<入れ替わり>痴漢X冤罪PARTⅡ③~未来~(完)

入れ替わった状態で過ごす、
痴漢冤罪の被害者と
痴漢被害者の女子大生ー。

二人の先に、待ち受ける未来とは…?

---------------—

「紗奈恵ちゃん、かわいい~~!」
茂の娘・勝美が拍手をするー

「--ちょ…ちょ…勝美…?」
紗奈恵(茂)が顔を真っ赤にしているー

ミニスカートやら
ワンピースやら、
ボーイッシュな格好やら、
太ももを露出した大胆な衣装やらー
色々なものを試着させられて
顔を真っ赤にしている紗奈恵(茂)。

「-ちょ…っちょ!中身は俺なんだから!」
紗奈恵(茂)が小声で言うと、娘の勝美も小声で返事をするー

「-でもね、お父さん。これからは、お父さんは
 その紗奈恵ちゃんの身体で生きて行かなくちゃいけないんでしょ?
 だったら、こういうことに慣れなくちゃ」

その言葉に、紗奈恵(茂)は言い返せない。

「ほら!紗奈恵ちゃん!かわいくピースして」

勝美の言葉に、
紗奈恵(茂)は顔を真っ赤にしながら
もじもじしているー

「ほら!女の子レッスンよ!早くピースして!」

女の子レッスンってなんだよ…
と、思いながらも、紗奈恵(茂)は真っ赤な顔でピースしたー。

酷い目に遭ったー
そう思いながらも、勝美に選んでもらった
女の子としての服の会計を済ませると、
そのまま店を出たー

「--じゃ、今日でジャージは卒業ね!紗奈恵ちゃん!」
勝美が嬉しそうに言うー

なんで、こんなに娘の勝美は嬉しそうなのだろうか。
そんな風に思いながらも
”お姉ちゃん”ができた感覚なのだろうかー
いや、”妹”かもしれないー
と、いろいろ考えてみるー

