幼馴染の彼女の身体で過ごし続けてきた
彼は、ある決断を下したー
彼女と彼氏が、最後にたどり着く運命は…?
--------------------—-
「---んあっ♡ あっ♡ あぁぁぁっ♡」
”ちょ、、何してんの!?!?ねぇ!?!?!?
奈緒美は、部屋で一人、高校時代の制服を着て
エッチなことをしていたー
”ちょっと!!!ねぇってば!!!”
奈緒美の意識は、幽閉されたままー
奈緒美の身体は、今、淳史が完全に主導権を握っているー
「はぁ…♡ はぁぁぁ…♡
なにって…?エッチしてるんだよ…はぁ…♡」
髪を乱した奈緒美が顔を赤くして呟くー
淳史が、突然奈緒美の身体を乗っ取る宣言をして、
好き放題し始めたのだー
”-ちょっと!!!!最低!何てことするの!?!?”
奈緒美が怒りのあまり叫ぶー
「--へへ、もうこの身体は俺のものだ奈緒美!
悪く思うなよ!」
奈緒美の身体を乗っ取ったまま、そう叫ぶ淳史ー
制服姿の奈緒美が立ち上がりー
ニヤニヤしながら胸を触り始めるー
”こらっ!淳史!!!こらっ!!!!”
奈緒美の意識が何度も何度も叫ぶー
「--もう人生半分半分なんてこりごりだ!
俺が奈緒美として生きる!
お前はどっかに消えろ!」
奈緒美の声で、激しい言葉を吐き捨てるー。
”そんな……”
奈緒美の意識が酷く落ち込んだ様子で呟くー
”ずっと…ずっとそう思ってたの!?
わたしは、淳史といつまでも一緒でもー”
「--そうだよ」
奈緒美が冷たい声で呟いた。
スカートから覗く太ももをニヤニヤしながら
触っている奈緒美ー
「俺はずっと、お前を乗っ取るチャンスを伺ってたんだ!
俺は、他の男と違って本当はいいやつなんかじゃない。
悪い奴なんだよ!
奈緒美と付き合ってたのも、奈緒美が可愛いからさ!ははっ!」
そう言うと、奈緒美を乗っ取った淳史は、
滅茶苦茶にエッチをし始めるー
激しく喘ぐ奈緒美の身体ー
”ふざけないで!!!やめてよ!!!!”
奈緒美の意識が叫ぶー
それを無視して、
エッチを繰り返し続ける淳史ー。
奈緒美は、完全に乗っ取られたー
その日から、奈緒美の身体でおしゃれをして
大学に通うようになり、
どんなタイミングであっても、奈緒美の身体の主導権を
淳史は独占したー
淳史の”強い意志”を前に、
奈緒美の意識はなすすべもなく、
心の奥底に幽閉されたー
「---へへへへっ」
ミニスカート姿で帰宅した奈緒美は、
「今日もエッチするか!」と笑うー
”……”
奈緒美はここ数日、口数も減ってきていたー
淳史に、心底失望してしまったー。
最初はー
淳史がふざけているのかと思ったが
どうやら、本気で淳史は奈緒美のことを
乗っ取るつもりのようだー。
信じていたのにー
こんな仕打ちを受けるなんてー、と
奈緒美は絶望のどん底に突き落とされた気分になるー
「--さ~て!」
奈緒美の身体を乗っ取ったまま、淳史は色っぽく座ると
スマホで、メイド服やらブルマやらナース服やら
エッチな衣装を注文し始めたー
”何してるの…”
落ち込んだ様子で奈緒美の意識が呟くー
「--へへ、夜のお楽しみをしようと思ってさ、
あ、そうだ、俺、夜のバイト始めるから…
くく、奈緒美のエッチな身体を
有効活用しなくちゃなぁ!」
笑う奈緒美の身体ー
”酷い…!ひどいよ!淳史!”
「--ははは!騙されるお前が悪いんだ!
