大食い男子と
小食女子が入れ替わってしまった…!
二人の運命は…!?
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男子高校生の
笠山 茂(かさやま しげる)は、
超がつくほど大食いだったー。
牛丼屋に入れば、牛丼の特盛と豚丼の特盛、カレーを食べるぐらいの勢いで、
ハンバーガー屋に入ればがっつりハンバーガーとポテトを食べ、
チキンナゲットに、デザートのアップルパイまで食べるー。
当然ー
外見もふっくらしている男子だー。
一方、同じクラスメイトの女子高生ー
華奢な、平川 葵(ひらがわ あおい)はー
小食で、”それしか食べないの!?”と友達から
言われてしまうぐらいだったー。
細身な眼鏡の少女で、
守ってあげたくなるような可愛さがある女子だー。
そんな二人がー
「-え?」
「-あ?」
廊下の曲がり角で激突してー
入れ替わってしまったー
「---どうしよう…」
茂(葵)が呟くー
ふっくらした茂の身体の肉をつまみながらー
「---どうしようって……」
葵になった茂が、
自分のスカートを落ち着かない様子で
気にしながら、戸惑った様子を見せるー
「---…」
頭を悩ませる二人ー
そして、葵になった茂が口を開いたー
”元に戻る方法を、試してみよう”
とー。
男女が入れ替わってしまうアニメ、漫画、映画ー
茂はいくつか見たことがあったー
まさか現実で自分がそれを体験することになるなんて
思わなかったけれどー
こういう時に”経験”が役立ってくるかもしれないー
葵になった茂はー
お互いにぶつかってみることー
頭をぶつけてみることー
強く願うことー
階段から転がり落ちてみることー
キスをしてみることー
色々提案したー
キスと階段は茂になった葵に却下されたがー
他は茂(葵)も協力してくれたー
だが、身体は元に戻らずー
休み時間が終わりそうになってしまったためー
とりあえず、入れ替わったまま
教室へと戻ったー
教室の戻った葵(茂)は、
スカートの感触にドキドキしてしまうと、同時に
葵の細くてスタイルの良い脚や
綺麗な手に驚いてしまったー
「-----すげぇ…
……ほそっ」
茂は太っているー
だから手も足も太いー。
そんな茂からしてみれば、
葵の身体は”細”の一言だったー
茂は、あんまり女子に興味がないー
高校生にしては珍しく
エッチなことにもあまり興味はないー
興味があるのは、
ただ”食べること”のみー。
それは、葵にとって、幸せなことだったのかもしれないー
エッチな男子に入れ替わられていたら、
今頃、胸を揉まれていただろうー。
「---あ…」
茂になった葵は戸惑っていたー
シャーペンを手に持とうとしても、
上手く持てないのだー
”手が大きすぎる”
「--え…ちょ、、どうすれば…?」
茂(葵)が戸惑っているー
手の力加減ー
モノの掴み方ー
そういうモノが、手のサイズが違うだけで
全然違うー
感覚が全く違うー
”ぐるるるるるる”
ー!?
茂(葵)は表情を歪めるー
”おなかすいた”
葵がめったに感じない感情を、茂になった葵は抱いたー
茂の身体が、空腹のシグナルを送っているのだー
「---え…」
茂(葵)が顔を赤らめて周囲を見渡す。
お腹の音が、絶対に周囲に聞こえた…
そう、思ったからだー
だが、周囲は特に反応していなかった。
茂がお腹の虫の音を鳴らしているのは
”日常茶飯事”であり、クラスメイトは
それにいちいち反応しなくなっていたー
葵がぐるぐるお腹を鳴らしていたら
周囲は騒ぐだろうー
けれど、今の葵は、茂の身体だからー
誰も反応しなかった。
”そういえば、お腹空かねぇな…”
葵になった茂は、
興奮しながら数学の計算式を
黒板に書き込む先生の説明をよそに、
そう考えていたー
いつもなら4時間目の今、
お腹が空いて空いて仕方がない時間だー
なのに、今日は空かないー
へこんだお腹を見つめるー
「---やべぇなこのお腹…」
葵(茂)が呟くー
自分のお肉たっぷりのお腹とは違って
超が付くほどスリムに見えるー
「こんなんで…よくもまぁ…」
逆に”あるべき肉”がない気がして
気持ち悪くなってきた。
こんな骨と皮のような身体で
大丈夫なのだろうかー。
実際には、葵は、”不健康そうなやせ型”ではなく
”健康的な感じのやせ型”なのだが、
お肉たっぷりの茂から見れば
葵の身体は骨と皮にしか見えなかったー
4時間目が終わるー
葵(茂)が、茂(葵)を呼び出してー
あまり人の立ち入りがない空き教室へと向かうー
「--なんか、こう、いろいろすげぇな」
「---うん…」
茂と葵が会話を交わすー
そして、お昼を食べながら、
元に戻る方法を話し合うことにしたー
弁当箱を開くふたりー
「すくな!」
「おおすぎ!!」
二人は同時に叫んだー
葵になった茂は、
葵の弁当の少なさに驚いたー
と、いうかほぼ野菜だー
しかも量は少ないー
「--え…?これだけ?