まぁ、とにかく、いずれにせよ、
あまり口をきいてくれなかった娘が、こんな積極的に
なったのだからー、
言うことはないー

帰宅すると、妻が、紗奈恵(茂)の方を見て
「あら、おかえりなさいー」と呟く。

勝美が手を洗いに洗面所に行っている間に、
妻は苦笑いしたー

「なんだか、娘が二人に増えた気分」
とー。

「--はは」
紗奈恵(茂)は、ソファーで足を組みながら
煙草に火をつけるー

もともと、茂は喫煙者で、
その癖は、今でも抜けていないー。

「---じゃあさ、お母さんって呼んでもいいか?」
紗奈恵(茂)が、妻に向かって冗談を言うー

「-だめです」
妻は笑いながらそう答えたー

なんだかんだで、家族とは上手くやっていけそうだー
問題はーー
やっぱり、会社のほうだろうかー。

「---色々大変だと思うけど…
 あなたは、あなたらしくやりなさい。
 見た目がどうだって、あなたは、あなたでしょ?」

妻が、真剣な表情でそう言ったー

そうだー
見た目に左右される必要はないー

この姿だと、当然、事情を知る人の前以外では
女として振舞う必要があるが、
それは、受け入れるしかないー

こうなった以上、
受け入れるべきところは受け入れて
けれどー自分が茂であるということは
決して忘れないようにして、生きていくしかないー

「ありがとな」
紗奈恵(茂)は、会社でのやり取りを思い出しながら決意するー。

”茂として”
会社で、自分が、どのようにあるべきかー。

それを、決意したー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

落ち込んだ様子で家に向かって歩く茂(紗奈恵)-

途中で疲れて、公園のソファーに座るーーー

「どうすればいいの…」
茂(紗奈恵)は落ち込むー
どんどん気持ちが後ろ向きになっていくー。

「---おや?」
横から、声がした。

茂(紗奈恵)が見ると、
そこには、入れ替わって、”痴漢の容疑者”として
茂になった紗奈恵を取り調べしていた
刑事・源吾郎の姿があった。

「あ…お久しぶりです」
茂(紗奈恵)が頭を下げる。

「--どうも」
源五郎は、自販機で買ったと思われる
お茶のペットボトルを2本持っているー

そして、そのうちの1本を飲み始めた。

「元気、なさそうだな」
源五郎が呟く。

「--…やっぱり…急にこの身体で
 生きていくってなっても、いろいろ難しいなぁって…
 現実は厳しいなぁ…って思っちゃって
 ちょっと疲れちゃいました」

茂(紗奈恵)が苦笑いしながら呟く。
心底疲れてそうな様子が、源五郎にも伝わるー。

「------…そうか」
源五郎は呟く。

正直、”おじさんと入れ替わったまま生きていくことになった
女子大生”の気持ちなど、源五郎には想像できない。

刑事として、今まであらゆる事件を捜査し、
取り調べも行ったー
人間の心理を読み取る力には長けているつもりの
源五郎も、今の紗奈恵の心情を推し量ることはできなかった。

「---」
源五郎は、茂(紗奈恵)の方を見るー
弱弱しい笑みを浮かべて、
今にもー
そう、自殺してしまいそうな雰囲気にすら、見えるー

「--……らしくねぇな」
源五郎はお茶を飲みながら呟いたー

「--え?」
茂(紗奈恵)が源五郎の方を見るー

「--…取り調べのときのこと、覚えてるか?
 君は、追及する俺に対しても、
 一歩も退かなかったし、
 常に自分の意思を変えようとしなかった。

 正直、あの時俺は思ったんだよ。

 ”このおっさん、手ごわいな”ってな。

 何を言っても「やってません」ばっかり。
 意志の強さを感じたし、
 刑事として厄介な野郎だな、ってそう思った」

源五郎は、あの時の茂(紗奈恵)の目を思い出すー

入れ替わってしまったことを主張し、
痴漢は冤罪であることを主張しー
一歩も退かなかった。
痴漢冤罪のおじさんと入れ替わってしまって
自分だって不安なはずなのに、
源五郎の取り調べに対して、退くことはなかったー

入れ替わりを知った後も
源五郎は”この子は、強いな”と
そう思ってたー

「--あの時の威勢の良さはどうした?」
源五郎が、うすら笑みを浮かべながら言う。

「--もう、無理ですよ。あの時は、必死でしたけど、
 もう、、無理なんです」
落ち込みきってしまった茂(紗奈恵)-

ため息をつく源五郎ー。

「自分が、悪いとか、そんな風に思ってんだろ」
源五郎は、そう呟くと立ち上がるー

「え?」
茂(紗奈恵)が源五郎の方を見るー

茂になった紗奈恵は、
”あの時、自分が茂に冤罪を押し付けなければ”とか、
”こんな身体になって、みんなに迷惑かけちゃうよね”だとか、
そんな風にばかり思っていた。
マイナス思考に支配され、結果、暗くなり
オドオドして、大学でも上手く振舞えていないー