お前が油断して、俺が完全に乗っ取ることのできる
タイミングを、俺はずっとずっと待ってたんだ!」
奈緒美を乗っ取った淳史の笑い声ー
奈緒美の身体はゾクゾクしながら
さぞ愉快そうに笑っているー
自分の身体なのにー
自分じゃなくなってるー
奈緒美は、身体を取り戻そうと、
意識を強めるー
でもーー
「-うるせぇ!お前は引っ込んでろ!」
奈緒美の身体の主導権を握っている淳史が叫んだー
「--この身体は、俺のものだ!」
奈緒美の意識が、さらに心の憶測に追いやられるー
言葉で説明するのは難しい状況に
奈緒美は追い詰められるー
意識の身動きが取れないー
と、でも言うのだろうかー
「お前の家族も、人生も、身体も、全部全部俺のものだ」
奈緒美の姿をしたまま、淳史が叫ぶー
”--最低…!許さない!”
奈緒美の意識が叫ぶー
「--馬鹿な女だ!あははははは!
俺なんか選ぶから!
俺に夢中になんかなって、馬鹿なやつだ!」
そこまで言うと、
奈緒美を乗っ取った淳史が呟いたー
「---おやすみ」
とー
悪い笑みを浮かべながらー
ブチッー
まるで、テレビのコンセントを引っこ抜かれたかのようにー
奈緒美の意識は、そこで途切れたー
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
無ー
何も、感じないー
何も、聞こえないー
何も、見えない-
幽閉された精神の
行く末ー
奈緒美の意識は永遠に無を漂い続けー
そしてー
消えるのみー
奈緒美は、もう何も考えることはできないー
奈緒美にもう、自由は存在しないー
奈緒美にー
「----------!」
突然、いろいろな感覚が戻ってきたー
そしてーーー
「---奈緒美!」
声がしたー
「----え……」
奈緒美が目を開くとー
そこは、自分の家だったー
そして、心配そうに奈緒美を見つめるのは
大学の友人の一人・正彦ー
中学時代も一緒で、ある程度親しい男子だー
「----…わ、、、わたしは…?」
奈緒美が周囲を見渡すー
自分が、高校時代の制服を着ているー
「え……???え…」
奈緒美が周囲を見渡すと、
正彦が「無事でよかった」と呟いたー
「--奈緒美の様子が最近おかしかったからさ…
俺、問い詰めたんだ」
正彦が言う。
奈緒美が「え…」と戸惑っていると、
正彦は「そしたら、淳史のやつが、奈緒美を乗っ取ってるって白状したんだー」
奈緒美が完全に乗っ取られたあとー
奈緒美の様子がおかしいと感じた正彦は
奈緒美を問い詰めたー
そして、しつこく問い詰めた結果、
奈緒美を乗っ取った淳史が、「俺が奈緒美を乗っ取った」と
白状したというのだー
奈緒美は、表情を歪めるー
確かに、淳史に乗っ取られたところまでは覚えているー
あれからー
「--い、、今、何月何日ー?」
奈緒美が恐る恐る聞くー。
正彦の容姿が変わってないことからー
何十年も経過したりとか、そういうことはなさそうだー
正彦が日付を答えるー
”3週間”が経過していたー。
「--淳史は?」
奈緒美が言うと、
正彦は首を振ったー
「---…何とか、追い払ったよ」
とー。
奈緒美は、「そう……」と寂しそうに呟いたー
淳史が、あんなことを考えていたなんてー
自分を乗っ取ろうとしていたなんてー
「-------」
奈緒美は少しだけ考えるような表情を浮かべると、
「--ありがとう…」と、正彦にお礼を述べたー
正彦は「いや…」と首を振る。
「それより…勝手に奈緒美の家に来ちゃってごめんな…
奈緒美を乗っ取ってる淳史から誘われて、
