どうにかして
入れ替わりのことを信じてもらわないとー、と
自分の考えうるあらゆる方法を模索するー。

もう一度インターホンを鳴らす亮吾(香奈美)

だがー
もう、相手にしてもらうことはできなかったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

”香奈美のこと、好きなんでしょ?”
昨日、恭太は、香奈美の親友・澄子から、そう言われたー

澄子は、恭太が、香奈美に好意を抱いていることを見抜き、
恭太にアドバイスしてくれたのだったー

香奈美の誕生日の日に告白しようとしていることを告げると、
澄子は、香奈美の好きなものを教えてくれたー

「---」
恭太は、香奈美の方を見るー

今日の香奈美は、ポニーテール姿だー。
香奈美のポニーテールなんて初めてだ、と
恭太は少しドキッとしながら、
間近に迫る香奈美の誕生日の告白を、頭に思い浮かべるー

「-----」
だがー
恭太は知らなかったー。
香奈美の中身は、既に、香奈美ではないことにー。

香奈美は、他の不良生徒を、その身体で誘惑し始めたー。

「---島崎が、こんなことしてくれるなんて」
金髪の不良が、香奈美のスカートを触りながら笑みを浮かべるー

香奈美(亮吾)は、「煙草ちょうだい」と言いながら
不良から煙草を受け取ると、
それに火をつけながら笑ったー

「--お願いがあるの」
とー。

その日からー
香奈美(亮吾)に”お願い”された不良生徒たちが、
恭太を徹底的にいじめ始めたー

「ククク」
いじめられている恭太を見て、笑みを浮かべる香奈美(亮吾)-

香奈美(亮吾)は、あくまでも”表向きは優等生”を振る舞いながら
悪事の限りを尽くしたー

亮吾になった香奈美は、必死に、”入れ替わり”のことを
伝えようとするー。

家族にもー
友達にもー

だが、”亮吾の身体”は想像以上に不便だったー

香奈美の両親からは
”娘のストーカー”扱いされ、警察を呼ばれかけた。
亮吾(香奈美)が、自分が香奈美であると、信じてもらおうと、
香奈美の個人情報を口にしたことが仇となったのだー
”娘と家族しか知らないはずのことを、おかしな同級生が知っている”
そう、思われてしまったのだー

友達にも、信じてもらえなかったー
下校中の恭太や澄子に声をかけただけでー
恭太は逃げるし、澄子は、「あんたに話すことなんて何もない!」と、
立ち去って行ってしまうー。
他のクラスメイトたちも、そう。
入れ替わりのことを、口にする間もー
その”チャンス”すらないのだー。

「---どうしよう…」
亮吾(香奈美)は途方に暮れるー

警察にも相談してみた。
案の定、門前払いされてしまうー。

どうすることもできないー
”わたしたち、入れ替わってしまったの”は、
リアルの世界では、通用しないー

”入れ替わり”なんて、誰も起きると思っていないのだからー。

香奈美になった亮吾が協力的なら話は別かもしれないー
だが、香奈美になった亮吾は、表向き香奈美として振舞っているー

誰にもー
信じてもらえないー

誰にもー

「---」
男の身体に戸惑いながら、亮吾(香奈美)は、
亮吾の自宅で、一人、泣きじゃくるー
泣いていても、何も解決にならないのにー。

女々しく泣く亮吾(香奈美)-

「---…なんか、、違和感…」
亮吾(香奈美)は、泣きじゃくっている強面の不良の姿を見て、
寂しそうにそう呟いたー

それから数日後の放課後ー
香奈美の誕生日が、やってきたー

放課後に、香奈美を呼び出した亮吾は、
ついにー

「---僕…島崎さんのことが、好きです」
告白したー。

香奈美(亮吾)は笑みを浮かべたー

少しだけメイクがきつめになりー
スカートが短くなって、
”違和感”を感じる子も少なくはなかったー

だが、まさか”入れ替わっている”などと思わない恭太ー
いや、他のクラスメイトたちは、
一緒にいる人間が、香奈美であると信じて疑わなかったー

「---ありがと」
プレゼントを受け取る香奈美(亮吾)

