宇宙人によって支配された地球ー。
支配から抜け出そうと、
逃げ出した一人の若い男性。
憑依と弾圧で支配された
この世界の実態は、想像以上に残酷なものだった…。
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彼は、
隠れながら街を進んでいたー。
街ではー
人間が普通に暮らしているー
だが、この人たちはみんな、
宇宙人に憑依されているかー
あるいは完全に洗脳されているかの
どちらかだー。
少女が、エッチな服装で
ファッションショーを行っているー
人間の身体が、いろいろな場所で
まるでおもちゃのように
扱われているー。
「--ありがとうございました~!」
ペットショップからナース服姿の女性店員が出てくるー。
この店員は、宇宙人に洗脳されて
永遠に店員として働き続ける道具になっているー。
「---!!」
彼は、ある光景を見つめるー。
ペットショップから出てきた男が
連れていたのは、
首輪をはめられて、四つん這いで歩く女性ふたりー。
洗脳漬けになって、宇宙人の娯楽用のペットとして
完全に操られているー
服も身につけず、
涎を垂らしながら
まるで、犬のように歩くー。
「---------…」
彼は、戸惑う。
自分はずっと工場で働いてきた。
だから、外の世界は知らない。
けど、何かが違う気がするー
人間は、こんなことをさせられるために
生まれてきているわけではないような、気がするー
「--なにしてるの!?」
背後から声がした。
「ひっ!?!?」
彼がびくっと震えるー
”宇宙人に見つかったー”
慌てて逃げようとする彼。
せっかく工場から逃げ出したのに、
ここでつかまってしまったら
全てが終わってしまうー、
と、思いながら。
しかしー
逃げた先に、銃を持った男が現れるー
「動くな」
「--あ……」
彼は、足を震わせながら、男を見つめる。
背後から、最初に声をかけてきた
巫女服姿の女が近づいてくるー
「---……お、、お許しを…」
彼は震えるー
ペットの分際で、逃げるなんて
とんでもないことをしてしまったー、と
後悔しながらー
前に見たことがある。
工場の隅っこで、ごみのように重ねられた人間をー。
”不良品”だと宇宙人たちは言っていたー
自分も、そうなるー…
「---……待って」
巫女服姿の女が言う。
そしてー
震える、名もない彼の方を見る。
するとーーー
「---憑依されてない…
洗脳濃度も弱いわ」
巫女服姿の女は意味不明はことを呟くー
そして、反対側に立っていた銃を持つ男が頷くと、
名もない彼はそのまま連れ去られたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---…」
名もない彼は唖然としていたー
「--わたしたちは、神類の支配に抵抗する人間よ」
巫女服姿の女が言う。
この世界の地球は
既に宇宙人に完全に支配されている。
しかし、宇宙人が襲来した当時、
わずかに生き残った人間は、地下に
秘密基地を作りあげて、そこから
密かな抵抗を続けていたー
憑依されることもなく、
洗脳されることもなくー。
「--……あなた、名前は?」
巫女服姿の女が言う。
「なまえ…?」
彼は戸惑う。
名前なんて、自分にはない。
「番号は、233です」
男は言う。
工場でずっと働かされてきた彼には
備品としての番号”233”しか存在しない。
「ふぅ……可哀そうに…」
巫女服姿の女が呟くー
「わたしたち人間にはね…昔はちゃんと
名前ってものがあったの」
宇宙人が襲来する前の
人間の暮らしを、巫女服姿の女が
説明してくれるー。
それを聞いて、彼は驚くことしかできなかったー
今とは、あまりにも違いすぎるからだー。
続けて、巫女服姿の女は、
抵抗を続ける人間について説明した。
人数はわずか50人ちょっと。
ギリギリの状態が続いていて、
時折地上に出ては”憑依されていない人間”や
”宇宙人による洗脳濃度が低い人間”を
