<憑依>服に着られる女②~異変~

連絡がつかなくなった友人の家を
訪れる女子大生…。

しかし、友人はラバースーツを身にまとい、
なんだか、様子がおかしかった…!

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「---ゆっくりしていってね~!」
ラバースーツ姿の絵梨が笑いながら言う。

「---絵梨?大丈夫?何かあったの?」
心配そうに、友人の霧子が言う。

「---ん~~~?」
絵梨が振り返る。
さっきから妙にニヤニヤしている。

「--ん~?じゃないでしょ!
 土日も一回も連絡つかなかったし、
 今日だって大学来なかったし!」
霧子が言うと、
絵梨は、太もものあたりを自分の
手で触りながら呟いた。

「だってぇ…新しい”服”似合うんだもん~」
絵梨が顔を少し赤らめているー

普段、おとなしい服装の絵梨が、
ラバースーツを着ていると、
同性の霧子もドキッとしてしまうー

絵梨はそういう部分にあまり興味がないから、
自覚していないかもしれないが、
絵梨はスタイルがとてもいい。
胸もそこそこの大きさだ。

そんな絵梨がラバースーツで
自分の身体のラインを強調した
格好をしていると、
かなり、そう、エッチな感じがするー

霧子が、戸惑いながら
「あ、あのさ、そのラバースーツ、わたし、送ってないからね」
と呟く。

ラバースーツを送ってきたのが、霧子だと思っているような
LINEを絵梨は送ってきていた。
だが、霧子はラバースーツを絵梨に送ったりしていない。
恥ずかしがり屋の絵梨は、絶対にそんなもの着ないだろうし、
そもそも、片思いの遼太郎に告白するために
ラバースーツは全く関係ない。

「--へへ、わかってるよ」
絵梨は、そう言うと、
スマホから大音量で音楽を流し始めた。

ヘビーメタルな感じの
バリバリした音楽が流れ始める。

「ひゃっは~~~!」
ラバースーツ姿の絵梨が
身体を激しく動かしながら
ノリノリで音楽を聴いている。

「え、、絵梨…?」
霧子は違和感を感じるー

絵梨が無事だったのはいいー
でもー
なんだか、変だ。

髪を振り乱しながら
ラバースーツ姿の絵梨が
よく分からないロックバンドの音楽で
激しく興奮して、歌まで口ずさんでいる。

「--絵梨…?あの…」
霧子は唖然としながら呟くー。

「絵梨…!絵梨…!!」

絵梨は、音楽に入り込んでいて、
霧子の声に気づいていないー

「絵梨ってば!!!」
霧子が叫ぶと、
ようやく絵梨が気付いた。

「なんだよ~?
 霧子も一緒に踊る~?」
絵梨が笑いながら言う。

「いや、そうじゃなくて!
 絵梨!なんか変だよ!」
スマホの音楽を停止させると、
霧子が絵梨の方を見る。

絵梨は「変~?」とケラケラ笑う。

悪趣味な牙のネックレスを輝かせながら
絵梨は足を組んで近くの椅子に座ると、
「新しい服を手に入れられて、今、ご機嫌なんだよ」と、
絵梨は、机の上に置いてあった煙草に手をかけた。