奈緒美を救うチャンスだって思ったからさ」
正彦の言葉に、奈緒美は「大丈夫」と呟いたー
「--あ、そうだ、、い、いつまでも女子高生の格好してないでさー…」
正彦が気まずそうに言うー
「---え」
奈緒美は、自分が高校時代の格好をしていることを思い出してー
顔を真っ赤にすると
「い、、今、着替えるから!」
と声を出したー
・・・・・・・・・・
奈緒美が着替え終わると、
正彦が部屋に戻ってきて、
奈緒美が淳史に乗っ取られている間のことを説明してくれたー
淳史はやりたい放題だったのだと言うー。
「--でもまぁ、、大丈夫。
大学では一応、アイツ、普通に振舞ってたからー」
正彦は、”普通に日常生活には復帰できるはずだ”と付け加えたー
「---奈緒美はおもちゃだ、って最後まで言い張ってたな」
正彦が言うと、
奈緒美は悲しそうな表情を浮かべたー
「---…」
正彦が全てを説明し終えると、ため息をついてから
立ち上がったー
「--ま、無事でよかったー
俺はそろそろ帰るよー
あ、何かあったら、いつでも相談に乗るからな。
じゃ」
立ち去っていく正彦ー
奈緒美は淳史が消えてしまったことに少し寂しさを感じながらー
机の上に飾ってあった高校時代の奈緒美と淳史の写真をー
淳史がまだ自分の身体を持って生きている頃の写真を見つめたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
正彦が、道を歩きながらー
”少し前”のことを思い出すー
淳史が、奈緒美を完全に乗っ取った直後の話ー
「---奈緒美…どうかしたのか?」
大学の敷地内の木々が揺れる場所ー
正彦は、奈緒美に呼び出されていたー。
「---……正彦、驚かずに聞いて」
奈緒美が言うー。
「---?」
正彦と奈緒美は中学時代の同級生ー
偶然、大学で再会したー
当然、奈緒美と幼馴染の淳史とも中学時代の
同級生だった人物だー。
「--わたし、いや……俺、淳史なんだ」
「---え」
正彦が唖然とするー。
「--信じてくれないかもしれないけど、
最後まで聞いてくれるか?-」
奈緒美は悲しそうな表情を浮かべるとー
これまでのことを語りだしたー
高校に入って奈緒美と淳史は付き合い始めたことー
二人は仲良く過ごしていたことー
ある日、交通事故で、淳史が奈緒美を庇い、死んだことー
気が付いたら、自分が奈緒美の中にいたことー
それからは、奈緒美の身体を二人で使いながら生きてきたことー
最近になってー
自分が、”消える”ことを確信したことー
そしてー
「---奈緒美は、俺に依存してるー
このまま、俺が消えるなんて言ったら、どうなるか分からないし、
黙って消えたら、どうなるかわからない。
だから俺は”悪役”になって奈緒美に嫌われてー
消えて行こうと思うんだー。
それでも奈緒美は悲しむかもしれないけれど、
憎まれることで、少しでも奈緒美がー」
「---ははははははっ」
正彦が笑いだしたー
奈緒美は表情を歪めるー
「ま、信じてもらえるなんて、思ってないさ」
奈緒美を完全に乗っ取っている淳史は悲しそうに言う。
「いや、いいや。
違うよ。お前らしいなって。
自分を犠牲にしてまで、奈緒美ちゃんのことを考えてあげるなんて
それにー
奈緒美の身体で過ごしてるお前を想像したら
笑っちまっただけだよ」
正彦が言う。
「--え…信じてくれるのか?」
奈緒美がそう言うと、
正彦は頷いたー
「話を聞いて確信したー
中学の時のまんまじゃないか。お前。
中学時代、親友だっただろ?