こうして救出して、仲間に加えているのだと。
話を終えると、巫女服姿の女はほほ笑んだー。
「あなたにも、名前を、つけましょ?」
「なまえ…?」
「--そう、名前。何がいい?」
巫女服姿の女に、そう言われて
彼は歴史の教科書でたまたま目に入った
名前を答えたー。
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地上では、いつも通り、
人間が好き放題使われる状態が
続いていたー
公園のような場所では、
100人以上の憑依された女性が、
100人以上の憑依された男と
エッチなことをしまくっているー
”人体生産工場”と書かれているー
近くの施設では
妊娠した女性たちが、大量に入院しているー
「あっ…んっ…うぁぁ…あ…」
子供が生まれるー
子供が、宇宙人に洗脳されて”矯正”されるー
出産を終えた女性に
憑依していた宇宙人は、その女性から抜け出すー
正気を取り戻した女性は、
正方形の部屋に放り込まれて
まるでペットのような扱いを受けるー
もちろん、”父親”側もそうだー
男性たちは、女性を妊娠させると、
憑依から解放されて”次の仕事”を待つー
ごみのように狭い部屋に詰められて
そのまま最低限の食事を与えられる。
病気の治療は行われない。
病気になった人体は、宇宙人からすれば
不良品でしかない。
即刻、破棄される。
破棄しても、また生産すればいいのだからー
「うあ…」
既に8人の子供を産んだ女が再び憑依されるー
「--あっ・・・♡ んっ♡ んあぁっ♡」
男とエッチを繰り返して
また妊娠するー
恐怖の人体生産工場の実態ー
妊娠できなくなった女は、破棄されるー
宇宙人にとって、必要ないものだからー。
ごみ集積場のような場所に
用済みになった男女の身体が放り込まれて
そのまま焼却処分されるー
宇宙人にとって、人間は”家畜”でしかないー
この地球は、宇宙人に支配されてしまったのだからー。
「---今期の生産計画について…」
”女帝”が、演説を行っているー
もちろん、その身体は人間のものだー
可愛らしい清楚な雰囲気の少女が
現在の”女帝”
憑依しているのは宇宙人の皇帝で、
既に1800年以上生きているー。
宇宙人自体は、クラゲのような
なんとも言えない無個性の姿で、
そのため、人間の身体を”洋服”として
憑依し、奪っているー。
その”洋服”や、
ペット、働かせるための備品などを
生産するのが、
憑依された女性たちが絶え間なく妊娠・出産を
繰り返している”人体生産工場”だー。
「--精肉店を解放する」
銃を持った男が言う。
”レジスタンス”に加入した
名前もなかった彼は頷くー。
「--竜馬なんて、ずいぶん御大層な名前を選んだな」
銃を持った男が言うと、
233と呼ばれていた彼=竜馬は「なんか、変な気分です」と答えた。
自分に名前がつくなんて、想像もしてなかったからだー。
「--このお店では”食用の肉”が生産されているー」
銃を持った男・弥吾(やご)が言う。
「肉…?」
竜馬が首を傾げると、
「お前はずっと工場で働かされていたんだったな」と
弥吾が笑うー。
「---その目で見れば分かる」
弥吾はそう呟くと、
精肉店に入っていくー
そこではーーー
まるで、天井からぶら下がる肉のように、
女性や男性がぶら去っていたー
洗脳漬けになり、
虚ろな目だー
それをーー
「あははは♡ あははははははっ♡ きもちいですぅぅぅぅぅ♡」
肉屋の店主が、生きたまま、吊り下げられていた女性を
切り刻んでいくー
洗脳されている女性は、自分が肉になることを
喜んで、笑っていたー
血なまぐさい匂いがする。
コック姿の女が、人肉を切り捌くー
「えへぇ…♡おいしそう…」
血のしたたる肉を生で食べるコック姿の女ー。
コック姿の女は、宇宙人に憑依されているー。
宇宙人は、人間の肉を主食のひとつとしていて
こうして精肉店で、”不要になった人間の身体”が
肉にされているー
