<憑依>わたしは、憑依されたい

「憑依されたい」

彼女には、なぜか、
そんな願望があったー。

そんな願望を持つ、女子大生の物語…。

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女子大生の瀬川 舞美(せがわ まみ)は
小さいころから、”変な願望”を持っていたー

それはー。
”乗っ取られたい”という、
おかしな願望ー。

誰かに乗っ取られて
好き放題されてみたいー
そんな”破滅願望”を彼女は持っていた。

きっかけはーー
100%とは言えないけれど、
たぶん”お兄ちゃん”のせいだー。

兄が、小さいころによく見ていたヒーロー番組ではー
主人公の恋人が悪の組織の幹部に憑依されて
乗っ取られてしまい、そのまま最後の方まで敵として
主人公の前に立ちはだかっていたー

兄の横でそれを見ていた
小さいころの舞美はー
何故だか、その”憑依された主人公の恋人”に
憧れを持ってしまったー
理由は分からないー
小さいころに抱く憧れになんて、理由はないのかもしれないー

でもー
大学に通う今でも、舞美には
”誰かに乗っ取られてみたい”という
おかしな願望が染みついていたー

「---も~~、また変な想像してるでしょ?」
舞美の友人・伊勢子(いせこ)が苦笑いするー。

伊勢子だけは
”知っている”
舞美が”乗っ取られたい”という願望を
持っていることをー。

「---…そ、そんなことないよ~」
舞美が必死に返事をするー

しかし、赤面した舞美の顔を見て
伊勢子は「あ~あ~、また乗っ取られたいモードになっちゃったのかぁ~」と
クスクスと笑ったー

恥ずかしそうにしている舞美に対して、
伊勢子は「でもさ~」と口を開くー

「他の人に乗っ取られたい、なんて
 面白いよね~?
 そんな人、舞美以外に見たことないよ」

伊勢子の言葉に、
舞美は「わたしも!わたし以外に見たことない!」と笑いながら言うー

「--変なの~!」
伊勢子の言葉に、
舞美は”自分でも不思議”と、心の中で思うー

お兄ちゃんが見ていたヒーロー番組の影響とは言え、
まさか自分自身が、乗っ取られてみたい、なんて
自分でも、変な趣味だと思うー

けれどー
乗っ取られている間の自分はどうなってしまうのだろう、だとか、
いつもと全く違うわたしになっているところだとか、
そういうことを想像すると、無性にドキドキしてしまうー。

実際”あなたに憑依します”と言われたら
やっぱり逃げるかもしれないけれど、
ついつい想像せずにはいられないー。

もしも、自分が憑依されたらー、と。

「---えへへへ…」
妄想の世界に入ってしまった舞美が
ひとりニヤニヤと笑みを浮かべる。

それを見た伊勢子は苦笑いするー

「お~い!もどってこ~い!」
伊勢子がふざけた口調で、舞美の目の前で手を振ると、
舞美は「わ!?ごめん!」と、我に返った様子だったー

まるで、”憑依中毒”
伊勢子はそんな風に思っていたー

乗っ取られたい願望が強すぎて、
まるで、中毒症状のように
なってしまっている舞美。

どうして、舞美はそこまで
”憑依”に興味を持つのだろうー

しかも
”する”側ではなく”される”側ー

「わたしだったら、絶対いやだけどなぁ~」
伊勢子は笑いながら言う。

絶対に憑依なんてされたくない。
自分の身体を好き放題されて、
人生まで壊されかねないー

憑依される、なんて考えただけでも
強い嫌悪を感じるー。

それなのに、舞美は
”憑依されたい”と言っているー

「---ふふ、まぁ、それが普通だと思うけどね~」
舞美はそう言うと、「あ、そろそろ行かなくちゃ」と、
そのまま、次の講義が行われる部屋へと向かっていったー。

「-憑依されたい、かぁ…」
伊勢子は、”よくわかんないな”と思いながら
ひとり、首を振ったー

・・・・・・・・・・・・・・・

舞美は、自分の部屋で、
ひとり本を読みながら、悩んでいたー

”乗っ取られたいという願望”

何故だかー
それが、頭から離れないー

昔からー。

大人になれば、いつかは消えるだろうと、
そう思っていたのにー
高校生になっても、大学生になっても、
自分が”何かに操られている”姿を
想像しただけで興奮してしまうー

自分を、第3者視点で、見つめるー、
ということを想像しただけで、ドキドキするー

「---」

もしもー
もしも自分が、実際に
何かに乗っ取られそうになったら、
自分はどうするのだろう?

