不良生徒と入れ替えられてしまった優等生ー。
彼女の、地獄のような10年間ー
そして、”10年後の再会の日”までの苦悩の日々とは…?
---------------—
「----くくくくっ…」
帰宅した香奈美は、笑みを浮かべていたー
「--ははははっ!あははははははははっ♡」
香奈美とは思えないような、凶悪な笑みを浮かべるー
「あははははははははっ!はははははははははっ!」
今まで出したことのないような、悪い声で笑う香奈美ー
”入れ替わり薬”
ネットで手に入れたその薬を使い、
不良生徒の亮吾は、香奈美と入れ替わったー
「---今日から、俺が香奈美だー」
胸を触りながら、香奈美になった亮吾は笑みを浮かべるー
自分を退学に追いやったやつらへの復讐ー。
香奈美に対する、究極の、仕返しー。
香奈美(亮吾)は、「--つまんねー部屋だぜ!」と、
香奈美の部屋を見回すー。
いかにも真面目そうな感じの
綺麗に整頓された部屋ー
「--今日からは、何もかも、俺のものだぜ!ひははははは!」
脚を広げた状態で、椅子に座ると、香奈美(亮吾)は
悪魔のような笑みを浮かべたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--うそっ!!!そんな… そんな…」
亮吾になってしまった香奈美は、
慌てて街を走っていたー
自分が、亮吾になってしまったー
と、いうことはー…
香奈美は”最悪の事態”を考えるー。
自分が目を覚ましたとき、
”亮吾”はいなかったー。
自分が亮吾になっているのにー
そこに、香奈美の身体は倒れていなかった。
♪~~~
香奈美の家にやってくると、
香奈美は慌ててインターホンを鳴らした。
「--はい」
母親が出るー。
”なんて伝えればー”
亮吾(香奈美)は、戸惑いながら叫ぶー
「--お、、お、、お母さん、落ち着いて聞いて」
とー。
母親が不思議そうな声を出す。
母親の立場になって、頭をフル回転させる亮吾(香奈美)-
”不審者”と断定されて、インターホンを切られる前に、
自分が香奈美であると信じてもらう必要があるー。
亮吾(香奈美)は慌てて
”わたしは香奈美なの”と、伝えー
誕生日や血液型、そして、母と自分しか知らないようなことを
早口で伝えるー。
”--あの”
母親が口を開いた。
”香奈美なら、もう帰宅してますので”
とー。
「---!!」
亮吾(香奈美)は目を見開くー。
”香奈美が帰宅しているー”
でも、自分は、こうして亮吾の身体になっているー
それはー”亮吾が香奈美になって帰宅した”ことを意味しているー
「--お母さん!そのわたしは、わたしじゃないの!」
必死に叫ぶ亮吾(香奈美)
しかしー
母にその言葉は届かなかったー
やがてーー
”-どいて”
インターホン越しに声が聞こえたー
”香奈美”の声ー
香奈美になった亮吾の声ー
”--お母さんを、困らせないで”
香奈美のフリをして、香奈美(亮吾)はインターホン越しにそう答えたー
そしてー
インターホンは切られたー
「そ、、そんな…」
亮吾(香奈美)は戸惑うー。
信じてもらえないー?
わたしはいったいどうすればー?
亮吾の身体になってしまった香奈美は、どうにかして
入れ替わりのことを信じてもらわないとー、と
自分の考えうるあらゆる方法を模索するー。
もう一度インターホンを鳴らす亮吾(香奈美)
だがー
もう、相手にしてもらうことはできなかったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
”香奈美のこと、好きなんでしょ?”