いやー
最初から肉として牧場で飼育されている
人間もいるー。
「---ん~~~?」
コック姿の女が気付くー
「今だ!」
レジスタンスの弥吾が飛び出す。
レジスタンスに加入した竜馬も飛び出すー
2人が同時に銃を放ちー
コック姿の女は吹き飛ばされて、そのまま倒れたー
”精肉店の制圧完了”
吊り下げられていた他の女性や
男性を救出する。
だが、弥吾は首を振った。
「だめだ」
と、呟く。
「だめ?」
竜馬が尋ねると、弥吾は悲しそうに竜馬を見つめた。
「あぁ……」
弥吾が救出した女性と男性を見つめる。
虚ろな目でよだれを垂れ流しーー
いいや、それだけではない
身体からあらゆるものを垂れ流しているー
宇宙人による”洗脳”で完全に壊れているー
「洗脳濃度が高すぎる。もう、助からない」
弥吾はそう呟くと、
竜馬に”先に外にいってろ”と呟いた。
竜馬が外に出ると
数発の銃声が、精肉店から響いたー
”洗脳濃度”とはー
宇宙人が憑依していない人間の、
宇宙人に洗脳されている度合いを示す。
人間の数のほうが、宇宙人よりも多く、
宇宙人に憑依されていない人間も、多く存在する。
そういった人間たちを、宇宙人は洗脳して、
好きなように活用しているー。
洗脳漬けになっている人間は、もう助からない。
レジスタンスは、それを知っている。
「----さ、帰るぞ」
店から出てきたレジスタンスの弥吾が言う。
竜馬は複雑な表情で頷いたー
「---」
竜馬が振り向くー
物影から、一瞬、カメラのようなものが見えたー
「---あ!」
竜馬が指を指すー。
だが、次の瞬間、カメラのようなものは
見えなくなっていた。
「どうした?」
弥吾が振り返る。
「今、、、見られてたような」
竜馬が言うと、弥吾は「…誰もいないぞ」と
不思議そうに呟いたー
”宇宙人に、見られていたー?”
竜馬は言いようのない不安を感じていたー
・・・・・・・・・・・・・・
激しいライトが照らされる
ナイトクラブのような場所ー
そこで、妖艶な姿の女性が笑みを浮かべていたー。
彼女も当然、宇宙人に憑依されているー
そして、憑依しているのは、宇宙人の幹部クラスだー
クラブの舞台の上ではー
「--えいっ!」と、
メイド服姿の女が、ナイフで自分の身体を刺しているー
血が噴き出るメイド服の女ー
嬉しそうにポーズを決めながら血を流すー。
”人類の解体ショー”だー。
宇宙人たちの間では人気のショーで、
憑依された人間が、自ら命を絶つ場面を楽しむという
狂気的なものだ。
「--えへへへへへ!えへへへへへへっ!」
メイド服の女が真っ赤になりながら笑うー
やがて、身体ががくがくと震えだして
メイドは、その場に倒れるー
クラブに来ていた人間たちが
一斉に拍手するー
全員、宇宙人に憑依されている人間たちー
「ブラボー!」
血まみれになって、動かなくなるメイドー。
「ふふ、素晴らしいショーね」
妖艶な女は呟いたー
噴き出す鮮やかな血ー
人間が弱っていく姿ー
それを嬉しそうに、どれだけ芸術的に
表現できるかー。
このショーは、最高だ。
メイド服の女の身体が、憑依していた宇宙人の触手に捕まって
”廃棄”と書かれた袋の中に放り込まれていく。
そして、次の出演者が出てくるー。
ランドセルを背負った可愛らしい少女ー。
銃を持って、それを口に突っ込みながら笑うー
宇宙人にとって、
人間は”家畜”でしかないー
「---指令」
小さな男の子が、妖艶な女の側にやってくるー
そしてー
「”レジスタンス”」-と耳打ちした。
その報告を聞いた妖艶な女は、
不気味な笑みを浮かべるのだったー
③へ続く
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コメント
完全に狂ってる世界…
恐ろしいですネ…!
え…それを書いている私が
恐ろしい…?
…ぶるぶる
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