カードを現実化させる力ー
”リアルの力”
その力の裏に潜むモノたちが、
動き出そうとしていたー
”力”は世にばらまかれー
”闘争”がはじまるー。
---------------—
「-----」
”カードを現実化させる力の正体は何かー”
それを解き明かすことができればー、
世界の全てを掌握することができるー
「----……」
別次元からやってきたアデンという男が
この力を持ち込んだことは既に調査済みー
しかし、そのアデンは死に、
力だけが残ったー。
「まだ…まだ、データが足りないわ」
長い黒髪をなびかせながら、
研究者風の女性が呟くー
この力は
”己”の夢をかなえるためのチャンスー。
女研究者ー
早乙女 莉緒(さおとめ りお)はほほ笑むー
数年前ー
この世界に、”リアルの力”が流れ込んだ時ー
”俺”の人生は変わったー
路地裏で、その日暮らしのみじめな人生を送っていた
俺はー
この力を手にして、全てが変わったんだー。
”憑依するブラッドソウル”のカードを使い、
金持ちのこの女ー、莉緒に憑依したー。
そして俺は、この女の財力と力を利用してー
リアルの力の研究を始めたー。
この力を掌握すれば、”夢”を叶えることができるー。
貧困差の是正ー。
世界の新しいバランスを作り上げるのだー
「--わたしはこの力の秘密を解き明かしてー
理想郷を作り上げるー。
誰もが笑って暮らせる世界をー」
この力を、人為的に抽出して
”誰もが”リアルの力を自由にできるようになれば
世界はきっと変わるー
今よりも、良い方向にー
「---愚かな」
ーー!?
「誰!?」
莉緒が振り返ると、そこには
緑色の浮遊する生命体がいたー
「--この力は、人々を豊かにはしないー
力を手に入れた人間はどうなる?
全員が、この力を手に入れたら、どうなる?
お前たちはーー
それを、知らないー」
緑色の生命体が言うー
「あ、、あんたは!?」
莉緒が叫ぶと
緑色の生命体は、笑みを浮かべたー
「---この力を生み出した者ーーー」
ーー!?
「--な…?」
研究施設の装置が稼働する中、莉緒が唖然とするー
緑色の生命体は
それらを見回して、失笑したー。
「-人間とは、実に愚かなものだ」
緑色の生命体は、そう呟くと、
莉緒の方を見るー
「”力”
貴様は、リアルの力を自在に得ることができる
世界にして、どうするつもりだ?」
緑色の生命体は笑うー。
莉緒たちは、リアルデュエリストの力を自在に
コントロールし”誰でもその力を得られるように”
研究を続けてきたー。
全てはー
”より良い世界を作るためー”
全てのカードを現実化させることができるようになれば
世界はきっと良くなるー
争いも、何もない、世界ー。
死すら恐れる必要はない。
死者蘇生のカードを使えば、死者は甦るー
万能の治療薬もあるー
強力な兵器もあるー。
土地の問題だって、解決するー。
”未来都市ハートランド”
”魔法都市エンディミオン”
”摩天楼スカイスクレイパー”
あらゆる理想都市をつくることだってできるー
「世界を、理想郷にするためー。
人類が、永遠に繁栄するためー」
「---その身体ー」
緑色の生命体が指を指したー
莉緒は自分の身体を見つめるー
「お前は、”力”で、最初に何をした?」
緑色の生命体が笑うー
「--その女の身体を”憑依するブラッドソウル”で
奪ったのだろうー?」
「--!!」
「--綺麗ごとを言っても、
所詮は貴様も、自分の私利私欲のために
その力を使ったー
スタイルの良い女の身体を手に入れて満足したか?
優越感にでも浸っているのかー?
