妻が不倫していたー!
そのことに気づいてしまった夫は、
妻と入れ替わって、不倫相手に会いに行く…
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菅原 武志(すがわら たけし)は
ごく普通のサラリーマン。
結婚してから5年ー
20代後半になった武志は、
結婚当初のような新鮮な感覚は無くなってしまったけれど、
妻の梓紗(あずさ)とも仲良くやれているし、
何の不満もなく暮らしていた。
5年が経過した今でも、武志は梓紗のことが好きだ。
梓紗は1年半ほど前から、料理教室に通っていて
とても料理がうまい。
梓紗の料理は武志にとって最高の癒しであり、
それを食べる瞬間は、最高の幸せだった。
だがー
武志は知らなかった。
料理教室のイケメン料理人・瀧峰 慎吾(たきみね しんご)と
妻の梓紗が不倫をしていることにー。
「----」
1年半前ー
料理教室に通い始めた梓紗。
最初は純粋に料理の腕前を上達させたい、という気持ちだった。
きっかけは2年前ー
料理が元々あまり得意ではなかった梓紗が、
なんとなく料理したところ、武志は本当に喜んでくれたー
味はたぶん、おいしくなかったのだろうけれど、
武志の喜ぶ顔を見た梓紗は
”もっともっと武志に喜んで欲しい”と
料理本を買ったりし始めて、
最終的に料理教室に通い始めた。
けれどー
そこで、出会ってしまったー
イケメン料理人の慎吾と。
慎吾は、イケメンで優しくて、
甘いマスクを持つ、王子様のような男だったー
元々、男性との付き合いの経験が乏しかった梓紗は、
20代中盤にしてー
まるで、学生のような恋心を抱いてしまったー
”だめ”
最初は、心の中で理性を働かせて
慎吾と一定の距離を取っていたー
けれどー
料理教室を通ううちに、慎吾のことを
どんどんどんどん好きになっていってしまった梓紗。
やがてー
いつしか、武志と一緒にいる時間を”つまらない”と
感じるようになり、
慎吾の料理教室に通う時間がー
最高の時間になりつつあったー。
「--梓紗さんの料理、とっても素敵ですよ」
甘い笑みでほほ笑む慎吾ー
「----♡」
”しあわせ”-ー。
梓紗は、完全に慎吾にハートを奪われていたー
やがてー
半年前から、梓紗は慎吾とプライベートで
会うようになっていたー。
慎吾は、夫である武志が仕事に出ている最中に
梓紗の家に来ることまであったー。
「---いいのかい?」
慎吾が呟く。
「---うん…大丈夫…武志は帰ってこないから」
梓紗が慎吾に抱かれながら嬉しそうに言うー。
既に身体の関係まで持っているー。
「---梓紗さんの幸せそうな顔を見ていると
僕も幸せになるよ」
慎吾がほほ笑みながら梓紗の頭を撫でるー
梓紗はメロメロと言う様子で
幸せそうにしているー
武志には、見せない女としての顔ー。
その姿は、完全に恋に落ちた乙女そのものだったー。
「---あぁ…♡ しんごぉ…♡」
エッチを終えた梓紗が幸せそうに呟いているー
慎吾は、そんな梓紗を撫でると、
「そろそろ時間だね」と呟いたー
いつも、武志の仕事が終わる1時間前には
慎吾は家から出て行くようにしているー。
「--うん…」
寂しそうにする梓紗。
「--そんな顔しないで」
慎吾がほほ笑む。
「--梓紗さんには、笑顔が似合うよ」
そう呟くと、慎吾は、にっこりと笑って
そのまま家から外に出たー
スマホを開く慎吾ー
”みのり”と書かれたLINEの画面を開くー
”僕は、美乃梨さんの笑顔があるから頑張れる”
慎吾はそうLINEを送ると、
今度は、電話をし始めたー
「あぁ…美香さん…これから、会えるかなー?」
イケメン料理人の慎吾はー
女の恋愛感情を料理して、
ヤリまくる、性欲の料理人だったのだー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーやっぱ、梓紗の料理は最高だな」
