デートの前日ー
彼氏とのデートを楽しみにしていた彼女は、
身も、心も乗っ取られてしまうー
乗っ取られた彼女は、”情け”として、
”彼氏”に、最後に1日だけデートを楽しませてあげることにした…
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「---♪~~」
自宅で楽しそうにしている女子大生の月川 由香梨(つきがわ ゆかり)
それもそのはず、明日は同じ大学に通う彼氏、
藤山 義弥(ふじやま よしや)とのデートだったのだー
最近は、二人とも大学の行事やバイトで
忙しくて、なかなかのんびりする機会もなかったから、
余計に楽しみな気持ちが強いー
「どうしよっかな~」
明日着ていく服装選びをする由香梨ー
由香梨は落ち着いた服装が好きで、
派手な服装はあまり好まないタイプー。
友達から無理やりもらった派手な服装を手に取って
苦笑いする由香梨。
「こんな短いスカートはちょっときついかなぁ~」
笑いながら、由香梨は、他の服に目をやるー
少しすると、服装は決まったのか
スマホで彼氏と少しやり取りしたあとに、
寝る準備を始める由香梨ー
夜更かしして、
大事なデート当日に体調を崩しました、なんてことになってしまったら
まさに、本末転倒だー。
そうなってしまわないためにも、
今日はしっかりと休む必要があるー
「--そろそろ寝よっかな~」
由香梨がそう呟いているとー
突然、背後に気配を感じたー
「--!?」
由香梨が振り返るー
すると、そこにはー
人魂のようなものがあったー
「--え…!」
由香梨が驚いて、目を見開くー
由香梨は、オバケだとか、心霊現象だとか、
そういったものを、信じていないー
だが、目の前にこうして、人魂のようなものがあるー
「--え…な、、なに…?」
由香梨は後ずさるー
本物の幽霊ー?
そんな風に考えていると、
人魂に顔のようなものが見えたー
眼鏡をかけた、
イヤらしい目つきの男の顔ー
「--ぎゃははははははははは!」
人魂がーー笑ったーー。
「--ひっ!?」
由香梨は壁際に追い込まれるような形で、
驚いて声を出すー
「-ーーぐふふふふ、最高に可愛いなぁ…!
お前に決めた!」
人魂が言う。
人魂が喋ることに驚きながら
由香梨は「え…お、、オバケ…?」と震えながら言うー
「--ぎゃははは、そんなに怖がらなくてもいいさ。
僕は、別に君を傷つけるつもりはないからさ」
人魂が言う。
由香梨は震えながら人魂の方を見るー
「--ははは、大丈夫大丈夫、殺したりもしないよ。」
人魂の言葉に、
由香梨は、疑いを抱きながらも
「じゃ…じゃあ…あの、あなたは誰なんですか?
…そもそも…何なんですか?」と
不安そうに尋ねたー
”喋る人魂”を前に、
当然と言えば当然の質問だったー
「あぁ、僕?僕は田中 孝雄(たなか たかお)だよ。
45歳独身、非モテのハゲでデブなおっさんさ」
人魂はそう答えたー
「--え……
そ、その姿は…」
由香梨は怯えながらもそう答えたー
田中孝雄ー45歳ー
他にプロフィールを別に、由香梨はなんとも思わなかったが、
どうして人魂のような姿にー?
「---あぁ?これ?
別に僕は死んでないよ。ぐふふ。
ちゃんと生きてるから安心しなよ」
人魂はそう呟くと、
由香梨の方を見たー
「---憑依って知ってる?」
人魂の言葉に、由香梨は「え…?ひ、憑依?」と首をかしげるー
言葉は知っているー
だが、何故その言葉が今、出て来るのかー
「--ちょっとさ~、君のそのエッチな身体、貸してほしんだー」
人魂が”目的”をようやく口にしたー
「--え…!?!?!?」
由香梨が驚くー
「--ふへへへへへっ!お邪魔しま~す!」
人魂はそう叫ぶと、由香梨の方に突進したーー
驚いて口を開いていた由香梨の口に飛び込む人魂ー
「ひぅっ!?」
由香梨がビクンと震えるー
「え…な、、、…う…」
由香梨が苦しそうにうめきだす。
”えへへへへへ…僕に身体を貸してよ!”
