<憑依>公開処刑①~異変~

一人暮らしの女子大生は、
ある日、目を覚ますと
メモ書きが置かれていることに気づいた。

そして、彼女のスマホには、身に覚えのない動画が録画されていて…

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女子大生の瀧井 夢香(たきい ゆめか)は、
一人暮らしをしていたー。

両親とも定期的に連絡を取り合い、
大学でも、ごく普通の生活を送り
友達の数もそこそこ、彼氏もいて、その関係も良好ーと、
何不自由ない大学生活を送っていたー

だがー

ある日、彼女は”異変”に気づいた。

”いつもよりなんだか眠いなぁ”
と、思いながら起き上がる夢香。

身体が少し変な感じー
いつもと同じ時間に寝たはずなのに
なんだか少し疲れている気がする。

そんな風に思いながら、
夢香は”部屋の異変”にも気づく。

「え…?」
夢香は戸惑いを隠せなかったー

”動いているー”

部屋が、動いているー。

ほんの、わずかな異変。

だが、整理整頓が得意な夢香は
その異変にすぐに気付いた。

まるで、誰かが夢香の寝ている間に入ってきて、
部屋を荒らして、そして、夢香が目を覚ます前に
”元に戻した”、”つもり”になっているような感じだー

「え…寝てる間に誰か入ってきたってこと…?」
夢香は、恐怖の言葉を口にした。

寝ている間に誰かが入ってきた、などと考えたくはない。

だが、この荒らされた状況はー

「---!」
そんな風に思っていると、夢香は机の上にメモ書きが
置かれていることに気づいたー

”スマホの中の動画、見てごらん”
と、そう書かれていたー

「動画?」
夢香は戸惑う。

やはりー
誰かがこの部屋に入ってきたー?

でもーー

夢香はメモ書きを見ながら、
その筆跡に注目するー

メモ書きの筆跡はーー
”夢香自身の筆跡”に酷似していたー

だいたい、スマホのロックは、自分じゃなきゃ解除できないはず。
彼氏の哲(てつ)だって、知らない。

夢香はそう思いながらスマホのロックを解除してー
保存された動画を確認するー。

そこにはーーー

「---!」
夢香の知らない動画が保存されていた。

驚きながら、夢香はその動画を開くー

するとー

「---え」
夢香は思わず凍り付いたー

動画に出てきたのは、夢香自身ー

”ふふふ、驚いた?”
映像の中の夢香が、足を組みながら挑発的に笑う。

「わ、、わたし!?」
夢香が戸惑うー
自分にそっくりな人間がいる…ってこと?

そんな風に思いながらー

”あ~、どうせびっくりして声もでないんでしょう?
 わたし、誰だと思う?”

映像の中の夢香が言う。

「---…だ、、誰って」
映像相手なので、会話しても意味はないのだが
夢香はついつい会話してしまう。

(わたしに双子はいないし…)
(もしかして、わたしのコスプレ?)
(…ってそんなわけないよね)

夢香は頭の中で色々なことを考えるー

すると、映像の中の夢香が続きの言葉を口にした。

”わたしは、瀧井 夢香だよ”
とー。

「え…?」
夢香は戸惑う。
映像の中の夢香は、夢香自身なのだという。

だが、こんな動画を撮影した覚えなんてないし、
合成で作るのも不可能だろうー

”みてみて”
映像の中の夢香が笑うー。
そして、時計を見せるー

夢香の部屋の中にある可愛らしいデジタル時計ー

そこにはー

1:35 と表示されていたー
1時35分ー
夢香が寝ている時間だー。
日付は、昨日の日付

「え…」
夢香は困惑した。
何が起きているのか、理解できないー

”身体、いつもより疲れてるなぁ、って感じない?”
映像の中の夢香がほほ笑む。

”感じるー”
夢香はそう思った。

まさかー
寝ている間に自分が勝手にー

「む、、夢遊病!?」
夢香が叫ぶー

いや、そんなはずはない、とすぐに夢香は
首を振るー
夢遊病は、こんな風にはっきりと動いたり、
ましてや自撮りで動画を撮影したりしないー

「--ま、、まさか…二重人格!?
 もう一人のわたしってやつ!?」
夢香が慌てて叫ぶー

映像の中の夢香が間を置いてから呟くー

”この身体は今、俺のものなんだよ”
とー

「--!?」
夢香は戸惑って言葉も出ないー

映像の中の夢香が胸を揉み始めるー。

”俺は、君に憑依したんだ”
映像の中の夢香は呟いた。

”…そうだな、自己紹介をしておこうか。
 俺は43歳独身の…まぁ、おっさんだ。
 たぶん、君たちJDから見れば
 気持ち悪がられる感じの…な。”

