<女体化>女体化したのにブスだった②~苦悩~

念願の女体化を成し遂げた男ー

しかし、彼の想定外の事態が起こった。

それはー
”容姿”の問題ー。
思わぬ苦悩が、彼を襲う…!

※作品の展開上、容姿に関する、過激な描写があります!
 苦手な方や、トラウマのある方はご注意ください!!


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「----…これが、、俺…」
研究所内の、秘密に用意した研究スペースで、
落ち込む翔也ー

「----」
まるで、化け物みたいな顔ー。

「---くそっ……俺が目指した世界はーー
 こんな世界じゃない」
翔也が、頭を抱えるー

綺麗な黒髪ー。
念願の胸ー

正真正銘の女体だー。

だがーーー
ひとりで楽しむ気力も湧いてこないほどにー
翔也は落ち込んでいたー

自分の顔を鏡で見つめてはー
頭を抱えるー

”化粧”でどうにかなるのだろうかー
翔也はそう思いながら、
予め女体化後に使うため、用意しておいた
化粧品に手を掛けるー

人生で初めての口紅を手にするー

ネットで予め勉強しておいた知識を元に
顔にメイクを施しーーー

だがーーー
結果はーー

「--なんだよこれ」
可愛らしい声で呟く翔也ー。

化粧をしてもー
化け物が化け物になったー
それだけだったー。

「くそっ!」
翔也は化粧品を床に叩きつけると、
イライラした様子で頭を掻きむしるー

翔也が開発したこの装置では
”元に戻ること”はできない。
一方通行なのだー

元々、元に戻るつもりもなかったがー
”こんな顔”になってしまうなんてー。

「---はぁ」
翔也は、
容姿で悩む女性の気持ちがわかったような気がして
頭を抱えるー。

翔也自身は、”イケメン”だったー
だから、容姿に悩んだことなど、
これまで一度もなかったー。
恋愛に縁はないけれど
不便ではなかったー

でも、今はー

そうこう考えているうちに、
翔也は疲れて眠りについてしまったー

・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

研究所の所長に挨拶をするー

所長は、女体化した翔也を見るなり、
「キミが、今井 祥子くんだね」
と、呟いたー

所長は”他人に興味がない”

だからー
女体化した翔也がどんなにブスでも
何の反応もないのは、
想定内だったー

「--当研究所では、生物に関する研究や
 次世代の極秘生態研究を行っているー
 人類の未来に大きく貢献できるかもしれない研究だ。

 我々の手で、人類の未来を切り開く。
 …これから、期待しているよ」

「--はい」
翔也は、頭を下げたー

女体化後の自分にも”研究所内に居場所を作るため”
あらゆる手段を駆使して
”今井 祥子”という架空の女性研究員のプロフィールを
創り出し、今日からこの研究所で働く、
ということにしてあったー。

”滝原 翔也”は昨日、退職してー
後任として”今井 祥子”がやってくるー

そういう、流れだー。

「--ではさっそく、所員たちに挨拶をしておこうか
 みんなを集めてある。

 ---来たまえ」

所長はそう言うと、翔也についてくるように促したー

”女体化したらスカートをはいたり、おしゃれをしてみたい”
そうも思っていたー

今は仕事だから、研究員としての格好をしているがー
プライベートな時間では、大胆な格好もしてみたかったー

だがー
この姿じゃーーー

「---」
通路の鏡に顔が映るー

この”化け物”といじめられてしまいそうな雰囲気の顔では
スカートをはいても…
翔也自身もドキドキしなそうだし、
周囲から何を言われるか分からないー

研究所の発表スペースへとやってくるー

舞台裏のような場所で、所長が言うー。
”これから、みんなにキミを紹介する”とー。

「--女だってさ」
「可愛いかな~?」
「--あ~~楽しみ!」
「同性が少ないから、ワクワクしちゃう!」
「-ブスだったりしてな!はははは!」

研究員たちが”これから登場する新人女性研究員”に
期待を膨らませているー

そこには、翔也の親友でもある良治の姿もあったー

良治は、翔也が女体化したのを知っているー
そして、今からやってくる”新人”
今井祥子は、翔也が女体化したものだと知っているー

その顔はーーー
お世辞にもーー

「---」
良治は表情を暗くするー

そして、ついに、
”今井祥子”が姿を現したー

研究員たちの前に姿を現す”女体化した翔也”

