<入れ替わり>大食いと小食②~決~(完)

大食い男子と小食女子が入れ替わってしまったー。

互いの”食”に対する違いに驚きながら、
入れ替わったままの生活は続いていくー。

---------------–

翌日になっても、
葵と茂は元に戻っていなかったー。

「---え~!?これだけ!?」
葵(茂)が悲鳴に似た声を上げるー

母親が用意した朝食は”フルーツヨーグルト”1個。
しかも、4個セットの小さいやつ1個だー。

「--え~?って、いつも葵、それだけじゃない」

「---え??あ…う、、、うん」
葵(茂)は”行きに何か食べればいいか”と考えながら
フルーツヨーグルトを食べるー。

”こんなんで、昼まで良く持つな”
そんな風に思いながら、少し早めに家を出て、
ハンバーガー店に立ち寄ると、
ハンバーガー2つとポテト、チキンナゲットを注文するー

「--ふっふふふふ~ 俺の大好物!」
葵(茂)が叫ぶと、周囲が葵の方を見たー

「----あ… あははははは」
女子高生にしても多めな注文と、
”俺”発言で、変に注目を集めてしまったことに
苦笑いしながら、ハンバーガーを食べるー

「---?」
葵(茂)が首を傾げた。

「なんか変な味だな…」
葵(茂)が表情を歪めるー

このお店のハンバーガーはいつももっと味があるし
もっと美味しいはず。
だが、何か変だー
明らかに味が違うー。

「---??」
葵(茂)は首をかしげてもう一つのハンバーガーを開いて食べるー

やはりー
変な味がする。
正直、美味しくないー

「---あ~~…まさか」
葵(茂)が苛ついた様子で髪を掻きむしるー

さっきハンバーガーを準備してたバイトの店員、
何かいい加減そうだった。
調理の時に何か間違えたっぽいー

そんな風に思いながら、コーラを口にするー

「--ま、、まずっ!」
思わず、吐きそうになってしまう葵(茂)-

「--な、、なんだこれ!?」
コーラの容器を見つめる葵(茂)-

茂の大好きなコーラ。
だが、味が明らかにおかしいー

「--くそっ!ふざけんなよ!」
葵(茂)がボソッと可愛い声で呟くー

イライラしてきて、足を組みながら
半分ヤケクソでハンバーガーを食べ始める。

華奢な女子高生があまりにもガツガツハンバーガーを
食べているのを見て、周囲は唖然としているー。

「---っつか、まずすぎて、腹いっぱい…」
ハンバーガー1個を食べ終えた時点で
葵(茂)は既に満腹状態ー

まだ、もう一つのハンバーガーとチキンナゲット、
ポテトが残っているー

「--くっそ、平川さんの身体、胃袋小さすぎだろ!」
葵(茂)は、葵の身体を見つめながら言うー

「--胸より、胃袋大きくするべきだよな!ははっ!」
自虐的に一人呟く葵(茂)

周囲が、ヤバい奴を見る目で葵を見ているー

「--あ、、ははは…」
茂はよく独り言を言うタイプだー。
普段は騒がしそうな風貌なため、
あまり異様にみられないのだが、
葵の身体になっている今だと、目立つー。

「---っつか、やべぇな…」
葵(茂)が呟くー
既に結構満腹だー

”苦しい”
と、感じる満腹感は、超がつくほど久しぶりだー
と、いうより初めての経験かもしれないー

茂は、そこに食事があれば、何でも食べてきたー

だから、”苦しい”と思ったことも、ほとんどないー

「--あぁぁぁぁ…胃袋大きくするトレーニングだ!」
葵(茂)がムキになって
ハンバーガーをガツガツ食べ始めたー

”ここで残すのは負けた気がするー”

という謎のプライドから、葵(茂)は
残りのハンバーガーとチキンナゲットとポテト、そしてコーラを
全て食べ終えたー

「げっぷ…吐きそう…」
そう思いながら店員に”今日いつもと味違ったんですけど…”と
突っ込みを入れて、そのまま店の外に出たー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--ふ~~~」
茂(葵)は、朝ごはんに、大盛りのカップラーメンを食べて
登校していたー

親が”いつももっと食べるのに”と苦笑いしていたが
茂になった葵からすれば、十分食べ過ぎだったー

「--…」
茂(葵)は思うー
朝、食べたカップラーメンがこの世のものとは
思えないほどに美味しかったー

葵からすると”まずい食べ物”というイメージだったのが
そのイメージが180度変わったー

”この身体になってから
 食べるもの全部美味しく感じるなぁ…

 もしかして、味覚の違いってやつかな?”

