憑依薬は拡散していくー。
身体が悪用されないよう、
必死の捜査を続ける”憑依警察”たちの
戦いの行方は…?
---------------—-
「---あの野郎…」
おしゃれな女子大生がナイフを持ちながら呟くー
「---絶対に…八つ裂きにしてやる…
くく…お前の彼女の手で…くくくくぅぅぅぅぅ♡」
不気味な笑みを浮かべる女子大生。
その目には狂気が宿っているー。
彼女は、憑依されているー。
この女子大生のことが好きだった男にー。
だが、この女子大生には彼氏がいたー。
そのことで、勝手に逆ら恨みした男は、
憑依薬を手に入れて、この女子大生に憑依、
彼氏の命を奪ってやろうと考えていたー
「ふふふふ…復讐だぁ…」
女子大生が呟くー
「復讐を終えたら、この身体…
たっぷりたっぷり可愛がってあげるからね…
うん…♡うれしい…!」
鏡の前で一人二役をしながら
興奮している女子大生ー。
さっそく、彼女は笑みを浮かべたまま出かけるー。
”憑依確認”
憑依された人間が、
悪事に利用される前に確保する
警察内の特殊チーム
通称”憑依警察”
そのメンバーである
年配刑事の久留米と若手刑事の橋川が、
憑依された女子大生を尾行していたー。
特殊な眼鏡により、
憑依された人間からは、黒いオーラのようなものが見えるー
今、目の前を歩いている女子大生にも、
それが見えているー。
「やつは、乗っ取られた子の彼氏を殺す気だ」
「-確保しますか?」
橋川と久留米が会話をしているー。
”ナイフを確認したら確保しよう”
乗っ取られた子が、乗っ取られたまま
犯罪を犯せば、その乗っ取られた子の罪になってしまうー
現在の法律では、”憑依”のことは全く考慮されておらず、
それを公表することもできない。
”憑依薬”などというものが明るみに出れば
世間は大混乱に陥ってしまうー
「---ふふふふ♡」
路地でナイフを取り出してペロリと舐める女子大生。
「--ちょっといいかな」
久留米が警察手帳を取り出して
女子大生に近づいていくー。
「--坂室 美穂さんだね?」
久留米が言う。
「--…美穂??あぁ、俺は…ちがう、わたしは美穂だ!」
乗っ取った身体の名前で呼ばれることに戸惑った
女子大生=美穂。
「--そのナイフ」
久留米が指を指す。
「--あ?」
美穂が不満そうに呟く。
「--何をするつもりだったのかな?」
久留米が言うと、
美穂は舌打ちをする。
「--と、友達と、、料理する約束があって」
美穂が苦しい言い訳をする。
「--…ちょっと、署までご同行願えますか?」
久留米が言うと、
美穂は「うるせぇ!邪魔すんな!」と大声で叫び、
襲い掛かってきたー
久留米が、美穂のナイフをはじき飛ばして
そのまま投げ飛ばす。
「ぐぇぇぇっ!くそっ…この身体、、貧弱じゃねぇか!」
美穂が叫ぶ。
憑依している男は、美穂の身体の力の弱さに戸惑うー
「--…くそっ!」
立ち上がって逃げようとする美穂ー
しかし、待ち伏せしていた若手刑事・橋川によって
美穂は確保されたーーー
いつものように、取り調べが行われるー。
美穂は、反抗的な態度を取っている。
「--憑依は、犯罪なんですか!?あぁ?
そんな法律ねぇだろうが!
まだ俺は何もしてねぇ!!
とっととここから出しやがれ!」
美穂がイライラしながら叫ぶ。
「--…憑依は、犯罪だ」
久留米が呟く。
「ーー他人の身体を勝手に使うなんて
許されるわけがないー」
久留米は静かに怒りながら、
橋川と共に、いつものように取り調べを行うー。
「---ぐえええええええええええええ!」
そして、装置で、美穂に憑依していた男を
吸引するー
ぐったりとした美穂の身体を装置から
おろして、憑依警察の一人である女性刑事に
その身柄を預けるー
憑依されていたのが女性であった場合の
サポートなどを行うメンバーだ。
「----はぁ…
憑依薬の大本を叩かない限り、
憑依される人間は、後を絶たない」
久留米が呟くー
「えぇ……」
若手の橋川が呟くー
その時だったー
「---!」
美穂が突然目をカッと見開いたー
憑依されていた人間は、最低でも30分は目覚めないー
これまでの経験上はそうだったー
しかし、美穂は、5分で目を覚ましたー
しかもーーー
「---おい!」
久留米が叫ぶー
美穂が取調室に置かれていたナイフを手にするとー
憑依警察メンバーの女性刑事に襲い掛かってーーー
その首をかき切ったー
倒れる女性刑事ー
あっという間の出来事ー
「---う、動くな!」
橋川と久留米が動揺しながら
美穂に銃を向けるー
美穂が笑うー
「お前らが憑依警察かぁ…」
おしゃれな女子大生が、血にまみれたまま笑うー。
「--へへへへへへ…」
自分の太ももに血を塗り付ける美穂ー
「憑依薬ってすごいだろ??