「え?あれ?」
「うわっ、ブス」
「--化け物じゃん」
「アンデッドみたい」
「え~~~~ガッカリ」
「まぁまぁ」

失望の声が聞こえてくるー
翔也は、この時点で精神的にかなりきつかったー

「--あ、、、え、、、えっと」
翔也は思わず、言葉を詰まらせてしまうー

今までー
”容姿”のことで悩んだことがない翔也にとって
余計に大きなダメージとなったのだったー

「--え、、、え、、っと、、い、、今井祥子ですー…
 一生懸命がんばりますので、よろしくお願いします」

頭を下げる祥子ー

一応の拍手が起こるー

「-うわっ!ぶっす」
研究者のひとりが言うー

「--しっ!聞こえるぞ!」
ブスと言った研究員を他の研究員が止めるー。

だが、その研究員自身も、
どこかニヤニヤしているー

「--今井祥子くんは、優秀な成績を残している
 若き女性研究者だ。
 みんな、いろいろと教えてあげなさい」
所長が言うと、
研究員たちは「ハイ!」と答えたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・

”仕事”のやり方は知っているー

だから、教わらなくてもできるのだがー
”女体化した翔也”は、他の人から見てみれば
”新人”だー。

だから、大人しく説明を聞くー

「--ありがとうございます」
翔也が頭を下げると、
「---ふっ」と、男性研究員が笑ったー

”顔”を見てー
笑ったー

周囲が、みんな、笑っているように感じるー

ヒソヒソ話をする女性研究員たちー
ニヤニヤしながら翔也の方を見る男性研究員たちー

「----」
翔也は暗い表情で研究に没頭したー

せめて、おしゃれをして、
化粧をしてー
どうにか、”ブス”と言われないようにしたいー

翔也は、そんな風に思ったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「は~~~~~!」
”今井 祥子”として新しく貰った部屋で、
親友の良治と1;1になったー

良治が「やっぱ、予想通りの反応だったな」と
苦笑いするー

「は~!どいつもこいつも見た目ばっかり」
翔也は、髪を掻きながら、椅子に座って足を組むー

組まれた足は色っぽいー
だがーー

「---っ、せ~っかく、いろいろおしゃれしようと思ったのになぁ…」
翔也がザンネンそうに言うと、
良治は「したらいいじゃねぇか」と呟くー

「--え?」
翔也が首をかしげると、
良治は「あんまり容姿なんて気にすんなって」と続けるー

「顔がどうあれ、身体は女になれたんだから、
 お前がしたかったこと、いろいろしてみればいいだろ?

 男女の壁を取り壊すとか言ってたお前はどこに行った?