夫の武志が笑う。
「でしょ~?頑張って練習してるんだから~!」
梓紗がほほ笑む。
最近の梓紗は綺麗になったー
なんだか、とってもおしゃれだ。
まるで、”恋をした女の子”のようにー
武志はそんな風に思いながら
「ごちそうさま」と笑うー。
武志は、そうは思っても
梓紗が浮気をしているなどと、夢にも思わなかった。
大学時代も、梓紗はとてもまじめで
男性と付き合ったのも、武志が初めてだと言っていた。
ーーだからこそー
恋愛経験の乏しい梓紗だからこそー
イケメン料理人の慎吾の甘いマスクに
落とされてしまったのかもしれないー。
「---じゃ、行ってきます」
武志が仕事に向かうー
武志の勤務先は、製薬会社ー。
研究開発に携わっているわけではないが、
大手企業の正社員として
毎日働いていたー
最近、会社内では”他人と入れ替わる薬”というものが
試験的に開発されているらしく、
噂になっていた。
なんでも、医療の分野での活用を目指しているのだとか。
「入れ替わりか…」
”本当にそんなことできるのか?”などと、
思いながら会社内のラウンジで、休み時間を過ごしていると、
ふと、何かが目に入った。
「なんだあれ?」
自販機の横に試験管のようなものに入った液体が
置かれているー
”入れ替わり”
そう書かれていたー
”互いに飲むことで効果発揮?”などと
走り書きされているー。
「まさかこれが…?」
会社内で噂になっている開発中の”入れ替わり薬”
だろうか。
こんな極秘のものを自販機の横に置いていくなんて
首になるぞ?
などと苦笑いしながら、武志はそれを手にする。
”とりあえず、あとで、開発部門に届けておくか”
とー。
しかしーーー
その後、取引先との打ち合わせが急に入り、
会社に戻らぬまま、武志は直帰することになったー
いつもより、”2時間”早くー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---はぁ…♡ もっと、、もっと、、わたしを抱いてください…♡」
うっとりとした表情で呟く梓紗ー
「--梓紗さん…」
慎吾がにっこり笑いながら、裸の梓紗を抱きしめるー
梓紗はとても幸せそうに喘いでいるー
大声でーー
「---!?」
いつもより2時間早く、帰宅した武志は、
家の玄関にたどり着く前に、
家の中から”変な声”が聞こえた気がして
立ち止ったー
「ん…?」
武志が戸惑う。
なんだか、悲鳴のようなものが聞こえた気がするー
実際は梓紗の喘ぎ声が漏れていたのだがー
梓紗が浮気しているなどと夢にも思っていない武志は
それを喘ぎ声だとは認識しなかった。
「----…」
家の周りを歩く武志ー
そして、ふと窓の外から家の中を覗いてみたー。
するとーーー
カーテンのわずかな隙間からーーー
裸の梓紗が男に抱かれて
キスをしている場面が見えたー
「--(あ、、あずさ!?)」
武志は驚いてしまうー。
”暴漢に襲われている”
そう思ったー
助けないと!
とー。
しかしー
「あぁあああ…慎吾ぉ…♡
わたしには、慎吾しかいない…♡」
「--ふふふ…梓紗さん」
声が、聞こえたー
「--え…」
武志は唖然とする。
襲われているのではないー
これはーー
浮気…?
武志はしばらく、その場から動けなくなったー
やがてー
しばらくすると、玄関から
”慎吾”と呼ばれている男が出てきたー
「あいつは…」
武志が、家の物影から、男を見つめるー
以前、一度料理教室に梓紗を迎えに行った際に
見たことがあるー
料理人の瀧峰慎吾だー。
「----」
武志は歯を食いしばるーーー
しかもー
慎吾が、電話を始めて”他の女”の名前を
呼び始めるー
「ーーー…!」
武志はそれを見て、さらに怒りをたぎらせたー
イケメン料理人の女遊びの対象にーーー
梓紗がされているー?