「え…」
霧子は唖然としてしまうー。

別に、霧子自身は、喫煙するのもしないのも
自由だと考えているタイプだったが、
”絵梨が”煙草を手にしたことに強い違和感を感じるー

と、いうのもー
絵梨は”煙草の煙が苦手”だったからだー。

「---絵梨…あの…?煙草…いつから?」
霧子が戸惑いながら言うと、
おいしそうに煙草を吸いながら、絵梨が笑ったー

「へへへ…自分の服をどうしようと、自由でしょ?」

言葉の意味が分からないー
絵梨は何を言っているのかー。

「---は~~~~…
 最高だぜ」
うっとりとした表情の絵梨ー
絵梨はラバースーツの上から自分の胸をもみ揉みすると、
ぐへへ…と汚らしい笑みを浮かべるー

ラバースーツのファスナーを下ろして、
紫色の下着を露わにさせると、
「すっげぇよなぁ…」と涎を垂らしながら
その胸を見つめるー

「何してるの…?」
霧子は、戸惑いながらもようやく声を振り絞るー。
絵梨がさっきから何しているのか、まったく理解できないー。

ファスナーを下したままの絵梨が、
ポーズを決める。

「どう?わたし、可愛いでしょ?」
絵梨の自信に満ち溢れた表情ー

強い違和感を感じるー
ラバースーツから胸をチラ見せさせながら
自信満々の表情でポーズを決めている絵梨。

絵梨は、こんなコじゃないー

「--絵梨……あの、、違ってたらごめんね」
霧子は先にそう呟いてから、
慎重に言葉を選びながら、口にする。

「---土曜日…何か…あったんだよね?
 今日の絵梨…なんだか、様子がおかしいから…。

 あ、別に、悪い意味じゃないよ。
 何かあったなら、わたしも力になるから
 隠さず、言ってほしいなぁ…って」

絵梨の様子が明らかにおかしいー
土曜日”ラバースーツを送って来るなんて”という
LINEを送ってきたところまでは
”いつもの絵梨”な気がするー

だが、そのあとー
既読はつくのに返事がなくなったタイミングから
絵梨の様子がおかしくなった気がするー。

「---…」
絵梨がにっこりと笑う。

「別に。ただ”新しい服”を手に入れただけさ」
絵梨は、そう言うと、
コンビニの袋から、栄養ゼリーを取り出して
それを音を立てながら舐め始めたー。

「---は~~~~!」

「--あ、そうだ。
 この服、いいよなぁ~
 昨日、コンビニ言ったんだけど、
 みーんな、顔を赤くしてじろじろ見るんだ。
 うふふふふふ♡」

笑いながらゼリーの容器をごみ箱に
放り投げる絵梨ー。

「え…」
霧子はさらに驚くー
ラバースーツのまま買い物に出たというのか。

「--え、、絵梨…
 さっきから…やっぱ変だよ…
 どうしてその服…そんなに気に入ったの…?」

「---だって、かわいいじゃん」
絵梨が自分の顔をべたべた触りながら言うー

「---…え、、絵梨…」
霧子が、絵梨の歪んだ笑みを見ながら唖然とする。
どう考えても、絵梨の様子がおかしい。
何かが、おかしいー。

「---…」
絵梨は冷蔵庫からビールを取り出すと、
それを持ちながらソファーに座る。

まるで男のような座り方をすると、
ビールを飲みながら、霧子の方を見た。

「--霧子も、着心地良さそうじゃん」
絵梨が汚らしい笑みを浮かべるー

股を広げるような状態で
座っている絵梨の目つきを見て、
霧子は戸惑うー

「よ…酔ってるの…?」
霧子は一瞬、そう思ったー

普段、お酒を飲まない絵梨が
ビールを飲んでいる光景を見てー
絵梨のおかしな様子は
”お酒に酔っているのではないか”と、
そう思ったー

「--へへへ…酔ってるよ~」
絵梨が、ラバースーツの上から胸をもみながら言うー

「自分にね…!ふふふふふふふふふ♡」
絵梨は、自分の胸をうっとりとした目で見つめているー

「ちょ…ちょっと…!絵梨…!どうしちゃったのよ!」
霧子がたまらず叫ぶ。

「ふふ…べっつに~!」
絵梨はバカにしたように笑うー

まさかー

霧子はふと、頭の中にイヤな考えが浮かんだー

”遼太郎に告白して、振られたのではないか”
とー。

絵梨は、遼太郎に告白しようとしていた。
金曜日の時点では”まだ告白していない”と言っていたが
もしかしたらそのあとに告白してー
振られてしまったのかもしれない。

恋愛経験のない絵梨が、好きになった
遼太郎に告白して、