頭の中に男の声が響くー
「え…や、、やめて…出てって!」
由香梨が頭を押さえながら叫ぶー
”えへへへへへ
僕の身体だ 僕の身体だ!
よこせよこせよこせよこせよこせ”
「--やめて!うるさい!!!静かにして!お願い!」
由香梨が目から涙をこぼしながら頭を押さえるー
ズキッー
激しい痛みが走って由香梨の身体がビクンと震えるー
「あ…あぁあああああっ!」
由香梨が、仰向けに、反り返るような形で
もがき始めるー
目が白目になって、
ぶるぶると震えながら、
泡のようなものを噴き出す由香梨ー
ガクガクと震えながらー
やがてー
由香梨は、そのまま仰向けに倒れてしまったー
ピクピクとしている由香梨の身体ー
内部に侵入してきた人魂にー
身体全体が拒絶反応を引き起こしたのだがー
その反応を抑え込まれてー
「--ぐふ…♡」
由香梨は口元の泡を手で拭きながら笑みを浮かべたー
完全に、乗っ取られてしまったー
「--ぐふ…ぎ…ぎ…ぎゃははははははははは!」
可愛らしい声で、
孝雄がよくする”下品な笑い声”を出す由香梨ー
「--はぁぁぁ…ぐふふ…ぎゃははははははははっ♡」
目に涙を浮かべながら、狂ったように両胸を揉みまくる由香梨ー。
理性を失っているかのように、激しく手を動かしてー
甘い声を出すー
やがてー
大学の学生証を見つけ出すと
”月川 由香梨”という名前を確認して、ほほ笑んだー
「ぎゃはははははは!
今日から僕は、いいや、わたしは田中 由香梨だぁ!!ぎゃはははは!」
由香梨に自分の苗字を名乗らせて
男は由香梨の身体で笑うー
由香梨の身体は男の意志に従って激しく興奮しているー
田中由香梨と名乗らされてゾクゾクしている由香梨ー
♪~
「あん?」
髪を振り乱しながら由香梨が、スマホの方を見るー
「-----」
由香梨が、片手で胸を揉みながら
面倒くさそうにスマホの画面を見つめるとー
笑みを浮かべたー
「へ~~明日は彼氏とデートか。
残念だったな。
この女は、僕のものだ」
由香梨はそう呟くと、
少し考えたあとに笑みを浮かべたー
「まぁ、情けでー
”最後のデート”だけ楽しませてやるよー
くくくくくく」
由香梨は低い声を出しながら
笑みを浮かべたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
彼氏の義弥は、
由香梨の身に起きたことなど知らずー
デートの待ち合わせ場所で、
由香梨の到着を待っていたー
「--お待たせ~!」
背後から由香梨の声がするー
「あ、由香梨!」
振り返ると、そこにはミニスカートに
黒いニーソ姿で、おしゃれな由香梨の姿があったー
「あれ…な、なんかいつもより、おしゃれだな~」
義弥が照れ臭そうにしながら言うと、
由香梨は「ふふふ」とほほ笑んだー
「--え~っと、どこに行くんだっけ?」
由香梨が言う。
義弥は「え?由香梨が言い出したんじゃないか~」
と苦笑いするー
由香梨はーー
「え~~~?」と呟きながらも、
”行先なんか知るわけないだろ?”と
内心で笑みを浮かべた。
そう、行先なんか知るわけがないー
自分は、月川由香梨ではないのだからー
”僕は、田中由香梨なんだぁ…えへへへへへ…♡”
自分の苗字と由香梨の名前を組み合わせることで、
男はー
いいや、今の由香梨は激しく興奮していたー
「--ぎゃははははは!どこでもいいから行こ行こ!」
由香梨が腕にしがみつきながら言うー
義弥は少し戸惑いながら、「あ、あぁ」と呟くー
「--あ~デートたのし~!