映像の中の夢香が
男言葉で声を出すー

夢香はその映像を見ながら
恐怖に震えていたー

「憑依って…?
 わたしの身体が勝手に動かされてるってこと…?」

”ハゲでデブだし、不潔扱いされるし、
 童貞だし…
 ははははは!”

映像の中の夢香が自虐的に笑うと、
モデルのようなポーズを取りながら笑ったー

”そんな俺が、今じゃ、女子大生だ!ははは!
 わたし、瀧井 夢香♡!うふふふ”

映像の中で笑う夢香ー

「そ、、そんな…!」
夢香は唖然とするー

”--でもね、俺は紳士だ。
 だから、こうして君が寝ている時間に
 遊ぶだけだ。
 迷惑はかけていない?そうだろう?

 お互い、紳士的な付き合いを
 していこうじゃないか”

映像の中の夢香が
椅子に再び座ると、足を組みながら
カメラの方を見つめたー。

「--し、、紳士的って…」
夢香は唖然とするー

人の身体を勝手に使っておいて
何が紳士なの!?

と、思わずにはいられなかった。

”じゃ、また今夜に”

それで、映像が途切れたー。

「----」
夢香は放心状態だったー

夜中に身体を勝手に動かされているから、
いつもより疲れている感じがしたのだろうー

いやー
疲れているのではなく
憑かれていたのだー。

「---…い、、今もわたしの中にいるの!?」
夢香が叫ぶ。

返事はないー

「お、、お願いだから、出て行ってください!」
夢香が叫ぶ

それでも、返事はないー

「--わ、、わたしの身体を勝手に使ったら
 絶対許しませんからね!」
夢香はそう言うと、不安を打ち消すかのように、
いつも通りの生活を始めたー

・・・・・・・・・・・・・・・

翌朝ー

「---!」
夢香は起き上がってすぐに、震えたー

”疲れている”

この感じはー
昨晩も憑依されていたー?

「--!」
夢香は部屋の中を見て唖然とするー

見知らぬダンボールが置かれていて、
その中には、チャイナドレスやらバニーガールの姿やら
ナース服からエッチなOL服、巫女服まで
たくさんの衣装が入っていたー

「ちょ、、ちょっと!」
夢香が慌ててスマホを開くと、
そこには新しい動画が入っていたー。

動画を開くとー
そこにはナース服姿の夢香がーー

”こんばんは!
 お注射よ♡ うふふ”

ポーズを決めて可愛らしく微笑む映像の夢香ー

「--ふ、、ふざけないで!!」
夢香は大声で叫んだー

ナース服を着せられた上に
恥ずかしいことまで言わされているー

”びっくりしたでしょ?
 せっかく女体を手に入れたんだし、
 色々買っちゃった!”

「–買っちゃったって…」
夢香ははっとして、クレジットカードの利用歴を見ると、
”勝手に”使われていたー

「--ふ、、ふ、、ふざけないでよ!犯罪よ!」
夢香が叫ぶ。

それでも、相手は映像だ。
叫んだところで、意味がない。

最初に憑依した日の夜に注文して、
コンビニ受け取りで昨夜、受け取ったのだと言う。

”ふふふ、安心して。
 外にはこの格好で行かないから”

映像の中の夢香が笑う。

そういう問題ではないー

”あ~~かわいいなぁ~”
映像の中の夢香はそう言いながら
可愛らしいポーズや挑発的なポーズ、
妖艶なポーズをナース服姿で
繰り返していくー

夢香は目を逸らしたー

自分がそんなことをしているシーンなんて
見たくもない。

”まぁ、お互い楽しくやっていこうな”