茂(葵)が考えるー
味の感じ方が全く違うー。

葵になった茂がハンバーガーショップで
”味が変だ”と感じたのはそのためー

葵の身体と茂の身体では
決定的に味覚が違うのだー。

「---…うっ…」
葵(茂)が学校にやってくるー

ものすごく、調子が悪そうな雰囲気だー

「え!?!?え!?!?どうしたの!?」
茂(葵)が自分の身体を心配して駆け寄るー

「ちょ、、、ちょっと、、吐きそう…」
葵(茂)は今にも吐きそう、と言わんばかりの雰囲気ー

「--え!?!?!?え、、、吐くの!?え?」
茂(葵)が戸惑いながら言うー

周囲が、顔色げっそりの葵(茂)と、
何故か葵のことを女子っぽく心配している茂(葵)を見て
表情を歪めるー

「え?葵ちゃんどうしたの?」
「なんか今日の茂、きもくね?」
「-っつか、あの二人って接点あったっけ?」

クラスメイトが色々呟く中、茂(葵)は、葵(茂)をトイレに連れ込んだー

トイレに到着してすぐに葵(茂)は便器の側に駆け寄って、
そのまま盛大に吐いてしまったー

「げほっげほっ」
可愛らしく咳き込みながら葵(茂)が
目に涙を浮かべるー

「うぅぅぅ…気持ちわりぃ…」
葵(茂)の言葉に
茂(葵)は「何をしたの・・?」と不思議そうに首をかしげるー

葵(茂)は答えたー
”ハンバーガー腐ってたのかも”と。

いつもと味が違ったー、と。

それを聞いて茂(葵)は呟く-

「違うよ!それ、たぶん食べ過ぎだよ!
 わたしの身体でそんな量食べたら、吐くに決まってるでしょ!」
茂(葵)の言葉に、葵(茂)は「え…」と、呟くー

味のことも、茂(葵)は言うー

「わたし、ハンバーガー食べないし、コーラも嫌いだから
 腐ってたんじゃなくて、わたしの身体だと、
 まずく感じるんじゃないかな…?

 笠山くんの身体になってからわたし、何でもおいしく感じるし」

そう聞いて
葵(茂)は、苦しそうにしながら
「---…え…じ、、じゃあ、俺、もうハンバーガー美味しく食べれないのか?」
と、泣きそうになりながら言うー

「う~ん、も、元に戻れば大丈夫じゃないかな?」
茂(葵)は苦笑いしながらそう答えたー。

「---あ…」
茂(葵)が、トイレに入ってきた男子生徒が、
不思議そうにこちらを見ているのに気づいたー

葵(茂)は、吐き気に必死でつい男子トイレに駆け込んでしまったー

が、身体は葵ー

女子が男子トイレで吐いたー
そんな光景に、トイレにやってきた男子は、
恥ずかしそうに目を逸らしていたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・

”元に戻れない”

入れ替わってから1か月が経過したのに
元に戻ることができないー

「---いいよなぁ…」
不貞腐れた様子の葵(茂)-

長かった黒髪は、セミロングぐらいに
なっていて、
服装も少しボーイッシュな感じになっているー

一方の茂(葵)は、
容姿に無頓着だったのが嘘のように、
茂の身体なりに小ぎれいな感じになっているー

「--え?何が~?」
ファミレスで今後のことを話し合っていた二人ー
茂(葵)は、美味しそうにパスタを食べているー

「---…」
葵(茂)は、不満そうにグラタンを食べるー。

「---え~?でも、これでも周りから
 ”それだけでいいの?”なんて心配されて
 疲れちゃうよ~
 そんなにいっぱい食べてどうするの?って感じ」
茂(葵)はそう呟くー

入れ替わってから、
少しだけ体重が減ったー

これでもかなり食べてる気がするがー
それでも茂の身体の体重は減ってきているー

「---はぁ~~食べたくても食べられない俺の身になってくれぇ…」
葵(茂)はグラタンを口に運びながら呟くー

いつもなら絶対コーラなのだが、
葵の身体だとコーラがまずいので、オレンジジュースにしているー

「---え~~~」
茂(葵)が、”小食”に対して文句を言われたことに
少し腹を立てるー

「---その代わり、わたしの身体、動きやすいでしょ?
 笠山くんの身体と違って!」

”小食”に文句を言われたことに対する仕返しの嫌味を言うと、
「--う、動きやすいけど、動きにくいし!
 周囲からの視線とかいろいろ気になって!」
と、葵(茂)が反論したー

確かに、スリムで動きやすいのだが、
反面、女の子らしくない動きや、恥じらいのない動きをすると
周囲から変なモノを見る目で見られてしまうので、
動きやすいが、動きにくいー

「---は~」
グラタンを食べ終えると葵(茂)が、”もうお腹いっぱいなんだけど”と、
呟くー

「---それぐらいでちょうどいいの!」
パスタの後にピザも食べながら、茂(葵)が言うー

「-くっそ~おいしそうに食べて!」
葵(茂)が言うと、
茂(葵)が「確かにこんなにおいしいなら、
笠松くんが太っちゃうのも分かる気がする~!」と
茂になった葵は嬉しそうにほほ笑んだー