「---」
武志は、そのまま家の中に入った。
「---たっ!?たけし!?」
梓紗が飛び上がるようにして驚く。
服はもう着ていたが
部屋の中が少し乱れている。
武志は、ほほ笑んだ。
「今日は、早く仕事が終わったからさ」
とー。
「そ、そう… おかえりなさい」
梓紗はドキドキしながらそう答えた。
武志に見られていないかどうかー
そんな考えが頭の中をよぎる。
「---ふぅ」
武志は深呼吸しながら椅子に座ると呟いた。
「--俺、不倫されてたのか」
悲しそうに、にっこりと呟く武志。
武志には、面倒くさい茶番や
駆け引きはできなかった。
見てしまった以上、単刀直入に、
見てしまったことを伝えることしか
武志にはできない。
「---…ち、、違うの」
梓紗が呟くー
梓紗は、武志のことが今でも好きなのは
間違いない。
ただ、それ以上に慎吾のことがー
「---違くないよ」
武志は答えた。
例え、武志に対する愛情があったとしても
梓紗のしていることは不倫であることに
違いはない。
梓紗は言い訳ばかりする。
慎吾の連絡先を教えろと言っても
梓紗は教えようとしないー
「----……」
武志は、暗い表情のまま、そのまま
部屋に入った。
こんな経験、初めてだ。
どう対応していいのかもわからない。
しかも、慎吾は、他の女とも遊んでいるー
そのことを梓紗に伝えるべきかどうか。
どうするべきか。
慎吾に対する憎しみー
そして、
梓紗に対する怒りー
イケメン料理人の慎吾が
梓紗を言葉巧みにその気にさせたのかもしれない。
けれどー
それに乗った梓紗に対する怒りも
ないと言えば嘘になるー。
どうするべきかー。
そもそも、慎吾に会いに行こうにも
連絡の取りようがないー
なんとか、梓紗から聞き出さなくてはー
「---!」
武志は、鞄の中から、あるものが
床に転がり落ちたのを見るー
”入れ替わり薬”
会社で、置き去りにされていたのを
”後で届けよう”と思って拾って、
そのまま外回りの後に直帰になってしまったから、
持って帰ってきてしまっていたー。
「---!!」
そしてー
武志の頭にあることがよぎったー。
”これを、梓紗に使ったらー?”
不倫されていたことで、
呆然としていた武志は、
二人への復讐心から、あることを思いつくー
自分が梓紗と入れ替わって、
梓紗のフリをして、あの不倫相手の男に
会いに行ったら、
あいつは、あの不倫相手は、どんな反応をするだろうか。
「---…」
不倫相手の慎吾の顔を思い浮かべるー
慎吾と抱き合って、女の顔をしていた梓紗を思い浮かべるー
許せないー。
武志はそう思いながら
入れ替わり薬を握りしめたー
それからも-
気まずそうな雰囲気が流れ続けた。
梓紗は色々と言い訳をしてくるが
武志は、強くショックを受けていて
梓紗の言い訳に耳を傾ける余裕すら、
無くしていた。
「----」
入れ替わりなどせずに、そのまま不倫相手の慎吾に
会いに行ってもいい。
だがー
それで、仮に慎吾と梓紗を別れさせることができてもー
虚しい気持ちは残ったままー。
もちろん、入れ替わっても、虚しい気持ちが
消えるとは限らない。
けれどー。
入れ替われば、梓紗として、慎吾を呼び出すこともできるだろうー
武志は気づいたときには、
夕食のお茶の中に入れ替わり薬を混ぜていたー。
梓紗と入れ替わるためにー。
梓紗になれば、慎吾を呼び出せるだろうし、
梓紗の身体で「あなたの不倫相手の夫です」と言えばー
慎吾のやつは、飛び上がるほど驚くだろう。
出来る限り驚かせたいー。
出来る限り、地獄を見せてやりたいー。
梓紗を騙した慎吾への怒りー
自分を裏切った梓紗への怒りー
その2つの感情でいっぱいになっているうちに
武志は、半分無意識の状態で、
妻との入れ替わりを決意していたー。
そして、梓紗は、何も知らないまま、
お茶を飲むー
武志がそれを確認してお茶を飲むー
二人はー
入れ替わり薬の効果で、
そのまま意識を失いーーー
入れ替わったー
「------」
梓紗の身体で目を覚ました武志は、
眠ったままの自分の身体ー
中身は梓紗の武志を見つめるー
「---…」
そして、梓紗(慎吾)は立ち上がると
梓紗のスマホを捜査して、
慎吾に連絡を入れた…。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
①は入れ替わるところまでになってしまいました…!
明日からが本番ですネ~
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