「君は、悪くないだろ。」
源五郎が呟くー

「悪いのは、あの時痴漢してたおばさんだ。
 君じゃない。
 
 ったく、あのおばさんも本当、余計なことしてくれたよな。
 おかげで俺の仕事が増えちまった。

 警察なめやがって」

一人、うんざりした様子で呟く源五郎。

「--自分を責めてんなら、やめとけ。
 君が、間違って犯人じゃないおっさんを捕まえてしまったのも、
 元はと言えば、痴漢のおばさんのせいだ。

 痴漢おばさんがいなければ、君が、そのおっさんを
 捕まえることもなかった。
 違うか?」

源五郎の言葉に
茂(紗奈恵)は「それはそうですけど」と呟くー。

「--自分を責めるのは、やめにしておけ。」

源五郎がそこまで言うと、
少しだけ笑って口を開いたー

「-まぁ、ほら、いきなりおっさんになっちまった
 女子大生の気持ちは、俺には分からねぇけどよ。

 ほら、その、とにかく、元気出せってことだよ」

不器用な源五郎が、頭を掻きながら言うー
難しい紗奈恵の状況に、言葉を上手く伝えることが
できないながらも、源五郎は、なんとか紗奈恵を励まそうとしていたー

持っていたお茶のうち1本を、茂(紗奈恵)に渡す源五郎ー

「それ飲んで元気出せ」
お茶1本で、元気になるなら苦労しないよー

そう思いながらも茂(紗奈恵)は
必死に刑事・源五郎が励ましてくれていることを読み取り、
「ありがとうございます」と呟いたー

「--っ、俺が担当した事件の…なんつーか、被害者?が、
 自殺でもしちまったら、本当、面倒だから、
 頼むぞ?」

源五郎は、そう呟くと、敬礼をして、
そのまま立ち去って行ったー

言葉は不器用で、悪いが、
”とにかく元気出せ”と励ましてくれたのだろうー

茂(紗奈恵)は、
「うん…頑張る」と
少しだけ、前向きな気持ちになって、
笑顔を浮かべたー

「---あ」
源五郎は苦笑いするー

近くで張り込みをしている後輩刑事ー
あの時、痴漢冤罪事件を捜査していた釜井の分の
お茶を、茂(紗奈恵)に渡してしまったー

お茶は、源五郎の飲みかけの1本しかないー

「--ま、あいつなら俺の飲みかけでもいいだろ」
源五郎は、そう呟きながら、
後輩刑事が待つパトカーに向かって行ったー

・・・・・・・・・・・・・・・

黄川田専務の部屋で、
紗奈恵になった茂は、まっすぐと黄川田専務を見つめ
”俺は、そういうことはしません”と告げたー。

「--身体は女でも、中身は男です。
 俺はこの身体を武器に使うつもりはありません。
 
 ですので、そういうことは、お断りします」

紗奈恵(茂)の言葉に、
黄川田専務は不満そうな表情を一瞬浮かべた。

だがー、
紗奈恵(茂)のまっすぐな目を見て
諦めたのか、少しだけ表情を緩めて呟いたー

「-----……君は、一度決めたら、退かないやつだったな」
黄川田専務はそう呟くと、
昔のことを思い出す。
茂は、正しいと思ったことは、たとえ専務が相手でも社長が
相手でも真向から反論してくるー。

立場は違えど、茂と黄川田専務は長年、同じ会社で勤務している
仕事仲間でもあるー
お互いのことをあまり良くは思っていないものの、
その仕事能力は、お互い、評価している。

「-----好きにしろ」
黄川田専務は、そう呟いた。
紗奈恵(茂)は、頭を下げるー

この身体を生かす道もあるー
女として楽しむ道もあるー

自分が独身なら、そうしたかもしれないー

でもー

自分には妻も娘もいるー

だからー
身体は紗奈恵でも、
自分を見失うようなことは、したくなかったー

紗奈恵の身体になってしまったけれど、
できる限りは、茂としてー
今まで通りやっていくー。

そう簡単ではないだろうし、
これからもトラブルは起きるだろうけれど
それはなんとか乗り越えて見せるー。

紗奈恵(茂)はそんな風に思いながら
”胸があるっていうのは、何日たっても慣れないな”
と、苦笑いしたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”自分を責めるのはやめにしよう”