そのぐらい、分かるさ。」
正彦はそう言いながら
「--まぁ…非現実的すぎて正直、びびるけど」
と、付け加えた。
「--ありがとう」
奈緒美が正彦の手を握るー
「--お、おい!やめろよ!ドキドキするだろ!」
正彦が顔を赤らめるー
今の奈緒美の中身は淳史だと思っていても、
ドキドキしてしまうー
「それでーーー
お願いがあるんだー」
奈緒美が悲しそうな目で正彦を見るー
正彦は、ドキッとしながらも
「----なんだよ」
と、呟くー
どうせー
淳史のことだー
何を言い出すかは分かっているー
「---…奈緒美を完全に乗っ取ろうとした俺を
お前が倒して、救い出したー
そういう、話にしようと思うんだ」
奈緒美の身体のまま、淳史が言う。
「-----いいのか、それで」
正彦が言うと、
奈緒美は頷いたー
奈緒美の目から涙がこぼれているのに
正彦が気付くー
だが、正彦はそのことを指摘はしなかった。
「---………わかった」
正彦は、力強く、そう答えたー
そしてー
”最後の日”がやってきた。
今日ー
消える。
そう悟った淳史は、正彦を奈緒美の家に呼び出しー
奈緒美の高校時代の制服を着てー
”乗っ取って遊んでいたところ、正彦が助け出した”という
雰囲気を作り出したー
「---俺をドキドキさせないでくれぇ~」
正彦が苦笑いしているー
「--はは、悪い悪い。
でも、この方が、俺が乗っ取っていたのを
お前が助け出した!って感じがするだろ?」
その言葉に、正彦は「ま、まぁな~」と呟くー
淳史の感覚が消えていくー
少しずつー
正彦は待っている間も、
何気ない日常話ばかりしていたー
”わざと”
そうした。
しんみりしたのは、淳史も望んでいないだろうし、
淳史を余計に苦しめてしまうと思った正彦の配慮。
淳史もそれを感じ取って、
笑いながら”最後のひと時”を過ごしたー
ーーー!!!
今まで感じたことのない感覚ー
もう、消えるー
「----それでさ~!あの時のお前は、こう言ってたんだよ、俺は何があ、、」
正彦は雑談していた口を止めた。
「-----ありがとう」
奈緒美の表情には、
悲しみ、感謝、安心感、いろいろなものが出ていたー
「----行くのか?」
正彦は奈緒美の表情から、淳史が消える瞬間がやってきたことを
読み取るー。
「----」
奈緒美はにっこり微笑んで、頷いたー
”奈緒美を頼む”
奈緒美の身体からー
淳史の姿が一瞬だけ見えてー
正彦にそう告げた。
そして、そのまま奈緒美は、倒れたー
目覚めた奈緒美に対して
正彦は淳史との約束通りー
”奈緒美を完全に乗っ取った淳史を正彦が撃退した”
風を装ったー
「---奈緒美ちゃんは、強いよー
お前が思ってたよりもー」
正彦は、悲しそうにそう呟いたー
・・・・・・・・・・・・
「----------」
部屋で奈緒美は、淳史と一緒の写真を見つめていたー
「---ごめんね…
そして、ありがとうー」
奈緒美の手に涙がこぼれ落ちるー
奈緒美は、淳史の最後の優しさを
なんとなく察していたー
”淳史も、正彦も、芝居が下手だなぁ…”
苦笑いする奈緒美ー。
「----…わたしはーーー
ちゃんと生きていくよー
大丈夫ー」
奈緒美は、涙を拭いて写真を置くと、
立ち上がったー
いつになるかは分からないけれどー
いつか、
わたしもそっちに行くー
でもー
大丈夫。
わたしは、自殺したりしないし、
一生懸命、生きていくからー。
だって、
この命は淳史が助けてくれた命だからー
それを捨てることなんて、
絶対に、しないからー。
「---見ててね、淳史ー。」
淳史との別れを乗り越えてー
奈緒美は、未来に向かって歩き出した。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
精神同居している女子大生のお話でした~!
明るい未来に向かって
歩いていくことができそうですネ~!
お読み下さりありがとうございました!!
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