目が覚めたら、見知らぬ研究所のような場所で、
突然、FPSゲームが始まった…!
”リアルFPSの始まりだ…”
※FPSゲーム
銃を持って敵を倒しながら進んでいく
主観視点タイプのゲームのこと。
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大学生の松谷 守男(まつや もりお)は、
ある日、目を覚ますと
見知らぬ研究所のような施設の中にいた。
「はっ…!?」
守男は、突然の状況に戸惑う。
彼女の三戸 明日香(みと あすか)と
イチャイチャしている夢を見ていたのだが、
その余韻に浸る暇もなく、
見知らぬ周囲の様子を見渡すー。
何が起きたのか、
全く理解することができないー。
”おはよう”
突然、施設内に声が響き渡る。
「--!?な、なんだ!?」
昨日の夜、普通に家で寝たはずなのに、
目を覚ましたら全く知らない場所にいるー。
このような状況で、困惑するな、と
言われる方が無理だー。
ふと、あたりを見回していると、
近くに銃のようなものが落ちていることに気づき、
守男は「ひっ!?」と悲鳴を上げるー
”おはよう守男”
「--!?」
守男は戸惑う。
あんた誰だよ、という気持ちと
いきなりなれなれしくおはようじゃねーよ、という気持ちで
いっぱいになるー。
”驚かせて済まない。
君はFPSゲームをやったことはあるかい?”
男の声が言う。
FPSゲーム?
守男は首をかしげたものの、
すぐに友人がそういうゲームが好きだったことを思い出す。
銃を持って、敵を倒していくタイプのゲームだ。
最近は、オンライン対戦プレイが流行っている。
「--は、はい」
守男が戸惑いながら
一応敬語で答えると、
男は言った。
”結構。では、説明の必要はなさそうだな。
これから君にはリアルFPSゲームに挑戦してもらう。
1VS1の対戦プレイだ。
相手を倒したら、君は無事にここから出ることができる”
守男はその言葉を聞いて叫んだ。
「ど、、どういうことですか!?なんで俺が!?」
守男の言葉に、
男は笑ったー
”答えを知りたくば、その手に銃を取れ。
そして、敵を倒せ
勝利のその先に、光はある”
男の言葉はそれで途切れた。
”伝えるべきことは伝えた”と言わんばかりに
沈黙する男ー。
「くそっ…」
守男は、近くにあった銃を拾う。
ハンドガン…とでも言えば良いのだろうか。
ゲーム的に言うならば
ゲームを始めて一番最初から持っているかのような
そんな感じの武器だ。
「--1VS1って…」
守男は呟きながら、とりあえず死角になりそうな場所を
見つけて、そこに身を隠す。
敵が”誰”なのかは全く分からないが
とにかく見つかってしまったり
急に撃たれてしまうことは避けたいー。
「---!」
守男は、ふと人影に気づいたー
遠くの柱と柱の隙間を横切った
ラバースーツ姿の女のようなものが見えたー。
「---!…あれが対戦相手」
守男は呟くー
彼女も、自分と同じように、
ここに連れてこられたのだろうかー。
守男は”とにかく勝たないと”と、
その女が見えた方角に向かって、
慎重に移動し始めるー
”おそらく”相手はこちらに気づいていないー。
相手のだいたいの位置を先に
知ることができたのは大きな収穫だ。
「---…」
守男が慎重に移動していくー
しかしー
ドン!ドン!
「--!?!?」
背後から銃弾が飛んできて、
守男は驚いて柱に身を隠すー
「---」
背後にさっきの女がいたー
”くそっ…相手も俺の位置に気づいてた”
守男はそう思いながら
柱に必死に身を隠した。
”ま、どうせおもちゃだろうけど”
と、思いながら相手の女に反撃するー
ドッ
「--!?!?!?」
守男はズキッと言う痛みを感じて、
慌てて身を隠したー
女の放った銃がー
手にかすったー
そしてー
「血…!?」
守男は驚くー
「じ、、、実弾…!?」
守男は思わず戸惑ってしまうー
”リアルFPS”
何の目的だかは全く分からないー
だが、まさか、実銃だとは思っても見なかったー
”驚いたかい?”