犬のエサ?」
葵(茂)が可愛い声でそう聞いてくるー
「え???…う、、うん、そうだけど?」
茂(葵)がそう返事をして、
弁当箱を見つめるー
”多すぎる”
絶対に食べられないー
そう思った茂(葵)は、
葵(茂)の方を見たー
そして、二人は同時に叫んだ。
”交換しよう”
とー
弁当を交換したふたりー
茂(葵)は、美味しそうに野菜を食べ終えて
早々にお昼ごはんを終えたー
「--ふ~~」
茂(葵)が満足そうにペットボトルのお茶を飲んでいるー
「----」
肉たっぷりの弁当を食べながら葵(茂)が戸惑っているー
「--どうしたの?やっぱ多すぎるんじゃない?」
茂(葵)がそう尋ねると、
葵(茂)がお腹のあたりを触りながら呟いたー
「おかしいな…いつも足りないぐらいなのに…」
茂の弁当を食べながら
葵になった茂は戸惑いの表情を浮かべているー
ぐるるるるるる…
「-?」
茂になった葵が、
茂のお腹が音を立てていることに気づくー
”あれ?お弁当食べたのに?”
茂(葵)が首をかしげていると、
葵(茂)が「あっ!」と声を上げたー
「-!?」
茂(葵)が驚いていると、
葵(茂)が言ったー
「そっか!俺は今、平川さんの身体だから、
お腹空かないし、食べられないのか…!」
とー
「--あ、、確かにそうだね…
だからわたし、さっきからお腹がすくんだね…」
茂(葵)はそう呟くー
中身は葵でも、身体は茂ー
だから、茂の身体は”食事”を求めているし
胃袋も大きいー
中身は茂でも、身体は葵ー
だから、茂の意識的には「食べたい!」と思っても
葵の身体が付いてこないー
「---…へ~~~…平川さんって
こんなにすぐにお腹いっぱいに…
不思議だなぁ…」
葵(茂)は自分のお腹のあたりを
触りながら不思議そうに呟いたー
「---そ、、それ、、ちょうだい」
顔を赤らめながら茂になった葵は、
葵になった茂が残した茂の弁当を
欲しそうに見つめたー
放課後になっても、
二人は元に戻れないままー
「とりあえず、どうする?」
葵(茂)が言うと、
茂(葵)は「どうしよう…?」と呟いたー
色々話し合った末に
”お互いの家に行くしかない”ということになったー
葵も茂も高校生だから実家暮らしだが、
とりあえず、相手のフリをするための情報交換をして、
なんとか”寝れば元に戻るかもしれないし”という
結論に達したー。
「ーーーあ、、あのさ」
茂(葵)が別れ際に恥ずかしそうに口を開いたー
「--わたしの身体で、変なコト…
その…エッチなこととかー」
「--しないよ」
葵(茂)は即答したー
「-え」
あまりに即答されたので、茂(葵)は唖然としたー
「--俺、喰うことにしか興味ないからー」
清々しいまでに言い放つ葵(茂)-
嘘ではなくー
心からの言葉ー
「あ、、え、、うん…」
茂(葵)は、あまりにもあっさり即答されたので
逆に”わたし、魅力ないのかな?”と内心で少し落ち込んだー
その様子に気づいたのか葵(茂)は言ったー
「あ!別に平川さんだからとかじゃないからな!
俺は花より団子派だからさ!
女子より飯ってことだよ!
