<憑依>服に着られる女①~服~

その服には悪霊が宿っていたー。

その服は言う。
「お前が俺を着てるんじゃない。
 俺がお前を着ているんだ」
とー。

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「--そういえばさ~、遼太郎くんに告白したの?」

大学で昼ご飯を食べながら
女子大生の霧子(きりこ)が何気なく聞くと、
デザートを食べていた絵梨(えり)が「ぶっ!」と吹き出しそうになったー

「ーーど、、ど、、ど、どこでそれを…!?」
大人しい雰囲気の絵梨はー
奥手で恥ずかしがり屋の性格。
服装も、おとなしい感じのものを好んでいるー

その絵梨が、人生で初めての恋愛をしていたー

それが、同じサークルで活動している遼太郎という名の
男子だ。

「--ふふふ、どこだろうね~?」
親友の霧子には”遼太郎が好き”ってことは話した覚えがない。
いつもの間に知ったのかな?と絵梨は顔を真っ赤にする。

「---き、、き、霧子には恥ずかしいから
 内緒にしてたのに~!」
絵梨が顔を真っ赤にしながら言うと、
霧子は「照れるな照れるな!」とニヤニヤしながら
絵梨の背中をポンポンと叩いた。

「でー?告白したの?」
明るくて、噂好きな霧子がニヤニヤしながら続ける。

「し、、してないよ…」
絵梨が恥ずかしそうに答える。

「やっぱり~!
 そんなんじゃダメだよ~!」
霧子はそう言うと、
ニコニコしながら宣言した。

「よし!遼太郎くんへの告白を
 わたしがサポートしてあげる!」

大声で言う霧子。

周囲の目が霧子と絵梨の方に注がれるー。

「-ちょ!霧子!声が大きいよ!も~~~!」
絵梨が慌てて叫ぶと
霧子は「あっ!いっけな~い!ごめんね!」と
舌を出して謝ったー。

帰宅中ー
絵梨がため息をつくー

遼太郎のことは好きだが、
なかなか告白する勇気がわかないー
幼いころから人見知りだった自分が
他の人のことを好きになるだなんて、
そもそも想像もできなかった。

”絵梨は、かわいいんだから、
 おしゃれすれば、もっとかわいくなると思うよ~!”

霧子はそんな風に言っていたー

「でもなぁ~」
絵梨が呟く。
絵梨は、小さいころから、最低限のおしゃれしかしない。
男の人を誘惑するような格好なんて
自分が恥ずかしくなっちゃうし、
肌を見せるような格好も、自分が恥ずかしくなってしまうから、
なかなかすることができないー

そんなこんなで、絵梨は帰宅した。

明日は土曜日。
土日で、霧子が色々アドバイスしてくれると
言っていたけれど…。

絵梨は「いろいろな意味で大変そう~」と
一人、苦笑いしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・

大学生になってから一人暮らしの絵梨は
土曜日の時間を、のんびりと過ごしていた。

霧子をはじめ、友達はそこそこの人数いて、
お出かけすることもあるが、
今週はたまたま、特に用事なども入っていなかった。

霧子が、絵梨が遼太郎に告白しようとしていることを
知ったのも、どうやら共通の友人から聞いたから、
ということのようだった。

♪~~~

「--は~い!」
絵梨が返事をする。

特に何かを注文した覚えはなかったのだが、
宅配便が届いたー。

「なんだろ~?」
絵梨がそう呟きながら
ダンボールを開けると、
その中には、黒いラバースーツが入っていた。

「-ふぇっ!?」
絵梨は思わず驚いてしまう。

霧子の言葉を思い出すー

”絵梨は、かわいいんだから、
 おしゃれすれば、もっとかわいくなると思うよ~!”