奪われた女のことを考えたことはあるか?」
緑色の生命体の言葉に、
莉緒は声を荒げる
「だまれ!この力を研究するためには
この女の身体が必要だった!それだけだ!」
綺麗な声で、乱暴な言葉を口にする莉緒ー。
「---研究など、必要ない」
緑色の生命体が、そう呟いて笑みを浮かべたー
「え…?」
莉緒が首をかしげるー
「---お前の望みの通りの世界を、作ってやるー」
緑色の生命体が輝きを増したー
”リアルの力ー”
それは、元々、我らの力ー
我らは、人間よりも優れた高次生命体ー
その力を、人間に分け与えたに過ぎぬー。
リアルの力をこの世界に持ち込んだ男もそうー。
あの男の世界に、この力を授けたのは
元々、我々ー。
「--なんなの、あんたたちは!」
莉緒が叫ぶー
緑色の生命体は笑ったー
「神ー、と、でも言っておこうかー。」
そしてーー
激しい光を放ちーーーー
”彼の力”は
拡散したーーー
その日を境にー
”全人類”が、カードを現実化させる力を手に入れたー
その力があればー
人類は大きく進化することができるー。
ただし、
それは”力”を正しく扱うことができればーーー
人間は、莉緒の言うような”理想郷”に
たどり着けるような生き物ではなかったー。
”カードを現実化できる”
そんな力を手に入れた人々はーーー
「---そんな…」
莉緒が唖然としている。
「言っただろう?」
緑色の生命体が浮遊しながら笑うー。
莉緒が見つめているモニターの先には
”混沌”と称するにふさわしい光景が広がっているー
人々が、リアルの力で、
好き放題し始めたのだー
憑依ー
洗脳ー
入れ替わりー
乗っ取りー
それだけではないー
カードによる暴行ー
殺人ー
戦争ー
争いー
モンスターの出現ー
世界は1週間もしないうちに
”地獄”と化したー
「---これが、お前の望んだ世界だ」
緑色の生命体が笑うー
憑依されたブラッドソウルのカードに
乗っ取られた罪もない人々が
各地で悪さをしているー
洗脳ブレインコントロールのカードで
洗脳された人々が、
怪しげな犯罪組織の構成員として
働かされているー
先日、3つの国が地図上から消滅したー
”カード戦争”により、
消滅したのだー
「---そんな…」
莉緒が震えるー
世界は地獄のような状況になっているー
現実化したカードの力で、
”秩序”は崩壊したー
「これが、人間だー」
緑色の生命体はモニターを見つめながら笑うー。
「”力”は、人間を蝕む”毒”だー。
力を手に入れたものは、力に溺れー
そして、それを自分のために使うようになるー。
お前が、そうしたように-」
緑色の生命体が笑うー。
「--そ、そんなこと…」
莉緒は呟くー。
「お前だって、その身体を奪ったのだろうー?
金持ちの娘の身体を奪ってー
”世界をより良くするため”と
他人の身体を奪ったことを正当化しようとしているー。
自分で、自分は悪くないと、
必死に、言い聞かせようとしているー」
緑色の生命体の言葉に、莉緒に憑依している男は
反論できずに戸惑うー。
確かにー
自分は
”みじめな人生から抜け出したい”という
自分の夢のために、莉緒という女を乗っ取ったー
この女の財力を利用して、
リアルの力の研究を始めたー。
「---そう…人間は、愚かだ」
緑色の生命体が笑ったー
モニターを見つめるー
じきにこの世界は崩壊するー
力
力
力ー
過ぎたる力は、人間にはコントロールすることはできないー。
力は、理性をも、飲み込んでしまうからー
「だったらー」
「ん?」
緑色の生命体が、莉緒の方を見る。
「だったら!お前が、こんな力なんていらない!
全部、お前が自分の世界に持ち帰れ!」
莉緒が、可愛らしい声で出る最大限の怒りの声を出して叫んだー
「ほぅ?」
緑色の生命体が笑うー。
「--お前たちが、”カードを現実化させる力”を生み出したのなら、
今、世界がこうして、リアルの力で混乱してるのも
その力を持ち込んだお前のせいだ!