こんなおしゃれな女も、思いのままだぁ」
美穂が笑うー。
「--ど、どういうことだ」
久留米が呟くー
美穂からは、再び黒いオーラが出ているー
だが、美穂に憑依していた男は
既に装置に吸収したはずー
ではーーーー
「--俺は…そうだな…
他人の身体を乗っ取る憑依薬を作ったものー…
”エンペラー”とでも名乗っておこうか」
美穂がニヤニヤしながら言うー。
刺した女性刑事の血をペロリと舐める美穂ー
「なっ…お前が…」
久留米が叫ぶー
憑依薬の出所はいまだ”正体不明”
その”正体不明”の中心人物が
解放されたばかりの美穂に憑依して
宣戦布告をしに来たのだ。
「憑依警察…
俺たちの邪魔をするなら、容赦はしない」
美穂はくくくくく…と笑うー。
「---ふざけるな!
他人の身体をそんな風に好き勝手
利用するなんて、許されない!」
若手刑事の橋川が叫ぶ。
「---…くく…
弱者は、強者に利用されるー
それが、自然の摂理だ」
美穂はそう言うと、
自分の首筋にナイフを突き立てたー
「この女は、もう用済みだ!」
「おい!やめろ!」
久留米が叫ぶー
しかし、美穂は笑いながら
自分の首を切ってーー
そのままその場に、倒れるー
ぶるぶる震える美穂ー
「--くく、、、くくくく…
この女は、、勝手に自殺したんだ…ぁ♡
へへへ…へへへへへ」
まだ憑依されたままの美穂が笑うー
やがて、美穂の身体はそのまま
動かなくなってしまうー
「くそっ!」
橋川が壁を叩くー
”憑依薬”を早くどうにかしなくてはー
大本を叩かなくては大変なことになるー
憑依薬の中心人物
”エンペラー”を見つけ出さなくてはならないー
・・・・・・・・・・・・・・・・
「----」
”憑依”との戦いはいつ終わるのだろうかー
年配刑事の久留米は思うー。
”憑依”を公表するしかないのではないかとー。
上層部や政治家ー
憑依薬の存在を知っているのは、
限られた人間のみー
世間が自然の摂理だ」
美穂はそう言うと、
自分の首筋にナイフを突き立てたー
「この女は、もう用済みだ!」
「おい!やめろ!」
久留米が叫ぶー
しかし、美穂は笑いながら
自分の首を切ってーー
そのままその場に、倒れるー
ぶるぶる震える美穂ー
「--くく、、、くくくく…
この女は、、勝手に自殺したんだ…ぁ♡
へへへ…へへへへへ」
まだ憑依されたままの美穂が笑うー
やがて、美穂の身体はそのまま
動かなくなってしまうー
「くそっ!」
橋川が壁を叩くー
”憑依薬”を早くどうにかしなくてはー
大本を叩かなくては大変なことになるー
憑依薬の中心人物
”エンペラー”を見つけ出さなくてはならないー
・・・・・・・・・・・・・・・・
「----」
”憑依”との戦いはいつ終わるのだろうかー
年配刑事の久留米は思うー。
”憑依”を公表するしかないのではないかとー。
上層部や政治家ー
憑依薬の存在を知っているのは、
限られた人間のみー
世間がパニックを起こすー。
それは確かにその通りだ。
だがー、
しかし。
これ以上、隠し通せるのか。
「ただいま~」
久留米が帰宅するー。
「---おかえり~!お父さん!」
高2の娘・由美子(ゆみこ)が、
いつものように優しい笑顔で
出迎えてくれるー。
「--!」
久留米は表情を歪めたー
由美子からーーー
”黒いオーラ”が出ているー
”憑依されている人間”の証ー
「あら、お帰りなさい」
妻の貞枝(さだえ)も出迎えてくれるー
「--!!!」
貞枝からも黒いオーラ。
「お、、、お前たち…」
久留米が呟くー。
「----ふふふ…どうしたの?」
娘の由美子が振り返るー
そういえば、いつもこの時間は私服のはずなのに
なぜまだ高校の制服を着てるのかー
「--どうかした?」
妻の貞枝も振り返るー。
ふたりの服が、乱れている気がするー
「--……あ、、、い、、、いや…」
久留米は戸惑う。
”黒いオーラ”は何かの間違えだ。
この眼鏡が故障しているだけだー。
とー。
「---これ以上」
由美子が近づいてくる。
「-これ以上”憑依”を探ったら
お父さんの大事なモノ、全部壊れちゃうよ…?