昨日、恭太は、香奈美の親友・澄子から、そう言われたー
澄子は、恭太が、香奈美に好意を抱いていることを見抜き、
恭太にアドバイスしてくれたのだったー
香奈美の誕生日の日に告白しようとしていることを告げると、
澄子は、香奈美の好きなものを教えてくれたー
「---」
恭太は、香奈美の方を見るー
今日の香奈美は、ポニーテール姿だー。
香奈美のポニーテールなんて初めてだ、と
恭太は少しドキッとしながら、
間近に迫る香奈美の誕生日の告白を、頭に思い浮かべるー
「-----」
だがー
恭太は知らなかったー。
香奈美の中身は、既に、香奈美ではないことにー。
香奈美は、他の不良生徒を、その身体で誘惑し始めたー。
「---島崎が、こんなことしてくれるなんて」
金髪の不良が、香奈美のスカートを触りながら笑みを浮かべるー
香奈美(亮吾)は、「煙草ちょうだい」と言いながら
不良から煙草を受け取ると、
それに火をつけながら笑ったー
「--お願いがあるの」
とー。
その日からー
香奈美(亮吾)に”お願い”された不良生徒たちが、
恭太を徹底的にいじめ始めたー
「ククク」
いじめられている恭太を見て、笑みを浮かべる香奈美(亮吾)-
香奈美(亮吾)は、あくまでも”表向きは優等生”を振る舞いながら
悪事の限りを尽くしたー
亮吾になった香奈美は、必死に、”入れ替わり”のことを
伝えようとするー。
家族にもー
友達にもー
だが、”亮吾の身体”は想像以上に不便だったー
香奈美の両親からは
”娘のストーカー”扱いされ、警察を呼ばれかけた。
亮吾(香奈美)が、自分が香奈美であると、信じてもらおうと、
香奈美の個人情報を口にしたことが仇となったのだー
”娘と家族しか知らないはずのことを、おかしな同級生が知っている”
そう、思われてしまったのだー
友達にも、信じてもらえなかったー
下校中の恭太や澄子に声をかけただけでー
恭太は逃げるし、澄子は、「あんたに話すことなんて何もない!」と、
立ち去って行ってしまうー。
他のクラスメイトたちも、そう。
入れ替わりのことを、口にする間もー
その”チャンス”すらないのだー。
「---どうしよう…」
亮吾(香奈美)は途方に暮れるー
警察にも相談してみた。
案の定、門前払いされてしまうー。
どうすることもできないー
”わたしたち、入れ替わってしまったの”は、
リアルの世界では、通用しないー
”入れ替わり”なんて、誰も起きると思っていないのだからー。
香奈美になった亮吾が協力的なら話は別かもしれないー
だが、香奈美になった亮吾は、表向き香奈美として振舞っているー
誰にもー
信じてもらえないー
誰にもー
「---」
男の身体に戸惑いながら、亮吾(香奈美)は、
亮吾の自宅で、一人、泣きじゃくるー
泣いていても、何も解決にならないのにー。
女々しく泣く亮吾(香奈美)-
「---…なんか、、違和感…」
亮吾(香奈美)は、泣きじゃくっている強面の不良の姿を見て、
寂しそうにそう呟いたー
それから数日後の放課後ー
香奈美の誕生日が、やってきたー
放課後に、香奈美を呼び出した亮吾は、
ついにー
「---僕…島崎さんのことが、好きです」
告白したー。
香奈美(亮吾)は笑みを浮かべたー
少しだけメイクがきつめになりー
スカートが短くなって、
”違和感”を感じる子も少なくはなかったー
だが、まさか”入れ替わっている”などと思わない恭太ー
いや、他のクラスメイトたちは、
一緒にいる人間が、香奈美であると信じて疑わなかったー
「---ありがと」
プレゼントを受け取る香奈美(亮吾)
恭太が一生懸命用意したそれをー
香奈美(亮吾)は床に放り投げたー
「え…」
恭太が驚くー
香奈美が、靴で、プレゼントを踏みつぶして、
それを踏みにじるー。
ショートパンツ姿で大胆に太ももを晒した香奈美(亮吾)が、
その綺麗な足で、恭太が用意したプレゼントを
ぐしゃぐしゃにしたー
唾を吐き捨てる香奈美(亮吾)
「え……」
恭太が真っ青になって、言葉を失っているー
「きゃはははは!これが、わたしの返事」
香奈美(亮吾)が笑うー
「--あんたさぁ、勘違いしてない?
わたし、あんたのことなんか、ぜ~んぜん好きじゃない。
幼馴染と思ったこともない。
ちょっと親切にしてやるとおもしれぇからさ、
からかってやってただけだよ。
きゃはははははは!」
香奈美(亮吾)が悪魔のような笑みを浮かべて言うー。
乱暴な口調の入り乱れた、不自然な口調で、
香奈美(亮吾)は恭太をののしるー。
肩出しの服装の香奈美(亮吾)は、
自分の肩を触りながらー
「こんなにカワイイわたしが、あんたみたいな
クソ陰キャラと付き合うわけ、ないでしょ?