エロイ話したって、お腹は膨れないだろ?」
「そ、、そうだね」
茂(葵)は苦笑いしながら、
堂々と言い放つ葵(茂)にそう答えたー
「あ、でも」
葵(茂)が立ち止るー
「着替えとか、お風呂とか、トイレとかは
勘弁してくれよな
ずっと同じ服はまずいし
お風呂に入らず明日の学校もまずいし、
トイレ垂れ流しもまずいしー
あ、大丈夫ー
身体とか俺興味ないから何もしないよ!
飯が食えればそれでよし!」
葵(茂)はそう言うと、
満面の笑みで立ち去って行ったー
「--ほんと、食べることしか興味ないのね」
苦笑いする茂(葵)も、茂の家へと向かったー
・・・・・・・・・・・・・・
お互いの家へと到着した二人ー
「え~~~~~」
葵(茂)は唖然とした
冷蔵庫に、最低限の食べ物しか入っていないー
「--どうしたの?葵?」
葵の母親が首をかしげる。
「あ、、いや、な、なんでもありません!」
つい”他人の母親”に接する口調でしゃべってしまうー
「え???急に、、なになに??」
母親が娘の敬語に気味悪そうな表情を浮かべているー
「--あ、、あ、、いえ、、いや、失礼しましたぁ~!」
訳の分からないことを言って葵の部屋に飛び込む茂ー。
「---ふ~~~……というか、お腹空かね~」
葵(茂)が、可愛らしいベッドの上に胡坐をかきながら座るー
「---何を楽しみに生きてるんだ?」
葵(茂)が真顔で考えるー
部屋には可愛らしい小物類や、
アイドルのポスターらしきもの、
少女漫画などが置かれているー
少女漫画を試しに開いてみるー
「--うぇぇ~俺はダメだこういうの」
イケメンの笑顔のページを開いて
鳥肌が立ってきた葵(茂)は漫画を閉じるー
「---腹減らね~」
葵(茂)が呟くー
いつもなら、食欲に溢れるのに、
食欲がわいてこないー
身体が違うだけでも、こんなに違うのか、と思いながら
葵(茂)は、口の寂しさを覚えるー。
”何か味わいたい”という感覚は
身体とは関係なく、茂の感情的な問題だったために
身体が変わっても同じだったー。
「--ーーう~ん…落ち着かない」
葵(茂)は、意味なく口をくちゃくちゃさせながら、
食べたいけどお腹が空かない、という不気味な
感覚を味わっていたー
・・・・・・・・・・・・・・・
晩御飯の時間ー
「え~~~!おいしい~~!」
茂になった葵は、
晩御飯を口にしていたー
今日の晩御飯は
母親が仕事帰りに買ってきた牛丼の特盛2つだったー
最初”え?”と唖然とした茂(葵)だったが、
面白いように食事が進むー
”おいしい”
茂になった葵は、そんなこと、久しぶりに感じたー、と
思いながら牛丼をどんどん食べていくー
”牛丼なんて、あんまり美味しくなさそう~”と
思っていた葵だったが
食べ始めたら止まらないー
”食べることが楽しい”
初めてそんな風に思ったー
「--あぅ!?もうない!」
茂(葵)が叫ぶー
目の前には2つ目の牛丼ー
最初は”2つなんて絶対無理”と思っていた牛丼を
軽く平らげてー
茂(葵)は満足そうに微笑んだー。
「--う~ん、身体が重いぃぃぃ」
食後ー
いつもあまり食べない葵は、茂の身体の
満腹感を味わって、身体が重い感覚を
味わっていたー
「ふ~~…重く感じるのは…
笠山くんの体重のせいかな…?
それとも食べ過ぎたから…?」
茂の身体は、葵の体重とかなりの差があるー
見た目から太っているー
”毎日、こんなに食べるんじゃ、太るよね”
葵はそう思いながらも、
食べることの楽しさに目覚めつつあったー
葵は、正直
何を食べてもあまり”美味しい”とは思わないタイプで、
小食であることから、”食べたい”とも思わない。
栄養にだけ気を付けて最低限の食事しか食べないー
だからー
大食いの茂の身体になって、こんな風に食べるのは、新鮮だったー
「案外…こういうのも悪くないかも…!」
この時はまだー
”明日朝起きるころには元に戻っているはずー”
そのぐらいにしか、考えていなかったー
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
大食い男子と小食女子の入れ替わりデス~!
2話構成なので、入れ替わりまではサクッ!と進めました~!
続きは明日デス~!
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