ぎゃははははは!」
笑う由香梨ー。
由香梨の笑い方がいつもと違うー
義弥はすぐに違和感を抱いたー。
由香梨はいつも、穏やかに笑っているー
だが、なんだか今日はゲラゲラと
下品な印象さえ受けるー。
「----あ、そうだ、ちょっと、ションベンしてくるね」
由香梨はそう言うと、鼻歌を歌いながらトイレに向かうー
「--え」
由香梨の言動に義弥は違和感をぬぐえないー
なんだかー
なんだか、おかしいー
「---…」
だがー
彼女の異変にすぐに気付いた義弥も、
流石に”自分の彼女が憑依された”などということには
気付けなかったー
戻ってきた由香梨ー。
濡れた手をハンカチも使わずに
スカートで適当に拭くと
「さ、行こ♡」と、甘い声で囁いたー
少し歩いていると、
由香梨は、突然「あ、ここ見たい~!」と、
嬉しそうに店内に入っていくー
そこは、アニメグッズなどが大量に売られているお店だったー
義弥自身、アニメを見るときは見るし
別に偏見はないのだがー
由香梨が、そういうお店に入っていく、ということが
驚きだったー
「---え?あ、、おお?」
義弥が戸惑いながら由香梨についていくー
「あ~~!すっご~~い!」
由香梨が興奮しながらアニメキャラのフィギュアを見つめているー
スカートを乱しながら、しゃがみこんで、グッズを
興奮した様子で見つめる由香梨ー。
「--ゆ、由香梨?」
義弥はひたすら戸惑っているー
「うおおおおおおおお!」
由香梨が急に叫び出すー
「--さなえちゃんのフィギュアぁぁあああ!」
由香梨が興奮を隠しきれない様子で、
顔を真っ赤にして喜んでいるー
「え??え??」
義弥は戸惑いっぱなしだー。
”さなえちゃん”が
何のアニメキャラかはしらないが、
由香梨の喜びようから見ると、
相当レアなものなのかー
あるいは、由香梨が個人的に
探していたやつなのかー
「--これは買うしかねぇ」
由香梨はそう言うと、
財布を乱暴に開いて、
鼻息荒く、そのままレジに向かっていくー
レジでも終始興奮した様子で、
まるで、由香梨が別人のように見えたー
「---あぁぁぁあ~よっしゃあ!」
由香梨が小さくガッツポーズする。
興奮で我を忘れているかのようなー
そんな感じだー
見た目は由香梨なのにー
由香梨じゃない気がするー
そんな違和感まで抱いてしまうー
「--あ、、、」
由香梨が義弥の方を見るー
「だ、、大丈夫?今日なんか、ずいぶんいつもと違うけど?」
義弥が心配そうに言うと、由香梨は「大丈夫大丈夫!」と笑みを浮かべたー
義弥は時計を見るー
「あ、そろそろお昼にするか~」
いつの間にかお昼の時間ー
近くのファミレスにでも入るか。
それともちょっとおしゃれなカフェにでも入るか、
そんなことを考えていると、
「あ、確かにお腹すいちゃったね~♡」と、
甘い声を出す由香梨ー。
「この辺、お店たくさんあるから、
ちょっと色々見てみるか」
義弥がそう言って、アニメグッズのお店から
先に外に出ていくー
「--くく」
由香梨は笑ったー
「へへへへ…
わたしとの”最後のデート”
たっ~ぷり、楽しめよぉ?」
由香梨はそう呟くと、
自分の太ももをイヤらしい手つきで触るー
「--月川由香梨としての最後の1日だー
明日から、僕は…くふ…田中 由香梨になるんだ…ぐふふふふふ」
自分の苗字と由香梨の名前を組み合わせてゾクゾクする由香梨ー。
自分の彼女が今、置かれている危機的状況にも気づかずー
義弥は彼女のために、と、由香梨が喜びそうな
お昼ご飯を食べるお店を探すのだったー
②へ続く
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乗っ取られてしまった彼女…!
まだ、彼氏は気づいていないみたいですネ…!
続きはまた明日デス~!
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