ウケるんだけど!!ぎゃははははは!」
と、笑うー
恭太は、目から涙をこぼすー。
そんな恭太を見て、香奈美(亮吾)はさらに追い打ちをかけるー。
「---キモ過ぎ。死ね」
悪魔のような冷たい声ー
それだけ言うと、香奈美(亮吾)は、恭太を睨みつけて
そのまま立ち去って行ってしまったー
その日からー
恭太は、塞ぎこんでしまったー
香奈美の親友・澄子が、その異変に気付き、
心配してくれていたが、
その言葉は、もはや、届かなかったー
「---キモ過ぎ。死ね」
「---キモ過ぎ。死ね」
「---キモ過ぎ。死ね」
香奈美の冷たい言葉がー
何度も何度も何度も何度もー
頭の中に反射するー。
そしてー
香奈美(亮吾)は追い打ちをかけたー
”テメェのせいで、俺は退学になったんだぜ
地獄に堕としてやるー
好きな女に、自分を守ってくれていた女に
地獄に堕とされる苦しみを味わいな”
香奈美(亮吾)は、悪魔のような笑みを浮かべながらー
”録音”していた告白時の恭太の言葉をー
学校中にばらまいたー
”あの恭太が誰かに告白した”と
学校中で話題になり、
笑い物になったー
”誰に告白したのかー”
その部分は伏せて、香奈美(亮吾)がそれを流したことでー、
憶測が憶測を呼び、悲惨な状況になっていたー
ある日ー
澄子が香奈美(亮吾)を呼び出すー
「酷いよ香奈美!」
澄子が叫ぶー
澄子は、恭太が香奈美に告白しようとしていたことを知っているー
香奈美が流出させた音声は、恭太が香奈美に告白したときのものだと確信し、
香奈美(亮吾)を問い詰めていたー
香奈美(亮吾)は笑うー
「---あんた、ブスのクセにわたしに意見するの?」
とー
澄子は、唖然としたー
「---ブス女」
香奈美(亮吾)は、澄子が”気にしていること”をえぐるように、
囁いたー
澄子は、手を震わせるー
「どうして、そんな酷いこと言うの!?」
とー。
だが、香奈美(亮吾)は、ニヤリと笑いながら、こう答えたー
「--わたしのような”人間様”と話せるだけ、
光栄に思いなよ。ブタ女ー」
とー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
恭太はー
”自殺”したー。
追い詰められてー
学校で、首を吊ったー。
「----…」
亮吾になってしまった香奈美も、そのことを知るー
”近所の高校で自殺者が出たー”と
ニュースになったからだー
「恭太…」
亮吾(香奈美)は、高校の付近までやってきて、
報道陣が集まっている高校を泣きながら見つめたー
そこにー
香奈美(亮吾)がやって来るー。
”大好きな幼馴染に、死ねって言われて死ぬなんて
バカなやつだなぁ”
笑ながらそう呟く香奈美(亮吾)-
香奈美になった亮吾は、
恭太から告白されたことー
自分が恭太にしたことー
入れ替わり薬のことー
これは、復讐であることー
全てを打ち明けたー
亮吾(香奈美)は、香奈美(亮吾)を睨むー
「わたしは絶対に、あんたをゆるさないー」
そう、怒りの形相で呟きながらー
「--へへ、”入れ替わり”は犯罪じゃねぇよ。
そんな法律あるのか?
そんな証拠あるのか?
俺が、いいや、わたしが島崎香奈美なの。
自殺に追いやった証拠もないー
入れ替わりの証拠もないー
そもそも入れ替わりは犯罪じゃないー
誰もわたしを罰することなんてできないー」
香奈美(亮吾)は狂気的な笑みを浮かべたー
そして、すれ違いざまに、亮吾(香奈美)に耳打ちをするー
”エロイ身体をくれて、ありがとうよー
この身体で俺はこれからも好き放題させてもらうぜ”
亮吾(香奈美)は、泣きそうになりながら
”わたしの身体を返して”と、叫ぶー
だが、香奈美(亮吾)は”言っただろ、これは復讐だ”と、笑うー
自分の大嫌いな優等生女になってー
その身体を滅茶苦茶に使いまくって、悪女にするー
「---悔しいか?悔しいだろ!?はははははっ!
でもさぁ~入れ替わりは犯罪じゃないんだよなぁ~!これが!
ぎゃははははははは!」
香奈美(亮吾)は、可愛い声で狂ったように笑うとー
そのまま立ち去って行ってしまったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それからー
香奈美(亮吾)は、悪事の限りを尽くしたー
学校でも本性を現しー
やがて、停学処分となり、
香奈美の両親は、娘の豹変に、涙を流したー
そんな両親を傷めつける香奈美ー
「両親を泣かせる悪い娘…くくくくくくくく♡」
さらにエスカレートした香奈美(亮吾)は
退学処分となり、やがて、家を飛び出し、
そのまま姿を消したー。
亮吾になった香奈美は、必死に”自分が香奈美だ”と
訴えたー。
でも、誰にも信じてもらえなかったー
この世は、身体で、判断されるー。
そして、そうこうしているうちに、香奈美(亮吾)は姿を消し、
亮吾(香奈美)にはどうすることもできなくなってしまったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「------でも、やっと見つけたー」
あれから10年ー。
まさか、”再会”にこんなに時間がかかるとは思わなかったー
「----くくく、ははははははっ!」
ラバースーツ姿の、いかにも悪女な雰囲気の香奈美(亮吾)が笑うー
「--両親を泣かせて、いろいろな男と寝て、
いろいろな犯罪に手を染めて…
くくく、お前は、もう、わる~い女なんだよ!」
香奈美(亮吾)は、亮吾(香奈美)を指さしながら言ったー
「--今更、身体を取り戻したって、もう遅いー」
香奈美(亮吾)は笑みを浮かべるー
そう、もう遅いー
悪事に手を染めに染めまくってー
そして、この身体も既に、数々の男と寝て、ヤリまくりー、
薬にも手を染めているー
もうー
今更、遅いー
「----ふふ」
亮吾(香奈美)は笑ったー
ずっと再会を願っていたのはー
身体を取り戻すためじゃないー
「--!」
香奈美(亮吾)が表情を歪めるー
「---わたしが今日、ここに来たのはー
こうするためよ」
亮吾(香奈美)は、そう言いながらー
銃を香奈美(亮吾)の額に押し付けたー
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
次回が最終回デス~!
10年前から現在のお話も、まだ少し出てきます~!
今日もありがとうございました~!
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