男の声が聞こえてきたー
館内放送で話す男ー
”それはおもちゃなどではない。
実銃だ。
リアルFPSは、ゲームなどではない。
リアルな命のやり取りなのだ。
生き延びたくば、戦え。
松谷 守男よー”
そう呟くと、再び館内放送は途切れた。
「くくく…今のを避けるとは、やるじゃない」
相手の女が笑ったー
「---!?!?」
守男は、その声に聞き覚えがあったー
「--明日香!?」
驚いて守男が遮蔽物から身を出すと、
そこには、きつめのメイクをした明日香の姿があったー。
派手な口紅とメイクで、別人のように見えるし
ラバースーツ姿なんて見たことがないから、
”本当に明日香なのか?”と思ってしまうぐらいに
違和感があったが、
確かに、目の前にいるのは明日香だったー。
「---あら」
明日香が腰に手を当てながら笑う。
「-そんな顔を出していいのかしら?」
挑発的な明日香。
「-お、、おい、明日香…何してるんだ…
明日香もここに・・・?」
守男が戸惑いながら言う。
だが、明日香は不敵な笑みを浮かべたままー
「おい…いったいどうなってるんだ…?」
守男は明日香に質問するー
明日香も自分と同じように
連れてこられたのだろうー。
ここはいったい…?
リアルFPSとはいったい…?
「----ふふふ」
明日香は、守男に銃を向けた。
「え…」
戸惑う守男。
「--今は、勝負の最中でしょ?
そんなにぼーっと突っ立てていいのかしら?
うふふふふ」
笑う明日香ー
なんだか、口調までいつもと違う気がするー
ぎこちないというかー
”無理して女言葉を使ってるようなー”
そんな感じだ。
明日香はもっと、自然な感じでしゃべるー。
「---明日香!どうしたんだよ!?
この銃は本物だ!これ以上は危ない…!
俺と一緒に出口をさがーー」
パァン!
銃声が響いたー
銃弾が、守男の腕を貫くー
血が噴き出すー
「あっはははははは♡
出口ぃ~?
出れるのは、勝った方だけよ?
さっきの説明、聞いてたでしょ?」
明日香が笑うー
銃を嬉しそうに持ちながらー
「---あ、、あす、、あすかっ!」
守男は撃たれた場所を抑えながら叫ぶー
慌てて柱の方に向かって走る守男ー
明日香は狂ったように笑いながら、
そんな守男に向かって銃弾を放つー
「--ひぃっ!」
守男は柱の背後に必死に隠れたー
「わたしは、あんたをぶっ殺して
ここから出るの!
うっふふふふふふ♡」
明日香が笑いながら叫ぶー
「--ほら!あんたもここから
出たかったら、わたしを撃ってみなさい!」
明日香が挑発的に叫ぶー
そんなこと、できるはずがないー
明日香を撃つなんてー
「---…う、、撃てるわけないだろ!」
守男が叫ぶー
明日香はつまらなそうに舌打ちする。
「--あんた、FPSゲーム理解してる?」
明日香があきれた様子で呟く。
「--抵抗してこない相手をつぶしても
つまんないのよ。
必死で生き延びようと、必死に戦う相手を
この手で撃って、終わらせるー
それが、楽しいのよ!」
明日香が狂ったように笑いながら叫んでいるー
「--あ、、明日香…ほ、、本気なのか…?」
守男が戸惑いながら言う。
「--本気で俺を撃つってのか?」
その言葉に、明日香は狂ったように笑うだけで
返事はしなかったー
”くそっ!どうなってるんだ!?”
守男は、走り出すー
研究施設のような場所からの
出口を見つけるためにー
何があっても、明日香と戦うつもりはない。
守男は、明日香から距離を取ろうと、
威嚇射撃だけして、反対方向に走り出すー
”くくく…無駄だよ”
男の声がしたー。
さっきから、音声で、守男に
語り掛けてきている男だ。
「--くそっ…!明日香に何をした!」
どう考えても明日香の態度は
正気とは思えないー
洗脳かー?
それとも…脅しか…?