”元に戻る方法が分からない”

二人は、入れ替わったまま過ごす日々を続けていたー

”元に戻る方法”がみつからないし、
どうすることもできないのだー

葵(茂)は維持になって
”胃袋を少しずつ大きくしていく”ために
ちょっとずつ食べていく量を増やしていたー。
その結果ー
数か月が経過した今では、葵の身体は少しずつ小食で無くなりー
その代償として、少しふっくらし始めていたー

「---も~!わたしの身体、太ってきてるよ~!」
茂(葵)が言うー

茂になった葵は、食べることの楽しさに目覚めたものの
それでも中身は小食の葵だからかー
食べる量は少しずつ減っていたー
”健康を意識”する食生活も始めた結果ー
茂(葵)は逆にだんだんと痩せつつあったー
身なりにも気を遣っているからかー
お世辞にもカッコいいと言えなかった茂の身体が
だんだんかっこよくなってきている気もするー

「--俺たち、このまま戻れねぇのかな」
葵(茂)が言うと、
茂(葵)は「戻れるといいよね…」
と呟いたー

だが、既に3か月が経過ー
二人は”諦め”も覚え始めていたー

やがてー
色々試しても元に戻れないまま、
半年以上が経過したー

”もう、決めた”

そう呟く茂(葵)に呼び出された
葵(茂)-

葵の身体は、かなり太り始めていて、
可愛らしかった葵は、今やぽっちゃり女子に
なってしまっているー
”胃袋を大きくして”大食いになり始めていたー

「--こってり系は、まずいって思っちゃうケド、
 食欲はかなり増えたな~!」

葵(茂)がぷくぷくしたお腹を触りながら言うー

「--ってか…俺、イケメンになりすぎじゃね!?」
葵(茂)が叫ぶー

バランス良い食生活を追求し、
量は少なく、食事を楽しむを徹底した半年ー

茂の身体はみるみるやせて、
身なりにも気遣い始めたことで、
イケメン風に変わっていたー

「--そ、そうかなぁ??」
茂(葵)が苦笑いするー

「--で、話って?」
葵(茂)が言うと、
茂(葵)がため息をついた。

「よくもわたしの身体をそんなに太らせてくれたわね!?!?!?」
怒りの形相の茂(葵)

「そんな可愛くなくなったわたし、返品不可!」
茂(葵)が言う。

「--え、、だ、、だって、いつまでたっても戻りそうにないし!」
そう言うと、
茂になった葵は頷いたー。

「そ、だから、諦めよう」
茂(葵)の言葉に、「へ?」と、葵(茂)が唖然とするー

自分たちの両親や友人関係ー
入れ替わったままでは、それを取り戻すことができなくなる。

このまま高校を卒業すればー
葵と茂は離れ離れになりー
お互いの両親や、友人とも離れ離れになるー

「---…一応さ…俺、これでも、家族思いだからさ」
葵(茂)が言うー
寂しそうに…。

葵の身体で生きていく、ということは、
茂の両親とは”他人”になることを意味するー

「--そ、このままじゃそうなっちゃう。
 でもね、解決策があるの。

 わたしも、お父さんとお母さんと他人になりたくない。

 だからー」

茂(葵)が、悪だくみするような笑みを浮かべたー

「--わたしたち、付き合って、
 大学生になったら、結婚しよ!」

「-は?」
葵(茂)が表情を歪めるー

「結婚すれば、相手のお父さんとお母さんは
 お義父さんとお義母さんになるでしょ?
 
 入れ替わったままでも、親との関係も続けられるし、
 友達との付き合いも続けられるし…!

 何も問題ないよね!

 はい、決まり!
 今日からわたしたち、カップル!

 来年からは、わたしたちは夫婦!」

茂(葵)はそれだけ言うと、
「はい決定ー!」と勝手に決定して、
そのまま立ち去って行ったー

「--ほぇぇ…」
葵(茂)は、唖然としながらもー
茂になった葵の提案を受け入れることにしたー

数年後ー

とある大学に通う
巨体女子と
華奢な男子の姿がそこにはあったー

二人は、夫婦ー。

高校の途中までは、
女のほうが、華奢な感じで
男のほうが、肥満体質だったことからか、
周囲はまるで二人を”入れ替わっちゃったみたいねー”などと
揶揄っていたー

二人は、そんな周囲の冗談に嫌な顔一つ浮かべず、
ほほ笑んでいたー

”高校時代、本当に二人が入れ替わった”ことは、
二人しか知らない、
ふたりだけの秘密…。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

2話構成より3話構成の方がよかったかな~?と
思いつつ、無事に完結しました~!

皆様が自分とは違う食欲(?)の身体になったら
どうしますか~?

お読み下さりありがとうございました!!

入れ替わり<大食いと小食>
憑依空間NEO

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