ふふふふふ♡」
娘の由美子の言葉に、久留米は確信するー
「--む、、娘に憑依したのか…!」
その言葉に、由美子はクスクスと笑うだけー
「ふ、、、ふざけるな!
たとえ憑依が法律上犯罪でなくても
俺たちが必ずーーー」
「ぐええええええ!!」
ーー!?!?!?
久留米が驚くー
妻の貞枝が、突然、包丁で自分を刺したのだ。
「え…」
唖然とする久留米。
「言ったでしょ…?はぁ…はぁ…
これ以上、探ったら……大事なモノが…壊れるってぇ…」
妻の貞枝が乗っ取られたまま笑う。
包丁を自分に刺しながらー
「--お、、おい!ふざけるな…!
嘘だ…!おい…やめてくれ!」
叫ぶ久留米ー
娘の由美子が、貞枝の方に近づいて行って
包丁を奪うと、容赦なく貞枝にとどめを刺したー
「--うふっ!お母さんを殺しちゃった♡」
手についた血を舐める由美子。
「--そ、、、そんな…」
へなへなと座り込む久留米ー
「--わたし、親殺しの殺人犯♡」
嬉しそうに叫ぶ由美子ー
そしてーー
「--えいっ♡」
可愛らしく呟くと、
制服を真っ赤に染めるー
「う…」
娘に刺された久留米は、
苦しそうな表情を浮かべるー
「大丈夫だよぉ…♡
わたしも、すぐに後を追うから~!
うっふふふふふふ~♡」
「あ…」
憑依警察として活動する久留米が最後に見たのは
乗っ取られたまま狂気の笑みを浮かべる
娘の姿だったー
・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
「久留米さん…」
若手刑事の橋川が唖然とするー
先輩である久留米が死んだ。
家族もろともー。
そしてー
リビングでは、
久留米家の長女・由美子が
半裸状態で、身体に文字を刻んだ状態で
息絶えていたー。
”これは、けいこくだ”と、
ナイフでつけたと思われる傷が残っているー。
「--……く…」
橋川は表情を歪めるー
”自分たちが憑依される危険性”は
当然あったし、
身近な人間が憑依される可能性も当然あった。
しかし、今までは”憑依薬を売る組織”から
憑依薬を買って、他人に憑依した人間を
捕まえてきただけー。
だから、トラブルは起きなかったー
が、憑依薬の購入者を取り締まっていたことで、
”憑依薬を売る組織”が動き出したのだろうー
これ以上は、危険だ。
「---俺は…俺は、どうすれば」
憑依警察本部に戻る橋川ーー
「---!!!」
橋川は叫ぶー
「こ、、、これは…!」
憑依警察本部の扉を開けた橋川は
唖然とするーーーー
メンバー”全員”が、自らの頭を銃で撃ちぬきー
死んでいたー
「--ひっ!?!?」
逃げようとする橋川ーーー
「---あ、橋川さ~ん!」
憑依警察の事務係の若い女性が近づいてくる。
「ぱーん♡」
その女性は、まるで子供のように、橋川の頭を銃で撃ちぬいたー
「--えへっ♡
この世には、覗いちゃいけない深淵があるんだよぉ~♡」
そう言うと、憑依された事務係の女性も
笑いながら「ぱーん♡」と叫んで、自分の頭を撃ちぬいたー
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
警察上層部と、一部の政治家は
”憑依薬”の取り締まりを断念ー。
憑依された人間を犯罪者として
普通に逮捕し、憑依薬の闇に手を出さない対応に
切り替えたのだったー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
恐ろしい結末に…ぶるぶるデス!
悪事に使う組織に
憑依薬が渡ったら、どうにもできないですネ~!汗
お読み下さりありがとうございました!!
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