映像の中の夢香の図々しい態度に
夢香は腹が立ったー

そして、その日のうちにエッチな衣装を
全てごみ袋に入れて、
ちょうどゴミ出しの日だったために、
夢香はそのままごみとして出したー

「ふざけないで!この身体はわたしの身体なの!」
夢香はそう呟くと、
その日も普通に生活を続けたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌朝ーー

「--!!」
朝、起きると夢香は、裸の状態だったー

部屋が汚れていて
アソコがなんだか違和感を感じるー

この感覚ー

「--え…」
夢香は、慌ててスマホを見るー

”よぉ”
下着姿の夢香が映像に写るー。

「えっ…」
夢香は、自分がエッチな姿で
挑発的なポーズをしているのを見て
恐怖を覚えてしまうー

”俺が買ったやつ、なんで捨てたんだよ?あ?”

映像の中の夢香が、たばこを口に咥えながら
不機嫌そうに言う。

「--」
夢香は昨日のことを思い出す。

昨日、勝手にこいつが購入した
エッチな衣装の数々を処分した。
そのことを言っているのだろう。

「俺が…買ったやつって…!
 ふざけないで!」
夢香が叫ぶ。

「人のお金で、人の身体を勝手に使って…!
 なにが紳士的な付き合いよ!」

夢香が叫んでも、無駄かもしれないー
映像とは会話できないー

だが、夢香に憑依している人間は
今も夢香の中にいるかもしれない。

ならば、叫ぶことにも意味はあるかもしれない。

”へへへ…罰として聞かせてもらったぜ”
映像の中の夢香が言う。

”お前の喘ぎ声をよ…”
そう言いながら、下着の中に手を突っ込んで
うっとりとした表情を浮かべる映像の中の夢香。

「--わ、、わたしの身体でエッチなことを…
 さ、、、最低・・・!」

夢香は涙目になりながら
”警察に相談しよう”と考える。

しかし、それを見透かしたかのように
映像の中の夢香はほほ笑んだ。

”警察に言っても無駄だよ”
とー。

「-!」
電話の準備をしていた夢香の動きが止まる。

”だってー
 ただの頭のおかしい女に思われちゃうだけじゃ~ん”

映像の中の夢香が、
挑発的に座りながら
鼻をほじっているー

「--そんな姿…見せないで!」
夢香が叫ぶー

寝ている間に自分がこんなことを
させられているなんてー

”それにー”
映像の中の夢香の口元が邪悪に歪むー。

”ーーこれ以上、ふざけた真似をしたら
 公開処刑してやってもいいんだぜ?”

映像の中の夢香はそう言って笑うと、
”紳士的な付き合いをしていこうじゃないか!”
と叫んで、映像が途切れたー

「……」
夢香は放心状態で唖然とするー

どうにかー
どうにかしないといけない。

とりあえず、彼氏の哲に相談してみようー

そんな風に思ったー。

早速、彼氏の哲に連絡する夢香。

”どうしたんだ?”
電話に出た哲は、いつも通り穏やかな口調で返事をしたー

「て、、哲…あの…今日か明日、お話できるかな…?」
夢香がそう言うと、
哲は”今日はちょっと予定があるから、LINEとか電話で良ければ
お話できるけど、直接なら明日かな”と答えたー。

「--う、、うん…」
夢香はそう言うと、”じゃあ明日”と答えたー

今、この場で説明してもよかったー

でも、そうするとー
その直後に身体を乗っ取られて何をされるか分からないー

哲がその場にいれば
仮にわたしが乗っ取られても、
哲が止めてくれるはずー

そう思っての判断だったー

”やつ”がどこで見ているか分からないー
もしかしたら昼間もずっとわたしの中にいるのかもしれないー

夢香は、”常に見られているような恐怖”を
感じていたー。

「でもー」
夢香は呟くー。

昨日、エッチな服を捨てた時に
何もしてこなかったということはー
昼間は”見ていない”可能性も高いー。

夜にだけ、どこからか憑依しにくるのかもー…

夢香はそんな風に思いながら
不安な一日を過ごし始めたー

ニヤァ…

夢香、無意識に自分の口元が
邪悪な笑みを浮かべていることに
気付いていなかったー

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

夜に自分の身体が好き放題されている…
ぶるぶるですネ~!

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