責任を取って、この力をこの世界から全部持ち帰れ!」
莉緒は、喉がはち切れそうなぐらいの声で叫んだー
”力”が世界を滅ぼすのならー
”力”なんて、必要ないー。
「---……我がそうする義理があるか?」
緑色の生命体からすれば、
これは”ただの茶番”
退屈しのぎだー。
色々な世界に、”力”を与えて、
その力で、世界が滅びに向かうのを見つめる
”ゲーム”
「---お前に、デュエルを挑む!」
莉緒が叫ぶー。
「…ほぅ?」
緑色の生命体が笑うー
「わたしが勝ったら、お前はこの力を責任をもって全部持ち帰るー」
莉緒の言葉に
緑色の生命体はニヤリと笑いながら
「お前が、負けたらー?」と呟くー
「--ーーわたしは、命を懸ける!」
莉緒の言葉に、緑色の生命体は口元を歪めたー
「--いいだろう…
我に命を懸けたデス・ゲームを挑むとは、愚かな女…
いいや、男だ!」
莉緒に憑依している男を挑発する緑色の生命体ー。
「ーーここでは狭すぎるー」
緑色の生命体がカードを発動するー
”強制転移”
そのカードにより、研究所の屋上に移動する二人ー
「--!」
莉緒が外を見渡すー
街には火の手が上がっているー
「どこかのバカが、街で”火炎地獄”のカードを使ってるみたいだな」
笑う緑色の生命体ー
過ぎたる力は、必ず人を狂わせるー
力は、救済などではないー
”現実決闘(リアル・デュエル)”
莉緒と緑色の生命体がカードを引くー。
リアルデュエリスト同士の戦いに
ルールなどない。
手当たり次第にカードを発動する
まさに”戦争”
ライフポイントは、
己の”命”
「--”ペンギン・ナイトメア”」
緑色の生命体が笑うー。
緑色の生命体が
ペンギンナイトメアの姿に変わり、
不気味な笑いを浮かべるー
イヤらしい目つきで莉緒を見つめるペンギンー
だがーリアルデュエルにおいて
ペンギンになろうと関係ない。
「--そんな、ペンギンになっても関係ない!」
莉緒は、そう言うと”斬首の美女”というカードを
発動したー
莉緒の姿が斬首の美女に変わっていくー
剣を手に、
ペンギンに変身した緑色の生命体に斬りかかるー
「---ふひっ」
イヤらしい目つきのペンギンがーー
”増えた”
「--え」
莉緒が、驚くー
ペンギンに変身した緑色の生命体が”増殖”というカードを発動していたー
ペンギンナイトメアが大量に増殖して、
莉緒を取り囲むー
莉緒は、斬首の美女の姿のまま
群がるペンギンを切り捨てようとするー
「むひゃひゃひゃひゃひゃ」
笑うペンギンたちー
「ーーーな、何なの!?」
斬首の美女のカードをはじき飛ばして
元の姿に戻る莉緒。
続けて”サンダーボルト”というカードで
ペンギンたちを全滅させようとするー
しかしー
ペンギンのうちの1体が、莉緒の胸を触ったー
「な…んぁっ♡」
増殖で増えた群がるペンギンたちが、莉緒に襲い掛かるー
莉緒の身体の気持ちいい部分をペンギンたちが
刺激していくー
「んっあぁぁぁっ…♡」
喘ぎだす莉緒。
「--むふふふふ 気持ちいいだろう?」
ペンギンナイトメアの姿になった緑色の生命体が笑うー。
増殖したペンギンたちが莉緒を襲うー。
莉緒は、これまで感じたことのないほどの快感を
味わいながら、
そのまま欲望に溺れてしまいそうだったー
「---ふふふふふふ…
人間は愚かだー。
己の”欲”には、勝てないー」
緑色の生命体は勝ちを確信して、そう呟いたー…。
Vol30に続く
・・・・・・・・・・・・
コメント
初期の頃からかなり不定期に書いている
リアルデュエリストですが
そろそろお話に一区切りをつけようと思います~
続きはまた、来週に~!
コメント
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「侵略の」あたりは何か化けそうな気がしました
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コメントありがとうございます~!
カードごとに色々な使い道がありそうですネ~
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リアデュエももう後半ですねぇ
美少女への他者変身は無さそうかなぁ
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コメントありがとうございます~!
いつか、書ければ~☆!、な感じですネ~!