「お…おしゃれって…これぇ!?」
絵梨が思わず驚いてしまうー。

差出人が書かれていなかったが
タイミング的に明らかに霧子からの
お届け物だったー

「霧子ってば~…
 これはさすがに…」
絵梨はラバースーツを手にしながら
苦笑いするー。

これはさすがにおしゃれとか
そういうものを通り越しているような、
そんな感じがしたー

絵梨は苦笑いしながら
LINEで霧子にメッセージを送る。

”急にラバースーツなんて送って来るから
 びっくりしたよ~”

とー。

少しして既読がついたが
特に返事はなかったー

「も~」
ラバースーツを見つめる絵梨ー。

これを着てみたらー
可愛くなるのだろうかー。

そんな風に一瞬、思う。

けれどー
絵梨は首を振る。
「や、、やっぱ無理無理!恥ずかしすぎるよ~」

そう呟いて、お昼の時間になったのを確認した絵梨は、
お昼ごはんた~べよっ、と呟きながら
キッチンの方に向かうー

しかしー

「--ま、、まぁ…霧子が送ってくれたんだし…
 ちょっと…着てみようかな…」

ドキドキしながら、ラバースーツをちょっとだけ
着てみようと、自分の服を脱ぎ始めるー。

ドキドキ
ドキドキ…

こんな格好を自分がするなんてーー

そう思いながら、ラバースーツを身に着ける絵梨。
サイズはぴったりだったー。
正面のファスナーを慌てて一番上まで上げる。

「わわわ…
 わわ」
顔を真っ赤にしてあたふたする絵梨ー
誰にも見られているわけではないのに、恥ずかしいー

胸や身体のラインが強調されて、
なんだか自分がとってもエッチな
格好をしている気分になってくるー

「わわ…!もうだめ!」
顔を真っ赤にして、絵梨がラバースーツを脱ごうとした
その時だったー

ドクン…!

今まで感じたことのない、得体の知れない
感触を覚えた絵梨。

「え……?」

絵梨が、その違和感に驚いていると、
声が聞こえたー

”へへへ…最高のファッションだぜ”

「--え???」
絵梨が驚いて振り返るー。

しかし、そこには誰もいないー

今、確かに何かの声がー?

そんな風に思いながら、絵梨が慌てて前を向くー

しかし、前にも当然、誰もいないー

”俺の、新しいファッション…
 へへへ…おしゃれだなぁ”

「--!?!?誰!?」
絵梨が叫ぶと、
”声”が反応したー

”ん~~~?
 あぁ、聞こえちまったかぁ~

 俺は、お前を”着ている”ものだよ”

「--!?」
絵梨が驚くー

鏡を見ると、
自分が不気味な笑みを浮かべていたー

「え……!?!?」
絵梨は驚くー
いつの間に、自分が笑っているー

”へへへへ…”

「へへへへへへ」
絵梨が、頭に響いた声をそのまま口にする。

「--え…!?ど、、どうなってるの?
 あなたは誰!?」
絵梨が言うと、
絵梨の手が勝手に動いてー
ラバースーツを指さした。

「俺は、ここにいるよ」
絵梨の口から、絵梨の意志とは
関係のない言葉が
絵梨の声で発されるー

「--!?」

”お前はひとつ、勘違いをしている”

ラバースーツに宿っている”何か”が声を発したー

「お前が俺を着てるんじゃない。
 俺がお前を着ているんだ」

とー。

「あぅっ!?!?!?!?」
絵梨の身体がビクンと震えあがりー
そして、その場にだらん…と力なく立ち続けたー

・・・・・・・・・・・・・

「--ふ~~~~!バイトおーわり!
 おつかれさま~!」
後輩の女子高生バイトに挨拶をしながら
絵梨の親友・霧子が店の外に出るー

今日は朝早くからバイトだったため、
昼過ぎにバイトが終わった。

「そういえば、さっき、絵梨から
 LINE来てたっけ~?」
近くのカフェで、アイスを食べながら
スマホを手にする霧子。

バイト中だったために
既読だけはつけたが
内容の確認や返信は
できなかった霧子。

その内容を確認するー

”急にラバースーツなんて送って来るから
 びっくりしたよ~”

「-----」
霧子は、絵梨からのLINEを見つめながら
「ん~~~~?」と首を傾げる。

そして、返事を入れる。

”ラバースーツなんて、送ってないよ~!
 ってか、おしゃれっていうより、それエロ方面じゃない?w”