恭太が一生懸命用意したそれをー
香奈美(亮吾)は床に放り投げたー

「え…」
恭太が驚くー

香奈美が、靴で、プレゼントを踏みつぶして、
それを踏みにじるー。

ショートパンツ姿で大胆に太ももを晒した香奈美(亮吾)が、
その綺麗な足で、恭太が用意したプレゼントを
ぐしゃぐしゃにしたー

唾を吐き捨てる香奈美(亮吾)

「え……」
恭太が真っ青になって、言葉を失っているー

「きゃはははは!これが、わたしの返事」
香奈美(亮吾)が笑うー

「--あんたさぁ、勘違いしてない?
 わたし、あんたのことなんか、ぜ~んぜん好きじゃない。
 幼馴染と思ったこともない。

 ちょっと親切にしてやるとおもしれぇからさ、
 からかってやってただけだよ。
 きゃはははははは!」

香奈美(亮吾)が悪魔のような笑みを浮かべて言うー。
乱暴な口調の入り乱れた、不自然な口調で、
香奈美(亮吾)は恭太をののしるー。

肩出しの服装の香奈美(亮吾)は、
自分の肩を触りながらー
「こんなにカワイイわたしが、あんたみたいな
 クソ陰キャラと付き合うわけ、ないでしょ?
 ウケるんだけど!!ぎゃははははは!」
と、笑うー

恭太は、目から涙をこぼすー。

そんな恭太を見て、香奈美(亮吾)はさらに追い打ちをかけるー。

「---キモ過ぎ。死ね」
悪魔のような冷たい声ー

それだけ言うと、香奈美(亮吾)は、恭太を睨みつけて
そのまま立ち去って行ってしまったー

その日からー
恭太は、塞ぎこんでしまったー
香奈美の親友・澄子が、その異変に気付き、
心配してくれていたが、
その言葉は、もはや、届かなかったー

「---キモ過ぎ。死ね」
「---キモ過ぎ。死ね」
「---キモ過ぎ。死ね」

香奈美の冷たい言葉がー
何度も何度も何度も何度もー
頭の中に反射するー。

そしてー
香奈美(亮吾)は追い打ちをかけたー

”テメェのせいで、俺は退学になったんだぜ
 地獄に堕としてやるー
 好きな女に、自分を守ってくれていた女に
 地獄に堕とされる苦しみを味わいな”

香奈美(亮吾)は、悪魔のような笑みを浮かべながらー

”録音”していた告白時の恭太の言葉をー
学校中にばらまいたー

”あの恭太が誰かに告白した”と
学校中で話題になり、
笑い物になったー

”誰に告白したのかー”
その部分は伏せて、香奈美(亮吾)がそれを流したことでー、
憶測が憶測を呼び、悲惨な状況になっていたー

ある日ー
澄子が香奈美(亮吾)を呼び出すー

「酷いよ香奈美!」
澄子が叫ぶー

澄子は、恭太が香奈美に告白しようとしていたことを知っているー
香奈美が流出させた音声は、恭太が香奈美に告白したときのものだと確信し、
香奈美(亮吾)を問い詰めていたー

香奈美(亮吾)は笑うー

「---あんた、ブスのクセにわたしに意見するの?」
とー

澄子は、唖然としたー

「---ブス女」
香奈美(亮吾)は、澄子が”気にしていること”をえぐるように、
囁いたー

澄子は、手を震わせるー

「どうして、そんな酷いこと言うの!?」
とー。

だが、香奈美(亮吾)は、ニヤリと笑いながら、こう答えたー

「--わたしのような”人間様”と話せるだけ、
 光栄に思いなよ。ブタ女ー」
とー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