茂になってしまった紗奈恵は、
前向きな考えを取り戻していたー

友達からは”おっさん”と扱われー
親友には彼氏を奪われてー
その彼氏には別れを告げられた。

絶望のような状況だけど、
それでも、
”痴漢冤罪のおじさん”として
警察に取り調べを受けていたころよりは、マシだ。

「---よし」
茂(紗奈恵)は、後ろ向きなことを考えるのをやめて、
今日も大学に足を踏み入れるー

おじさんになってしまったことも受け入れて、
友達に積極的に話しかけていくー

キモイ、と言われながらも
それを笑い話にして、茂(紗奈恵)は
とにかく前向きな大学生活を送るー

元彼氏の源吾と親友の千乃のことも祝福したー。

複雑だったけれど、
身体がおじさんになってしまった紗奈恵を愛せないという
源吾の気持ちも、紗奈恵にも分からないでもなかったー。

紗奈恵は、茂の身体で、かっこいいおじさんスタイルを
目指して、みるみるおしゃれになっていき、
性格も元通り明るさを取り戻してー
いつしか、以前のように、楽しい学校生活を取り戻していたー

元には、もう戻れないかもしれないー

それでもー
茂になった紗奈恵の表情には、笑顔が戻っていたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

紗奈恵(茂)が、職場に向かうー

その最中ー

「---!」
紗奈恵(茂)は違和感に気づいたー

ズボンの上から、お尻を触られているー

”おいおい、中身おっさんだぞ”
茂は、そう思いつつも、
”まさか、俺が痴漢を受ける立場になるなんて”と
唖然とするー

なるほど、不愉快だー

紗奈恵(茂)はそう思う。
触られる感触も気分も良いものではないし、
正直、怖いー

自分の背後に立っているロン毛の男ー

紗奈恵(茂)は、恐怖と悪寒を感じながら、
目的の駅まで耐えたー

駅に到着すると、その男も電車から
降りようとするー

紗奈恵(茂)は、すぐに動いたー

「--おい!」
紗奈恵(茂)は、つい乱暴な口調になりながら、
ロン毛の男の腕をつかむ

「--!?」

「--この人、痴漢です!」
紗奈恵(茂)は叫んだー

こういう痴漢がいるからー
痴漢冤罪も起きるんだ。

間違った相手を捕まえるのも、もちろん良いことではないし
悪いことだがー

そもそもの元凶は”こういうやつらが”いることだー。

痴漢がいなければ、
痴漢と誤解されることも、ないー

茂は、自分が冤罪に巻き込まれたことから、
痴漢に対し、以前よりも激しい怒りを抱いていた。

しかしー

「いててててて お、、俺じゃねぇよ!」
ロン毛の男が叫んだー

「--!?!?」
紗奈恵(茂)が表情を歪めるー

「--お、、、俺じゃねぇってば!」
ロン毛の男が必死に叫ぶーー

”ま、、まさか”
紗奈恵(茂)が戸惑うー

痴漢と間違えられて、
自分を痴漢と言い放った女子大生と入れ替わってしまった挙句ー
今度は、その身体で、痴漢被害を受けてー
さらには、”関係ない男”を捕まえてしまった茂ー

新たな、痴漢 冤罪 が始まろうとしていたー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

痴漢X冤罪の後日談でした~!
この続きは(おそらく)もうないので、
想像の中でお楽しみくださいネ~!

ありがとうございました~☆

入れ替わり<痴漢X冤罪>
憑依空間NEO

コメント

  1. TSマニア より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    源五朗さん待ってました‼

    釜井さんが登場しなくて少し残念でした( ´△`)

    源五朗さんと紗奈恵のコンビもいいですね‼

    茂さんの奥さん理解あるいい人ですね(^^)

    茂さんは娘さんともっと仲良くなれそうですね笑

    この後も娘さんと出掛けたり買い物いったりするんですかね‼

    まさか!?

    ロン毛の人とまた入れ替わるんですか!?

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    コメントありがとうございます~!
    お楽しみ頂けて何よりデス~!

    ロン毛の人と入れ替わってしまったら…
    またまた大変なことになりそうですネ…笑

  3. 匿名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    面白かったです。
    できれば、プランAも読みたいです。

  4. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    コメントありがとうございます~!☆

    今から書くのは難しいかもしれませんが、
    新作に生かすか何かで、書ければ、と思います~!

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