振られたのだとしたら、それは大きなショックだろうー

「え…絵梨…あのさ…」
気まずそうに言う霧子。
失恋のショックで自暴自棄になっているのだとしたらー
なんとか絵梨を励ましてあげたい。

「あ、、あの…遼太郎くんに…告白したの?」
霧子の言葉に、絵梨は「遼太郎~~~~?」と
首を傾げた。

謎の間が空くー。

少しすると絵梨が笑った。
「きゃはははははは!してないよ~!」
ゲラゲラ笑いながら、ビールを飲み終えると立ち上がる絵梨ー。

鏡の前に立つと、
モデルのようなポーズを取って絵梨がほほ笑むー

「あぁぁぁ…わたし、、、かわいい♡」

絵梨は、こんな格好も
こんなポーズも、
ましてや自分をかわいいとも言わないー

その絵梨がーいったい…?

「---」
霧子は戸惑って沈黙してしまうー
遼太郎に振られて失恋したのではないとすれば、
一体ーーー…???

「---……と、、とにかく」
霧子は立ち上がるー
今の絵梨に何を言ってもダメそうだと判断した霧子。

「無事でよかった。
 連絡もないから心配したんだよ」
霧子が言うと、絵梨は「へへへへ、元気元気~」と
ニヤニヤしながら身体をぶんぶんと動かしたー

とりあえずー
絵梨は無事だったー
犯罪に巻き込まれた感じでもないし、
病気で倒れていたわけでもないー
様子がおかしいのは気になるが
とにかく、無事だったのは事実ー。

「---明日は、ちゃんと大学に来なさいよ」
霧子が言うと、
絵梨は「へいへい~」と耳をほじりながら
不真面目に笑った。

「-----」
霧子は心配しながらも、絵梨の部屋から
立ち去って行くー

”いったい、どうしてしまったんだろう…”と
不安に思いながらーーー

・・・・・・・・・・・・・・・・

「-----は~~~~」
霧子が帰ったのを確認した絵梨は、
だらしなく座って、
ラバースーツの上から股を
掻きむしるー

「えっへへへへ…♡いい服だぜ…」

絵梨が自分をつんつんとつつくー

「--俺にとって、お前ら人間が
 ファッションなんだぁ…」

絵梨が自分の顔をいやらしい手つきで
べたべたと撫でながら
低い声で笑うー

「あぁぁぁぁ…いい服をげっとだぜぇ…へへへへ…
 へへへへへへへへへっ♡」

絵梨はー
ラバースーツに潜んでいた意識に
乗っ取られてしまっていたー。

”お前が俺を着ているんじゃない。
 俺がお前を着ているんだーー”

ラバースーツは、絵梨にそう告げて
絵梨を乗っ取ったー。

ラバースーツに宿る意識が何者なのかー
それは、ラバースーツ自身にも分からないー

だが、”自分”と同じような服は
他にも存在しているー

絵梨は、ソファーによりかかって
だらしなく足を広げながら
可愛らしいスマホを手に、連絡し始めたー

「もしもし~?
 へへ、久しぶりだなぁ」

絵梨が言う。

「ん?声が可愛い?
 へへっ♡ いいファッション手に入れたからさぁ~」
絵梨はそう言いながら、
相手に何かを告げたー

「--いいもの見つけたけど、
 お前、着る?」

絵梨は、相手にそう告げたー

・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

絵梨の姿は大学にはなかったー。
霧子が心配そうにLINEの画面を見つめるー

やはり、絵梨にメッセージを送っても
絵梨は返信をくれないー

「ちょっとぉ!なんなの!」
霧子はだんだんと腹が立ってくるー。
絵梨はいったい何を考えているのかー

「もう!怒ったからね!」
霧子はスマホの画面を見つめながら呟くー。

一体何なの?
と、イライラしながら、大学を終えると、
霧子は絵梨の家に再び向かったー

絵梨の住むアパートに到着した霧子ー

霧子は、絵梨がラバースーツに乗っ取られていることも知らずにー
再び絵梨の部屋に足を踏み入れたー。

③へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・

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第2話でした~!
次回が最終回デス~!

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