いやー
本物の明日香ではない可能性もある。
”くくく…
ここから出られたら教えてやろう”
男はそう言うと、放送を切ったー
「くそっ!」
守男は、広々した施設内を駆け巡るー
どこかにー
どこかに出口はあるはずだー。
「---」
周囲を警戒しながら移動する守男。
明日香に見つかるわけにはいかないー
「あははははは!出てきなさぁい!」
明日香の狂ったような笑い声が聞こえるー
一体、明日香はどうしてしまったのかー
”男”を見つけなくてはならないー
さっきから、この施設内のスピーカーを通じて
語り掛けて来る男…
その男こそが、黒幕に違いない。
明日香が操られているのか、
何が起きているのかは分からないが、
とにかく、明日香と殺し合うわけにはいかないー
「----」
守男は銃を握りしめて慎重に歩き出す。
ドォォォォン
爆音のようなものが聞こえるー
「あはははは!ロケットランチャー~♡」
明日香の狂った笑い声が聞こえるー
「明日香…」
声がした方向的に距離はあるー
だが、いよいよヤバいー。
ロケットランチャーなんて現実で見たことは
なかったが、ヤバいのだけは分かる。
下手をすれば明日香も自爆するかもしれないー
「そんなことはさせないー」
”くくく…愚かな”
スピーカーから男の声が響くー
「どこにいるー」
守男は、明日香と遭遇しないように、施設内を駆け巡るー
”お前は、もう終わりだ”
男の声が聞こえるー
「--!」
スピーカー越しに聞こえる声と
かすかにーー
別の方角から、男の声が聞こえたー
「--そこにいるのか!」
すぐ横の扉を開ける守男ー
男の声は、この中からしたー
しかしーーー
「---!」
守男は、信じられない光景を見たー
明日香の口からー
ランプの精霊のような状態で
男が出てきているー
明日香は大口を開けて
涙を流しながら震えているー
男が、マイクを持っているー
「---くくく」
スピーカーで守男に語り掛けていた男は、
明日香に”憑依”していたー
明日香の身体から時々出ては
マイクでスピーカーを通じて語り掛けて、
話し終えると明日香の中に完全に憑依して、
守男を襲っていたのだー
「---お、、おおおおおお!!!!
明日香に何をしたあああああああああ!」
大声で叫ぶ守男ー
明日香が涙を流したまま
振り返るー
「わたし~憑依されてるの~!えへへ♡
身も心も、完全に乗っ取られてる!」
明日香はそう言って笑うと、両手を挙げたー
「生き残るラストチャーンス!」
明日香がゲラゲラ笑うー
戸惑う守男ー
「明日香を…返せ!」
守男が銃を構えながら言う。
「-あと10秒だけ待ってあげる~!
その間にわたしを撃てば、お前は脱出できるぅ~!
さぁ、どうする~?」
明日香が大笑いしているー
”相手を倒せば脱出できる”
つまり、ここで、明日香を撃てば
自分は脱出できるー
けれど、そんなことをしたら、
明日香はー
「5~4~3~2~!」
明日香が両手をあげながら、
カウントダウンをしているー
「---明日香」
守男は、明日香を抱きしめた。
銃を捨ててー
撃てるはずなど、ない。
「0~~~~!」
抱き着かれた明日香は、叫んだ。
そしてー
「ばーか!!!」
明日香はロケットランチャーを手に持ってー
そのままーーーー
研究施設内に、爆音が響き渡ったー
・・・・・・・・・・・
「---美しいーーー」
明日香に憑依していた男は、
戦いが終わって、自分の身体に戻るや否や、
そう呟いたー
”極限状態で愛し合うものが殺し合う姿は、美しいー”
人間同士の”愛”を研究している彼はー
最愛の相手が敵となるシチュエーションに
無限の可能性を追求していたー。
”彼女を殺さなければ、自分が死ぬ”
「そうと分かっていて、死を選ぶとはー」
男は笑うー
「まぁ、結局、彼女も助からないのだがな」
ロケットランチャーによって
跡形もなく吹き飛んだ二人が
いた場所をモニター越しに見つめる男。
「さてーー
”次”に移ろうか」
男はまたー
地獄の”FPS”を始めようと、
ターゲットを探し始めるのだったー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・
コメント
お読み下さりありがとうございました~!
私はFPSゲームの経験がほとんどないので、
こんなのないよ!と思うかもですが、
お許しください!!
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