 もっと前向きになれよ!」

良治の言葉に、翔也は「お、、おう」と返事をするー

「それにー
 容姿は、努力次第では、巻き返せるだろ?」
良治が笑ったー

そうかー

そうだなーー

翔也はそう思ったー

もっと、自信を持とうー、と。

しかしー
翌日ー
化粧をして、おしゃれな感じで、仕事を始めるとー

「おいおい、ゾンビが化粧してるぜ」
「-あいつ、自分の顔、鏡で見たことないのかな?」
「--同じ女として恥ずかしいんだけど」

クスクスと研究員たちが笑いだしたー

顔を赤くして、仕事を続ける翔也ー

女体化したらー
良治に”お礼”としてエッチなことをしてー
色々おしゃれをしてー
女としての快感を楽しんでー
同僚たちを”女”として魅了するー

そんなことをしてみたかったー

でもーー

「--ゾンビちゃん!」
研究員のひとりが言う。

「え?あ、はい」
思わず振り向いてしまう翔也ー

「あはははは!ゾンビって自覚あるんだ」
男性研究員がいじわるそうに笑うー

「じゃ~、ゾンビちゃんさ、
 トイレ掃除してきてよ」
他の男性研究員が言うー

「と、トイレ掃除…ですか?」
翔也が言うと、
女性研究員が
「あんたがここにいるだけで、ブスが移りそうなのよ。」と
笑いながら立ち上がって、近づいてくるー

「--あんたには、トイレがお似合いよ」
女性研究員の言葉に、
翔也は、返事することもできず、身体を震わせながらトイレへと向かったー

トイレの床を磨きー
水を流しー

「あれ…?」
目からは、いつの間にか、涙がこぼれていたー

「あれ…あれれれれ…」
涙が止まらないー

男子トイレの方も掃除をしているとー
そこに偶然、別の研究班に所属している良治がやってきたー

「--お前…」
トイレ掃除をしている翔也を見て、良治は驚くー

「----お、、おぅ」
翔也は強がって背を向けて返事をするー

「お前は…こんなところで、どうしたんだよ…?」
良治が戸惑いながら、
トイレ掃除をしている翔也に言葉を掛けるー

「---はは…ちょっと、トイレ掃除したくなっちゃってさ」
翔也が、涙を拭きながら、誤魔化すと、
良治は、翔也の方を申し訳なさそうに見つめるー

「--あ、、そ、そうだ、ほら、女体化したら
 エッチでもなんでもさせてやるって約束、
 ちゃんと守るから安心しろよ!」
翔也はそれだけ言うと、足早にトイレから
飛び出したー

「くそっ…」

”女体化”する漫画をこれまでに何冊か読んだことがあるー

「くそっ!くそっ!」
歯ぎしりする翔也ー

”女体化”するアニメを何度か、見たことがあるー。

「くそおおおおおおおお!」
廊下で、女の声で叫ぶ翔也ー

”女体化”するラノベを何冊か、読んだことがあるー

「--どうして!!!!」
翔也は、目を潤ませながら叫ぶー

どうしてー
どうして、こんなことになってしまったんだー、
と、やり場のない怒りを抱きながらー。

鏡を見つめる翔也ー

漫画もー
アニメもー
ラノベもー

みんなー
美少女か、美女に女体化していたー

なのに、これはー

鏡に映るのは”醜悪な”自分の姿ー

お世辞にも美人とは言えないー。
かなり特徴的で、癖の強い顔ー

「うあああああああああああああ!!!」
自分の顔に指を立てて叫ぶ翔也ー

現実は、冷たいー
そんな冷たい現実世界の中で、必死にもがき、あがき、
翔也は、”性別の壁”を破壊することに成功したー

念願の夢が叶うー
そのはずだったのにー

それなのにー
それすらも、許されなかったー

”都合よく”
美少女になれるはずなど、そもそもなかったのだー

「はは…くそが!」
翔也はそう呟くと、研究仲間の待つ場所へと
戻っていくー

”祥子”としてー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夜ー

研究所内の個室に良治がやってくるー

「---……昼間は悪かったな」
翔也はそう言うと、
「さ、約束だ。なんでもしてやるぜ?
 エッチでも、キスでもーなんでもー」
と、続けたー

女体化する前の約束を
今、ここでーー

「----」
良治が目を逸らす。

そして、口を開くー

「悪い、、翔也…エッチとか、そういうのナシで」
良治が、申し訳なさそうに言うー

「え…」
翔也は戸惑ったー

良治は、”親友だから”と、正直に思いを口にしたー

”本当に申し訳ないけど、
 その顔…俺の生理的に無理なんだー”

とー。

「----…」
翔也は表情を暗くするー

「あ、もちろん、俺はお前が翔也だって知ってるから
 何も悪いようには言わないし、
 お前を全力でサポートしたいと思ってるけどさ、

 でも、、その…ちょっと、エッチだけはムリだ…

 翔也、お前も”元男”だから、わかるだろ?

 女なら誰とでもやるのは、やべぇやつだけだ

良治の言葉に
翔也は「そ、、、そっか」と、戸惑いながら答えたー

しばらく雑談をしー
良治はそのまま部屋から退出したー

ひとりになった翔也は
自暴自棄に笑うー

”ブスってだけで、こんなに世界は冷たくなるのかー”

とー

仮にも”イケメン”だった翔也に対する接し方と
今の翔也に対する接し方が
みんな、まるで違うー

「へへ、そうかそうか…
 じゃあ…もういいぜ」
翔也はそう言うと、自分の胸を両手で揉み始めたー

「もう一人でやるからさぁ!
 一人で女の快感味わってやるからさぁ!

 ははは、、、ははははははっ♡」

自暴自棄になった翔也は、一人
胸を揉みながら涙を流し始めたー

③へ続く

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コメント

女体化したら美少女/美女に、
男体化したらイケメンに…

なんて…なかなかうまくはいかないみたいですネ~笑

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