舞美はそんな風にも時々考えるー

乗っ取られたら、それで終わりかもしれないー
死ぬまで乗っ取られ続けて、
そのまま気づいたら死んでるかもしれない。

乗っ取られたその瞬間がー
”わたしにとっての死”になるかもしれないー

身体は生きていても、
何も感じず、何もできないような状態は
死んでいるのと同じかもしれないー

でもー
それでも、
舞美は興奮してしまう。

”何かに乗っ取られること”を想像するとー。

その願望を知っているのは、
親友の伊勢子と、
そして兄の由太郎(ゆたろう)だけー。

後日ー
久しぶりに兄の由太郎と会う機会があったー

「よ、久しぶり」
由太郎が、ファミレスの席に着席するー

「お兄ちゃんも相変わらず元気そう」
舞美が言うと、由太郎は「はは、まぁな」と呟くー

由太郎は、20代後半だが、
今も独身で”特に結婚するつもりはない”と
断言していたー

理由はいくつか言っていたが
一番大きな理由としては
”結婚より特撮”ー
なのだとか。

小さいころからヒーロー番組が好きだった由太郎は
大人になった”今だからこそ”
楽しめるヒーロー番組の楽しみ方をしているー

その”自分の趣味”と”結婚”を
天秤にかけた由太郎は、
趣味を選んだー。

それだけのことだったー。

舞美も、そんな兄・由太郎の
清々しい生き方も、一つの生き方だと、
共感し、応援していたー

「そういえば、お兄ちゃんって、昔からまるで
 エッチなことに興味ないよね~」
ファミレスでの食事を終えて、由太郎の家に
久しぶりに立ち寄ると、由太郎は笑ったー

「ははっ、俺はエロより怪人にロマンを感じるからな」
と、特撮モノの怪人のフィギュアを触るー

大人の特撮の楽しみ方ー
それは、子供の頃は絶対に手を出せなかったような、
高額なおもちゃを好きだけ買うことー。

大人ならではの、愉悦だー。

「でも、お兄ちゃんのヒーローもの見てるときの顔、
 わたし、好きだなぁ」
舞美が言うと、
兄・由太郎は照れ臭そうに
「急にそういうこと言うなよ」、と苦笑いしたー。

最近の近況を話す二人ー
兄・由太郎の仕事のことー
兄・由太郎の趣味の話ー
舞美の大学での話ー
舞美の一人暮らしの感想ー

色々な話をしていくー

二人とも実家にいた時は、
毎日のようにくだらない話をすることができたが
こうして、二人とも離れ離れになった今は違うー。

兄の由太郎には仕事が
妹である舞美には大学とバイトがあるから、
なかなかタイミングが合わないー

だからこそー
一緒に暮らしていたときよりも
”話が盛り上がる”という一面があるのも
事実だったー

「そういえばさ、舞美って、まだ
 ”乗っ取られたい”とか思ってるのか?」
兄・由太郎が、コップに入れたお茶を飲みながら呟くー

「え…、あ、、う、うん」
舞美が少し恥ずかしそうに返事をするー

「--だ、、だってほら、なんか、自分の中に他の人が入ってきて
 いつものわたしじゃないわたしになっちゃうって…
 こう、興奮しない…?