恭太はー
”自殺”したー。

追い詰められてー
学校で、首を吊ったー。

「----…」
亮吾になってしまった香奈美も、そのことを知るー

”近所の高校で自殺者が出たー”と
ニュースになったからだー

「恭太…」
亮吾(香奈美)は、高校の付近までやってきて、
報道陣が集まっている高校を泣きながら見つめたー

そこにー
香奈美(亮吾)がやって来るー。

”大好きな幼馴染に、死ねって言われて死ぬなんて
 バカなやつだなぁ”

笑ながらそう呟く香奈美(亮吾)-

香奈美になった亮吾は、
恭太から告白されたことー
自分が恭太にしたことー
入れ替わり薬のことー
これは、復讐であることー

全てを打ち明けたー

亮吾(香奈美)は、香奈美(亮吾)を睨むー

「わたしは絶対に、あんたをゆるさないー」

そう、怒りの形相で呟きながらー

「--へへ、”入れ替わり”は犯罪じゃねぇよ。

 そんな法律あるのか?
 そんな証拠あるのか?

 俺が、いいや、わたしが島崎香奈美なの。

 自殺に追いやった証拠もないー
 入れ替わりの証拠もないー
 そもそも入れ替わりは犯罪じゃないー

 誰もわたしを罰することなんてできないー」

香奈美(亮吾)は狂気的な笑みを浮かべたー

そして、すれ違いざまに、亮吾(香奈美)に耳打ちをするー

”エロイ身体をくれて、ありがとうよー
 この身体で俺はこれからも好き放題させてもらうぜ”

亮吾(香奈美)は、泣きそうになりながら
”わたしの身体を返して”と、叫ぶー

だが、香奈美(亮吾)は”言っただろ、これは復讐だ”と、笑うー

自分の大嫌いな優等生女になってー
その身体を滅茶苦茶に使いまくって、悪女にするー

「---悔しいか?悔しいだろ!?はははははっ!
 でもさぁ~入れ替わりは犯罪じゃないんだよなぁ~!これが!

 ぎゃははははははは!」

香奈美(亮吾)は、可愛い声で狂ったように笑うとー
そのまま立ち去って行ってしまったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それからー
香奈美(亮吾)は、悪事の限りを尽くしたー
学校でも本性を現しー
やがて、停学処分となり、
香奈美の両親は、娘の豹変に、涙を流したー

そんな両親を傷めつける香奈美ー

「両親を泣かせる悪い娘…くくくくくくくく♡」

さらにエスカレートした香奈美(亮吾)は
退学処分となり、やがて、家を飛び出し、
そのまま姿を消したー。

亮吾になった香奈美は、必死に”自分が香奈美だ”と
訴えたー。

でも、誰にも信じてもらえなかったー

この世は、身体で、判断されるー。

そして、そうこうしているうちに、香奈美(亮吾)は姿を消し、
亮吾(香奈美)にはどうすることもできなくなってしまったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「------でも、やっと見つけたー」

あれから10年ー。
まさか、”再会”にこんなに時間がかかるとは思わなかったー

「----くくく、ははははははっ!」
ラバースーツ姿の、いかにも悪女な雰囲気の香奈美(亮吾)が笑うー

「--両親を泣かせて、いろいろな男と寝て、
 いろいろな犯罪に手を染めて…

 くくく、お前は、もう、わる~い女なんだよ!」

香奈美(亮吾)は、亮吾(香奈美)を指さしながら言ったー

「--今更、身体を取り戻したって、もう遅いー」
香奈美(亮吾)は笑みを浮かべるー

そう、もう遅いー
悪事に手を染めに染めまくってー
そして、この身体も既に、数々の男と寝て、ヤリまくりー、
薬にも手を染めているー

もうー
今更、遅いー

「----ふふ」
亮吾(香奈美)は笑ったー

ずっと再会を願っていたのはー
身体を取り戻すためじゃないー

「--!」
香奈美(亮吾)が表情を歪めるー

「---わたしが今日、ここに来たのはー
 こうするためよ」

亮吾(香奈美)は、そう言いながらー
銃を香奈美(亮吾)の額に押し付けたー

③へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

次回が最終回デス~!
10年前から現在のお話も、まだ少し出てきます~!

今日もありがとうございました~!

コメント