と、霧子は返信を送った。

少しして、既読がついたー

だが、絵梨からは何の返事もなかったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・

土曜日の午後も、日曜日になっても
絵梨と連絡がつかない。

「何かあったのかな~?」
そんな風に思いながら、
月曜日、霧子は大学で、絵梨の姿を探す。

最初は、
遼太郎が好きなことをからかったことで、
絵梨を怒らせてしまって、
返事が来ないのだろうと軽く考えていた。

だがー、
日曜日になっても、今日になっても
絵梨から返事が全く来ないので、
だんだんと霧子は心配になってきてしまう。

「---ねぇ、」
霧子が、絵梨の共通の友人に話しかける。

「絵梨と土日に連絡取れた?」
霧子が言うと、共通の友人は首を振る。

「あ~、聞きたいことあって連絡したんだけど
 返事が来なかったよ~」
共通の友人はそう答えた。

”何があったの?”
霧子は心配になる。

LINEの既読はつくからー
他の人間が絵梨のスマホを手にしたりしている以外は、
”LINEを確認できる状況にある”ことを示している。
病気で急に倒れている、とかではないー。

病気で倒れているなら、既読はつかないはず。

既読がつくということは、
確認しているのが本人かどうかはさておき、
病気で一人、倒れてしまっているということはないはずー。

「---今日、絵梨の家に行ってみようかな…」
霧子はそう呟いたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

大学が終わり、霧子は絵梨の家に向かう。

最後に送られてきたLINEも気になる。

”急にラバースーツなんて送って来るから
 びっくりしたよ~”

と、いうLINEだ。

ラバースーツなんて、霧子は送っていない。

じゃあ、誰が絵梨にラバースーツなんて
送ったのか?
霧子の中に、不安が募る。

やはり、絵梨の身に何かあったのかもしれない、とー。

絵梨の家に向かいながら電話をかけてみる。

しかしー
絵梨から返事はない。

「絵梨…」
だんだん不安になってくるー。

絵梨は、か弱そうで、おとなしそうなイメージのコだ。
それでいて、可愛らしい。
そんな絵梨が、あまり人の気配のない地域の
アパートに一人暮らししている、というのは
防犯上、マイナスでしかない。

「---だ、大丈夫だよね!生きてるよね!」
霧子が自分に言い聞かせるように
そう呟きながら、絵梨が住んでいるアパートの前に
到着する。

ドキドキしながら、階段を駆け上がり、
絵梨の部屋の前にたどり着くー

インターホンを鳴らす。

返事がないー。

「--絵梨…!!
 絵梨!!!」
慌てた様子で霧子が扉をノックするー

するとー

ガチャ

扉の鍵が開いたー。

そしてーー
絵梨が顔を出したー

「あ~~~~~
 えーっと、霧子。ふふ」
絵梨がニヤニヤと笑うー

「--え、、絵梨!連絡くれないから心配したんだよ!
 大学にも来ないし!」

霧子が安心しながらも、
少し怒りっぽく言うー。

玄関から顔だけ出した絵梨がニヤリと笑う。

「いやぁ~ごめんねぇ~!
 思ったより、新しい服が似合うからさぁ~!えへへ」

絵梨がふざけた感じでそう呟くー

そしてー
「あ、いいよ。入って入って~」
絵梨が扉をさらに開けるー

「--!」
霧子が驚くー

絵梨は、ラバースーツ姿だった。

「--あ、、、」
霧子が驚いていると、
絵梨がほほ笑んだ。

「似合うでしょ?新しい”服”」
絵梨が、ラバースーツに手を当てて
ポーズを決める。

「え…あ、、、う、、、うん」
戸惑いながら家の中に入っていく霧子ー

”なんか、絵梨、今日、テンション高いなぁ”

そんな風に思いながら、
霧子は、絵梨の部屋の中に
足を踏み入れたのだったー

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・

コメント

意志を持つ服に乗っ取られてしまうお話ですネ~!
今日は導入部分でした~!
明日もぜひお楽しみくださいネ~!

憑依<服に着られる女>
憑依空間NEO

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