 ほら、第3者として自分を見るって言うか、
 勝手に動かされて悪い顔をしたりとか、、
 
 あ、、ほら、お兄ちゃんが小さいころに見ていた
 アレのせいだからね!」

兄・由太郎が小さいころに好きだった
ヒーロー番組の名前を挙げる舞美ー

由太郎は「----」と、
じーっと、舞美の顔を見ているー

「--ちょ、、ちょ!?なに!?」
舞美が顔を真っ赤にすると、
「いやぁ…乗っ取られるとか、そういうこと話してるときの
 舞美、本当に楽しそうだなって思って」と
由太郎は苦笑いしたー

「--ま、いいんじゃないか。誰に迷惑をかけるわけでもないし」
由太郎が言うー。

趣味は、人それぞれ。
他人に迷惑をかけていないのであれば、
それがどんな趣味であったっていいし、
趣味を持つことは素敵なことである、と
由太郎は考えているー

「俺は、ヒーローを愛してるのと同じように、
 舞美は、それが好きなんだもんな」

それだけ言うと、由太郎は、ニッと笑って、
「ほら、せっかく用意したんだから、食べてくれよ
 一人暮らしのスキル!手料理をさ」
と、由太郎自家製の料理を指さしながら
舞美に向かってほほ笑んだー

・・・・・・・・・・・・・・・

「---ふ~~~」
由太郎は、足を組んで椅子に座ったー

妹の舞美との久しぶりの時間は楽しかったー

「---」
自分の足を見つめる由太郎ー

いいやー
見つめているのは、舞美の足だー

帰宅した舞美はー
兄の”由太郎”に憑依されていたー

鏡を見つめながら
実の妹の身体を乗っ取り、
実の妹の胸を触るー

「--ふへぇ…まみぃ…♡」
兄・由太郎は、小さいころから妹・舞美を
溺愛していたー

その想いはやがて暴走しー
憑依薬をネット上で見つけ出して、
舞美に度々憑依するようになったー

生涯独身を宣言している理由はー
舞美の身体で”十分”だからだー。

エッチに興味がない、なんて妹に言われてしまうぐらいに
無関心に見えるのは、
こうして定期的に、舞美の身体を乗っ取って
舞美の身体でエッチなことを繰り返しているからだー

そしてー

「ごめんな…」
舞美の身体で呟く由太郎ー

舞美が”憑依願望”を抱くようになってしまったのは、
由太郎が舞美に憑依するようになってからだー。

舞美を怖がらせないように、
舞美の記憶を適当にいじってからいつも、舞美の身体を
解放するのだが、
”繰り返し憑依している”ことの副作用だろうかー

舞美はいつのころからか、
”操られたい”とか、そういうことばかり
言うようになってしまったー。

憑依が、脳に何らかの影響を与えたのだろうー

「--ごめんな、舞美…
 お兄ちゃんのせいで、操られたい女みたいに
 なっちゃって」

舞美は、そう呟くー
由太郎に乗っ取られたままー

「--ふふふふ…
 でもぉ…わたしぃ~
 おにいちゃんに憑依されちゃうと、ゾクゾクしちゃうの♡」

乗っ取った舞美のフリをしながら、由太郎が笑うー

「へへへへ、舞美は変態だなぁ♡」
乗っ取った舞美の身体で、
一人二役をする兄の由太郎ー

小さいころからー
兄の由太郎はずっとずっと、こうして舞美に
憑依して、舞美の身体を楽しんでいるー

「はぁぁぁぁ…♡ うふふ♡ ぁあぁああ…♡
 舞美、狂っちゃううぅぅぅぅ♡」
自分の胸を触りながら、気持ちよさそうに
声を上げる舞美ー

本人は、このことを知らないー

だが、繰り返し憑依されていることで、
舞美は”憑依されたい”という
おかしな願望を抱くことになってしまったのだろうー

「--でも…やめられないんだよなぁぁぁぁっ♡」
舞美は欲求を爆発させながら、そう叫んだー

・・・・・・・・・・・・

翌日ー

昨夜、兄の由太郎に憑依されていたことも知らず、
舞美は今日も、大学に向かっていたー

”憑依されてみたいなぁ…”と
思いながらー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

特殊な願望を持っていた理由は…!
お兄ちゃんのせいでしたネ~笑

お読み下さりありがとうございました!!

小説
憑依空間NEO

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